今年を代表しそうなアルバム
Title:THE 20/20 EXPERIENCE
Musician:JUSTIN TIMBERLAKE
JUSTIN TIMBERLAKEのニューアルバム「THE 20/20 EXPERIENCE」が今、大きな話題となっています。アメリカでは、実売96万8千枚を売り上げ(ちなみにダウンロード販売を含んだ数値です)、ビルボードチャートで圧倒的な売上で1位を獲得し、大ヒットを記録しています。かと思えば、ピッチフォークでも8.4点の得点がつけられ、「BEST NEW MUSIC」と評価されるなど、「音楽ファン」相手でも高い評価を得ています。売上と音楽的な評価が一致しているという、実に幸せな状態。まだ4月ですが、間違いなく、今年を代表するアルバムになりそうです。
まず、聴いていて素直に気持ちのよいアルバムだなぁ、というのが、このアルバムを聴いての最初の感想。メロウなフレーズが印象的な、メロディアスな美メロが特徴的で、基本的にはミディアムテンポなナンバーがメイン。いわゆる「今風のR&B」なのですが、耳なじみがありそうだけれでも、聴かせるメロディーラインが「平凡」からは遠く離れたものになっており、聴き飽きないメロディーになっています。
そんなメロディーラインを主軸として、1曲1曲、様々なタイプの曲が顔をのぞかせる構成に。「SUIT&TIE」はちょっとファンキーな要素を感じますし、「DON'T HOLD THE WALL」はトライバルなリズムがおもしろいナンバー。「STRAWBERRY BUBBLEGUM」は、ちょっとセクシーなR&Bのメロながらも、タイトなトラックは、今風のエレクトロですし、かと思えば、「THAT GIRL」はホーンセッションにオールドスタイルなソウルの雰囲気を感じたりして。
各々の曲が、いわば物語性を持ち、1曲1曲が強い主張をしているように感じたアルバムだったと思います。ただ、その中でも、アルバムとしても、全体がひとつの流れとなるように構成されており、9曲目の「MIRRORS」はアルバムのクライマックス。スケール感あるサウンドにメロディーラインが否応なく耳に残るインパクト満載の作品。で、クロージングの「BLUE OCEAN FLOOR」は、美しいメロディーバラードナンバーをしんみり聴かせるナンバーで、アルバムを締めくくります(日本盤はこの後にボーナストラック2曲がありますが)。ただ、このラストナンバー、ちょっと奇妙な雰囲気のトラックが、妙に耳に残ったりもする、一癖ある曲になっているのですが・・・。
さらっとBGMがわりに楽しもうと思えば楽しめちゃいそうですし、それなりにメロディーを楽しむ目的で、普段、音楽をあまり聴かないような方でも楽しめちゃいますし、かといって、しっかし聴きこむことも可能。あらゆる層にアピールできそうな、かつ、2度3度楽しめそうなアルバム。そういう点が大ヒットにつながったんでしょうね。
ただ、正直、いろいろなタイプの曲や音が入っていて、少々捉えどころもない感じかなぁ、という点、若干、気になるところ。また、今風のR&B路線のメロは、個人的な壺とはちょっと外れた感じ。そういう意味では、個人的に「はまった!」といった感じではありませんでした。もっとも、その部分を差し引いても、十二分に楽しめましたし、また、傑作であることは疑うまでもありません。
おそらく今年の年間ベストで、軒並みのランクインが予想されそうな、今年を代表するようなアルバムだと思います。日本では、大手CD屋ではそれなりに展開されていたものの、チャートでは最高位11位という惜しい結果に。日本でももっと売れてもいいアルバムとは思うんですけどね。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Black Radio/Robert Glasper
グラミー賞を授賞して大きな話題となった、アメリカのピアニストによるアルバム。基本的に、「ジャズ」のアルバムとして捉えられることが多く、確かに、楽曲的にはジャズをベースとしています。ただ、一方では、R&BやHIP HOPの要素が強く、ドラムスを強調した音づくりは今風といった感じ。ピアニストのアルバムなのに(^^;;
そんな訳で、ジャズのアルバムというよりも、ジャズ風のR&Bのアルバムといった感じ。コンテンポラリー色が強く、正直、目新しさという面では少々微妙なものもあるのですが、良い意味で聴きやすいアルバムに仕上がっていました。
評価:★★★★★
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