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2013年3月

2013年3月31日 (日)

ロックを聴いたなぁ、と感じさせる作品

Title:Graffiti On The Train
Musician:Stereophonics

UKを代表するギターロックバンドのStereophonics。前作「Keep Calm and Carry On」で残念ながら途切れてしまったものの、1999年の「Performance and Cocktails」から2007年の「Pull the Pin」まで5作連続1位を獲得するなど、おそらくイギリスでは、日本で思っている以上に高い人気を誇るバンドなんでしょうね。

そんな彼らの4年ぶりとなるニューアルバム。一時期、泥臭いアメリカンロック路線に傾倒していた彼らですが、前作ではグッと軽くなり、ポップなメロディーが前面に出た印象がありました。今回の作品については、前作に比べて、泥臭さが戻った反面、ポップなメロディーも健在。アメリカンロックからの影響も感じるものの、イギリスのバンドらしい、ギターロックを聴かせてくれます。

特に、「Catacomb」では、イギリスのギターロックらしい、ポップなメロと、グランジ風のギターサウンドがインパクト大。タイトルナンバーの「Graffiti On The Train」「Take Me」あたりは、哀愁たっぷりのメロが、イギリスのバンドらしさを感じさせます。

一方、泥臭さでいえば、正統派ブルースロック路線の「Seen That Look Before」。ここらへんは、むしろアメリカのバンドみたいな雰囲気が。おなじくブルージーなギターを聴かせてくれる「Been Caught Cheating」も同じく。ここらへんの雰囲気は、他のイギリスのギターロックバンドとは異なる、いかにもStereophonicsならでは、といった感じでしょうか。

グランジ寄りから、ブルースロック路線まで、幅を持たせながら、いかにもロックといった曲が展開し、スケール感と、ベテランの彼ららしい余裕も感じさせるアルバム。ただ、そのスケール感を、ストリングスなどを用いて醸し出しており、そのため、少々仰々しさも感じてしまいました。ロックンロールとしてのダイナミズムさも、前作の方が良かったかも?

前作「Keep Calm and Carry On」では、最高位11位に終わったUKチャートでも、本作は最高位3位に復帰。ファンにとっては、おおむね好評だったようですが・・・個人的には、前作の方が好みだったかも。とはいえ、ロックが好きならば、満足が出来る作品だったのではないでしょうか。良い意味での安定感のある1枚でした。

評価:★★★★

STEREOPHONICS 過去の作品
Decade In The Sun-Best Of Stereophonics
KEEP CALM AND CARRY ON

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2013年3月30日 (土)

アカデミー賞授賞の話題作!

Sugarman

話題のドキュメンタリー映画「シュガーマン 奇跡に愛された男」。各種メディアでも話題作として取り上げられてきましたが、名古屋でも先日、公開されたので、さっそく映画館で見てきました。

この映画は、アメリカで70年はじめに大物シンガーとして期待されデビューした、ロドリゲスというミュージシャンについてのドキュメンタリーです。このロドリゲスというシンガー、ボブディランとも比較されそうな、社会派なフォークソングを歌うシンガーソングライターなのですが、アメリカではさっぱり売れず、完全に「忘れ去られたシンガー」になっていました。

しかし、彼のアルバムがなぜか南アフリカにわたり、大ヒット。南アフリカでは、当時、アパルトヘイト政策を行っており、国内的にも、政策に反対する言論を(白人も含めて)封じ込んでいたのですが、そのアパルトヘイト政策に意義を唱える若者に大きな影響を与えたそうです。

しかし、アメリカでも無名の彼は、南アフリカでも実態は全くの謎につつまれており、ステージ上で拳銃自殺したなんて噂も語られていました。物語は、そんな「死んだ」と思われていたロドリゲスの実態を、南アフリカの音楽ジャーナリストが探るところからはじまります。

・・・・・・ということで、これ以上の感想を書こうと思うと、どうしてもネタバレになってしまいます。かつ、このドキュメンタリー、是非、これ以上の情報はなしで見てほしい!とにかく、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門を授賞した話題作であり、私も、このドキュメンタリーで感動しました!それだけの感想になってしまいますが、本当に素晴らしい音楽ドキュメンタリーだったので、興味がある方は是非。

以下、ネタバレの感想です。

続きを読む "アカデミー賞授賞の話題作!"

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2013年3月29日 (金)

期待の新人7組

Title:kilk Sampler 2013 New Artists

Kilk2013

音楽配信サイトOTOTOYで、すっかり恒例となった、ポストロック系のレーベル、kilk recordsのサンプラー企画。今回は、タイトルの通り、2013年に期待の新人ミュージシャンたちの曲を集めたサンプラーになっています。

収録曲とミュージシャンは以下の通り。

I know you, you know me/Ajysytz
Spirit/köttur
不可視/urbansole
Ghost Sign (feat.üka)/AUDIO BOXING
Nuclear/Glaschelim
Happy Christmas/Marrybelle
Learn to swim/arai tasuku

今回、7組の新人ミュージシャンたちの曲が集まっているのですが、特徴的に感じたのは、女性ボーカルの曲が多い、という点。ポストロックやエレクトロニカ風の幻想的なトラックには、やはり女性らしい柔らかいボーカルがマッチする、ということでしょうか。正直、arai tasukuの「Learn to swim」あたりには、ビョークの影響も強く感じるのですが、その他にも、ビョークあたりからの直接的あるいは間接的な影響が垣間見れる感じもしました。

そんな7組の中、おもしろいなぁ、と感じたのは、まずurbansoleの「不可視」。静かなギターサウンドの中歌われる静かなボーカルが、幽玄的な雰囲気すらかもしだしている、印象的なナンバー。独特な個性を感じます。

また、Glaschelimの「Nuclear」も、ダイナミックなバンドサウンドのロックインスト。特に目新しい、といった感じではないのですが、スケール感ある演奏が印象に残りました。

kilk recordsのサンプラーは、これまで何度も聴いたのですが、いままでのサンプラーの中で、一番良かったように思います。まあ、全7曲入りと、曲数が少なく、期待の新人に絞ったから、という理由かもしれませんが・・・。そんな訳で、興味のある方は、是非。無料なので、チェックしてみては?

ちなみにダウンロードサイトはこちらから。おそらく、期限はない模様・・・。

評価:★★★★★

Kilk Records Sampler 過去の作品
Kilk Sampler 2011 Spring

Kilk Record Sampler 2011 Summer
kilk records sampler summer 2012


ほかに聴いたアルバム

LIVE LOVE/曽我部恵一

2010年2月9日、10日に行われたアコースティックライブの模様を収録したライブ盤。それぞれ「LIVE」と「LOVE」というテーマを掲げ、「LIVE」では日常風景を描いた曲を、「LOVE」では文字通りラブソングを中心とした選曲になっています。なによりも、アコギ1本で、マイクもアンプもなしというステージという点が大きな特徴でした。

このアルバムはCDとDVDの2枚組。DVDは「LIVE」、CDは「LOVE」の模様を収録しています。どちらも、完全なアンプラグドということもあり、実にアットホームな印象のステージ。アコギ一本でマイクも使っていないので、観客には、彼の歌がダイレクトに伝わってきますが、そんなライブ会場の雰囲気は、CDやDVDを通じても伝わってきます。アットホームな雰囲気ながらも、テーマ性を持って聴かせるという点を意識したからでしょうか、いわゆる内輪的な雰囲気はほとんど感じられず、曽我部恵一の歌の世界を素直に楽しめるライブ盤になっていました。

評価:★★★★★

曽我部恵一 過去の作品
キラキラ!(曽我部恵一BAND)
ハピネス!(曽我部恵一BAND)
ソカバンのみんなのロック!(曽我部恵一BAND)

Sings
けいちゃん

Signed POP/秦基博

約2年3ヶ月ぶりとなる新作。すっかり人気も定着してきた感があり、楽曲の出来も安定してきて、余裕も感じられるようになりました。この最新作も、どの曲もシングルカットできそうなインパクトのある曲が並んでいました。ただ、その結果、1曲1曲の出来はいいものの、アルバム全体の印象が、少々弱くなってしまった感が。そういう意味では惜しい作品のように感じました。

評価:★★★★

秦基博 過去の作品
コントラスト
ALRIGHT
BEST OF GREEN MIND '09
Documentary

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2013年3月28日 (木)

今週もロック系が奮闘

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週のチャートでは、ロック系の奮闘が目立ちましたが、今週もベスト3のうち上位2枚がロック系という結果になっています。

今週の1位は80年代後半の日本のロックシーンで、絶大な人気を誇ったBOΦWYのベスト盤「BOΦWY THE BEST "STORY"」が1位獲得です。デビュー30周年を記念してリリースされたベスト盤で、解散後、20年以上を経過したグループのアルバムが1位を獲得するのはTHE BEATLESに続く2組目ということ。いまだに続く高い人気が伺えます。ただし、初動売上は2007年に2枚同時リリースされた「THIS BOØWY DRAMATIC」「THIS BOØWY DRASTIC」の9万1千枚、9万枚を大きく下回る3万8千枚。さすがに一時期に比べて下火傾向と見るべきか、ベスト盤の出しすぎでファンが食指を動かさなかったと見るべきか。

2位は先週1位だったサカナクション「sakanaction」がワンランクダウンながらも2位をキープ。人気の高さを感じさせます。

3位初登場は、梶浦由記プロデュースによる女性3人組ユニットKalafina「Consolation」がランクイン。前作「After Eden」に続く3位となりました。初動売上1万9千枚は、前作「Consolation」の2万1千枚から若干のダウン。

続いて4位以下の初登場ですが・・・

4位には「アニメ 冬のソナタ メモリアル アルバム」がランクイン。例の韓流ブームのさきがけとなったドラマ「冬のソナタ」がアニメ化。そのアニメに使用している曲が収録されているのですが、歌っているのが、あのぺ・ヨンジュンや同じく人気俳優チュ・ジフンだったりということもあり、ベスト10ヒットとなりました。

で、アニメがらみはもう1作。10位に「K-ON! MUSIC HISTORY'S BOX」が入ってきています。こちらは人気アニメ「けいおん」のテレビシリーズや映画でつかわれた楽曲を収録した全12枚組のボックスセット。2万弱という高価格ながらも、1万枚を売り上げ、ベスト10入りです。

って、アニメソングを収録した2作品を並べたんだけども、おそらく、この両者の購買層って、重ならないどころか、かすりもしないんだろうなぁ・・・。

「冬ソナ」とはちょっとかすりそうなのは、むしろ6位初登場、少女時代「BEST SELECTION NON STOP MIX」。タイトル通り、少女時代のヒット曲を、ノンストップリミックスで収録したアルバム。ただ、さすがに初動売上1万3千枚は、直近のアルバム「GIRL'S GENERATIONII~Girls&Peace~」の11万6千枚から大きくダウン。さすがによほどのファンじゃないと買わないか・・・。

また、DJ MIXアルバムは今週もう1枚。7位に「DJ KAORI × EXILE TRIBE MIX」がランクインしています。こちら、タイトル通り、DJ KAORIがEXILEと、同じ事務所の男性ボーカルグループの曲をつないだDJ MIXアルバム。初動売上1万2千枚で、DJ KAORIの直近の作品「DJ KAORI'S PARTY MIX IV」の1万3千枚から若干ダウン。

初登場最後は9位にGARNET CROW「Terminus」がランクイン。前々作「parallel universe」から2作ぶりにベスト10返り咲きです。ただし、初動売上は1万1千枚で、前作「メモリーズ」の1万3千枚からダウン。根強い人気を見せていますが、下落傾向が続いています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年3月27日 (水)

上位4組は女性陣

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のヒットチャート、上位4組はいずれも女性という、女性上位のチャートになりました。

で、1位はまたあらわれたAKB48関連。福岡を拠点に活動をしているHKT48「スキ!スキ!スキップ!」が獲得。軽快で爽やかなアイドルポップは、いかにもAKBっぽい感じで、正直、完全に飽食気味。初動売上25万枚は、女性ミュージシャンのデビュー作としては歴代1位だそうです。

2位は韓流女性アイドルグループT-ARA「バニスタ!」が続きます。K-POPらしいダンサナブルなエレクトロポップなのですが、アイドルポップテイストが強い感じ。初動売上5万6千枚は、前作「Sexy Love」の4万1千枚からアップ。各メンバーのソロ曲が、それぞれ収録されたバージョン違いの10種類リリースという、怒涛の複数枚買い作戦が功を奏した模様。

3位には、きゃりーぱみゅぱみゅ「にんじゃりばんばん」がランクイン。いつも通り、中田ヤスタカプロデュースによる、サビは一発で覚えられそうな、インパクト満載のユニークなナンバー。ただし、サビ以外の部分がいまひとつで、いかにもサビだけに注力しました、って感じなんだよなあ。初動売上2万6千枚は、前作「キミに100パーセント」の2万1千枚からアップ。いまどき珍しい(苦笑)、初回盤+通常盤の2形態でこの成績は立派。

そして4位にはハロプロ系アイドルユニットスマイレージ「旅立ちの春が来た」が入ってきています。80年代のアイドルポップみたいな、爽やかなナンバー。初動売上2万2千枚は、前作「寒いね。」の1万9千枚からアップ。ここ最近、2万枚前後でうろうろしています。

以下、初登場は、6位にも女性ミュージシャン。Aimer「RE:I AM EP」がランクイン。アニメ「機動戦士ガンダムUC episode6」エンディングテーマ」というタイアップの良さから、5枚目にして初のベスト10ヒット。楽曲の雰囲気としては、絢香あたりの歌い上げ系ポップスシンガーといった感じか?初動売上1万4千枚は、前作「あなたに出会わなければ~夏雪冬花~」の5千枚から大幅アップ。

続いてようやく男性ミュージシャンが登場です。8位初登場TOKIO「手紙」。国分太一主演映画「だいじょうぶ3組」主題歌。作詞YUKI、作曲蔦谷好位置という、YUKIの曲ではおなじみのコンビによる楽曲。初動売上1万4千枚は、前作「リリック」の2万2千枚から大幅ダウン。

最後、10位には、ヴィジュアル系バンドAlive Nice「Daybreak」がランクイン。いかにもな90年代風のビートロックナンバー。初動売上9千枚は、前作「虹の雪」の1万5千枚から大きくダウンしています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日に!

