圧倒的な轟音にひたる10年ぶりの新作
Title:'Allelujah! Don't Bend! Ascend!
Musician:Godspeed You! Black Emperor
「Godspeed You! Black Emperor」。この奇妙だけども日本人だとどこかで聞き覚えのあるようなバンドは、カナダ出身の8人組ポストロックバンド。このバンド名は、もともと、日本の暴走族のドキュメンタリー映画のタイトルにちなんでつけられたとか。1994年に結成され、2000年にリリースされた「Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven」や、2002年にリリースされた「Yanqui U.X.O.」は、日本でも大きな話題となりましたが、その後解散。しかし、2010年に再結成され、このたびリリースされたのが、10年ぶりとなる待望のニューアルバムでした。
もともと、モグワイあたりと比較されることの多かった、轟音を前面に押し出したポストロックバンドの彼ら。最近では、ドローン系なる括られ方がすることも少なくないようです。
とにかく、ギターノイズの轟音でどんどんと攻め込んでくる彼ら。このアルバムは、実はわずか4曲入りなのですが、そのうち2曲は、20分を超える(!)という長尺で、8人のメンバーが織り成す音の世界が、複雑に入り混じっています。その中で特徴的なのは、楽曲の中で効果的に用いられるバイオリンの音色。時には不気味に、時には明るく響き、楽曲に大きなインパクトを与えています。
また、轟音のノイズギターを主軸に展開していく、という点で、シューゲイザー系の括りで語られることもある彼ら。確かに、楽曲としてはテンポのよいリズムで踊ったりする感じではなく、轟音のギターノイズに身を任せるようなイメージ。ある意味、ノイズの洪水にうもれて、とても心地よささえ感じるアルバムでした。
ただ、楽曲自体は20分を超える長尺の曲が続くものの、アルバム全体は50分程度の長さで、そういう意味では、彼らの音の魅力にひたるためにはちょうどよい長さ。最後まで耳を離せず、楽曲の魅力にひたることが出来ました。10年ぶりという新作ながら、10年というブランクを感じさせない傑作アルバムでした。
評価:★★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2013年」カテゴリの記事
- 44年ぶり(2013.12.29)
- 荒々しいトラックが強烈(2013.12.24)
- あの傑作アルバムの続編(2013.12.23)
- 早くも2作目!(2013.12.21)
- 驚愕のライヴ!(2013.12.15)
コメント