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2013年2月

2013年2月28日 (木)

新譜ラッシュ

今週のアルバムチャート

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先週はチャートの谷間だったアルバムチャート。今週は一変、10枚中9枚初登場という新譜ラッシュとなりました。

そんな新譜ラッシュの今週のチャートを制したのは、MISIAのベスト盤「Super Best Records-15th Celebration-」でした。昨年の紅白では、アフリカからの生中継が話題となった彼女。最近、一時期の人気に比べると、少々人気は落ち気味でしたが、1位獲得はさすが・・・と言いたいところなのですが、初動売上は6万4千枚。直近のリリース作「MISIAの森 -Forest Covers-」の1万3千枚、直近のオリジナル「SOUL QUEST」の1万9千枚からは大きく上回りましたが、2004年にリリースした、ラブソング&バラードベスト「MISIA Love & Ballads ~The Best Ballade Collection~」の6万5千枚よりも下回りましたし、2002年にリリースした初のベスト盤「MISIA GREATEST HITS」の初動58万枚から比べると、かなり寂しい結果になってしまいました。もっとも、浮動層をまだまだ取り込めるという意味では、今後、また大きなヒットを生み出せる可能性はあるのですが。

2位はジャニーズ系。V6「Oh!My!Goodness!」が入ってきています。初動売上は5万3千枚。前作「READY?」は初動6万8千枚なので、少々ダウンしてしまった結果になりました。

3位はavexから出てきた女性アイドルグループ、SUPER☆GiRLS「Celebration」。3作目にして初のベスト3入り。ただし、初動売上は2万5千枚で、前作「EveryBody JUMP!!」の2万4千枚から微増に留まっています。

4位以下も初登場が続きます。4位はハードコアバンドBRAHMAN「超克」がランクイン。3年8ヶ月ぶりとなる新譜で、ファンにとっては待ちに待った感の強いアルバム。初動売上2万2千枚は、前作「ETERNAL RECURRENCE」の1万9千枚から若干ながらもアップしており、根強い人気を感じさせます。

5位には、ボーカロイド作品のコンピレーション「EXIT TUNES PRESENTS Vocalosensation feat.初音ミク」が入ってきています。ボカロ系コンピとしては、昨年8月にリリースされた「EXIT TUNES PRESENTS Vocaloconnection feat.初音ミク」が5位初動1万9千枚を記録しています。順位は横バイでしたが、初動売上は1万7千枚と、微減という結果になりました。

まだまだ初登場は続きます。6位には、人気声優花澤香菜のデビューアルバム「claire」がランクインです。初動売上は1万5千枚。シングルは、初動1万1千枚~2千枚程度で推移していたので、そこそこ好調な結果に。作曲勢としては、ROUND TABLEの北川勝利や元Cymbalsの沖井礼二、クラムボンのミト、さらにはカジヒデキも参加と、渋谷系(死語?)ポップス勢中心に、なかなか豪華な面子が名前を連ねています。

7位は、ご存知沖縄出身のパンクバンド、MONGOL800「GOOD MORNING OKINAWA」が入ってきています。初動売上は1万2千枚。先日発売されたベスト盤「800BEST -simple is the BEST!!-」の2万4千枚からはダウン。オリジナルとしての前作「eight-hundreds」の1万8千枚からもダウン。ベスト盤の売上がなかなか好調で、今週も12位にランクインしていますが、ベスト盤の好調さが、オリジナルにはあまり波及しなかった模様です。

9位は、RADIOHEADのトム・ヨークが、レッチリのフリーらと組んで大きな話題となったバンドATOMS FOR PEACEのデビュー作「AMOK」がランクインしています。2010年のフジロックで、日本ではお目見えしており、それ以降、待ちに待った感のあるデビューアルバム。初動売上は1万枚。RADIOHEADの前作「THE KING OF LIMBS」は3位初動2万6千枚、RED HOT CHILIPEPPERSの前作「I'M WITH YOU」は2位初動7万3千枚だったので、両者のファンは残念ながらあまり取り込めていない模様。