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2013年3月26日 (火)

孤高の存在

Title:Exai
Musician:autechre

最近、はじめて意識して、ノイズミュージックのアルバムを聴きました。そんな中、ノイズミュージックをWikipediaで調べてみると、autechreって、ノイズミュージックの範疇なんですね。まあ、一言で「ノイズ」といっても、幅があるでしょうし、無機質な電子音の羅列である彼らの音は、確かに、ノイズミュージックと捉えられる音楽なのかもしれません。

でも、正直なところ、ノイズミュージックは、聴いていて「厳しいなぁ・・・」と感じました。もちろん、単純に聴きなれていな、ということが大きな理由かもしれません。メロディーもなにもない、ノイズの洪水は、さすがに音楽として楽しむことが出来ませんでした。

そんな私でも、autechreの音楽を楽しむことが出来るのって、もちろんエレクトロニカについて聴きなれている、というのもあるのかもしれません。ただ、autechreって、無機質で細かい電子音の羅列の中に、しっかりとしたメロディーが流れていて、だからこそ、彼らの音楽は魅力的なんだよなぁ、そんなことをあらためて感じました。

そしてここ最近のautechreは、メロディーとエレクトロニカのサウンドのバランスを、いろいろと模索しているように感じます。前々作「Oversteps」はメロディー主体、前作「move of ten」はサウンド主体。で、最新作「Exai」は、ちょうどメロディーとサウンドのバランスがほどよいように感じました。乾いたようなエレクトロの電子音の音色は、様々に展開してとても心地よいのですが、その心地よさの向こう側に流れているメロディーに気がつく。サウンド、メロディーがほどよく楽曲の両輪として機能しているように感じました。

また、今回のアルバムで感じたのは、彼らの作り出す音が孤高の存在であることをあらためて認識しました。ドラムスやベースの音を前面に押し出したビートミュージックが一種の潮流となり、シンプルに音数を絞り、リズムを前に出したような曲が増えています。autechreの音も、広い意味ではそんな潮流の中にいるのかもしれません。ただ、例えば流行りのダブステップなどと比べても、彼らの音はとても遠いところにあるように感じました。

確かに、ここ最近の彼らの音は、はじめて彼らの音に触れた時のような斬新さを感じることは出来ません。ただ、そんな中でも、ここ最近の彼らは、流行の音に流されず、自分たちの音を黙々と作り続けている、そんな姿を感じることが出来ます。今回の彼らのアルバムからは、そんなわが道を行く、彼らの姿を強く感じることが出来ました。

ただし、そこらへんを加味しても、2枚組2時間以上という長さはちと長い・・・(^^;;最初はとても楽しむことが出来たのですが、さすがに最後の方では少々だれてきた・・・。まあ、それだけの勢いはあるということなのかもしれませんが、もうちょっと短い方がよかったかも。その点、ちょっと残念さが残ったアルバムでした。

評価:★★★★

Autechre 過去の作品
Quaristice
Oversteps
move of ten


ほかに聴いたアルバム

Babel/Mumford&Sons

最近、欧米で最も話題となっているバンドの一組。イギリスの4人組フォークロックバンドですが、このアルバムはイギリス以上にアメリカで大ヒットし、今年のグラミー賞の、最優秀アルバム賞を見事授賞しています。

ただ、確かにフォークというよりは、泥臭く、ロックテイストの強いサウンドは、むしろアメリカンロックの色合いが強い感じが。話題のバンドですが、日本では売れなさそうな印象も。前作「Sigh No More」から既に老成した印象を抱いたのですが、今回はさらにバンドとしての大物然も兼ね備えてきた感じも。もっともっと大物になりそうな予感も。そうすれば、日本でも注目度は高まるでしょうか?

評価:★★★★

Mumford&Sons 過去の作品
Sigh No More

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2013年3月25日 (月)

残念ながら非売品ですが・・・。

Title:DEMO TRACKS
Musician:COIL

Coildemo1

先日、オフィスオーガスタから、↑こんなCDが届きました!

こちら、ご存知オフィスオーガスタが誇る2人組男性宅録デゥオ、COILのデモ音源を集めたデモトラック集。昨年10月にリリースされたベスト盤「マスターピース ~COIL傑作集~」と、11月にリリースされた「セカンド・ベスト ~COIL佳作集~」についてくる応募券をおくると、漏れなくプレゼントされる「アルバム」です。

全7曲入り23分の内容で、収録曲は以下の通り。

Coildemo2

1.ボンデージ・スーパーカー
2.下心ボーダレス
3.クルクル フェチ
4.ねてよう日
5.僕はスーパーマン?
6.BPlues
7.かしわで ぱんぱん

おなじみの曲から、初耳の曲までズラリと並んでいます。

で、注目なのは1曲目「ボンデージ・スーパーカー」で、「マスターピース」のコラムにも登場する、COIL幻のデビューシングル。COILらしいミディアムテンポのギターロックで、コラムによると、歌詞が忌野清志郎の「雨上がりの夜空に」とかぶりそうな、車を女性に見立てたエロソングだったので、ボツになったとか。それ以前にシングルとしてはメロディーが地味な感じもするのですが、ただ、それを差し引いてもCOILらしいユーモラスでポップな佳作なので、このまま埋もれさせるのは惜しい感じもします。

また、「下心ボーダレス」も、同じく「マスターピース」のコラムに登場する、「裸のランチ」の原型。コラムにも記載されていた通り、「まさかオレ丸裸にされないよな?」という歌詞が、「まさかこれ美人局じゃあるまいよな?」と、身も蓋もない表現になっているのがユニークです。

他にも「かしわでぱんぱん」の最後に、小さく「もうやだ」というつぶやきが入っていたり、完成版とは微妙に異なる点がチラホラ。ここらへんの聴き比べが、とても楽しい感じに。全体的には、完成版の方が、すっきりとした仕上がりになった感じがして、完成に近づくにつれ、音を練りこんでいった過程を知ることが出来ます。

純粋に、名曲が揃っていて、ほぼ完成に近いバージョンなので、1枚のアルバムとして聴いても楽しめる作品。非売品で、既に応募が締め切られているのは残念なのですが、機会があれば、聴いてみてください・・・。「ボンデージ・スーパーカー」は、何かの機会に、製品化してほしいですが・・・。

評価:★★★★★

COIL 過去の作品
ギャルソン
Vitamin C
ソナチネ
ボサノバ
カフェラテ

カセットミュージック
マスターピース~COIL傑作集~
セカンド・ベスト~COIL佳作集~


ほかに聴いたアルバム

パナギアの恩恵/特撮

前作「5年後の世界」がセルフカバーアルバムだったので、純然たるオリジナルとしては、なんと7年半ぶりとなる大槻ケンジ率いる特撮のニューアルバム。以前より、ヘヴィーなギターサウンドが増え、メタル色が強くなった印象も。全体的にアレンジも過剰になった感じで、個人的な好みからはちょっとズレてしまった印象も・・・。歌謡曲風な哀愁たっぷりのメロに怪しげな雰囲気というのは相変わらず。ただ、その中で目立ったのは、やはり三柴理のピアノで、個性的な癖のあるフレーズが炸裂しており、アルバムの中で強いインパクトになっています。彼のピアノだけでも、十分に満足できるアルバムでした

評価:★★★★

特撮 過去の作品
5年後の世界

インク/Plastic Tree

シューゲイザー系からの影響が露骨なギターサウンドが、より分厚くなった印象のあるPlastic Treeの新作。シューゲイザー系への憧憬が、あまりにもわかりやすいのですが、それが逆にほほえましくすら感じられます。メロは歌謡曲っぽく、ボーカルの歌い方は相変わらず耽美的な雰囲気なのが好き嫌いわかれそうですが、シューゲイザー好きなら、ギターノイズに身をゆだねて気持ちよくなれそうな作品です。

評価:★★★★

Plastic Tree 過去の作品
B面画報
ウツセミ
ゲシュタルト崩壊
ドナドナ
ALL TIME THE BEST
アンモナイト

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2013年3月24日 (日)

基本的にトム・ヨークの作品

Title:AMOK
Musician:ATOMS FOR PEACE

2010年のフジロックにも参加して話題となった、RADIOHEADのトム・ヨーク率いるバンド、ATOMS FOR PEACE。一時期は、事実上の活動休止状態にありましたが、昨年から活動を再開。そして今年になり、待望のニューアルバムが発売されました。

ATOMS FOR PEACEは、もともとはトム・ヨークのソロアルバム「The Eraser」のツアーのために結成されたバンド。メンバーは、他にレッチリのベーシスト、フリーや、RADIOHEADやBECKなどのプロデュースワークなどで知られるナイジェル・ゴドリッチなどが参加しており、いわゆるスーパーバンドとしても大きな話題となりました。

ただ、正直、イメージとしては、個々に活動しているミュージシャンが集結し、新たな音を生み出した、というよりも、事実上、トム・ヨークのソロ活動の延長線といったイメージ。音的には、ダブステップやエレクトロニカの影響の強いRADIOHEADの「THE KING OF LIMBS」から大きな変化はありません。ただ、やはりバンドメンバーにレッチリのベーシスト、フリーが参加している影響か、ベースの音が目立つ音の構成になっていました。

ただし、レッチリのファンが、「フリーの参加したアルバム」としてこの作品を聴くのはお薦めしません。ベースは基本的に淡白。レッチリのようなファンキーなグルーヴはありません。しかし、今回のアルバムは、このベースラインとパーカッションのリズムが、バンドの屋台骨になっていると感じました。

バンドは、このアルバムの録音の際に、アフロビートの創始者として知られる、アフリカはナイジェリアのフェラ・クティのアルバムを聴きまくったとか。その影響がダイレクトにあらわれた作品ではありませんが、「UNLESS」「STUCK TOGETHER PIECES」のリズムにはどこかトライバルな雰囲気があり、このアルバムのひとつのインパクトとなっていました。

また、そんな今風のリズムの中に流れてくるメロディーは、哀愁あふれるもの。「THE KING OF LIMBS」では、「OK COMPUTER」あたりのRADIOHEADを彷彿とさせましたが、今回も同様、あの頃のRADIOHEADをイメージできる部分もチラホラありました。

目新しさという点では、大きな進化はありませんでしたし、そういう意味では物足りなさもなくはないのですが、ベースやパーカッションの音色がしっかりとバンドサウンドを下支えしている今回のアルバム、個人的には「THE KING OF LIMBS」よりも気に入りました。この活動、今後も続けていくのかなぁ。それともRADIOHEADの新作?新しいプロジェクト?トム・ヨークの今後の活躍も楽しみです。

評価:★★★★★


そのほかに聴いたアルバム

Sonik Kicks/Paul Weller

UKロック界の「アニキ」、Paul Wellerの最新作。既に大ベテランの彼ですが、若手バンドに引けを取らない、現役感バリバリのサウンドを聴かせてくれます。若手バンドのように勢いのあるギターロックから、大人な雰囲気にしんみり聴かせるナンバーまで、楽曲の幅広さに、彼の懐の深さを感じさせます。

評価:★★★★★

Paul Weller 過去の作品
22 DREAMS
Wake Up The Nation

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2013年3月23日 (土)

話題のライブイベントをムック本+CDで

Title:連載・おとといミーティング TRICERATOPS“12-Bar“
Musician:TRICERATOPS

同時中継したU-Streamの視聴者数が13万人を超えるなど、話題となったライブイベント「連載・おとといミーティング TRICERATOPS“12-Bar“」。もともとライターの森田恭子が提案した企画で、都内の小さなライブハウスで、アコースティック形式でのライブイベントなのですが、毎回、「宿題」と称して、カバー曲を勝手にセレクト。次のライブで、そのカバーを披露するという企画。また、ほぼ毎回ゲストを呼び、そのゲストとのセッションを行っていました。さらにその模様をU-Streamで同時中継。その結果は上記のとおりで、話題となったイベントです。

今回のこのアイテムは、そのイベントライブの模様を1冊のムック本にまとめ、かつ、「宿題」のカバーをCDにまとめた企画モノになっています。やはりファンとしては、まず気にかかるのが、カバーを収録したCD。これがまた、なかなか興味深い内容になっていました。

このカバーのユニークなところは、必ずしもTRICERATOPSが好き好んで選曲した内容ではない、という点。曲によっては、彼ら自身が選曲したら、まず選ばれないだろうなぁ、という曲も収録されています。

正直、そういう選曲であるため、特に序盤に関しては、かなりチグハグさを感じるカバーになっていました。特に最初のカバーがRCサクセションの「スローバラード」という、原曲が大きく立ちはだかりそうなナンバー。そのため、扱いが難しいような、おっかなビックリカバーしている姿が、CDを通じても感じられました。

ただ、このアルバムがおもしろいのが、そんなカバー曲の「宿題」に対して、メンバーが徐々に要領を得てきて、後半に関しては、いずれも名カバーに仕上がっている点でした。特にユニークな名カバーは、嵐の「MONSTER」のカバー。おそらく、本人たち選曲では、まず選ばれないようなカバーですが、これがTRICERATOPSの手にかかることにより、アコギで渋い雰囲気のカバーに仕上がっており、おそらく原曲を上回ったのでは?と思わせる名カバーに仕上げていました。

ライブ音源そのままなので、音質は少々悪いのですが、それもまた、ライブ会場の雰囲気を伝えている、と思える感じ。今回のカバーで、TRICERATOPSもバンドとして一回り成長したようにも感じました。

CDの評価は、文句なしに★5。ただし、気になるのは、このCDにムック本をつけて、5,000円という値段設定。ぶっちゃけ、高いです。ムック本もオールカバーで、ライブに参加していない身にはおもしろい内容だったのですが、ただ、CDが3,000円だとして、このムック本で2,000円もの価値があるかは正直、かなり微妙。最初、買う時にかなり迷いましたし、そういう意味ではかなりファン向けのアイテムといった感じがしました。

そういうわけで、CDは★5。ただし、ムック本は★3で、中間をとって以下の評価で。CDだけでも、3,000円くらいで発売してほしいなぁ。そういう意味では、CDの内容が良いだけに、ちょっと残念な部分が残ってしまうアルバムでした。

評価:★★★★

TRICERATOPS 過去の作品
SHAKE YOUR HIP!!!
MADE IN LOVE
WE ARE THE ONE
WE ARE ONE-CERTIFICATE-
LOVE IS LIVE
DINOSOUL -BEST OF TRICERATOPS-


ほかに聴いたアルバム

SINGLES BEST 2002-2012 MEMORIES/Round Table featuring Nino

残念ながら、これを最後に活動休止となるRound Table featuring Ninoのシングル集。どの曲も爽やかで軽快なポップス。なによりNinoのかわいらしいボーカルが耳を惹き、Round Tableとの相性の良さをうかがわせます。だからこそ、一時的な企画モノではなく、2002年から10年もの間にわたって、「featuring Nino」名義で活動を続けたのでしょう。インパクトのあるポップソングながらも、ベタになりすぎない内容も好印象。ただ、最近の曲になるにしたがって、似たような曲が増えてきた感じもします。そういう意味では、活動休止は、featuring Ninoとしてやれることはやりつくした、ということなのでしょうか?良いタイミングのようにも感じます。

評価:★★★★★

Round Table 過去の作品
FRIDAY,I'M IN LOVE
Distance
(featuring Nino)

Modanica/LAMA

元スパカのナカコー、フルカワミキ、元ナンバガの田渕ひさ子、そして牛尾憲輔からなるスーパーバンドLAMAの2ndアルバム。ポップ志向の曲もある反面、エレクトロニカ、ポストロック志向が強くなったように感じられる作品。アルバムとして悪くはないが、これだけのメンバーを集めて、新しい何かがはじまるような印象は薄いような・・・。

評価:★★★★

LAMA 過去の作品
New!

