トリップできそうな快感の1枚
Title:SPIRIT(邦題 スピリット~ライヴの軌跡)
Musician:HASSAN HAKMOUN
グナワという音楽、ここのサイトでも何度か取り上げたので、その名前に聞き覚えある方もいるのではないでしょうか。「モロッコのレゲエ」とも呼ばれる西アフリカのトランス音楽で、昨年夏、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドでその素晴らしいステージを聴かせてくれた、グナワ・ディフュージョンも、その代表的なミュージシャンです。
で、今回紹介するのはモロッコ出身で、現在、ロサンジェルスに活動の拠点を置くグナワミュージシャン、ハッサン・ハクムーンというミュージシャン。今回、このアルバムを聴いてみたきっかけは、「ミュージック・マガジン」誌の2012年ベストアルバム、ワールド・ミュージック部門で1位を獲得したこと。このアルバムは、1988年から2002年の間に行われたライブの模様を収録したライブベスト盤ということだそうです。
ここでも何度かグナワのミュージシャンの作品を取り上げてきましたが、個人的には、その中で一番はまったアルバムでした。ライブ盤ということもあるのでしょうが、トランス風のサウンドがより前面に押し出したようなサウンドが特徴的。ライブ会場で聴いていたら、おそらくトリップしてしまえるような快感があります。中毒性あるミニマルなトライバルビートが特徴的で、一般的なイメージで、実に「アフリカ音楽」らしいサウンドを聴かせてくれます。
グナワというと、アラブ音楽からの影響を受けたミュージシャンも多く、アラブ風のサウンドが良くも悪くも一種の癖になっているのですが、彼の場合、その癖があまり強くありません。ただ、曲によっては、アジアンテイストのエスニックなサウンドが時々顔をのぞかせ、ちょっとしたスパイスのように、ひとつのインパクトとなっています。
そして、さらに素晴らしかったのが、このアルバムに特典としてついてきた「LIVE IN FRANCE」という、おそらくタイトルからして、フランスでのライブの模様をおさめた2曲入りのCD-R。1曲あたり10分を超える長尺で、ミニマルなサウンドが延々と続き、よりトランシーにトリップできるような作品になっています。
とにかく直感的に心地よいアルバムで、一気にはまってしまったアルバムでした。なんでも彼、ここ最近、日本人と結婚したとかで・・・日本でもライブを演ってほしいなぁ。なによりも楽しそうなライブの快感が、そのままつまったような傑作でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
MDNA/MADONNA
全編にエレクトロサウンドを導入したマドンナのニューアルバム。ヘヴィーなビートの曲から、ガーリーなポップソングまでバラエティー豊富。インパクトあるメロディーも相変わらずで、ポップミュージシャンとしての実力を感じるアルバム。全編エレクトロを導入したのは、やはり今話題のLady Gagaの向こうを張ってという感じなのでしょうか?確かに、バラエティー富んだ内容に、「ミュージシャンとしてはこちらが上手」という彼女の主張と自信が伝わってきそう。
評価:★★★★
MADONNA 過去の作品
Hard Candy
Celebration
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