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2013年2月22日 (金)

吹っ切れた!

Title:1-2-3
Musician:THE BAWDIES

最近は、すっかり人気者となったTHE BAWDIES。ライブのチケットも入手がかなり困難な状況が続いていて、その人気のほどが伺えます。完全英語詞で、かつ、60年代からそのまま飛び出してきたようなロックンロールを奏でるバンドがこれだけ人気を獲得するというのは、やはりまだまだこういうロックンロールを求める人は多いんだなぁ、とうれしくなってきます。

そんな人気絶頂ともいえる彼らの最新作。今回のアルバムでまず感じるのは吹っ切れたなぁ、といった印象でした。彼らは昔から、そのロックンロールやソウルからの影響がかなりストレートなバンド。その上、それをあくまでも英語で歌うというスタイル。そうすると、どうしても出てくる意見としては、「THE BAWDIESとしての個性がない」「じゃあ、60年代のロックンロールを聴けばいいじゃん」という意見。確かに、そういう点は、彼らの根本的な弱点とは感じます。

でも、そんな彼らが、このアルバムで選んだスタイルは、いままでのスタイルをそのまま貫くというスタイル。それもいままで以上に、彼らの影響を受けた音楽の影響を隠していないスタンスを感じます。いかにも60年代風な、ちょっとくすんだ赤いジャケットや、「1-2-3」というタイトルなんかもどこかオールドスタイル。楽曲も、オールドスタイルだけどポップで軽快、とても楽しいロックンロールナンバーの連続になっています。

特にそんな傾向が顕著だったのが、タイトルトラックである(そして、なぜかボーナストラック扱いの)「1-2-3」。出だしからして、まんまウィルソン・ピケットなこの曲は、特にソウルミュージックからの影響を前面に押し出した、いままでの彼ら以上に「黒い」ナンバー。おそらく、もっとも彼らが演りたかったナンバーではないでしょうか。

もちろん、ある程度似たタイプの曲が多いというのは彼らも気にはしているのでしょう。シングル曲「LEMONADE」みたいな、ちょっと雰囲気の変わった、軽快なギターポップナンバーも間に挟まっています。ただやはりその上で、彼らが最もフィットする楽曲のスタイルを貫く方向性を強く感じます。

アルバム全体で、わずか40分弱という、昔のアルバムのような短さもまた、好印象。これだけ短いからこそ、それこそ楽曲のバリエーションを気にせず、勢いで最後までダレルことなく楽しめるアルバムになっています。彼らがごちゃごちゃ難しいこと抜きで、やりたいことをやりつくした感じのする傑作アルバム。最後まで息をつかせぬ楽しいアルバムでした。さっそく登場した今年のベスト盤候補。まだまだTHE BAWDIESの勢いは続きそうです。

評価:★★★★★

THE BAWDIES 過去の作品
THIS IS MY STORY
THERE'S NO TURNING BACK
LIVE THE LIFE I LOVE


ほかに聴いたアルバム

STEP FOR FIVE/ゴスペラーズ

一言で語ると王道。今風のエレクトロサウンドを取り入れたりはしているものの、R&B系男性ボーカルグループが、アイドル系からダンスユニットからいろいろと増える中、ちゃんといままでどおりの道を歩みつづけている感じが、彼らの自分たちに対する自信を感じさせます。目新しさという部分は乏しいものの、安心して聴くことが出来るゴスペラーズらしいアルバムでした。

評価:★★★★

ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II

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