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2013年4月 9日 (火)

OGRE YOU ASSHOLEの魅力を捉えた企画盤

Title:confidential
Musician:OGRE YOU ASSHOLE

傑作だった「100年後」からわずか5ヶ月、OGRE YOU ASSHOLEの新作が早くも登場!・・・と言いたいところなのですが、今回のアルバムは、企画盤。いままで、アナログ盤のみでリリースされていたセルフリミックス楽曲や、新たなセルフリミックス曲を収録したリアレンジアルバムとなっています。

「企画盤」なんて言葉を使うと、どうしても熱心なファン向けのタイトル、そんなイメージがつきまといます。しかし、このアルバム、そうやってスルーしてしまうにはあまりにも惜しい傑作になっていました。

まず感じるのは、オリジナルアルバム以上に自由度が増している、という点。ある種の制約から解放されたかのような、彼らが自分たちの曲で試してみたかったアイディアが、1曲1曲に詰め込まれています。

「DOPE」では、音数を絞り込み、シンプルなギターと、鈴の音色でリズムを組み立てて、空間を感じる構成に仕上げていたり、「フェンスのある家」では、原曲に比べ、フリージャズのようなペットの音やグルーヴィーなサウンドを前に押し出して、よりフリーキーな作風に仕上げています。そして「素敵な予感」ではタイトルとは裏腹に、ダークにどんどんと沈み込んでいくようなサウンドが、強いインパクトを与えています。

ただ、一方では、「また明日」「バックシート」など、ポップス色の強い曲が間に挟まってこともあり、アルバム全体としては、決して実験的という印象に終わらず、ポップにまとまっている印象すら受けます。

こういうフリーキーだったり、実験性を強く感じる楽曲と、その反面、ポップなメロディーを持ったバランスの良さが、OGRE YOU ASSHOLEの大きな魅力。この魅力は、この企画盤のみならず、以前からのオリジナルアルバムでも強く感じることが出来たポイントでした。ただ、この企画盤においては、このOGRE YOU ASSHOLEを支える2つの軸足が、より鮮明になったかな、そんな印象を受けました。

そういう意味では、実に彼らの魅力を上手く捉えているアルバムだと思うし、オリジナルアルバムと同様、このアルバムから彼らの魅力にはまる人も少なくないかもしれません。また、これだけ自由に様々なタイプの曲に挑戦しているにも関わらず、アルバム全体の統一性も感じられ、それだけOGRE YOU ASSHOLEの個性がしっかり確立しているということを実感させられます。

そんな訳で、「企画盤」としてスルーするにはあまりにも惜しい傑作。というか、むしろ個人的には年間ベストクラスの傑作ですらあるように感じます。要チェックな1枚です。

評価:★★★★★

OGRE YOU ASSHOLE 過去の作品
しらないあいずしらせる子
フォグランプ
浮かれている人
homely
100年後


ほかに聴いたアルバム

THE BEATMOSS Vol.2/THE BEATMOSS

本格的なソロ活動が続くRIP SLYMEのメンバーですが、今度はILMARI。こちらは彼のバンドプロジェクトによるアルバム第2弾。ラップメタル風な作品や、エレクトロロック風の作品、普通のオルタナ系ロックな作品など、様々な作風に挑戦し、かつ、どれもポップにまとめあげています。ただ、どの楽曲についても、特に目新しいものはなく、よくありがちな作風に終始しているのが残念。RIP SLYMEでは出来ないロックのジャンルに挑戦したけど・・・といった程度で終わっています。やりたいことをやっているんだなぁ、とは思うけども・・・。

評価:★★★

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