孤高の存在
Title:Exai
Musician:autechre
最近、はじめて意識して、ノイズミュージックのアルバムを聴きました。そんな中、ノイズミュージックをWikipediaで調べてみると、autechreって、ノイズミュージックの範疇なんですね。まあ、一言で「ノイズ」といっても、幅があるでしょうし、無機質な電子音の羅列である彼らの音は、確かに、ノイズミュージックと捉えられる音楽なのかもしれません。
でも、正直なところ、ノイズミュージックは、聴いていて「厳しいなぁ・・・」と感じました。もちろん、単純に聴きなれていな、ということが大きな理由かもしれません。メロディーもなにもない、ノイズの洪水は、さすがに音楽として楽しむことが出来ませんでした。
そんな私でも、autechreの音楽を楽しむことが出来るのって、もちろんエレクトロニカについて聴きなれている、というのもあるのかもしれません。ただ、autechreって、無機質で細かい電子音の羅列の中に、しっかりとしたメロディーが流れていて、だからこそ、彼らの音楽は魅力的なんだよなぁ、そんなことをあらためて感じました。
そしてここ最近のautechreは、メロディーとエレクトロニカのサウンドのバランスを、いろいろと模索しているように感じます。前々作「Oversteps」はメロディー主体、前作「move of ten」はサウンド主体。で、最新作「Exai」は、ちょうどメロディーとサウンドのバランスがほどよいように感じました。乾いたようなエレクトロの電子音の音色は、様々に展開してとても心地よいのですが、その心地よさの向こう側に流れているメロディーに気がつく。サウンド、メロディーがほどよく楽曲の両輪として機能しているように感じました。
また、今回のアルバムで感じたのは、彼らの作り出す音が孤高の存在であることをあらためて認識しました。ドラムスやベースの音を前面に押し出したビートミュージックが一種の潮流となり、シンプルに音数を絞り、リズムを前に出したような曲が増えています。autechreの音も、広い意味ではそんな潮流の中にいるのかもしれません。ただ、例えば流行りのダブステップなどと比べても、彼らの音はとても遠いところにあるように感じました。
確かに、ここ最近の彼らの音は、はじめて彼らの音に触れた時のような斬新さを感じることは出来ません。ただ、そんな中でも、ここ最近の彼らは、流行の音に流されず、自分たちの音を黙々と作り続けている、そんな姿を感じることが出来ます。今回の彼らのアルバムからは、そんなわが道を行く、彼らの姿を強く感じることが出来ました。
ただし、そこらへんを加味しても、2枚組2時間以上という長さはちと長い・・・(^^;;最初はとても楽しむことが出来たのですが、さすがに最後の方では少々だれてきた・・・。まあ、それだけの勢いはあるということなのかもしれませんが、もうちょっと短い方がよかったかも。その点、ちょっと残念さが残ったアルバムでした。
評価:★★★★
Autechre 過去の作品
Quaristice
Oversteps
move of ten
ほかに聴いたアルバム
Babel/Mumford&Sons
最近、欧米で最も話題となっているバンドの一組。イギリスの4人組フォークロックバンドですが、このアルバムはイギリス以上にアメリカで大ヒットし、今年のグラミー賞の、最優秀アルバム賞を見事授賞しています。
ただ、確かにフォークというよりは、泥臭く、ロックテイストの強いサウンドは、むしろアメリカンロックの色合いが強い感じが。話題のバンドですが、日本では売れなさそうな印象も。前作「Sigh No More」から既に老成した印象を抱いたのですが、今回はさらにバンドとしての大物然も兼ね備えてきた感じも。もっともっと大物になりそうな予感も。そうすれば、日本でも注目度は高まるでしょうか?
評価:★★★★
Mumford&Sons 過去の作品
Sigh No More
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