最後10位には、人気動画サイトニコニコ動画の「歌ってみた」企画で人気となったシンガー灯油「トーキョープレジャーグラウンド」がランクイン。2作目にして初のベスト10入り。ただし、初動売上は7千枚で、最高位13位だった前作「トモシビアブラ」の初動9千枚よりダウンという結果になっています。

初登場は以上。で、今週、唯一の旧譜が、ここ最近、ロングヒットを続けているONE DIRECTION「TAKE ME HOME」が先週の4位から8位にランクダウン。ただ売上は1万4千枚から1万2千枚と微減に留まり、ロングヒットは続きそう。BRUNO MARS「UNORTHODOX JUKEBOX」は残念ながら今週は13位までランクダウン。こちらも9千枚→7千枚と粘り強い人気はありますが、なにか起爆剤がないと、再度のベスト10入りは難しい状況か。

そんなわけでアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に~。

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2013年2月27日 (水)

またもミリオン、だけれども。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週の1位は、AKB48の新譜が獲得。

AKB48の新譜「So long!」が1位獲得。初動売上は103万5千枚。これで10作連続の初動ミリオンとなりましたが、前作「永遠プレッシャー」は、いわゆる「じゃんけん選抜」によりセンターが決まった曲で、初動売上は107万3千枚と大きくダウンしていましたが、それよりさらに下がる結果に。次回作は、おそらく例の「総選挙」の投票券が入ってくると思われるので、初動売上は伸びそうですが、連続100万枚記録は少々厳しい状況に。

2位は、EXILEの事務所に所属している女性アイドルグループ、E-girls「THE NEVER ENDING STORY ~君に秘密を教えよう~」。フジテレビ系ドラマ「ビブリア古書堂の事件手帖」主題歌。このドラマ、主演の剛力彩芽が、原作のイメージとかけはなれていることから、悪い意味での大きな反響を呼びましたが、この曲も、80年代の映画「ネバーエンディング・ストーリー」主題歌のカバーで、なんでいまさらこの曲?といった感じも。「ネバーエンディング・ストーリー」も、原作「はてしない物語」とエンディングが大きく異なっていたことから、原作者との確執が生じたことが大きな話題となりましたが、まさか、だからあえてこの曲をカバー?ってことはないと思うんですが・・・・・・。

3位は、メンバー全員が、狼の頭に人の身体というスタイルを貫いている点でも大きなインパクトのあるロックバンド、MAN WITH A MISSION「Emotions」がランクイン!なんと、メジャー3作目にしていきなりのベスト3ヒットとなりました。初動売上は3万枚で、前作「distance」の1万枚から3倍増という大躍進。間違いなく、今、もっとも勢いのあるロックバンドでしょう。

続いて、4位以下の初登場ですが、まず5位に、THE ALFEE「Final War!」がランクイン。テレビ東京系「ウルトラマン列伝」主題歌で、いかにも特撮の主題歌のような、マイナーコード主体アップテンポな、叙情的かつダイナミックな楽曲に。初動2万6千枚は、前作「生きよう」の1万9千枚からアップ。連続ベスト10記録を47作に伸ばしています。

6位には、アイドルグループw-inds.の橘慶太ことKEITA「Slide'n'Step」が入ってきています。今風のエレクトロダンスチューンのなかなかカッコよいナンバー。初動売上2万3千枚は、橘慶太名義だった前作「FRIENDS」の1万9千枚からアップ。

7位初登場はTOKIO「リリック」。日テレ系ドラマ「泣くな、はらちゃん」主題歌。メンバーの長瀬智也作詞作曲で、悪くはないのですが、普段、TOKIOに楽曲を提供している一流どころの作品に比べると、いまひとつ特色の薄い平凡なポップスに。初動2万2千枚で、前作「羽田空港の奇跡」の2万5千枚より若干のダウン。

