あれから早くも2年・・・。
あの東日本大震災から、先日3月11日で早くも2年が経過しました。原発事故はいまだに尾をひいており、復旧作業もいまひとつ進まないまま。そんな中、震災直後に、チャリティーのオムニバスアルバム「Play for Japan」をリリースした、音楽配信サイトOTOTOYが、昨年リリースした「Play for Japan 2012」に引き続き、今年も、チャリティーアルバム「Play for Japan 2013」が配信されました。今回の売上高は、東日本大震災で被災した子供たちを支援する団体に寄付されるそうです。
Title:Play for Japan 2013 vol.1~Landscapes in Music~
「Play for Japan」第3弾の大きな特徴は、それぞれアルバム毎にテーマ性を持たせたこと。いままでも、漠然とは似たタイプの曲が並んでいましたが、一定のテーマでは統一されていませんでした。
Vol.1は、ふるさとを思う気持ちを歌った曲が並んでいます。これが、素晴らしい名曲そろいでした!内容的には、「Play for Japan」シリーズの中では、ダントツでよかったように思います。
ピアノとストリングスをバックに、かわいらしくも芯のある歌声を聴かせる南壽あさ子「フランネル」、伸びやかな女性ボーカルが心地よく、サビでのノイジーギターもパンチが利いているHidetaka Takayama「Crystal feat.Silla(mum)」、どちらもフォーキーなメロが心に染みながらも、洋楽テイストの強いPredawn「Over the Rainbow」と、一方、和風なテイストが強い長谷川健一「ふるさと」、透き通るようなボーカルが印象に残る青葉市子「ひかりのふるさと」、そしてメロディーと歌声が、力強くも暖かい、ご存知ソウルフラワーユニオン中川敬「世界はお前を待っている」と、名曲が並んでいます。
他にも世武裕子、ROTH BART BARONなど聴かせる曲が並んでいる中、やはり取り上げざるを得ないのが畠山美由紀が、ふるさと気仙沼を思って歌った「わが美しき故郷よ」。以前もこのオムニバスに収録されましたが、今回は震災からちょうど半年が経過した、2011年9月11日に日経ホールで行われたライブの模様を収録したライブ音源。いつも以上に感情のこもったボーカルは、涙なしに聴くことが出来ません。
この曲だけではなく、そのミュージシャンのアルバムまでも聴きたくなってしまうような名曲揃いだった傑作オムニバス。やはり、自分たちのふるさとを思って歌うと、心のこもった名曲が出来上がるんでしょうか?
評価:★★★★★
Title:Play for Japan 2013 vol.2~沸きあがる的な~
こちらは、まさにサブタイトルの通り、なにか「沸きあがる」ようなパワーを感じさせる曲が並んだアルバム。ただ、このアルバムの中で目立つのは、ノイズミュージシャン非常階段の22分にも及ぶノイズではじまり、途中、フリージャズの阿部薫による21分にも及ぶ演奏が入っています。非常階段も阿部薫も、その世界では評価の高い、著名なミュージシャンなのですが、正直、一般的なポップスからもっとも遠いところにいる、ノイズやフリージャズがかなりの部分を占める、というのはちょっと厳しかった、というのが素直な感想。
それ以外の曲にしても、タイトル通り、沸きあがるような曲がメイン。ただ、そのためインパクトだけはやけにつよいパンキッシュな作品が並んでいます。いい方を変えると、ハチャメチャな雰囲気。メロディアスなバイオリンを聴かせてくれるインストナンバーNabowa「Ries」あたりはなかなかよかったけど・・・。正直、3枚の中では、少々お薦めしずらいアルバムだったように思います。
評価:★★★
Title:Play for Japan 2013 vol.3~a will finds a way~
そして最後3枚目は、歌を通じて、東北にエールを与えるような楽曲が並んでいる、といった感じでしょうか。
パンキッシュなオルタナ系ギターロックLimited Express(has gone?)「I See I See I See」からスタート。続くaveの「福の歌」は、ストレートに福島への愛情を歌った曲で印象に残ります。
ユーモラスだったのは、ねろというフォークシンガーによる「東京ワルツ」。レトロな歌謡曲風ながら、原発事故を強烈に皮肉った内容がユニーク。妙なインパクトを残しています。ここのサイトでもアルバムを何度か取り上げたことがあるsleepy.abの「earth」も、彼ららしい、幻想的なギターロックが気持ちよいナンバー。CHAQURA「明日は来る」も、レトロな雰囲気とスカ風なリズムがなかなかおもしろい楽曲になっていますし、最後を締めくくる奇妙礼太郎の「Stand by me」は、おなじみのナンバーを最初は英語で、後半は日本語詞でカバーし、アコギ1本で歌っている曲。力強くも前向きなカバーが最後を締めくくるにはピッタリのナンバーにあっています。
メッセージ性も強く、まさに東北へのエールとなっているアルバム。私たちにとっても、力をもらえるような、そんなパワーのあるオムニバスになっていたと思います。
評価:★★★★
今回も、数多くの実力のあるミュージシャンたちが参加し、多くの名曲が聴けるオムニバスアルバムになっています。なによりも、あれから丸2年が経過している中、こういう活動をコンスタントに続けてくれているOTOTOYのスタンスには敬意を表したいところ。今回は、3作同時購入のみということなのですが、音楽ファンなら是非。購入は、こちらのサイトから。
以前のPlay for Japanの感想はこちら
Play for Japan Vol.1~Vol.3
Play for Japan Vol.4~Vol.6
Play for Japan Vol.7~Vol.10
Play for Japan 2012 Vol1~Vol.3
Play for Japan 2012 Vol.4~Vol.7
Play for Japan 2012 Vol.8~Vol.11
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