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2013年3月22日 (金)

新生代のギターヒーロー

Title:Black&Blue
Musician:Gary Clark Jr.

ギターヒーロー、そんな言葉は死語になりつつあります。かつて、ロック、いやポピュラーミュージック全体で見ても花形であったギタリストというポジション、今でも確かに目立つポジションであることは間違いありませんが、その立場はかつてに比べれば相対的に低くなっています。その代わり、ベースやドラムスといったリズム楽器が徐々に花形のポジションを確保しつつあります。

そんな中、久しぶりに「ギタリスト」として大きな話題となったのが彼、Gary Clark Jr.。テキサス州はオースティン出身、若干28歳の彼。かのエリック・クラプトンが彼に注目し、シカゴのクロスロードフェスティバルに招いた上、ブラジルツアーのオープニングアクトに起用したことから、大きく注目が集まりました。ロック・フィールド以上に、ブルースフィールドからも注目を集めています。確かに、黒人が、ブルース調のロックを演るという意味で、白人がシーンの主役になっているブルース界の中では、やはりうれしくなってくる、ということなのでしょうか。

ただし、そんな彼の作品は、決してかつてのギターヒーローのように、ギターソロをこれでもか!という感じで聴かせる感じではありません。確かに、「When My Train Pulls in」のようにブルージーなギターソロが実に気持ちのよい、60年代から聴き続けているようなおやじロックファンにはうれしくなってくるような作品もあります。ただ、その一方で、「Ain't Messin 'Round」は、むしろオルタナロックの雰囲気が強いですし、「Blak and Blu」は、メロウな、むしろR&B色が強いナンバーに仕上げていました。

そういう意味では、彼自身、ギターヒーローとは、みたいな感じで型にはまることもなく、ブルースやハードロックから、今風のR&Bやオルタナティブまで、壁をつくることなく、自由に演奏しているのではないでしょうか。その結果、確かにこのアルバム、少々食い散らかした感じも否定できません。また、彼の音は斬新か、といわれると、それも微妙なのは否定できません。ただ、ジャンルに壁を作らない姿勢は、21世紀に生まれたギターヒーローとして、今後新たなケミストリーを産み出してくれそうな、そんな予感がしました。

また、こういう様々なジャンルを貪欲に取り込んだ楽曲は、昔ながらのロックリスナーよりも、むしろ若い世代のロックリスナーに受け入れられそう。オルタナティブな路線も、今のロックに聴きなれた耳には、実になじみやすいですし。

マイナスポイントも少なくない作品なのですが、一方で、次世代のギターヒーロー誕生には、今度の期待も否応なく高くなる、そんな作品だったと思います。評価は、そういう将来への期待を込めて。今年のフジロックに出演も決定したみたいで、苗場でどんなステージを見せてくれるのか・・・見てみたいなぁ~。

評価:★★★★★

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2013年3月21日 (木)

ロック勢が奮闘!

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートは、相変わらずアイドル勢に占拠されていますが、今週のアルバムチャートは、ロック勢が奮闘しています。

今週の1位は、なんとサカナクションのニューアルバム「sakanaction」が獲得!シングルアルバム通じて、初の1位獲得となりました。初動売上8万2千枚は、前作「DocumentaLy」の4万6千枚から倍増近く。ここ最近、1万2千枚→2万9千枚→4万6千枚と、まさに倍々ゲームで初動売上を伸ばしており、強烈な人気のほどを感じさせます。

そして洋楽からも。2位には、日本ではおなじみ、アメリカのハードロックバンドBON JOVI「What About Now」がランクインしています。ただし、初動売上3万2千枚は、前作「The Circle」の6万7千枚から大幅ダウン。直近のベスト盤「Greatest Hits」の5万3千枚も大きく下回る結果となっています。

さらに3位には、先週2位だったONE OK ROCK「人生×僕=」がワンランクダウンでベスト3をキープ。これで今週、ベスト3はいずれもロック系という結果になっています。

ベスト4以下を見ても、ロック系が。5位にはイギリスを代表するミュージシャンのひとり、David Bowie「The Next Day」がランクインしています。新作としては、約10年ぶりとなる作品。事実上の引退が噂される中、今年1月、突然のニューシングル発売、さらにはこのアルバムがリリースされるという、まさに青天の霹靂のような展開に。全く極秘下で制作されたそうで、このアルバムリリースに際しても、インタビュー等は全く受け付けず、いわば神秘性を醸し出した戦略が功を奏したのか、全英チャートで1位獲得、アメリカビルボードでも前述のBON JOVIのアルバムと1位2位を争うという、David Bowie史上最高のチャートアクションともいえる結果に(結果、BON JOVIが1位、ボウイが2位でした)。日本でも、ベスト10入りは、1993年の「Black Tie White Noise」というヒットとなっています。その10年前の「Reality」は、最高位47位ですから、このアルバムの売上のすごさが伺えます。ちなみにDavid Bowieは、御年66歳3ヶ月。この年でのアルバムのベスト10入りは、史上最高年齢らしいです。

他には・・・4位に、男女混合のダンスグループAAAの、バラードベスト「Ballad Collection」がランクイン。初動売上は1万9千枚。直近作のオリジナル「777~TRIPLE SEVEN~」の初動5万4千枚から大きくダウンしていますが、バラードベストなので、こんな程度でしょうか。

7位には、人気動画サイト、ニコニコ動画で人気を博したシンガーたちによるユニット√5のデビューアルバム「ROOT FIVE」がランクイン。初動売上は1万7千枚。直近のシングル「新星Ω神話(ネクストジェネレーション)」の1万2千枚よりアップ。売り出し方も楽曲も、完全にアイドルグループって感じですね。

ニコニコ動画がらみが今週はもう1枚。10位にVOCALOIDを使ったプロデューサー、150P「終焉-Re:write-」がランクインしています。これが、メジャーデビュー作となり、いきなりのベスト10ヒットとなりました。

最後。8位に、EXILEの事務所からデビューした、男性ボーカルデゥオBREATHEのカバーアルバム「Lovers' Voices」がランクインしています。これが彼らにとって初となるアルバム。EXILEやCHEMISTRY、平井堅など、日本のR&Bナンバーを中心としたカバー。オリジナルアルバムをリリースしないで、いきなりカバーアルバムからリリースするあたり、戦略的なものを感じますが、その戦略がはまったのか、見事ベスト10入りを果たしました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年3月20日 (水)

またAKBがらみvsジャニーズ

今週のシングルチャート

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先週はジャニーズ系が1、2フィニッシュでしたが、今週はAKB48がらみが1位獲得。

1位は乃木坂46「君の名は希望」がランクイン。いかにもな清純派路線の、昔の合唱曲を彷彿とさせるような楽曲。初動売上24万2千枚は前作「制服のマネキン」の23万2千枚よりアップ。上げ幅は減少気味ですが、まだまだ気を吐く結果になっています。

そしてジャニーズ系はNEWSの山下智久のニューシングル「怪・セラ・セラ」が2位に入ってきました。日テレ系ドラマ「心療中-in the Room-」主題歌。作詞作曲は、最近話題のバンド、パスピエが手がけています。初動売上は9万6千枚。前作「LOVE CHASE」の11万9千枚からダウン。

そんなアイドル勢に食い込んできたのが3位初登場、桑田佳祐「Yin Yang」。フジテレビ系ドラマ「最高の離婚」主題歌。実に彼らしい、ムーディーなキャバレーロックが格の違いを見せ付けるのですが、初動売上6万8千枚は、前作「明日へのマーチ」の9万1千枚よりダウン。ドラマタイアップにインパクトのある主題歌、昔だったら大ヒットだったんでしょうが・・・。

4位以下もアイドル勢が並んでいます。

まずは韓流。どちらも男性アイドルグループ。SHINee「Fire」が5位、SHU-I「あちゃこちゃSORRY」が9位にそれぞれランクインしています。

SHINeeは、エレクトロアレンジがやけに仰々しいミディアムテンポのナンバー。初動売上4万8千枚は、前々作「Dazzling Girl」の9万7千枚から急落した、前作「1000年、ずっとそばにいて・・・」の4万枚よりアップ。とはいえ、前々作には大きく及びませんが・・・。SHU-Iは、軽快なポップチューンなのですが、日本語がいまひとつ下手くそで聴き取りにくい・・・。初動売上1万6千枚は、前作「大逆転」の1万8千枚より若干ダウン。

アイドル系は続きます。日本からは6位にEXILEの事務所に所属しているグループ、e-girls「CANDY SMILE」が6位、男女混合のダンスグループAAA「PARTY IT UP」が7位、そしてハロプロ系アイドルグループBerryz工房「アジアン セレブレイション」が8位に、それぞれランクインです。

e-girls「CANDY SMILE」は、UHA味覚糖「e-maのど飴」タイアップ曲で、期間限定で、E-girlsの表記がe-girlsになっているとか。相変わらずK-POPを意識したようなエレクトロダンスチューン。初動3万4千枚は、ドラマ主題歌だった前作「THE NEVER ENDING STORY」の4万枚からダウン。AAAも、どこかK-POP風のエレクトロダンスナンバー。初動3万4千枚は、前作「Miss you」の3万9千枚からダウン。最後、Berryz工房もエレクトロダンスチューンですが、こちらは80年代のディスコ風。初動2万8千枚は、前作「WANT!」の2万4千枚からアップ。前々作「cha cha SING」の2万9千枚の水準に。

そんなアイドルばかりのチャートに食い込んできたのが10位初登場ロックバンドSPYAIR「サクラミツツキ」がランクイン。アルバムではベスト10入りしたことあるのですが、シングルではこれが初のベスト10ヒット。テレビ東京系アニメ「銀魂」オープニングテーマというタイアップの良さもあってのヒットとなりました。楽曲は、オルタナ色の強いメロディアスなギターロックナンバー。初動売上1万枚で、前作「WENDY~It's You~」の最高位29位、初動4千枚から、順位売上ともに大きくアップしています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日~。

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2013年3月19日 (火)

実に電気グルーヴらしい作品

Title:人間と動物
Musician:電気グルーヴ

先日、久々のワンマンライブに足を運んできた電気グルーヴですが、このアルバムは、そのライブツアーに先立ってリリースされたオリジナルアルバム。もちろん、ライブでも、このアルバムからの曲が数多く披露されました。

今回のアルバム、まず大きく感じるのは、実に電気グルーヴらしいアルバムだった、という点。原点回帰、と言ってしまうと、初期のHIP HOP色の強い時代に戻ってしまいますので(^^;;そういう表現は使えないのでしょうが、イメージとしては「ORAGNE」とか「A」とか、あの時代の雰囲気を久しぶりに復活させたようなアルバムになっています。

要するに、テクノサウンドをベースに、基本、歌モノ。ただし、その歌も、特段深い意味がある内容ではなく、サウンドに合うような歌詞、またはノリと勢いそのままのようなユーモラスな歌詞をのっけたようなスタイルになっています。

また、リズムも、すべての曲がBPMを同じというアルバムになっているそうで、そういう意味ではアルバム全体の流れが出来上がっている作品になっています。ただし、その中でも「The Big Chrts」や、「Missing Beatz」は80年代のディスコチューン風の作品になっていますし、「Oyster(私は牡蠣になりたい)」はビートも強くロッキンなナンバーに。また、「Slow Motion」は、どこか歌謡曲風のメロがインパクトになっており、アルバム通じて雅曲のバリエーションも豊富。BPMは同一でも全く飽きさせません。

ちなみにライブでは、先行シングルでもある「Upside Down」が、非常にリズミカルでノリがよくて、一番トリップできたなぁ。今後の新しいスタンダードナンバーになりそうな予感も。

そんな訳で、今回のアルバム、ファンの壺を上手くついた、卒のないアルバム、といった印象を受けました。確かに今回のアルバム、目新しいことをやったわけでもありませんし、今のシーンに一石を投じるようなタイプのアルバムではありません。ただ、ファンが望むような部分に上手く応えたようなアルバム、あるいは、ここ最近、「J-POP」「YELLOW」で、ちょっと異なるベクトルを見せた彼らが、ちゃんと以前の電気グルーヴの路線でも、これだけのアルバムを出せるんですよ、とあらためてファンに示した、そんなアルバムに感じました。

この間のライブでも、実に観客の壺をついたような、楽しいステージを見せてくれたのですが、そういう意味では、電気グルーヴって、ちゃんとファンの望むものをわかっていて、それにちゃんと高い水準で応えてくれていますよね。卒のない、といっても、ネガティブな意味ではなく、内容的には文句なしの傑作だったと思います。先日のライブともども、非常に楽しめました!

