15年目のMISIA
Title:Super Best Records-15th Celebration-
Musician:MISIA
1998年、シングル「つつみ込むように・・・」でデビューしてから早15年。思えば、あの頃とは、MISIAの周りの環境も、かなり異なりました。「つつみ込むように・・・」の頃は、このようなR&Bの楽曲は、「クラブ」などといった場所で流れ、洋楽テイストの強い、ちょっと玄人向けの曲、というようなイメージで受け止められました。それが、彼女のブレイクにより、一気にお茶の間レベルに降りてきたのですが、それでもMISIAのこの曲のイメージは、どこかいままでのJ-POPとは、全く違った雰囲気の、新しいタイプの曲といったイメージで受け入れられました。
それから15年。彼女のようなタイプのシンガーは、すっかり珍しくなくなるところか、ヒットチャートの王道系とまでみなされるようにまで、ヒットシーンの中ですっかり根付いてしまいました。そんな中で、15年経った今でも、彼女は確固たる人気を集めている一方、やはり一時期ほどの勢いはなくなり、少々「過去のシンガー」といったイメージを抱かれはじめている点は否めません。このアルバムも、チャート1位を記録し、その健在ぶりをアピールしましたが、2002年にリリースし、ミリオンセールスを記録したベスト盤「MISIA GREATEST HITS」に比べると、売上は大きく落としてしまっています。
そしてこのベスト盤を聴くと、やはり一時期ほど勢いのおちた理由は、なんとなくわかるような気がします。確かに、パワフルで、感情のこもったボーカルは健在で、いまでもとても魅力的なのは間違いありません。ただ、このアルバムにも収録されている「Everything」や「忘れない日々」のヒットを受けてか、やたらめったらバラードナンバーが多い。
それも、静かにしんみり聴かせるというよりも、彼女のボーカルをはりあげて歌うタイプが多く、まさに「Everything」の2匹目のどじょう狙いが露骨に感じられるような曲もチラホラ。もちろん、そんな曲も決して悪いわけではなく、1曲1曲聴く限りでは、「良い曲」だとは思います。ただ、こうやって3枚組フルボリュームのベスト盤として並べて聴くと、少々食傷気味になってしまうのも否めません。
15年たった今、デビュー当初のシーンの先端を行くような、刺激的な部分はなくなり、ある意味「様式的」になってしまったバラードを聴かせるバラードシンガーになってしまった感のある彼女。確かに、デビュー当初のような、刺激的な曲を続けるのは厳しいのかもしれませんが、少々寂しい部分もあります。
もちろん今でもバラードばかりを歌っているわけではなく、様々なタイプの曲を聴かせてくれるのも間違いないのですが・・・少なくともシングルや代表曲を中心に集めたこのベストでは、バリエーションの乏しさを感じてしまいました。1曲1曲は悪くないと思うんですけどね。
評価:★★★★
MISIA 過去の作品
EIGHTH WORLD
JUST BALLADE
SOUL QUEST
MISIAの森-Forest Covers-
ほかに聴いたアルバム
Cry Like A Monster/のあのわ
のあのわの最新作は、シンセを多様した、明るいポップサウンドが印象的な1枚。祝祭曲の強い、明るい曲調はいつも通り。ただ、シンセを使うことにより、どこか80年代の香りが漂うような作風になったのが、今回のアルバムの特徴でしょうか。いままで、様々な音を詰め込んで、過剰なまでの音作りを行ってきた彼女たちですが、本作は、いままでの作品に比べると、そういう過剰感はありません。ただ、その結果、少々アルバム全体にインパクトが弱い薄味になってしまったような感じも。ここらへん、難しいところだなぁ。
評価:★★★★
のあのわ 過去のアルバム
ゆめの在りか
SPECTACLE
MAGICAL CIRCUS
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