10年前からスタンスは変わらず
Title:Decade
Musician:SOUL'd OUT
今年、早くもデビューから10年を迎えた3人組HIP HOPユニット、SOUL'd OUT。その10年の活動の集大成となるのが、このベスト盤。2枚組となる内容には、彼らの代表曲が網羅されています(初回盤ではDVD付)。
SOUL'd OUTの曲は、難しいことを考えず、エンターテイメントとして素直に楽しめる楽曲ばかり。巻き舌を過度に強調したラップに、ディスコや歌謡曲の要素を取り込んだスタイルは、デビュー当初から変わらず。この10周年のベスト盤でも、10年の間にあまり大きな変化は感じられません。デビュー当初から彼らのスタイルは完成されていた、ということなんでしょう。
彼らの大きな特徴は、非常にわかりやすく、ベタであるという点。また、それが彼らの大きな魅力だと思います。巻き舌を強調し、リエゾンを多様したボーカルは、日本人の英語に対するイメージを、そのまま体現化したもの。そんなボーカルスタイルや、あるいは80年代風のディスコサウンドにより、日本人の「洋楽」に対するイメージ(それも一昔前の)を、そのまま曲に反映させた楽曲に仕上げています。
しかし、そんな「洋楽風」なコーティングを一枚めくると、中身はむしろ歌謡曲テイストの強い楽曲に。本人たちもJ-POPからの影響を公言していますが、メロディーはいかにも日本人好みのテイストが強く反映しており、この洋楽と歌謡曲の微妙なバランスが、彼らの曲の「楽しさ」を演出しているように感じます。
まあ、上にも書いた通り、基本的にこのスタンスを貫いているため、少々マンネリ気味にも感じられるのですが、そこはやはりベスト盤。代表曲を並べられると、マンネリよりも先に、曲の楽しさを感じることが出来、2枚組というボリュームながら、最後まで飽きずに楽しむことが出来ました。
ちょっとボリュームはありますが、代表曲が網羅されており、SOUL'd OUTの入門盤として最適なベスト盤だと思います。なによりも、楽しむことを重視したような曲ばかりなので、HIP HOPが苦手・・・という方でも十分すぎるほど楽しめる作品だと思います。これを機に、是非。
評価:★★★★★
SOUL'd OUT 過去の作品
ATITUDE
Flip Side Collection
so_mania
ほかに聴いたアルバム
PIL/浅井健一
浅井健一の、ここ最近のアルバムの傾向は共通していて、最初何曲かは、「カッコいい!」と思い、「今回は期待できるかも」と思わせながらも、中盤からだれてきて、最後はやはりいまひとつだった・・・という結果になる展開。今回のアルバムも4曲目まではカッコいい曲が並んでいたのですが、最後まで聴いたら、やはりダレてしまいました。
一番大きな理由は、楽曲の雰囲気や世界観が、どれも似通っていてる点。楽曲のバラエティーも決して多様な訳ではないので、その結果、アルバムがどれも似たような雰囲気になってしまっているような・・・。一時期ほどの多作ではなくなったのですが、もうちょっと曲を絞ればいいのに・・・とは、毎回思っていることなのですが・・・。
評価:★★★★
浅井健一 過去の作品
Sphinx Rose
59days preface/BACK DROP BOMB
オリジナルメンバーであるドラムの有松益男が復帰し、初となるアルバムにして7曲入りのミニアルバム。ハードコア路線を基本線に、スカやダブなどの要素を融合したサウンドがおもしろく、バンドサウンドも迫力があります。その一方で、ちょっと弱いと思ったのがメロディーライン。メロディーが完全にサウンドに負けていて、結果、アルバム全体のインパクトがちょっと弱くなっている印象を受けました。
評価:★★★★
BACK DROP BOMB 過去の作品
VENOMETEORIC
THE BDBEST
THE OCRACY
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2013年」カテゴリの記事
- 9年ぶりのオリジナル(2014.03.14)
- 削除クロース(笑)(2013.12.28)
- 音楽シーンへの憤りも感じる(2013.12.27)
- 脱EDM(2013.12.20)
- やさしくなりたい(2013.12.17)
コメント