評価:★★★★★

電気グルーヴ 過去の作品
J-POP
YELLOW
20
ゴールデンヒッツ~Due To Contract


ほかに聴いたアルバム

Route29/HY

このアルバムに収録されている「いちばん近くに」が、NHK連続テレビ小説「純と愛」の主題歌に起用され、昨年の紅白出演も果たした彼ら。ここ最近の彼らの曲って、悪い意味でNHK向けなんだよなぁ。爽やかな優等生の若者といった感じで、典型的な前向きソングのJ-POP。沖縄音楽の要素を入れたり、時折、ヘヴィーロックを入れてきたり、おもしろいと思う部分も垣間見れるだけにアルバムを聴いているのですが・・・。

評価:★★★

HY 過去の作品
Whistle
PARADE

Handmade/WEAVER

個人的に、ピアノを入れたロックバンドというのは思いっきり壺なので、そういう意味でWEAVERなんかは、まさに思いっきり好みのタイプのバンド。爽やかなメロディーは勢いもあり、かつ、彼らの場合は、ピアノがやはり売りと考えているのか、非常に効果的に入れているのが大きな特徴となっています。ただ、残念ながらメロディーが、ちょっと平凡な曲が多く、後に残らない部分が。もう一歩だと思うのですが・・・。

評価:★★★★

WEAVER 過去の作品
Tapestry

新世界創造記・前編
新世界創造記・後編

ジュビレーション

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2013年3月18日 (月)

慣れ親しんだステージでのライブ盤

Title:Live at Legends
Musician:Buddy Guy

昨年のフジロックでも熱いステージを見せてくれたアメリカはシカゴのブルースギタリスト、Buddy Guy。シカゴのブルースシーンの第一人者として、すっかり「リビング・レジェンド」的な位置付けになった感のある彼。しかし、御年76歳の大ベテランにして、昨年のフジロックのステージで見せてくれた通り、まだまだ若い者には負けない、とばかりの現役感バリバリのパフォーマンスを続けてくれています。

そんな彼がリリースした最新アルバムはライブ盤。彼がシカゴで経営するブルース・バー、Legendsでのライブの模様を収録したアルバム。現在は、既に移転したようですが、このライブ盤は、その創設当時の場所から移転する前、最後の、2010年1月のステージの模様を収録したアルバムだそうです。

「Mannish Boy」「I Just Want To Make Love To You」みたいなおなじみのブルースナンバーのカバーもありつつ、ただ、ブルース以上に、ロック色の強い雰囲気。ギターの歪んだ音をギャンギャンと鳴らしまくるBuddy Guyのパフォーマンスは、年齢を感じさせない迫力があります。ご存知CREAMの「Sunshine Of Your Love」をカバーしたりもしており、まさにロックとブルースの垣根を感じさせない、現役感バリバリのパフォーマンスは、ブルースを普段聴かないような方でも、難なく楽しめそう。

ただ、ステージパフォーマンスは迫力があり、文句なしに楽しそうな雰囲気はつたわってくるのですが、やはり馴染みの場所でのパフォーマンスだからか、良い意味でアットホームな雰囲気が伝わる反面、少々内輪向きな雰囲気も。というよりも、昨年のフジロックのステージを見ても感じたのですが、彼のステージは、その会場の空気に応じた、即興的なパフォーマンスも多く、そんなパフォーマンスは、ある意味、その場にいないとわからない雰囲気を出しています。

もちろん、その場にいれば、そんなパフォーマンスを存分に楽しめるのですが、こうやってCD音源で聴くと、少々物足りなくも感じてしまいます・・・。そういう意味で、Buddy Guyのステージの魅力を感じながらも、CD音源としては、どこかもどかしさも感じてしまったアルバムでした。

ただ、このアルバム、そのライブ音源の後に、新曲が3曲収録されています。2010年にリリースされたオリジナルアルバム「Living Proof」の収録から漏れた曲らしいのですが、これが素晴らしい!特に「Coming For You」は、迫力あるファンキーなギターサウンドに、張り上げる彼のボーカルが、実に魅力的でゾクゾクと来ます。そこに軽快なホーンセッションが加わり、ロッキンで、楽しいナンバーに。この3曲は、ブルース好きならまずはチェックすべき。

もっとも、アルバムを通じて、70歳を過ぎてもバリバリ現役のBuddy Guyの元気の良さにうれしくなってきました。また、来日して、あの熱いステージを見せてほしいなぁ。これからも、末永くお元気で!!

評価:★★★★

Buddy Guy 過去の作品
LIVING PROOF

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2013年3月17日 (日)

一時期ほどではないものの・・・。

90年代後半を代表する人気バンドGLAY。一時期に比べて、正直、勢いの面ではかなり衰えてしまい、人気も一時期ほどではありませんが、今なお、根強い人気を確保しています。そんな彼らが、今回リリースしたのは、なんとアルバムを2枚同時リリース。売上的にも、見事、チャートで1位2位のワンツーフィニッシュを達成しています。

その2枚のアルバムがこちら。

Title:JUSTICE
Musician:GLAY

Title:GUILTY
Musician:GLAY

まず2枚とも、ベースとしては実にGLAYらしい作品になっているなぁ、ということを感じました。BOOWYから続く、日本のビートロック路線を引き継ぎつつ、イギリスのギターロックなどの90年代オルタナティブロックの要素もそれなりに入れつつ、メロディーは至って歌謡ポップ。まさにこれぞJ-POPといった感じの、良くも悪くも歌謡ロックといった感じ。日本を代表する人気バンドだった90年代後半から、この主軸はほとんどずれていません。

そんな中、「GUILTY」の方は、バンドとしてのGLAYを押し出した作品が目立ちました。「Red moon&Silver sun~My Private "Jealousy"」「冬の遊歩道」など、ノイジーなギターサウンドも目立ち、ロックバンドGLAYとしての主張を感じます。打ち込みも入れてダンサナブルな「everKrack」やパンク風の「Bible」なども、バンドとしての幅を広げようとする意思も感じられます。

ただ一方で、アルバムの冒頭からオーケストラでスタートするなど、全体的に、ストリングスをはじめとした様々な音を導入し、分厚い音づくりが目立ちます。その結果、アルバム全体は少々、仰々しい部分も目立ってしまったような・・・。もうちょっとシンプルな音づくりの方がおもしろかったのでは?ただ、こういう過剰感もまた、いかにも90年代J-POPといった感じもするのですが。

一方「JUSTICE」の方は、「LOVE IMPOSSIBLE」「傷だらけの太陽」のような、歌謡曲といってもいいような、哀愁あるメロディーが目立った作品。こちらは、ポップスバンドとしてのGLAYを前に押し出したような内容になっています。ただ、こちらの作品も、比較的バンドサウンドはしっかりと打ち出しており、2枚を通じて、自分たちはバンドである、というGLAYの主張を感じられる内容になっていました。

一時期ほどではないとはいえ、そこはやはり2枚同時リリースするだけあって、それなりの勢いは感じさせます。また、それなりのボリュームある内容ながらも、ポップなメロディーとバリエーションある曲調で、最後まで飽きずに聴くことが出来ました。ただ、とはいえ、かつてのように、一度聴いたらメロディーがすぐ口につくような、キラーチューンがなかった点、一時期に比べての勢いの衰えも感じてしまったり。とはいえ、ファンなら十分満足できるようなアルバムではないでしょうか。まだまだ彼らの人気は続きそうです。

評価:
JUSTICE ★★★★
GUILTY ★★★★

GLAY 過去の作品
GLAY


ほかに聴いたアルバム

シャングリラ/ムック

良くも悪くも歌謡曲風なメロや、ベタなJ-POP風のメロなど、「よくありがち」というイメージを抱く一方、ハードコア風なナンバーや、ガレージロック風の曲など、バンドとしての力を感じさせる曲もチラホラ。「ハニー」「狂乱狂唱」あたりがその典型となった感じで、彼らの実力を感じさせました。全体的には、聴きやすくポップにまとめた印象。正直、アルバム全体としては、いまひとつな部分が目立つのですが、前述の通り、カッコいい曲も少なくないですし、実力を感じさせる部分もチラホラあるため、良いバンドだとは思うのですが・・・・・・。

評価:★★★

ムック 過去の作品
志恩
球体
カルマ

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2013年3月16日 (土)

復活第1弾はセルフタイトル!

Title:GREAT3
Musician:GREAT3

GREAT3 Comming Back!!・・・ってな訳で、2004年以来、活動中止状態だったGREAT3が帰ってきました!残念ながら、活動再会と同時に、ベースの高桑圭が脱退してしまいましたが、代わりに新ベーシストjanが加入。新たなGREAT3として、活動を再開し、ついにアルバムもリリースされました。

復帰後、初となるアルバムがいきなりセルフタイトルというのにはビックリしましたが、それだけの自信作ということなのでしょう。そして、そんな彼らの自信が、アルバムからはビシビシ伝わってくる内容になっていました。

彼らの楽曲は、基本的にはソウルからの影響を受けたポップソングがひとつのベースとなっているのですが、これが、曲によっていろいろな顔を見せるため非常にユニーク。「TAXI」「レイディ」はファンクチューン。「RED ROOM」は、ギターリフ主導の王道ギターロック、かと思えば、パーカッションのリズムが独特でユーモラスなナンバーですし、「睫毛」は、80年代風のソウルナンバーと、1曲1曲、全く違った顔をしたような曲が並んでいます。ただ、そんな中、基本的にブラックミュージックから影響を受けたポップソングという意味では首尾一貫していますし、なによりもメロディーはポップで聴きやすい内容。そのため、様々なタイプの曲があっても、あくまでもGREAT3の曲としてまとまった作品になっています。

そして、そんな彼らの音楽からは「大人のロック」、そんな言葉が思い起こされます。ただ、この「大人のロック」という表現、あまりにも手垢がつきすぎて、陳腐なイメージさえしてしまうのですが、彼らの音楽に対してはピッタリな表現なのではないでしょうか。

例えばいろいろなジャンルの取り込み方。ファンクやソウル、ロックなどの要素を上手く取り込んでいるのですが、これが若いバンドだとすると、様々な音楽を知っているんだぞ、ということを、自分たちの楽曲を通じて、過剰にアピールしてきたりします。結果、妙にスノッブ臭い作風に仕上がるのですが、彼らの取り入れ方は実にスマート。自然に様々な曲の要素を取り入れつつ、それでいて、誰もが楽しめるようなポップソングに仕上げてきています。

また、歌詞にしても、例えば「綱渡り」など

「なんにも願わないで そっと鏡の前で
有難きを祈り 捧げる
あるがまま 受け入れて」

(「綱渡り」より 作詞 片寄明人)

なんて歌詞、40歳を過ぎた片寄明人だからこそ書ける歌詞ではないでしょうか。

このアルバムの中、かなり強い主張が含まれる社会派のナンバー「交渉 No.1」では、

「大切なのは静観 血が上ると危ない
怒り渦巻いて まるで non non no」

(「交渉 No.1」より 作詞 片寄明人/白根賢一)

と、問題の解決には、あくまでも交渉が一番である、と、軽快なダンスナンバーにのせて、重いテーマをさらりと歌い上げています。

ただ、そんな「大人」なバンド、GREAT3の中で、今回、目立ったのが、若干22歳の若きベーシストjan。彼の奏でるベースラインが、妙にメロディアスでインパクトがあり個性的。このアルバムの中でも、存在感を出しているように感じました。高桑圭脱退のニュースは残念でしたが、新生GREAT3も、かなり期待できそうです。

最後を飾る「懐かしのヴァレリー・メイ」は実に幸福感あふれるナンバーで、幸せで満ち足りた気分の中、このアルバムは締めくくられます。セルフタイトルは伊達じゃない傑作。復活後のGREAT3も、かなり期待できそうです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

THE BEST 2007-2012 俺たちの明日/エレファントカシマシ

ユニバーサル移籍後のシングルを、発売順に並べたエレカシのベスト盤。2009年に発売した自選作品集の続編的な位置付けですが、シングルを発売順に並べただけなので、厳密にはちょっと違うかも。ただ、移籍後最初の方の作品は、いかにもな桜ソングや、「絆」なんて陳腐なタイトルの単純な前向きソングも多く、売れ線J-POP志向が強く感じられ、ちょっと疑問だったのですが、最近の曲は、徐々にエレカシ宮本浩次の本質がむき出しになってくるような部分もあらわれ、現時点での最新作「ズレてる方がいい」はタイトルからしても、さすがエレカシといえる傑作に。まあ、ポップ路線へ振れるのは、今回にはじまった話ではないのですが、こうやってシングルを並べられると、ちょっと薄味で、エレカシとしては物足りなさを感じたシングルコレクションでした。

評価:★★★★

エレファントカシマシ 過去の作品
STARTING OVER
昇れる太陽
エレカシ自選作品集EPIC 創世記
エレカシ自選作品集PONY CANYON 浪漫記
エレカシ自選作品集EMI 胎動記

悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~
MASTERPIECE

The Independent King/AK-69

前作「THE RED MAGIC」もオリコン初登場3位を記録するなど、今や、日本を代表する人気ラッパーとなったAK-69の、約2年ぶりとなる新作。「売れている」ラップの割りとしては比較的ヘヴィーなラップが多い印象のあった彼ですが、今回のアルバムは、全面的にメロウなメロディーを重ねてくるなど、聴きやすくポップになった印象が。そのため、売れ線志向が目立ってしまい、HIP HOPとしてのやばさみたいな部分が薄れてしまいました。ANARCHY、MACCHOをゲストに迎えた「PAPARAZZI」みたいにマイクリレーがカッコいい曲もあるのですが・・・。

評価:★★★

AK-69 過去の作品
THE CARTEL FROM STREETS
THE RED MAGIC

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2013年3月15日 (金)

レトロ感たっぷりのメロディーが魅力

Title:the dresscodes
Musician:the dresscodes

2011年12月31日いっぱいで解散した毛皮のマリーズ。the dresscodesはそのボーカリスト、志磨遼平が、新たに組んだバンド。毛皮のマリーズ解散翌日に、既にthe dresscodesとしてライブを行っていたようですが、その後、シングルリリースやライブツアーなどを経て、12月にようやく1枚目のアルバムリリースとなりました。

the dresscodesについては、昨年に一度、ライブを見ていたりします。その段階では、全く彼らがどんな音を出すのか知らないような状況で、基本的に後期毛皮のマリーズのような、レトロなポップ主軸の、ポップス色の強いバンドになるのかなぁ、というイメージがありました。ところが蓋を開ければ、バリバリのガレージバンド。それもメロが、完全にバックのバンドサウンドに塗りつぶされるような感じで、正直、完全に期待ハズレというイメージでいました。

それでけに、今回のアルバムもあまり期待していなかったのですが、ところが、アルバムは、やはり当初予想したとおりの、後期毛皮のマリーズの路線を引き継ぐかのような、レトロポップ路線。作曲名義は、基本的にバンド名義になっているのですが、あきらかに毛皮マリーズ後期で見せた、志摩遼平の好みを色濃く反映した内容になっていました。

特に先行シングルとなった「Trash」など、甘くとろけるようなメロディーラインは、まさに古き良き時代のポップソングの影響をダイレクトに感じます。具体的に言うと、彼らのメロディーは、50年代あたりの日本のポップスのイメージ。まだ、「歌謡曲」というジャンルで様式化されておらず、かつ、洋楽のポップソングの要素を強く取り込んだメロディー。古き良きアメリカのイメージに、懐かしい昭和の日本の匂いを混ぜ込んだ、そんなポップソングが並んでいます。

でも、それなら毛皮のマリーズでも出来たんじゃない?と思ってもしまうんですが、the dresscodesとしては、よりバンドサウンドを前に出し、ロックテイストを強くした作品に仕上がっています。あえてバンドサウンドを前に持ち出してきたり、また、作曲のクレジットをバンド名義にしたりと、the dresscodesとしての一体感を強く押し出そうという志摩の意図を感じるのですが、逆に言うと、毛皮のマリーズでは、志摩の望むような音を、バンドメンバーが出せなかった、そういうことなのでしょうか?

