ヒダカトオル離婚後の行方は?
Title:MONOBRIGHT BEST ALBUM~Remain in MONOBRIGHT~
Musician:MONOBRIGHT
2010年11月、元BEAT CRUSADERSのヒダカトオルのメンバー加入が突然発表となり、話題となったギターロックバンド、MONOBRIGHT。その後、シングル2枚、アルバム2枚、ミニアルバム1枚を発表後、予想通り、ヒダカトオル脱退で、再度、オリジナルメンバーによる4人組バンドに戻った彼ら。そんな彼らの活動が一区切りついた段階で、MONOBRIGHTとしての活動を振り返ったベスト盤がリリースされました。
今回のベスト盤、ユニークなのはMONOBRIGHTの楽曲が、リリース順ではなく、製作順に並んでいるという点。例えば「宇宙のロック」はリリースされたのは2010年でしたが、もともとは2003年にデモ音源がつくられていたそうで、そのため、2曲目に配置されています。まさにMONOBRIGHTの歩みがわかる構成になっているベスト盤ということでしょう。
さて、MONOBRIGHTというと、個人的にはひねくれたユニークなメロディーを書くバンドだが、いまひとつブレイクしきれないバンド、というイメージがあります。そして、このベスト盤であらためて彼らの楽曲を聴くと、確かに、いいバンドではあるものの、いま一歩、パンチ力が足りないなぁ、ということを感じてしまいます。
例えば「WARP」あたりは、癖の強いメロディーラインがインパクトもあり、MONOBRIGHTらしさを感じさせるのですが、残念ながらこの傾向は続いていきません。「DANCING BABY」あたりもトライバル風なリズムがなかなかおもしろく、このように単発でおもしろい曲も少なくはないのですが、彼らの代表曲を通して聴くと、ポップスセンスの良さは感じるものの、どうもインパクトの薄さを感じてしまいます。悪くはない、実力はある、でもあと一歩物足りない、そんな煮え切らなさを感じてしまいます。
ヒダカトオルが、MONOBRIGHTに参加してきたのも、そんな彼らの煮え切らなさを感じてのこと、かもしれません。事実、ヒダカトオル加入時期の彼らの楽曲は、やはりパンチ力という意味では、他の時期に比べてずば抜けています。もちろん、そこには強烈なヒダカトオルの色を感じさせるのですが、MONOBRIGHTにとっても大きな刺激になったのではないでしょうか。
そういう意味で、ヒダカトオル脱退後の彼らがどうなるか、これからに俄然注目といったところでしょう。このアルバムでは、ヒダカトオル脱退後、初となる作品「REVOLUTION」が収録されています。タイトルからして、新しいMONOBRIGHTを宣言しているような曲ですが、スケール感もある爽快なナンバーで、これからのMONOBRIGHTにも期待できそうなナンバーになっていました。
MONOBRIGHTがいままでブレイクしきれなかった理由を感じつつ、次への期待も感じさせるベスト盤。次のアルバムで、どんな彼らの姿を見せてくれるのか・・・楽しみです。
評価:★★★★
MONOBRIGHT 過去の作品
monobright one
monobright two
adventure
淫ビテーションe.p.
ACME
新造ライヴレーションズ
ほかに聴いたアルバム
初音階段/非常階段 starring 初音ミク
日本を代表するノイズ・ミュージシャン、非常階段。今回、非常にユニークなアルバムをリリースしてきました。タイトル通り、あのボーカロイド初音ミクを「ボーカル」として楽曲に取り入れた作品をリリースしています。
まず最初の2曲は、ノイズがメインではなく、普通のポップス(1曲目は緑魔子の「やさしいにっぽん人」、2曲目はJAGATARA「タンゴ」のカバー)、3曲目は、初音ミクの朗読がメインなのですが、曲の合間合間に突然ノイズが乱入してきます。これはまるで初音ミクが突然壊れ、ノイズを発したかのような、まるでホラーのような不気味さを醸し出しています。そしてラストは完全に初音ミクが壊れ、ノイズの中に、かすかに初音ミクの「声」が・・・。ボーカロイドである初音ミクの性質を実に上手く活用した、初音ミクとのコラボでしか出来ないような世界を作り上げていました。
とはいえ、アルバムの大半を占めるのが、ひたすら流れるノイズの音。メロディーも何もない音楽(?)であるため、好き嫌いはかなりわかれそう。マイブラやオウテカあたりが好きな私でも、正直言って、本当のノイズ・ミュージックは、正直、ちょっと聴いていて辛いものがありました。そういう意味では好き嫌いはかなりわかれそう。おもしろい企画だけど、純粋にはちょっとお薦めしかねる1枚。興味がある方は、どうぞ。
評価:★★★★
5/ねごと
女の子4人組のガールズバンド、ねごと。オルタナ系の女の子バンドといえば、チャットモンチーが思い出される訳で、そういう意味では、比較されやすい2組。ただ、方向性は逆。以前から、シンプルなロック志向のチャットモンチーに対して、彼女たちはシンセサウンドを積極的に活用し、複雑な楽曲を志向していました。そして、ここに来て、その異なった方向性はさらに明確に。言うまでもなく2人組になり、より音がシンプルになったチャットモンチーに対して、このアルバムでは、シンセサウンドをさらに前面に押し出し音が分厚くなり、また、楽曲ごとに曲の構成も様々。彼女たちの可能性をさらに広げようとする内容になっていました。
ただ、その結果、サウンドや構成に意識がいってしまって、肝心のメロディーラインが少々後ろに回ってしまった感じが否めません。どうもメロディーが弱く、また、ちょっと軽すぎる、というか平凡な印象が。ちょっとメロディーとサウンドのバランスが悪いような印象を受けてしまいました。
評価:★★★★
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