復活第1弾はセルフタイトル!
Title:GREAT3
Musician:GREAT3
GREAT3 Comming Back!!・・・ってな訳で、2004年以来、活動中止状態だったGREAT3が帰ってきました!残念ながら、活動再会と同時に、ベースの高桑圭が脱退してしまいましたが、代わりに新ベーシストjanが加入。新たなGREAT3として、活動を再開し、ついにアルバムもリリースされました。
復帰後、初となるアルバムがいきなりセルフタイトルというのにはビックリしましたが、それだけの自信作ということなのでしょう。そして、そんな彼らの自信が、アルバムからはビシビシ伝わってくる内容になっていました。
彼らの楽曲は、基本的にはソウルからの影響を受けたポップソングがひとつのベースとなっているのですが、これが、曲によっていろいろな顔を見せるため非常にユニーク。「TAXI」や「レイディ」はファンクチューン。「RED ROOM」は、ギターリフ主導の王道ギターロック、かと思えば、パーカッションのリズムが独特でユーモラスなナンバーですし、「睫毛」は、80年代風のソウルナンバーと、1曲1曲、全く違った顔をしたような曲が並んでいます。ただ、そんな中、基本的にブラックミュージックから影響を受けたポップソングという意味では首尾一貫していますし、なによりもメロディーはポップで聴きやすい内容。そのため、様々なタイプの曲があっても、あくまでもGREAT3の曲としてまとまった作品になっています。
そして、そんな彼らの音楽からは「大人のロック」、そんな言葉が思い起こされます。ただ、この「大人のロック」という表現、あまりにも手垢がつきすぎて、陳腐なイメージさえしてしまうのですが、彼らの音楽に対してはピッタリな表現なのではないでしょうか。
例えばいろいろなジャンルの取り込み方。ファンクやソウル、ロックなどの要素を上手く取り込んでいるのですが、これが若いバンドだとすると、様々な音楽を知っているんだぞ、ということを、自分たちの楽曲を通じて、過剰にアピールしてきたりします。結果、妙にスノッブ臭い作風に仕上がるのですが、彼らの取り入れ方は実にスマート。自然に様々な曲の要素を取り入れつつ、それでいて、誰もが楽しめるようなポップソングに仕上げてきています。
また、歌詞にしても、例えば「綱渡り」など
「なんにも願わないで そっと鏡の前で
有難きを祈り 捧げる
あるがまま 受け入れて」
(「綱渡り」より 作詞 片寄明人)
なんて歌詞、40歳を過ぎた片寄明人だからこそ書ける歌詞ではないでしょうか。
このアルバムの中、かなり強い主張が含まれる社会派のナンバー「交渉 No.1」では、
「大切なのは静観 血が上ると危ない
怒り渦巻いて まるで non non no」
(「交渉 No.1」より 作詞 片寄明人/白根賢一)
と、問題の解決には、あくまでも交渉が一番である、と、軽快なダンスナンバーにのせて、重いテーマをさらりと歌い上げています。
ただ、そんな「大人」なバンド、GREAT3の中で、今回、目立ったのが、若干22歳の若きベーシストjan。彼の奏でるベースラインが、妙にメロディアスでインパクトがあり個性的。このアルバムの中でも、存在感を出しているように感じました。高桑圭脱退のニュースは残念でしたが、新生GREAT3も、かなり期待できそうです。
最後を飾る「懐かしのヴァレリー・メイ」は実に幸福感あふれるナンバーで、幸せで満ち足りた気分の中、このアルバムは締めくくられます。セルフタイトルは伊達じゃない傑作。復活後のGREAT3も、かなり期待できそうです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
THE BEST 2007-2012 俺たちの明日/エレファントカシマシ
ユニバーサル移籍後のシングルを、発売順に並べたエレカシのベスト盤。2009年に発売した自選作品集の続編的な位置付けですが、シングルを発売順に並べただけなので、厳密にはちょっと違うかも。ただ、移籍後最初の方の作品は、いかにもな桜ソングや、「絆」なんて陳腐なタイトルの単純な前向きソングも多く、売れ線J-POP志向が強く感じられ、ちょっと疑問だったのですが、最近の曲は、徐々にエレカシ宮本浩次の本質がむき出しになってくるような部分もあらわれ、現時点での最新作「ズレてる方がいい」はタイトルからしても、さすがエレカシといえる傑作に。まあ、ポップ路線へ振れるのは、今回にはじまった話ではないのですが、こうやってシングルを並べられると、ちょっと薄味で、エレカシとしては物足りなさを感じたシングルコレクションでした。
評価:★★★★
エレファントカシマシ 過去の作品
STARTING OVER
昇れる太陽
エレカシ自選作品集EPIC 創世記
エレカシ自選作品集PONY CANYON 浪漫記
エレカシ自選作品集EMI 胎動記
悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~
MASTERPIECE
The Independent King/AK-69
前作「THE RED MAGIC」もオリコン初登場3位を記録するなど、今や、日本を代表する人気ラッパーとなったAK-69の、約2年ぶりとなる新作。「売れている」ラップの割りとしては比較的ヘヴィーなラップが多い印象のあった彼ですが、今回のアルバムは、全面的にメロウなメロディーを重ねてくるなど、聴きやすくポップになった印象が。そのため、売れ線志向が目立ってしまい、HIP HOPとしてのやばさみたいな部分が薄れてしまいました。ANARCHY、MACCHOをゲストに迎えた「PAPARAZZI」みたいにマイクリレーがカッコいい曲もあるのですが・・・。
評価:★★★
AK-69 過去の作品
THE CARTEL FROM STREETS
THE RED MAGIC
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