そのためか、バラエティー富んだ作風になっていますが、それもあくまでも「バンド」ありきであり、後期毛皮のマリーズのような志摩遼平の独走ではありません。キャバレーロック風な「Puritan Dub」だったり、パンク色の強い「リリー・アン」だったり、あくまでもバンドとしてのバリエーションを増やしている印象があります。

また、今回の新バンドで、特に目立ったのが、菅大智のドラムスで、「Trash」あたりが典型なのですが、手数の多い、ダイナミックなドラミングが耳につきます。THE WHOのキース・ムーンからの影響がかなり顕著で、というか、そのまんまで、実際、高円寺のキース・ムーンと呼ばれているとか?(^^;;このダイナミックなドラムスが、the dresscodesの屋台骨となってバンドサウンドを支えています。

それだけに、昨年見たライブが、いまひとつに感じられたのは、レコーディングならまだしも、ライブバンドとしてのバンドの一体感はまだまだ、といった感じなのでしょうか。それだけに、まだまだ伸びていく予感のあるバンド(もっとも、結局まとまらず、空中分解という可能性もあるのですが・・・)。毛皮のマリーズではたどりつけなかったところにthe dresscodesはたどりつけるのか?これからが楽しみなバンドです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Roots&Routes/GOING UNDER GROUND

GOING UNDER GROUNDの新譜は、実に彼ららしい、メロディアスなポップが並ぶ作品。特に、「刹那」「Shining」あたりのメロは素晴らしく、GOING UNDER GROUNDの魅力を強く感じます。また、ディスコ風の「ナカザのディスコ★」や、「刹那」のような歌謡曲風のポップスなどバラエティーを感じます。ただ、その反面、似たような曲も少なくなく、捨て曲も・・・。全14曲入りという、それなりのボリュームだったのですが、もうちょっと曲を絞れば傑作になったような・・・。そういう意味では、非常に惜しい作品でした。

評価:★★★★

GOING UNDER GROUND 過去の作品
おやすみモンスター
COMPLETE SINGLE COLLECTION 1998-2008
LUCKY STAR
稲川くん

Weeeeeeeeee!!!/POLYSICS

前作「15th P」は15周年の企画盤だったので、純然たるオリジナルとしては、「Oh!No!It's Heavy Polysick!!!」以来、約1年半ぶりで、3人体制となって2作目となるアルバム。基本、いつものエレクトロパンクがベースとなっていますが、本作ではギターの音が前面に出ており、特に前半に関してはハードロックの要素を強く感じます。結果としてロックテイストが強いだけに、最後まで飽きずに聴けるようなアルバムになっていました。

評価:★★★★

POLYSICS 過去の作品
We ate the machine
We ate the show!!
Absolute POLYSICS
BESTOISU!!!
eee-P!!!
Oh!No!It's Heavy Polysick!!!
15th P

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2013年3月14日 (木)

今週も新譜ラッシュ

今週のアルバムチャート

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アルバムチャートは今週も新譜ラッシュです。

1位から5位まですべてが初登場となった今週のアルバムチャート。そんな中で1位は、韓国の人気アイドルデゥオ、東方神起「TIME」が獲得しました。オリジナルでは前作に引き続きの1位。初動売上24万3千枚は、前作「TONE」の20万4千枚よりアップしています。ここに来て、まだ人気上昇というのはちょっと驚きです。

2位は、人気ロックバンドONE OK ROCK「人生×僕=」がランクイン。名前は「ジンセイカケテボクハ」と読むそうです。前作「残響リファレンス」に続く2位となりましたが、初動売上は11万8千枚と、前作の6万6千枚から大きくアップ。十分1位を狙える数値になってきました。

3位はAcid Black Cherry「Recreation3」がランクイン。以前、シングルのカップリング曲などで収録されていた渡辺美里の「BELIEVE」やWANDS「愛を語るより口づけをかわそう」をはじめとしたJ-POPのカバーを収録したカバーアルバム。Acid Black Cherryことyasuは年代的に同年代で、選曲的には自分にとってもかなりドンピシャな懐かしい曲が並んでいて、ちょっと気になってしまいます。初動売上5万1千枚は、直近のオリジナル「『2012』」の11万7千枚より大幅ダウンとはいえ、カバーアルバムとして前作「Recreation2」の3万枚よりもアップしており、この選曲に気になった方も多かったのか?

まだまだ4位以下も初登場が続きます。4位には湘南乃風「湘南乃風~2023~」がランクイン。約4年ぶりと、オリジナルとしては久々となるニューアルバムです。その前作「湘南乃風~JOKER~」の8万4千枚から、初動売上は4万5千枚と大幅ダウン。直近リリースのベスト盤「湘南乃風~Single Best~」の8万9千枚からも大幅ダウン。ちょっと厳しい結果となっています。

5位は人気動画サイトニコニコ動画で人気を博する男性ボーカリストぐるたみんEXIT TUNES PRESENTS る ~そんなふいんきで歌ってみた~」が入ってきています。初動売上は2万9千枚。前作「EXIT TUNES PRESENTS ぐ~そんなふいんきで歌ってみた~」の2万5千枚からアップ。ということは、次のアルバムは「た」という訳ですね。

7位には、人気ロックバンドRADWIMPSのボーカル、野田洋次郎のソロプロジェクトillion「UBU」がベスト10圏外からランクアップし、ベスト10入りしています。海外でのリリースも行われており、2月25日に日本に先行してイギリスでも発売。その輸入盤発売の影響で、ベスト10圏外からのランクアップとなっています。売上は1万7千枚。RADWIMPSとしての直近のアルバム「絶体絶命」の15万2千枚に比べると大きくダウン。まあ、こんなものでしょうか?

9位初登場は、人気声優KISHOWこと谷山紀章と、ギタリスト飯塚昌明ことe-ZUKAからなるユニット、GRANRODEOのベスト盤「GRANRODEO GREATEST HITS ~GIFT REGISTRY~」。初動売上1万3千枚は、直近のオリジナル「CRACK STAR FLASH」の2万枚よりダウン。浮動層には、あまり人気が波及していない模様・・・。

最後10位には、韓流男性アイドルグループCODE-V「初心」がランクインしています。これが日本でのデビューアルバムで初動売上は1万3千枚。シングルとしては直近作「何度サヨナラを繰り返したら僕らは強くなれるの?」の1万4千枚からはダウンという結果となっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2013年3月13日 (水)

ジャニーズ系が1、2

今週のシングルチャート

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先週はSMAPが1位を確保したシングルチャートですが、今週はジャニーズ系が1位2位のワン・ツー・フィニッシュとなりました。

まず圧倒的な強さで1位を獲得したのは、のニューシングル「Calling」。初動売上75万6千枚という好セールスで1位を獲得。前作「Your Eyes」の47万7千枚から大きくアップし、初動売上では自己最高枚数だとか。いままでの通常盤+初回限定盤の2種リリースから、通常盤+初回限定盤2種の計3種リリースに増やした点も初動アップの大きな要因の模様。もっとも、相葉雅紀主演フジテレビ系月9ドラマ「ラストホープ」主題歌というタイアップ効果もあるとは思いますが。

2位はNEWSのメンバー手越祐也と増田貴久によるユニット、テゴマス「サヨナラにさよなら」がランクイン。約2年ぶりのニューシングル。初動売上6万9千枚は、前作「青いベンチ」の8万4千枚からダウン。どちらかというと、R&B系のデゥオが歌いそうな爽やかなポップソングに仕上がっています。

3位はポルノグラフィティ「瞬く星の下で」。TBS系アニメ「マギ」オープニングテーマ。初動売上3万4千枚は、前作「カゲボウシ」の2万9千枚からアップ。前々作「2012Spark」の水準に戻してきました。ストリングスを入れてスケール感を出したアップテンポなポップナンバー。哀愁あるメロに、ルーツレスなポップソングというのが、良くも悪くもJ-POPらしいナンバー。

続いて4位以下の初登場ですが、4位に安室奈美恵「Big Boys Cry」がランクインしています。コーセー「エスプリーク・プレシャス」CMソング。初動売上2万3千枚は、前作「Go Round」の4万6千枚から約半減。ここ最近、7万7千枚→4万6千枚→2万3千枚と急落傾向が続いており、気になるところ。ただ、本作は、軽い雰囲気のポップチューンで、かつてのようなリスナーを圧巻するようなエッジの効いたサウンドやボーカルは聴けません。売上急落は、曲自体の内容による部分が大きいか??

6位7位には、どちらもアニメキャラクターによる楽曲がランクインしています。

6位にはEGOIST「All Alone With You」が入ってきています。EGOISTは、チャートでも既におなじみですが、supercellのryoプロデュースによるフジテレビ系アニメ「ギルティクラウン」の劇中バンドとしてデビューしたミュージシャン。番組終了後も活動は続けているみたいです。本作は、フジテレビ系アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」エンディングテーマ。伸びやかな女性ボーカルのポップソングで、アニソンぽさは皆無なので、もうちょっと広い層にも受け入れられそうな感じもするのですが。初動売上2万枚は、前作「名前のない怪物」の2万1千枚からほぼ横バイ。

7位も同じくアニメキャラクターによるアイドルユニット、μ's 「これからのSomeday」。アニメ「ラブライブ!」挿入歌で、初動売上1万3千枚は前作「きっと青春が聞こえる」の1万2千枚から若干のアップ。典型的なアイドルソングといった感じで(狙ったのでしょうが)こちらは好き嫌いがわかれそう。

そして最後、9位10位は、どちらも人気上昇中のロックバンドが並んでいます。9位はNothing's Carved In Stone「Out Of Control」、10位クリープハイプ「社会の窓」がそれぞれランクインです。

Nothing's Carved In Stoneは、元ELLEGARDENの生形真一が、ストレイテナーなどで活躍している日向秀和らと組んだバンド。デジタル風なビートで勢いのあるオルタナ系ロック版バー。フジテレビ系アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」オープニングテーマで、タイアップの良さからか、初動売上1万枚は前作「Spirit Inspiration」の5千枚から倍増して、シングルアルバム通じて初のベスト10ヒットになりました。

クリープハイプは、前作「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」が7位にランクインし、一躍ブレイクしたバンド。で、今回は、そのオリコン7位を皮肉を込めて歌詞に織り込んでいたりします。ランキングこそ前作を下回ったのですが、初動1万枚は、前作の6千枚から大きくアップする結果となりました。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日に!

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2013年3月12日 (火)

2012年の話題作!

Title:Good Kid M.a.a.D City
Musician:Kendrick Lamar

最近、アメリカで最も話題となったアルバムの1枚。ケンドリック・ラマーは、アメリカ・カリフォルニア出身の25歳。昨年リリースされたこのアルバムは、全米2位のヒットを記録しましたが、それ以上に非常に高い評価を得て、インディー系のアルバムの紹介サイトとして著名なピッチフォークスで、年間1位を獲得するなど、注目を集めるアルバムになっています。

まずはトラック。音数は比較的少なめでタイトな雰囲気のトラックが特徴的。無機質な電子音のリズムが印象的な「Sherane a.k.a. Master Splinter's Daughter」のような、エレクトロトラックも目立つ一方、物悲しげなメロがラップに重なる「Bitch,Don't Kill My Vibe」、ラップに重なる女性ボーカルのメロディーがメロウな「Poetic Justice」など、メロウな、そしてちょっと物悲しさを感じるトラックが目立ちます。音数を絞ったゆえに感じられる緊張感もあり、最後まで楽しめる内容になっています。

ただ、このアルバムで、一番の売りはやはりそのリリック。詳しい解説が、こちらのサイトで紹介されていました。内容は、ケンドリック・ラマーが、彼の少年時代について綴った物語り。日々、犯罪が繰り広げられ、薬物が跋扈するゲットーの中で産まれ育ちながら、主人公のラマー少年は、至って「普通の」少年で、真っ当に生きようとしています。ただ、そんな中、友人と上手くつきあっていくために、悪いことにも手を出してしまったりして。しかし、そんな中でも、なんとか悪の道に転がり落ちるのではなく、真っ当に生きていく少年についてラップしています。

ある意味、このテーマ性というのは非常にユニークで、ご存知の通り、現在では下火になってしまいましたが、一時期、アメリカではギャングスタ・ラップというジャンルが一世を風靡し、自分がいかに「ワル」であるかを風潮するようなラップがひとつの流れとして生まれました。

さすがに最近は、そういう流れもすっかり途絶えてしまったとはいえ、やはりアメリカの黒人社会でリアルな描写として、やはり犯罪や薬物などと隣り合わせの暮らしを描いた作品は多く、そんな中で、「真っ当に生きていこう」とする主人公をテーマにしている、という点はやはり珍しい素材ではないでしょうか。

また、こういうテーマは、日常生活の中、いろいろと誘惑が多いところをなんとか真っ当に生活を続けていっている私たちにも通じる部分があるのではないでしょうか。確かに、犯罪や薬物がテーマとなっているようなラップは「ゲットーのリアル」ではあるかもしれませんが、一部共感する部分もあるものの、基本的には私たちの暮らしから縁遠いもの。彼のラップも、確かに、犯罪や薬物と隣り合わせの日常は、私たちの暮らしからは縁遠いとはいえ、誘惑に負けず(ただし時にはちょっとだけ負けちゃって)生きようとする彼の生き様には、私たちが共感できる部分が少なくないと思います。

・・・・・って、こんなにリリックの内容が重要なのに、国内盤が出ないのって、どういうこと!!!と思いながら、輸入盤を買ってしまったのですが、3月6日に国内盤がリリースされた模様。遅いよ!!!

