これぞ、OKAMOTO'S
Title:OKAMOTO'S
Musician:OKAMOTO'S
OKAMOTO'Sといえば、ルーツオリエンテッドな若手バンド、として注目を集めていますが、今、ルーツオリエンテッドといえば、もう一組、話題になっているバンド、THE BAWDIESがいます。ただ、一言でルーツオリエンテッドといっても、両者の姿勢は全く異なります。ブルースやサザンソウルなどの影響を楽曲に忠実に織り込み、ルーツに対して、とてもストイックな姿勢で臨むTHE BAWDIES。それに対して、OKAMOTO'Sは、もっと幅広いジャンルにそのルーツを求め、かつ、もっとポップな姿勢で臨んでいるように感じます。
セルフタイトルとなった今回のアルバムは、そんな彼らの、ルーツ、あるいは音楽に対する姿勢が、よりはっきりとしたアルバムになっているように感じました。ストーンズっぽいピアノの音色な軽快な「Sing A Song Together」からはじまり、続く「Give&Take」は、イギリスの90年代のギターロックあたりの雰囲気を感じます。かと思えば「太陽はどこ」はモータウンっぽいですし、「共犯者」はブルージーなハープからはじまる、ガレージロックナンバーになっています。
そんな古今東西のジャンルを自らの曲に取り込みながらも、その取り込み方は至ってポップ。いや、メロディーにはむしろ、ベタなJ-POP風とすら感じる部分もあり、その点がまた、彼らの音楽が聴きやすい大きな要素となっています。むしろ、彼らにとって重要なのは、ルーツを使いつつ、ポップに、楽しく音楽を演奏する点なのでしょう。そのため、必要以上の「洋楽っぽさ」にこだわっていないかもしれません。
それを裏付けるかのように、今回のアルバム、全体としてメンバー全員が、とても演奏を楽しんでいるように感じました。ともすればちょっと弱さすら感じられてしまう、オカモトショウのボーカルも、この軽さが逆にハッピーな雰囲気を醸し出しているようでした。
セルフタイトルになった本作だけあって、OKAMOTO'Sとしての本来あるべき姿が、全面にあらわれたような、そんなアルバムだったように感じました。前作までは、彼らの幅広い音楽性が、バンドとしての方向性をぼやかしてしまったように感じましたが、今回では、それが突き抜けて、幅広いジャンルの曲をポップに楽しく演奏することこそ、OKAMOTO'Sの個性なんだということを主張するようなアルバムだったと思います。
そんな訳で、ひとつ壁を超えた感のある傑作アルバム。これからの彼らの活動も楽しみになってくる作品でした。
評価:★★★★★
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