大きな成長を感じる傑作
Title:one and zero
Musician:androp
andropのニューアルバム「one and zero」が素晴らしい!andropのアルバムについては、いままでも聴いていました。オルタナ系のギターロック路線は、個人的には好きなタイプではあったものの、特にこれといった特徴のない感じで、悪くはないけど・・・といった印象で、積極的に推したくなるようなアルバムではありませんでした。
ただ、そんなニューアルバムは、そんないままでのイメージを払拭するような内容に。イントロを挟んで、事実上の1曲目となる「Rising Star」からまず、ノイジーなギターの音にピアノの音色が幻想的で美しいシューゲイザーナンバーが耳を惹きます。続く「Boohoo」も、ファンキーなギターのリフに重なるシンセの音色が美しいナンバーでインパクト十分です。
他にも、ファンキーなベースの早弾きがインパクト十分な「Plug In Head」や、爽やかなシティポップ風の「Radio」、トランシーな4つ打ちのナンバー「World.Words.Lights.」、音数絞ったポストロック風のアレンジが印象的な「Human Factor」などバリエーションが豊富な内容に。全体的に、シンセなどを使用し、美しくコーティングされたような、夢の世界のようなサウンドが印象的で、耳を惹くものがありました。もともとから、バリエーションのある楽曲を聴かせてくれるバンドでしたが、アルバム全体を流れる音の美しさに、andropとしての個性を感じられる仕上がりになっていたように思います。
一方では、「You」みたいなダイナミックなバンドサウンドを聴かせてくれたり、王道のギターロック路線もしっかりと健在。「Am0:40」あたりは歌詞もメロもインパクト十分なのですが、BUMP OF CHICKENっぽいのはご愛嬌?最後は、ストリングスも入れて、幻想的な雰囲気たっぷりの、タイトルズバリ「End roll」で締めくくる点まで、構成もパッチリです。
また、メロディーラインは、基本的にポップで聴きやすく、そのため、様々なタイプの曲を取り入れても、小難しくならず、聴きやすいポップに仕上がっている点も特徴的。ただ、その一方で、メロディーはちょっとベタに陥りやすく、前作まででも目立っていた、平凡なギターポップのチラホラ。いわゆる「ハズレ」の曲も少なくなく、そういう意味では、ちょっと残念な部分も。全15曲入りなのですが、もうちょっと曲を絞れば、さらなる傑作になったのではにでしょうか。
とはいえ、そういう点を差し引いても、いままで聴いてきたandropのアルバムの中で、間違いなく最高傑作であり、彼ら自身、ひとつ壁を超えたアルバムであったと思います。いままで、平凡なギターロックバンドという印象だったのですが、これだけのアルバムをリリースできれば、これから先、さらなる傑作を産み出せそう。楽しみです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
BRACKISH/SHAKALABBITS
ベースのKING脱退、新メンバーYOSUKE加入後、初となる作品は6曲入りのミニアルバム。ここ最近、ハードロック路線に舵をとり、このアルバムも、基本的にその路線は顕著ですが、本作ではそれに加えて、原点回帰的なスカからの要素も強く感じられました。軽快なギターロックは新鮮味はありませんが、安定感があって、安心して聴ける印象。
評価:★★★★
SHAKALABBITS 過去の作品
SHAKALABBITS
4 ALL AGES
Phasemeter Trippin' Bug Shake
Condenser Baby
FUCK FOREVER/a flood of circle
こちらも全7曲入りのミニアルバム。基本的に、基礎体力のあるバンドなので、ガレージロック路線が決まればカッコいいのですが、ボーカルの声があまりにも端整なのと、メロディーにひねりが足りず、少々平凡さが目立つため、一歩間違えるとつまらないJ-POP路線に陥ってしまうのが玉に瑕。「Summertime Blues II」「KINZOKU Bat」あたりが前者の代表で文句なしにカッコいいのに、後者の影響が出てしまった「FUCK FOREVER」は、90年代のヴィジュアル系バンドみたい・・・。前作では、後者のタイプの曲を払拭し、大きく一歩前進したかな?と思っていたのですが、また元に戻ってしまったのが残念。脂がのれば、日本を代表するようなガレージバンドになれる素質は持っていると思うのですが・・・。
評価:★★★★
a flood of circle 過去の作品
泥水のメロディー
BUFFALO SOUL
PARADOX PARADE
ZOOMANITY
LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL
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