そんな訳で、これから買われる方は、国内盤を是非。輸入盤を買った私は・・・買いなおして、訳詩を・・・は、さすがにちょっと辛いかなぁ・・・。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

OVEREXPOSED/MAROON5

アメリカ本国のみならず日本でも人気の5人組ロックバンドの2年ぶりの新作。エレクトロ主体のポップソングなのですが、ただ、無難といった感じで、いまひとつ引っかかりがなく、印象に残りませんでした。ソウルの影響を強く感じる「Wasted Years」「Let's Stay Together」あたりはよかったのですが・・・。

評価:★★★

UNAPOLOGETIC/RIHANNA

ここ最近、1年毎に新譜リリースと勢いのあるRIHANNAのニューアルバム。軽快なエレクトロをベースに、バラエティー豊かでポピュラリティーある作風で、安定感がありヒットも納得な内容というのはいつも通り。今風の作品から、80年代風の作品まで、幅のあるポップソングが楽しめます。特に今回、目立ったのがゲストが参加した曲で、EMINEM参加の「Numb」や、DAVID GUETTA参加の「Right Now」など、ゲストがそれぞれの個性を上手く発揮しており、アルバムにインパクトを与えていて、おもしろい内容に。

評価:★★★★

RIHANNA 過去の作品
Rated R(R指定)
LOUD
TALK THAT TALK

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2013年3月11日 (月)

名古屋の若者の全てがここに集まっています

電気グルーヴ ツアーパンダ

会場 Zepp Nagoya 日時 2013年3月6日(水)19:00~

Tour_panda1

ワンマンライブがあったら必ず行きたい!と思っていた電気グルーヴのライブに出かけてきました。ワンマンライブは、2000年の「ツアーツアー」以来12年ぶり(!)。電気グルーヴのライブ自体は、2006年のフジロックで見ているので、約6年半ぶりのステージになりました。

会場となったZepp Nagoyaは、ほぼ満員・・・なのですが、後ろの方にかなりの広さで音響ブースをとってあって、水増ししている感じ。ただ、ほどほど踊れるスペースもあり、ライブを楽しむ環境としては申し分なしでした。

開始時間を10分ほど過ぎて、ライブはスタート。サポートDJの牛尾憲輔がDJブースに入り1曲目「The Big Shrts」の音が鳴り始めると、やがてピエール瀧が、石野卓球をのせた台車を押しながら登場。2人とも歌いながら、台車のまま、ステージを一周。また、衣装は2人とも、曲の通りにぶかぶかの白シャツを着て、かつ、ピエール瀧は頭にシルクハットを載せたという、かなりシュールなスタイルでライブはスタートしました。

その後、2人でシャツを脱ぎ捨てて、そのまま「Missing Beatz」へ突入。その後は卓球がDJブースに入り、「Shameful」など、最新アルバムからのナンバーをメインに、「モノノケダンス」などで盛り上げつつ、前半戦が進んでいきます。

Tour_panda2

前半、目だったのはステージ後ろの大きなモニュメント。人間の顔をモチーフにした、真っ白いモニュメントで、そこに、2人の顔やら、いろいろな映像を映し出したヴィジュアルも、また会場を盛り上げるのに一役かっていました。

軽いMCに、同じく最新アルバムから「Slow Motion」をはさみ、その後は「Disco Union」から「ハイ・スコア」「B.B.E.」と、かなり懐かしいナンバーが続く展開へ。特に「ハイ・スコア」や「B.B.E.」では、瀧と卓球のラップの掛け合いが印象的で、最初期の、HIP HOP色が強かった頃の電気グルーヴを思い起こさせるようなステージでした。(右の写真は会場に展示してあった、「Missing Beatz」のPVで使われた、巨大な2人の顔の装置。こちらは瀧。)

その後はちょっと長いMCに。「名古屋5年ぶり」「名古屋では全然チケットが売れない」「その街のタワーをジャケットにしたバージョンのCDを作ったけど、名古屋のテレビ塔が一番ださい」(笑)などの毒舌ネタで会場を沸かしつつ、「デーモン閣下から普通の小暮に戻る瞬間の笑い」なんていう、どうでもいい(?)ネタを披露しつつ、相変わらずユーモアな軽いネタを繰り広げていました。

中盤も、「P」「Prof. Radio」「Oyster(私は牡蠣になりたい)」など、最新アルバムからの曲中心の構成。そして中盤、特に盛り上がったのは「Upside Down」。軽快でポップなノリのディスコチューンながらも、ライブではもっとアゲアゲなミックスに。軽くトランス状態になって、踊りまくりました。

ここでまたMC。「みなさんのケツの毛までむしります」というグッズの紹介などのトークを軽く挟み、ライブは一気に終盤戦へ。この終盤戦が、またすごかった!

Tour_panda3「The Words」からスタートし、「FLASHBACK DISCO」で一気に会場を暖めたかと思えば、ここで来るか!といった感じで、おなじみの「Shangri-La」へ。さらに「少年ヤング」をはさみ、これまたキラーチューンの「N.O.」へと続きます。(左の写真は会場に展示してあった、「Missing Beatz」のPVで使われた、巨大な2人の顔の装置。こちらは卓球。)

後半は、ステージ中央のスクリーンに、曲にあわせてビジュアルイメージが映し出されるのですが、ちょっと懐かしい、昔のジャケットやPVで使われていたようなデザインイメージも流れたりして、これまたちょっと懐かしい感覚になります。

さらに、ここから「あすなろサンシャイン」と続けば、気分はますます最高潮に。ラストは「名古屋の若者の全てがここに集まっています」というサンプリングボイスが入った「リアクティオーン」へ!会場のテンションは最高潮のまま、ライブは幕を閉じます。

ただ、観客層はさすがに30代後半や40代も目立ち、「若者の全てが・・・」というには、ちょっと厳しいのでは??と内心思ってしまったりして(笑)。

もちろん、会場からは盛大なアンコールが。再びメンバー2人+サポートDJが登場すると、3人とも奇妙な帽子をかぶっていました。瀧は、なぜかサッカーボールを半分に切ったような帽子、卓球は、バイキングの海賊がつけているような帽子。そして、牛尾憲輔は、西洋風の謎な帽子を・・・。

そしてアンコールは、なんと、これまた懐かしい「電気ビリビリ」で締めくくり。最後にまた、ちょっと懐かしさを感じる卓球と瀧のラップの掛け合いが繰り広げられ、会場は大盛り上がりの中、ライブは幕を閉じました。2時間45分。気がついたら3時間近いステージは、まさにあっという間という感覚でした。

今回のライブの感想。もう一言。楽しかった!!久しぶりに、ライブで、トリップした感覚を味わい、踊り狂ってしまいました。年明けから、大当たりのライブが続きますが、その中でも年間ベストレベルのステージ。最高です!

あらためて思うのですが、彼らのセンスの良さって、本当に絶妙だよなぁ、と思います。ライブでは、既存の曲をライブ用に解体、リアレンジしているのですが、このアレンジが実に絶妙。例えば、キラーフレーズを繰り返したりして会場を暖めるのですが、何度も繰り返して、そろそろ飽きてきた、と思わせる直前に、他のフレーズに絶妙に移ったり、テンポをどんどんと上げて、盛り上げておいて、最高潮に達したと思った絶妙な瞬間に、一気に音を抜いたり、ここらへんの感覚が、まさに天性のものとしか言えないのですが、実にセンスを感じます。

また、ライブも、まさにサービス精神旺盛なんですよね。この日のステージは、おなじみピエール瀧の被り物は控えめで(途中、ハルバードや拡声器を小道具に使って会場を沸かせていましたが)その点はおとなしいステージだったのですが、一方では、昔のナンバーなども積極的に披露し、昔からのファンにとってはたまらない展開を聴かせてくれたり、「Shangri-La」や「N.O.」などの代表曲はしっかりと押さえていたり(「富士山」をやらなかったのは残念ですが)。なにげにちゃんとファンの期待には、しっかり応えるようなステージ構成になっていて、実に満足度の高いステージだったと思います。

本当に心の底から楽しめたステージでした。「名古屋はチケットが売れないから次は5年後」みたいなことをMCで言っていましたが、そうは言わずに、また近いうちに来てください!(笑)。最高に幸福な気分になれたステージでした。

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2013年3月10日 (日)

21世紀のマイブラ

Title:m b v
Musician:my bloody valentine

my bloody valentine。1988年「Isn't Anything」、1991年「loveless」、わずか2枚のアルバムが大きな衝撃を与え、「シューゲイザー」と呼ばれる数多くのフォロワーバンドが世に誕生しました。しかしその後、彼らの活動は沈黙。一種の伝説的なバンドになりました。しかし、その後も彼らの音楽は、多くのバンドに多大な影響を与え続け、今に至っています。

そして、そんな彼らがが2008年に突然のバンド活動再開。その年の7月にはフジロックのために来日も果たしています。その後も、「Isn't Anything」「loveless」のリマスター盤のリリースや、再度の来日公演のニュースがあるなど、徐々に活動を本格化させていきます。

そんな中、突然のニュースとして飛び込んできたのが、今回のニューアルバムのリリース。それも、1月28日のライブの中で、突然「2、3日中に新作を発表するかもしれない」というMCがあり、さらに2月2日に、「本日中に新譜を発表する」というアナウンス、そしてダウンロード版の発売と、CD版の予約受付という、22年ぶりという待ちに待った新譜が、いきなりリリースされたという点に、ファンもビックリした方が多かったのではないでしょうか。

そんな21世紀に発売されたmy bloody valentineの新譜。まず、大きな興味として沸いたのが、マイブラのメインライターであるケヴィン・シールズが、あくまで「loveless」の延長線上の音を出してくるのか、それとも、「loveless」とは関係なく、2013年のマイブラの音を出してくるのか、という点でした。

結果として、このアルバムでまず耳に飛び込んできたのは、「loveless」の延長線上にある音でした。楽曲を塗りつぶすかのような、甘いフィードバックノイズに、その向こうで鳴っているケヴィンやビリンダのボーカルに、ポップなメロディーライン。この内容に関しては、正直、個人的には最初少々ガッカリしてしまいました。というのも、やはりマイブラには、「loveless」の次の展開を期待していたからです。

しかし、聴き進めて行くうちに、そんな屁理屈は関係なく、マイブラの魅力にドップリとはまり込んでしまいました。とにかく、これでもかというほどの美しく甘いギターのフィードバックノイズ、その向こうで鳴っている、これまたポップなメロディーライン。彼らが作り出す幻想的な世界観は、あれだけフォロワーの出てきた21世紀の今となっても、圧倒的な存在感を作り出しており、マイブラのすごさをあらためて実感しました。

ただ、そんな「loveless」の延長線上だった音が、後半になると徐々に変わっていきます。特に7曲目「in another way」から先。「in another way」ではギターのノイズが後ろに下がり、むしろドラムのリズムが目立つような構成になっており、続く「nothing is」も、ドラムとギターが重なり、ミニマル風に展開していく構成は、以前のマイブラでは見られなかったようなタイプ。特にラスト「wonder 2」では、ギターノイズがこれでもかというほど押し出されている反面、ドラムのリズムが、細かいリズムを刻んでおり、いかにも今風。あきらかに「loveless」の次を意識した楽曲が並んでいました。

まさに「loveless」からスタートし、21世紀のマイブラの音へと繋げるように展開しているアルバム。なんとなく、ケヴィンの中では次のアルバムの構成が、ほぼ固まっていて、そのアルバムと、「loveless」をつなぐ内容として、今回のアルバムをリリースしてきたのでは?と都合よく解釈できちゃいそうなアルバム(笑)。実際、今回のアルバム、例えば「who sees you」の出だしなど、まるっくり「loveless」収録の「Only Shallow」の出だしと一緒ですし、「loveless」を意識したことは明確のように感じました。91年のマイブラと2013年のマイブラの橋渡し、このアルバムはそういう位置付けだったのではないでしょうか。

ただ、そういう意図は別として、1枚のアルバムとしても実に魅力的な作品に仕上がっていた今回のアルバム。幻想的なサウンドとポップなメロディーというバランス感覚が絶妙で、このバランス感覚が、いまだに他のマイブラフォロワーから圧倒的な位置にいる大きな理由のように感じました。間違いなく、今年を代表する1枚。DL版は高音質のハイレゾ版のリリースもあるので、それで音に拘るのもよし、あくまでもCDリリースを待つもよし。是非ともチェックしておいてほしい1枚です。

評価:★★★★★

my bloody valentine 過去の作品
EP's 1988-1991


ほかに聴いたアルバム

RED/TAYLOR SWIFT

アメリカでは絶大な人気を誇るカントリーシンガー、TAYLOR SWIFTの最新作。カントリー、とはいっても、前作同様、いかにもカントリーらしいという曲は少なく、どちらかというと、普通のガールズポップといった感覚で聴ける曲ばかり。新鮮味という観点では、よくありがちなポップスではあるのですが、比較的多くの方に、無難に薦められそうなポップソングが並んでいます。

評価:★★★★

TAYLOR SWIFT 過去の作品
FEARLESS

push and shove/no doubt

こちらも、90年代後半から、2000年代前半にアメリカで絶大な支持を得ていたスカパンクバンド、no doubt。2004年からそれぞれのソロ活動に移行し、バンドとしての活動は休止していましたが、このたび活動を再開。11年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

