レトロ感たっぷりのメロディーが魅力
Title:the dresscodes
Musician:the dresscodes
2011年12月31日いっぱいで解散した毛皮のマリーズ。the dresscodesはそのボーカリスト、志磨遼平が、新たに組んだバンド。毛皮のマリーズ解散翌日に、既にthe dresscodesとしてライブを行っていたようですが、その後、シングルリリースやライブツアーなどを経て、12月にようやく1枚目のアルバムリリースとなりました。
the dresscodesについては、昨年に一度、ライブを見ていたりします。その段階では、全く彼らがどんな音を出すのか知らないような状況で、基本的に後期毛皮のマリーズのような、レトロなポップ主軸の、ポップス色の強いバンドになるのかなぁ、というイメージがありました。ところが蓋を開ければ、バリバリのガレージバンド。それもメロが、完全にバックのバンドサウンドに塗りつぶされるような感じで、正直、完全に期待ハズレというイメージでいました。
それでけに、今回のアルバムもあまり期待していなかったのですが、ところが、アルバムは、やはり当初予想したとおりの、後期毛皮のマリーズの路線を引き継ぐかのような、レトロポップ路線。作曲名義は、基本的にバンド名義になっているのですが、あきらかに毛皮マリーズ後期で見せた、志摩遼平の好みを色濃く反映した内容になっていました。
特に先行シングルとなった「Trash」など、甘くとろけるようなメロディーラインは、まさに古き良き時代のポップソングの影響をダイレクトに感じます。具体的に言うと、彼らのメロディーは、50年代あたりの日本のポップスのイメージ。まだ、「歌謡曲」というジャンルで様式化されておらず、かつ、洋楽のポップソングの要素を強く取り込んだメロディー。古き良きアメリカのイメージに、懐かしい昭和の日本の匂いを混ぜ込んだ、そんなポップソングが並んでいます。
でも、それなら毛皮のマリーズでも出来たんじゃない?と思ってもしまうんですが、the dresscodesとしては、よりバンドサウンドを前に出し、ロックテイストを強くした作品に仕上がっています。あえてバンドサウンドを前に持ち出してきたり、また、作曲のクレジットをバンド名義にしたりと、the dresscodesとしての一体感を強く押し出そうという志摩の意図を感じるのですが、逆に言うと、毛皮のマリーズでは、志摩の望むような音を、バンドメンバーが出せなかった、そういうことなのでしょうか?
そのためか、バラエティー富んだ作風になっていますが、それもあくまでも「バンド」ありきであり、後期毛皮のマリーズのような志摩遼平の独走ではありません。キャバレーロック風な「Puritan Dub」だったり、パンク色の強い「リリー・アン」だったり、あくまでもバンドとしてのバリエーションを増やしている印象があります。
また、今回の新バンドで、特に目立ったのが、菅大智のドラムスで、「Trash」あたりが典型なのですが、手数の多い、ダイナミックなドラミングが耳につきます。THE WHOのキース・ムーンからの影響がかなり顕著で、というか、そのまんまで、実際、高円寺のキース・ムーンと呼ばれているとか?(^^;;このダイナミックなドラムスが、the dresscodesの屋台骨となってバンドサウンドを支えています。
それだけに、昨年見たライブが、いまひとつに感じられたのは、レコーディングならまだしも、ライブバンドとしてのバンドの一体感はまだまだ、といった感じなのでしょうか。それだけに、まだまだ伸びていく予感のあるバンド(もっとも、結局まとまらず、空中分解という可能性もあるのですが・・・)。毛皮のマリーズではたどりつけなかったところにthe dresscodesはたどりつけるのか?これからが楽しみなバンドです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Roots&Routes/GOING UNDER GROUND
GOING UNDER GROUNDの新譜は、実に彼ららしい、メロディアスなポップが並ぶ作品。特に、「刹那」「Shining」あたりのメロは素晴らしく、GOING UNDER GROUNDの魅力を強く感じます。また、ディスコ風の「ナカザのディスコ★」や、「刹那」のような歌謡曲風のポップスなどバラエティーを感じます。ただ、その反面、似たような曲も少なくなく、捨て曲も・・・。全14曲入りという、それなりのボリュームだったのですが、もうちょっと曲を絞れば傑作になったような・・・。そういう意味では、非常に惜しい作品でした。
評価:★★★★
GOING UNDER GROUND 過去の作品
おやすみモンスター
COMPLETE SINGLE COLLECTION 1998-2008
LUCKY STAR
稲川くん
Weeeeeeeeee!!!/POLYSICS
前作「15th P」は15周年の企画盤だったので、純然たるオリジナルとしては、「Oh!No!It's Heavy Polysick!!!」以来、約1年半ぶりで、3人体制となって2作目となるアルバム。基本、いつものエレクトロパンクがベースとなっていますが、本作ではギターの音が前面に出ており、特に前半に関してはハードロックの要素を強く感じます。結果としてロックテイストが強いだけに、最後まで飽きずに聴けるようなアルバムになっていました。
評価:★★★★
POLYSICS 過去の作品
We ate the machine
We ate the show!!
Absolute POLYSICS
BESTOISU!!!
eee-P!!!
Oh!No!It's Heavy Polysick!!!
15th P
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