山中さわおはどこへ向かう?
Title:破壊的イノヴェーション
Musician:山中さわお
the pillowsのボーカリスト、山中さわおの3枚目となるソロアルバム。いままでの山中さわおのソロアルバムは、明確にthe pillowsとの活動を区別してきました。基本的にオルタナティヴなギターロックサウンドがベースなのですが、ミディアムテンポの聴かせるタイプの曲がほとんどで、歌詞も英語。また、その内容も、the pillows以上に内省的なものになっていました。
しかし、今回のソロアルバム、はっきり言えば、the pillowsのアルバムと言われても違和感のない内容に仕上がっています。歌詞には日本語も登場し、ミディアムテンポなナンバーだけではなく、バンドサウンドを押し出した、アップテンポでロッキンなナンバーも少なくありません。特にラスト2曲「Mallory」「Buzzy Roars」は、the pillowsのライブで演奏しても盛り上がりそう・・・。
また、歌詞では、あいかわらず「独り」というフレーズが飛び出すものの、「I want to go」と歌う「RED BAT」をはじめとし、
「行けるとこまで行こう
その場所で人知れず終わりたいな」
(「Answer」より 作詞 山中さわお)
と歌う、先行シングルにもなった「Answer」や、
「それでも僕は行くよ
心を無くしたくないんだ」
(「Permanent black sheep」より 作詞 山中さわお)
と歌う「Permanent black sheep」など、孤独の中も、先へ進もうとする彼の意思が見て取れます。
現在、the pillowsは活動休止中ということ。また、これだけthe pillowsっぽい曲が並んだソロアルバム、ということで、ファンとしては少々やきもきもさせられる内容になっているソロアルバム。ただ、the pillowsは、6月頃から活動を再開させるそうで、ファンとしては一安心。彼が向かおうとする次の一歩は、やはりthe pillowsとしての一歩だった、ということでしょうか。
また、the pillowsの曲としてもおかしくない曲が並んでいる、とはいっても、全体的にはthe pillowsよりもやはりインパクトは薄め。特に、the pillowsのような、一度聴いたら忘れられないような、フレーズや、インパクトある歌詞の一節みたいなものはなく、そういう意味では、やはり副業的に、「売ること」を考えずに、自分の好きなことをやった結果、なのかもしれません。
そんな訳で、the pillowsファンなら、要チェックの1枚。ちょっとその他の音楽ファンに幅広く、訴求できるだけのインパクトは薄めかもしれませんが・・・彼らしい美メロもちらほらありますし、ギターロックが好きなら楽しめるアルバムだと思います。
評価:★★★★
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