9位には、ヴィジュアル系バンド己龍「悦ト鬱」が入ってきています。和風をテーマとした個性的な化粧と服装が、いかにもヴィジュアル系といった雰囲気のバンド。ベスト10ヒットははじめて。初動売上は1万3千枚で、11位だった前作「灯」の9千枚よりアップ。かなり個性的な雰囲気のルックスと楽曲の雰囲気で、徐々に人気を伸ばしている感じ。

そしてベスト10最後は、10位にASIAN KUNG-FU GENERATION「今を生きて」が入ってきています。映画「横道世之介」主題歌。爽やかなメロディーが印象的で、アジカンにしてはゆっくりめな雰囲気のナンバー。ベスト10入りは2作ぶりなのですが、初動売上は1万3千枚は、ベスト10から落ちてしまった前作「それでは、また明日」の1万7千枚からダウンしてしまい、少々厳しい状況が続いています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日に。

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2013年2月26日 (火)

ワーキングクラスのヒーロー

Title:JAKE BUGG
Musician:JAKE BUGG

昨年、イギリスでデビューし、大きな話題を集めたシンガーソングライター。あのノエル・ギャラガーが絶賛し、自らのツアーのオープニングアクトに起用した他、再結成したストーン・ローゼズのオープニングアクトにも起用されて話題を集めています。

若干18歳の彼。そして、このデビューアルバムも、イギリスのアルバムチャート1位になるなど、人気も十分獲得してきています。

ノエル・ギャラガーは、彼のことを「ボブ・ディラン meets アークティック・モンキーズ」と評したそうですが、音楽的には、まさにそのコメントの通り。特に冒頭を飾る「Lightning Bolt」など、しゃがれた声に、かき鳴らすアコギの音は、おそらく多くの方がボブ・ディランを思い起こしたのではないでしょうか。

前半は、その「アークティック・モンキーズ」というコメントから彷彿とさせるような、ガレージロック風の楽曲が多く、これが、彼の若さから来るような粋がったボーカルや、かき鳴らすアコギの音にもピッタリ。フォーキーでオールドスタイルの荒っぽい音づくりになっていて、インパクトは十分。確かに、懐かしいという部分もあるのですが、それ以上に荒っぽい音が、リアリティーのある若者の叫びという部分を上手く演出しています。

後半は、フォーキーで聴かせるミディアムテンポの曲が多く、ロックという側面は少々後退気味。そういう意味では物足りなさを感じる側面は否定できません。ただ、しっかりと聴かせてくるメロのセンスの良さはひかっており、メロディーメイカーとしてのミュージシャンの基礎体力を彼が十分持っていることをうかがわせます。

そして、JAKE BUGGの大きな魅力は、その歌詞でしょう。「ワーキングクラスのヒーロー」という呼ばれ方もしていますが、やはりそれはその歌詞の内容故。ここらへん、日本人だとストレートに伝わってこないのが残念なのですが・・・。

歌詞の内容は、ワーキングクラスで生きる若者たちの日常と、その中での強烈な上昇志向。例えば、冒頭の「Lightning Bolt」では

「They say you gotta toe the line
They want the water not the wine
But when I see signs
I'll jump on that lightning bolt」
(訳 規則に従えと彼らは言う。
彼らがほしいのはワインではんく水。
しかし、兆しを感じたら、俺はあのイナズマに飛び乗るよ)

(Written by Jake Bugg/Iain Archer 「Lightning Bolt」より)

と歌ったり、「TROUBLE DOWN」でも

「Stuck in speed bump city
Where the only thing that's pretty
Is the though of gettin' out」
(訳 スピードバンプ(車の減速のために道路に設けられた段差)だらけの街から抜け出せない。
ここで心地よい唯一のことは、ここから出ることを考えることさ)

(Written by Jake Bugg/Iain Archer 「Trouble Down」より)

