基本的にトム・ヨークの作品
Title:AMOK
Musician:ATOMS FOR PEACE
2010年のフジロックにも参加して話題となった、RADIOHEADのトム・ヨーク率いるバンド、ATOMS FOR PEACE。一時期は、事実上の活動休止状態にありましたが、昨年から活動を再開。そして今年になり、待望のニューアルバムが発売されました。
ATOMS FOR PEACEは、もともとはトム・ヨークのソロアルバム「The Eraser」のツアーのために結成されたバンド。メンバーは、他にレッチリのベーシスト、フリーや、RADIOHEADやBECKなどのプロデュースワークなどで知られるナイジェル・ゴドリッチなどが参加しており、いわゆるスーパーバンドとしても大きな話題となりました。
ただ、正直、イメージとしては、個々に活動しているミュージシャンが集結し、新たな音を生み出した、というよりも、事実上、トム・ヨークのソロ活動の延長線といったイメージ。音的には、ダブステップやエレクトロニカの影響の強いRADIOHEADの「THE KING OF LIMBS」から大きな変化はありません。ただ、やはりバンドメンバーにレッチリのベーシスト、フリーが参加している影響か、ベースの音が目立つ音の構成になっていました。
ただし、レッチリのファンが、「フリーの参加したアルバム」としてこの作品を聴くのはお薦めしません。ベースは基本的に淡白。レッチリのようなファンキーなグルーヴはありません。しかし、今回のアルバムは、このベースラインとパーカッションのリズムが、バンドの屋台骨になっていると感じました。
バンドは、このアルバムの録音の際に、アフロビートの創始者として知られる、アフリカはナイジェリアのフェラ・クティのアルバムを聴きまくったとか。その影響がダイレクトにあらわれた作品ではありませんが、「UNLESS」や「STUCK TOGETHER PIECES」のリズムにはどこかトライバルな雰囲気があり、このアルバムのひとつのインパクトとなっていました。
また、そんな今風のリズムの中に流れてくるメロディーは、哀愁あふれるもの。「THE KING OF LIMBS」では、「OK COMPUTER」あたりのRADIOHEADを彷彿とさせましたが、今回も同様、あの頃のRADIOHEADをイメージできる部分もチラホラありました。
目新しさという点では、大きな進化はありませんでしたし、そういう意味では物足りなさもなくはないのですが、ベースやパーカッションの音色がしっかりとバンドサウンドを下支えしている今回のアルバム、個人的には「THE KING OF LIMBS」よりも気に入りました。この活動、今後も続けていくのかなぁ。それともRADIOHEADの新作?新しいプロジェクト?トム・ヨークの今後の活躍も楽しみです。
評価:★★★★★
そのほかに聴いたアルバム
Sonik Kicks/Paul Weller
UKロック界の「アニキ」、Paul Wellerの最新作。既に大ベテランの彼ですが、若手バンドに引けを取らない、現役感バリバリのサウンドを聴かせてくれます。若手バンドのように勢いのあるギターロックから、大人な雰囲気にしんみり聴かせるナンバーまで、楽曲の幅広さに、彼の懐の深さを感じさせます。
評価:★★★★★
Paul Weller 過去の作品
22 DREAMS
Wake Up The Nation
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