彼女たちの絶頂期って、ちょうど私が洋楽を聴きはじめた頃なだけに、no doubtという名前は、すごく懐かしいなぁ・・・という感じで、久々にアルバムを聴いてみました。で、軽快なポップスは相変わらず。シンセも多く導入し、軽快なサウンドが印象的。ただ、スカの要素は少なめで、メロも「あれ?こんな感じだったっけ?」といった感じでインパクトも薄く、ちょっと捉えどころがない感じ・・・。正直、ちょっと期待はずれだったかも・・・。

評価:★★★

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2013年3月 9日 (土)

アルジェリア出身バンドの再結成作

Title:SHOCK EL HAL(邦題 時代の棘)
Musician:GNAWA DIFFUSION

今回紹介するGNAWA DIFFUSION(グナワ・ディフュージョン)は、フランス在住のアルジェリア移民、アマジーグ・カテブを中心に、フランス在住アルジェリア出身のメンバーにより構成されたバンド。1992年に結成したものの、2002年に解散。しかし、昨年、再結成し、待望のアルバムリリースとなりました。

彼らの音楽は、バンド名通り、西アフリカのトランス音楽、グワナや、アルジェリアの大衆音楽、マグレブとロックを融合させた「ミクスチャーロック」。昨年8月に日本にも来日し、私も、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドでそのステージを体験してきました。そのボーカリストでありリーダー、アマジーグ・カテブのアルバムも、以前、当サイトでは紹介したことがあります

今回、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドでのステージを思い出しつつ、今回のアルバムを聴いたのですが、そのグナワ独特のリズムにすっかりはまってしまいました。グナワはもともと「モロッコのレゲエ」とも呼ばれており、レゲエ風の横ノリのリズムが特徴的。ただ、レゲエのように、リズムをあまり強調しすぎず、アラブ風のサウンドを取り入れたようなサウンドが、エキゾチックな雰囲気があり、一方、アフリカ音楽的なトランシーなリズムが実に魅力的。そのリズムは中毒性が強く、一度はまり込むと、やめなれなくなる強烈な魅力があります。

一方で、グナワ・ディフュージョンのアルバム、以前のアマジーグ・カテブのソロよりもかなり聴きやすかったような印象があります。おそらく大きな理由として、ロックのテイストが強く、北アフリカやアラブ音楽に聴きなれていない人にとっても、なじみやすかったからではないでしょうか。ギターの音色は時としてフュージョン風な音色が爽やかで聴きやすく、メロディーも、アラブ風な雰囲気を感じるものの、さほどアクの強いものではありません。いい意味で、ポピュラリティーのある作品に仕上がっているように感じました。

また、歌詞に強烈なメッセージを持っているのも彼らの特徴。一番インパクトがあったのあ「COPLICES」(邦題「共犯」)で、強烈にグローバル経済を批判している内容になっています。国内盤では邦訳がついているため、彼らのメッセージも十分伝わってきます。この歌詞も彼らの大きな魅力なだけに、買われる時は、邦訳のついている国内盤を是非。

そんな訳で、すっかり彼らの音楽にはまってしまった私。このアルバム、間違いなく今年のベスト盤候補の1枚です。間違いなく、とっつきやすい作品なので、興味のある方は是非。中毒性あるリズムにはまりますよ~。

評価:★★★★★

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2013年3月 8日 (金)

バンドとしての自信

Title:マリアンヌの誘惑
Musician:キノコホテル

ベースのエマニュエル小湊が「退職」し、ジュリエッタ霧島が「入社」した後、初となるオリジナルアルバム。今回の新作でまず感じたのは、キノコホテルというバンドは、完全に一皮むけたなぁ、ということでした。

今回のアルバム、大きな特徴としてガレージロックバンドの色合いを強く出していたという点。もちろん、以前から彼女たちはガレージロックがそのベースとなっていましたが、以前の作品は、ロックバンドという側面より、昭和風というイメージ作りが前に出て、ロックバンドのインパクトとしてはいまひとつ、という印象を受けていました。それが、前作「マリアンヌの恍惚」より、ガレージロックやサイケの要素を強く前に押し出してきて、ロックバンドキノコホテルという輪郭がより明確になってきました。

その、ロックバンドであるキノコホテルという輪郭が、完全に明確になったのが今回の作品。例えば今回のアルバムの前半戦を飾る「業火」にしろ「愛と教育」にしろ、昭和歌謡という側面よりも、まずはそのヘヴィーなバンドサウンドに耳がいきます。中盤の「エロス+独裁」にしろ、昭和歌謡風なコーラスラインとメロディーが展開されていますが、それ以上に、ブルージーな雰囲気のギターに耳が奪われる構成に。ロックバンド、キノコホテルを存分に堪能できる内容と言えるでしょう。

また、全編通じて鳴り響く、サイケなオルガンの音もインパクト大。「悪魔なファズ」ではスカ風なリズム、ラストを飾る「#84」ではソウルでファンキーな曲に仕上げており、楽曲の幅もグッと広がった感じがします。

今回、ロックバンドとしての側面を強く打ち出せた大きな要素は、やはりキノコホテルとして、昭和歌謡的な要素をあえて前に押し出さなくても、十分その個性を打ち出せるという自信があったからではないでしょうか。バンドとしての自信が、今回のような、よりロック色の強い作品に仕上がったように感じました。そして、今回のアルバムを聴いて、あらためて彼女たちのライブを見てみたい、そうとも感じられるアルバムだったと思います。前作も傑作でしたが、さらに大きく成長した新作。まさに一皮むけた作品でした。

評価:★★★★★

キノコホテル 過去の作品
マリアンヌの憂鬱
マリアンヌの休日
クラダ・シ・キノコ
マリアンヌの恍惚


Get Together~LIVE IN TOKYO~/矢野顕子×上原ひろみ

2011年9月に、昭和女子大学人見記念講堂で行われたレコーディングライブの模様を収録したライブ盤。上原ひろみといえば、Anthony Jackson、Simon Phillipsと組んだ傑作アルバムをリリースしていますが、そのアルバムは、彼らといわば対峙する形で、緊張感あるセッションを演じていました。しかし、矢野顕子とのコラボでは逆。矢野顕子と一緒に、まさに「音楽」の文字通り、音を楽しむかのようなセッションで、2人の音は見事に重なり合い、融合するようなセッションになっていました。しかし、その上で、きちんと矢野顕子、上原ひろみの個性はきちんと発揮されている点はさすが。

矢野顕子といえば、森山良子やレイハラカミなど、数多くのミュージシャンとセッションしています。それは、彼女が、他のミュージシャンに対する大きな包容力と、それでも全く軸のぶれない彼女の個性を持っているからこそ、多くのミュージシャンとコラボすることが出来るんだなぁ、ということを実感しました。聴いていて、実に楽しくなってくるセッションでした。

評価:★★★★★

矢野顕子 過去の作品
akiko
音楽堂
荒野の呼び声-東京録音-

上原ひろみ 過去の作品
BEYOUND THE STANDARD(HIROMI'S SONICBLOOM)
Duet(Chick&Hiromi)
VOICE(上原ひろみ featuring Anthony Jackson and Simon Phillips)
MOVE(上原ひろみ featuring Anthony Jackson and Simon Phillips)

The Grails/HAWAIIAN6

その哀愁漂うメロディーと独特な歌詞の世界観で高い人気を誇るメロコアバンドの約3年ぶりというから、かなり久々となるニューアルバム。あいかわらずメロディーを前面に押し出し、メロディアスに聴かせる路線は変わらないものの、以前と比べて、全体的に明るくなった印象が。その結果、ちょっとあっさり風味な印象も。

評価:★★★★

HAWAIIAN6 過去の作品
BONDS

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2013年3月 7日 (木)

韓流が目立つ中、1位はあのグループのデビュー作

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週に引き続き、今週もアルバムは新譜ラッシュ。

まずは1位。AKB48の姉妹ユニット、NMB48のデビューアルバム「てっぺんとったんで!」が、文字通りの1位に。ここらへんの砕けた口語を、なんの迷いもなくアルバムタイトルにするあたりが、秋元康っぽい感じなのですが。初動売上は32万8千枚。全4種リリースで、初動売上も、直近のシングル「北川謙二」の31万7千枚より上げてきています。

2位には、韓流アイドルグループBIGBANGのメンバーD-LITE(from BIGBANG)「D'scover」がランクイン。J-POPのカバーアルバムで、秦基博の「アイ」や、斉藤和義の「歌うたいのバラッド」などをカバー。初動売上3万5千枚。BIGBANGの直近のオリジナル「ALIVE」の5万2千枚よりはダウンながらも、ソロとしては健闘した感じ。

3位は倖田來未のカバーアルバム「Color the Cover」。このアルバムに収録されているhideの「ピンクスパイダー」のカバーが批判を集めたり、オザケンの「ラブリー」のカバーが波紋を呼んだり、何かと話題のアルバムになってしまっています。初動売上は3万3千枚。直近の作品は、リミックスアルバムの「Beach Mix」で、こちらの初動2万5千枚よりはアップ。直近のオリジナル「JAPONESQUE」の9万3千枚からはダウンで、なじみの曲のカバーで盛り返しという、徳永英明やJUJUの2匹目のどじょうは無理だった感じ。カバーアルバムとしては2010年にリリースした「ETERNITY~Love&Songs~」に続く2作目なのですが、「ETERNITY」の初動4万6千枚よりもダウンしてしまいました。

続いて、4位以下の初登場ですが、まず4位。T.M.Revolution「UNDER:COVER2」がランクイン。こちらはカバーはカバーでもセルフカバーの第2弾。初動売上3万2千枚は、直近のミニアルバム「宴-UTAGE-」の3万7千枚、直近のオリジナル「CLOUD NINE」の4万8千枚を下回る結果に。2006年に発売した「UNDER:COVER」の初動8万8千枚も大きく下回りましたが、こちらは、発売週が正月にかかった影響で、2週分の集計。

6位に入ってきたのが、TEAM H「I JUST WANNA HAVE FUN」。聞き慣れない名前ですが、こちら、韓国の人気俳優チャン・グンソクが、友人のDJ BIG BROTHERと組んだユニットのミニアルバム。初動売上は2万8千枚。チャン・グンソクとしての日本デビュー作「Just Crazy」が初動8万8千枚なので、そこからはかなりのダウン。さすがにかなり熱心なファンしか購入しなかったか?

7位には、KREVAのニューアルバム「SPACE」がランクイン。初動売上1万5千枚で、前作「GO」の2万8千枚から大きくダウンしてしまいました。ちなみに、こちら、完全限定盤では、CDと初回盤についてくるDVDの他、オリジナル壁掛け時計もセットになっています・・・掛け時計???

8位は、人気動画サイトニコニコ動画の「歌ってみた」コーナーで人気となったボーカリスト、ナノ「N」がランクイン。初動1万5千枚。これが2作目のアルバムで、前作「nanoir」は最高位12位初動9千枚だったので、順位初動枚数ともにアップで、初のベスト10入り。

9位にはベスト10ではあまり見かけないタイプのアルバムが。池頼広「テレビ朝日系金曜ナイトドラマ『信長のシェフ』Music Collection」がランクイン。タイトル通り、テレビ朝日系ドラマ「信長のシェフ」のサウンドトラックなのですが、初回限定盤では、ドラマ主演のKis-My-Ft2玉森裕太が演じるケンの写真集がついてくるので、おそらくそれ目当てでファンが買ったのでしょう。

最後10位には、韓国の人気アイドルグループSHINee「Chapter 1 'Dream Girl-The misconceptions of you'」がランクイン。こちら、韓国で発売されたアルバムの輸入盤で、初動売上1万2千枚は、日本でのデビュー作である直近作「THE FIRST」の7万1千枚からは大きくダウンしていますが、これは熱烈なファンしか購入しなかったためと思われます。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2013年3月 6日 (水)

ベスト3はそれぞれ違うタイプのアイドルが

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のベスト3は、アイドル勢が占めました。

まず1位は、SMAP「Mistake!」。卒のない爽やかなポップソング。なんか、アレンジが(というかコーラスの入れ方が)90年代のZOO(懐かしい名前・・・)を思い出したのですが、アレンジはCMJKなんですね。ちなみに作詞には、元スーパーカーのいしわたり淳治が参加。初動売上は16万1千枚で、前作「Moment」の13万6千枚よりアップ。

2位につけたのはPerfume「未来のミュージアム」。映画「ドラえもん のび太のひみつ道具博物館」主題歌。もちろん作詞作曲プロデュースは中田ヤスタカ。ドラえもん主題歌を意識してか、エレクトロ色は薄めのポップナンバー。その影響か、初動売上6万8千枚は前作「Spending all my time」の8万4千枚からダウンで、これで8作連続2位という、ちょっとかわいそうな記録が継続されてしまいました。

3位は先週1位のAKB48「So long!」が2ランクダウンでこの位置に。これでベスト3はいずれもアイドル系ながらも、ジャニーズ系、AKBにPerfumeが割り込むという展開になりました。

続いて4位以下の初登場ですが、まず4位には、6月の東京ドーム公演で解散するFUNKY MONKEY BABYSのラストシングル「ありがとう」が入ってきています。最後の最後まで、彼ららしいミディアムテンポのナンバー。シングルのベスト10入りは、昨年2月の「この世界に生まれたわけ」以来1年ぶり。初動売上3万5千枚は、前作「サヨナラじゃない」の1万1千枚より大幅アップ。前作はアルバム先行でしたが、前々作「LIFE IS A PARTY」の1万2千枚よりも大幅にアップしています。明らかに解散効果でしょう。ちょっといじわるな言い方をしてしまいますが、ここ最近、売上的には下降気味だっただけに、解散のタイミングとしては一番いい止め時だったかもしれません。

5位は遊助ことタレント上地雄輔の「檸檬」がランクイン。こちらもFUNKY MONKEY BABYSの歌だ、と言われてもそのまま信じてしまいそうな感じの曲・・・。TBS系ドラマ「終電バイバイ」主題歌。初動売上は3万2千枚で、前作「VIVA! Nossa Nossa」の3万4千枚から若干ダウン。前作まで5作連続4位という珍記録が続いていましたが、残念ながら(?)本作で途切れてしまいました。

続く6位には、ヴィジュアル系ロックバンドv[NEU]「The 25th Century Love」。典型的な90年代のビートロックといった感じで、特に新鮮味はないのですが・・・これが初のベスト10ヒット。初動売上1万8千枚は前作「カレイドスコープ」の4千枚からアップ。5種類の販売形態の他、各種プロモーション活動で、見事ブレイクという結果になりました。

7位にはGReeeeN「桜color」がランクイン。まあ、そのまんまな桜ソングって、「サクラカラー」って、かつてあったフィルムのブランド名だよね?と反応するのって何歳以上??初動1万4千枚は、前作「雪の音」の1万5千枚から若干のダウン。

8位初登場は、和田彩花(スマイレージ)と鞘師里保(モーニング娘。)からなるユニットの初となるシングル、ピーベリー「キャベツ白書~春編~」がランクイン。途中、「ふるさと」が挿入されていたり、おばあちゃんへのメッセージソングになっています。若干あざとい感じも・・・(苦笑)。

初登場最後、10位には、BoA「Only One」がランクインしてきています。K-POPの日本における走り的な存在だったにも関わらず、ここ最近、すっかり「過去の人」になってしまった彼女。シングルも2年7ヶ月ぶり。メロディアスなR&B風ポップは、かつてのDIVAブームの頃を思い出すような、ちょっと懐かしさすら感じる印象が。初動売上は8千枚で、前作「WOO WEEKEND」の9千枚からダウン。低水準のチャートに助けられてのベスト10入りで、かなり厳しい状況になっています。

そんな訳で、シングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日!

