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2013年2月18日 (月)

高橋優の魅力つまったミニアルバム

Title:僕らの平成ロックンロール(2)
Musician:高橋優

高橋優については、はじめて聴いたメジャーデビュー作「リアルタイム・シンガーソングライター」が正直いまひとつで、続く「この声」が傑作だっただけに、どちらが本当の彼の実力なんだろう?という感覚を抱いていました。

それだけに、彼のアルバムで3番目に聴いた今回の新作、「リアルタイム~」の彼が本当なのか、「この声」の彼が本当なのか、それを見極めるためにも、個人的には重要な作品だと思っていました。それで、聴いてみた結果なのですが・・・やはり「この声」で見せてくれた彼の実力こそ、本当の彼なんだなぁ、ということを実感することが出来ました。

まず1曲目「ボーリング」が素晴らしい。「面倒臭ぇ!」としがらみだらけで上手くいかない日常に対して叫び

「努力しなくてもプロフェッショナルになりたい
傷付けなくても愛し合える人でありたい
僕らにだけ都合のいいように 全宇宙が団結してくれりゃいいのに」

(作詞 高橋優 「ボーリング」より)

まあ、はっきりいって都合よい叫びですよね。でもある意味、多くの人にとっては本音ではないでしょうし、また、こういう部分をさらすことによって、私は逆に勇気づけられるように思います。要するに、「あぁ、こういう都合がいいこと思っているのは自分だけじゃないんだ」と。そして、逆に、こういう気持ちを胸の奥底にしまい込んで、日々の生活をがんばれるような思いがしました。薄っぺらく「がんばれ」だけを叫ぶようなJ-POPよりも、彼の歌はよっぽど前向きになれるような気がします。

そういう弱い部分をかかえた人たちの本音という意味では、「昨日の涙と、今日のハミング」にも印象的な歌詞がありました。

「『一等賞を獲らなきゃ それ以外では意味ありません』
そう言い放つアスリートに拍手喝采が巻き起こってる

『じゃ僕の人生無意味ですか?』とテレビに問いかけてみる
『知らん!』と言わんばかりに既に キャスターは次の話題を話していた」

(作詞 高橋優 「昨日の涙と、今日のハミング」より)

なんか、ここ最近、ずっとこの手の風潮が続いているような気がするんですよね。みんな一等賞を取るようにがんばらなくてはいけない、的な。彼の歌は、そんな一等賞になれない人たちに、「そのままでいいんだよ」みたいに歌っている訳ではありません。ただ、そういう人たちの本音をそのまま歌っている歌詞に、非常に共感をもてるし、上でも書いた通り、逆にがんばろう、という気分にもなってきます。

かと思えば「I LOVE YOU」のようなシンプルなラブソングなんかもあったりするのも素敵なところ。彼の、前向きにつんのめっているようなボーカルも、リアルのある叫びのようなものを感じられて、とても心に残ります。

前作「この声」でも感じた「ささいな日常の肯定」というのを強く感じられた今回のミニアルバムは、まさに彼の魅力を存分に出すことの出来た傑作ではないでしょうか。今後もどんどん傑作をリリースしてくれそうな、非常に楽しみになってくる作品でした。

評価:★★★★★

高橋優 過去の作品
リアルタイム・シンガーソングライター
この声


ほかに聴いたアルバム

バラー丼/いきものがかり

いきものがかりのバラードベスト。正直、聴いていて途中から胸焼けがしてきました。というのも、どの曲もお決まりのように曲を盛り上げるためにストリングスアレンジが入っているから。彼らに限らず最近のJ-POPの傾向なんですが、曲を盛り上げるための安直なストリングスってもうやめません?アルバムの中の1曲としてならば問題ないのでしょうが、似たタイプのアレンジの曲を並べられると、聴いていて、かなり厳しい内容でした。

評価:★★★

いきものがかり 過去の作品
ライフアルバム
My Song Your Song
ハジマリノウタ
いきものばかり
NEWTRAL

Sync/木村カエラ

前作は、ASPARAGUSの渡邊忍が全面プロデュースを手がけていましたが、今回は、様々なミュージシャンが参加しています。その結果、エレクトロアレンジの曲、ギターロック、80年代風ポップ、ソフトロックなどなど、様々なタイプの曲が並んだバラエティーあふれるアルバムになっています。そして、どの曲もポップで楽しく、そういう意味では、木村カエラらしい、聴いていて素直に楽しめるアルバムに。ただ、いい意味でも悪い意味でも、少々「無難」な面は否めず、いままでの木村カエラにはなかったような新鮮味、みたいなものには乏しく、また、核になるような1曲というのもなかったのはちょっと残念だったかも。

評価:★★★★

木村カエラ 過去の作品
+1
HOCUS POCUS
5years
8EIGHT8

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