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2013年3月 5日 (火)

様々なタイプの曲が展開

Title:DA MIND OF TRAXMAN
Musician:TRAXMAN

80年代から活動を続ける、シカゴのハウスシーンにおける重鎮的なDJ、TRAXMANのニューアルバム・・・・・・といっても、今回のアルバムを聴くまで、完全に初耳だったのですが・・・(^^;;例によって、ミュージックマガジン誌のハウス/テクノ/グレイクビーツ部門で、2012年年間ベストアルバムに選出されていたので、遅ればせながら聴いてみました。

で、結論としては、これがなかなかおもしろい!ただ、どんなアルバムか、と問われると、一言で答えるのが難しいという印象を受けました。というのは、曲によって、その雰囲気が微妙に変化しているからです。

例えば「Itz Crack」はちょっとジャジーな雰囲気のトラックですし、「I Need Some Money」あたりは、ちょっと80年代的な匂いを感じたり。「1988」は、非常にユーモラスな電子音が展開されるナンバーですし、楽曲によって、様々な音を用いており、その展開を追っていくだけでも非常に楽しめます。

また、全18曲入りという内容ながらも、長さは60分弱。1曲あたり、わずか3~4分程度という、この手のジャンルとしてはちょっと珍しい構成。そのため、普通の歌モノポップスと同じ感覚で聴けて、なおかつ様々なタイプの音が展開されているため、飽きることがありません。

もっとも、様々なタイプの音が並んでいるとはいえ、やはりアルバムを貫くTRAXMANとしての特色があるわけで、共通項として一番感じたのは、曲に使われる音は、あくまでも最小限。音数を絞ったミニマルな作品多く、そのため、楽曲の雰囲気は非常にタイト。にも関わらず、様々なタイプの曲が展開するため、自然に使われる音も、多様になってくる訳で。また、ミニマルな展開に一種のトリップ感覚を覚えます。

今回、はじめてTRAXMANの作品は聴いたのですが、最後まで、飽きることなく、その内容にはまりこめた傑作でした。上にも書いた通り、1曲あたりが短い曲ばかりなので、いい意味で敷居が低く、入りこみやすい作品だと思います。興味のある方は、是非。

評価:★★★★★

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2013年3月 4日 (月)

圧倒的な轟音にひたる10年ぶりの新作

Title:'Allelujah! Don't Bend! Ascend!
Musician:Godspeed You! Black Emperor

「Godspeed You! Black Emperor」。この奇妙だけども日本人だとどこかで聞き覚えのあるようなバンドは、カナダ出身の8人組ポストロックバンド。このバンド名は、もともと、日本の暴走族のドキュメンタリー映画のタイトルにちなんでつけられたとか。1994年に結成され、2000年にリリースされた「Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven」や、2002年にリリースされた「Yanqui U.X.O.」は、日本でも大きな話題となりましたが、その後解散。しかし、2010年に再結成され、このたびリリースされたのが、10年ぶりとなる待望のニューアルバムでした。

もともと、モグワイあたりと比較されることの多かった、轟音を前面に押し出したポストロックバンドの彼ら。最近では、ドローン系なる括られ方がすることも少なくないようです。

とにかく、ギターノイズの轟音でどんどんと攻め込んでくる彼ら。このアルバムは、実はわずか4曲入りなのですが、そのうち2曲は、20分を超える(!)という長尺で、8人のメンバーが織り成す音の世界が、複雑に入り混じっています。その中で特徴的なのは、楽曲の中で効果的に用いられるバイオリンの音色。時には不気味に、時には明るく響き、楽曲に大きなインパクトを与えています。

また、轟音のノイズギターを主軸に展開していく、という点で、シューゲイザー系の括りで語られることもある彼ら。確かに、楽曲としてはテンポのよいリズムで踊ったりする感じではなく、轟音のギターノイズに身を任せるようなイメージ。ある意味、ノイズの洪水にうもれて、とても心地よささえ感じるアルバムでした。

ただ、楽曲自体は20分を超える長尺の曲が続くものの、アルバム全体は50分程度の長さで、そういう意味では、彼らの音の魅力にひたるためにはちょうどよい長さ。最後まで耳を離せず、楽曲の魅力にひたることが出来ました。10年ぶりという新作ながら、10年というブランクを感じさせない傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

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2013年3月 3日 (日)

堀込弟脱退!

Title:SUPER VIEW
Musician:キリンジ

今年春に開催されるライブツアーを最後に、弟堀込泰行の脱退が発表されたキリンジ。キリンジといえば、堀込兄弟の異なる音楽センスが交差するところが大きな魅力であり、なによりも実の兄弟のユニットだっただけに、「脱退」というニュースは大きな驚きでした。なによりも、弟が脱退して、兄ひとりになっても、キリンジは続いていくんだ、という点にも驚きましたが・・・。

今月には、2人でのラストアルバムとなる「Ten」も予定していますが、脱退を前提としたアルバムということを考えると、まずジャケット写真からして思うものがあります。堀込兄弟2人が向き合う姿をモチーフに、暮れ行く日を題材としたジャケット写真は、このアルバムを含めて、2人でのキリンジが聴けるのが、これが最後という一抹の寂しさを感じるジャケットになっています。

ただ、アルバム自体には、そういう別れを全面的に感じさせるような作品にはなっていませんでした。むしろ、全体的に爽やかで明るい雰囲気だったのが印象的。脱退のニュースを知らなければ、いつも通りの良質なポップスを届けてくれるキリンジの傑作がひとつ加わった、という印象だったかもしれません。いい意味で安定感あるポップソングで、期待通りのシティポップを楽しめることが出来ます。

その一方で、これを最後に弟が脱退というニュースを前提に聴くと、いろいろと思うところも。例えば1曲目「早春」は、冨田恵一のストリングスアレンジが特徴的な壮大なナンバーですが、どこか2人キリンジのフィナーレを彷彿とさせるようですし、堀込泰行作品の「涙にあきたら」は、大切な人へのメッセージながら、どこか別れを前提としたような、彼からの最後のメッセージのようにも思えてきます。

そんな、どこか2人でのキリンジの終着点を思い起こさせるようなアルバムになっていた本作。ただ、そんなテーマ性とは別に、このアルバムの中で大きな注目を集めたのは、やはり「祈れ呪うな」でしょう。

この曲は、例の福島原発の事故をテーマとした曲なのですが、歌詞はかなりストレートに、福島第一原発事故を描写しています。ただ、主張としては、いままで、原発の危険性を認識していながらも、こういう事態を起してしまった私たちへの自戒の念をテーマとしていて、単純な反原発とも異なる、心につきささるようなメッセージになっています。

この作品と、あと1作で最後というのは実に残念なのですが、キリンジとして、2人でやれることはやりつくした、といった感じなのかなぁ。ただ、2人は実の兄弟。それだけに、いつか、再結成してくれることを期待したいのですが・・・。とはいえ、その前にもう1枚、アルバムのリリースが予定されているだけに、そちらを楽しみにしたいところ!

評価:★★★★★

キリンジ 過去の作品
KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
7-seven-
BUOYANCY
SONGBOOK

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2013年3月 2日 (土)

おもちゃ箱のような楽しいアルバム

Title:In Focus
Musician:トクマルシューゴ

前作「Port Entropy」も大きな話題となり、日本のみならず海外でも注目を集めるシンガー、トクマルシューゴの最新アルバム。今回のアルバムも、各種雑誌の年間ベストに名前を連ねるなど、高い評価を受けています。

今回の作品も、様々な楽器を用いて、まるでおもちゃ箱のような、楽しくワクワクするような音が次々と展開されていきます。例えば「Katachi」。アコギにテルミンの音色、さらには手拍子で、楽曲を明るく彩っています。他にも、様々な音が顔を出しており、本当に楽しくなってくるようなポップスに仕上がっています。

他にも「Call」は、爽やかで明るい雰囲気が、どこかおとぎの国のよう。「Poker」は軽快なリズムがちょっと南国風味?「Tightrope」でアコギでしんみりメロディーを聴かせてくれたかと思えば、「Helictite」は太鼓のリズムが軽快で楽しいナンバーと、次々と新しく、そしてポップで楽しい楽曲が展開していきます。

また、アルバム全体にわたって、音がとてもいいのが特徴的。非常にクリアな音を聴くことが出来、それだけリアリティーある音に仕上げています。様々な音を次々と繰り出す彼ですが、アルバムで作り出している音がリアリティーあるゆえに、よりその世界にはまりやすいものとなっています。

そんな訳で、このアルバム自体は、期待通り、文句なしの傑作・・・なのですが、年間ベストレベルか、と問われるとひっかかる部分も・・・。年間ベストレベルというと引っかかってしまう理由が、アルバム全体が少々小さくまとまっている感があるんです。良くも悪くもインディーポップといった感じがあって、スケール感に乏しいというか、少々頭でっかちに感じてしまう部分も。そういう意味では、ちょっとひっかかる部分もあるものの、傑作であることは間違いないと思います。聴いていて、純粋にワクワクするような、そんな作品でした。

評価:★★★★★

トクマルシューゴ 過去の作品
Port Entropy

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2013年3月 1日 (金)

HIP HOPに向き合った新作

Title:ダーティーサイエンス
Musician:RHYMESTER

先日、このアルバムを購入したら、招待券がついてきたので、はじめてRHYMESTERのライブに足を運んできました。わずか200名程度収容の、小さい箱だった、ということもあるのですが、そのアゲアゲなステージにすっかりはまってしまい、彼らの魅力を再認識してきました。

とにかく、そのライブでも感じたのですが、このアルバム、非常に聴く側の壺をついているんですよね。その時のライブでも演った「ゆめのしま」「スクリーム」、さらには「ダーティーサイエンス」のような、パーティーチューンをきちんと抑えつつ、「グラキャビ」みたいに、ちょっとしんみりとさせるような曲や、「ナイスミドル」みたいな、タイトル通り「大人」の雰囲気を混ぜてきたり、楽曲ごとにその雰囲気をかえつつも、きちんとRHYMESTERらしさを押さえた展開になっています。

前々作「マニフェスト」、前作「POP LIFE」が、どちらかというと、リリックをより楽しめ、(特に「マニフェスト」など、タイトル通りなのですが)彼らの「主張」がより前面に出ているアルバムに感じましたが、今回のアルバムは、それに対して、サンプリングを全面的に用いて、よりHIP HOPらしいアルバムになっていたようにも感じました。正直、聴いていて、決して「新しいスタイル」という感じではありません。ただ、セルフタイトル曲「ダーティーサイエンス」は、まさにHIP HOPの魅力を存分に綴ったリリックが特徴的であり、それをタイトルチューンとするあたり、よりHIP HOPというジャンルに前面から向き合った作品、と言えるかもしれません。

とはいえ、今回も彼ららしいユーモラスで、でも強い主張もしっかりと顕在。そちらの方面への期待にもキチンと応えています。「Deejay Deejay」では、

「ここは魂の休憩所 蹴散らせファックな風営法」
(作詞 Mummy-D、宇多丸 「Deejay Deejay」より)

と、ストレートに風営法を批判。さらにストレートなのは、タイトルそのままの「The Choice Is Yours」。

「選ぶのはキミだ キミだ 決めるのはキミだ キミだ
考えるのはキミだ 他の誰でもないんだ」

とストレートな歌詞が印象的なのですが、個人的に印象に残ったのは

「この世界はそんな単純じゃないんだ ラスボスはどこにもいないんだ
所詮カネか?誰かの陰謀か?そりゃ解り易いがそれだけじゃないな」

(以上 作詞 Mummy-D、宇多丸 「The Choice Is Yours」より)

という歌詞。例えば何か問題が起こると、すぐに誰かをすぐにスケープゴートにしたり、自分の都合が悪いことがおきると、すぐに陰謀論を唱えたり。そんな昨今、よくありがちな風潮を痛烈に批判しています。

決して悪い意味ではなく、RHYMESTERらしさを存分に感じられる、いい意味で安心して聴けるようなそんなアルバムだったと思います。もちろん、前々作、前作に続く、傑作アルバムという点でも間違いないでしょう。彼らの実力を存分に感じることが出来る作品です。

評価:★★★★★

RHYMESTER 過去の作品
マニフェスト
POP LIFE
フラッシュバック、夏。


ほかに聴いたアルバム

Cocoon/Chara

ロックからソウル、ポップにスカにと、様々なタイプの曲が展開する作風。それにも関わらず、アルバム全体にしっかりと統一感があるのは、やはり彼女の独特なボーカルゆえでしょうか?若干、様々なジャンルに手をつけすぎて、主軸がわかりにくくなってしまった部分もあるようにも思えるのがマイナスでしたが、Charaらしい魅力はきちんとアルバムを通じて感じられました。

評価:★★★★

CHARA 過去の作品
honey
kiss
CAROL
Very Special
Dark Candy
うたかた

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