と、かなり明確な上昇志向を歌っています。こういう現実の中でもがき、その中から抜け出そうという姿は、まあ、昔からありふれたネタといえばネタなのですが、非常に共感できる内容ではないでしょうか。

彼は「Xファクター出身のカスどもをチャートから追い出すことこそが使命」というビックマウスぶりでも話題を呼んでいるそうですが、こういう粋がった若者こそが新しい時代をつくるんだよなぁ、と思っちゃうのは、逆に私がオヤジだから??日本でもさぁ、「アイドルどもとチャートから追い出すことこそ使命」くらいのこと、言っちゃうくらいのバンドやシンガーがあらわれてもいいと思うんだけどね。

楽曲のタイプ的には、正直、今のままだと長く続くというタイプじゃないかもしれませんが、18歳の年に、この1枚をリリースしただけでも十分意義のある作品だと思います。ただ、メロディーの良さといい、今後、長く続くだけの実力も十分なシンガーに感じます。今の「若者の粋がった叫び」がどのように変化していくかを含めて、今後が楽しみなシンガーです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

爆発ライブ~渋谷編/GREEN DAY

昨年は、「UNO!」「DOS!」「TRE!」という3枚のアルバムを続けてリリースしましたが、この3枚のアルバムを国内盤で購入するとシリアルコードが封入されており、それを3つ集めると、ダウンロードできるのが、このライブ音源。昨年8月にSHIBUYA-AXで行われたライブの模様を収録した音源で、収録曲は

  1. Stop When The Red Lights Flas
  2. Carpe Diem
  3. Kill The DJ
  4. 99 Revolutions

の4曲。原曲よりも、よりヘヴィーになった印象があり、ライブならではの迫力ある音が魅力的。バンドとしてのパワーも感じます。たった4曲とはいえ、ファンならチェックしておきたい音源。アルバム3枚を購入した方なら、もうダウンロード済みだとは思うのですが・・・2月末までの特典なので残りあとわずか。まだの方は急げ!

評価:★★★★★

GREEN DAY 過去の作品
STOP DROP AND FALL!!!(FOXBORO HOTTUBS)
21st Century Breakdown
AWESOME AS F**K(邦題:最強ライヴ!)
UNO!
DOS!

TRE!

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2013年2月25日 (月)

以前から一度行ってみたかったライブ

米米CLUB a KOME KOME CLUB ENTERTAINMENT 2013 大天然祭~大漁歌い込み~

会場 日本ガイシホール 日時 2013年2月16日(土)17:00~

私が中学生の頃、日本を代表する人気バンドだった米米CLUB。その当時は、よく同じく大人気だったバンド、プリンセスプリンセスと並び評されていました。個人的には、プリプリのファンだったのですが、米米はライブがとても楽しい、という話は学生時代からよく聞いており、そのため一度ライブに行きたいなぁ・・・ということは昔から思っていました。

Komekome

で、それなら云十年、復帰後の米米のライブに、今回、はじめて足を運ぶことが出来ました。会場は日本ガイシホール。本格的なアリーナツアーということもあって、多くのファンが集まっていました・・・が、やはり、年齢層はほとんどがアラフォー世代(^^;;私くらいでも、若い方だったような。また、中学生以下にはチケット代を一部キャッシュバックという企画をやっているためか、家族連れも多く見かけました。

会場は約8割程度の入り。最近のCDの売上から考えると、かなり好調な入りで、ここらへんはさすがライブバンドならでは?ステージ上には「大天然祭」と毛筆の字体で書かれた大きな幕がかけられていました。

やがて5時を5分ほど過ぎるとライブがスタート。最初は、メンバーの一部が、自己紹介のアナウンスと共に、幕の前に1人ずつ登場し、概ね自己紹介が終わると、幕が落ち、一気にライブ本編がスタートしました。

この日は、「第一部」「第二部」とライブ構成がわけられていて、「第一部」は「大漁歌い込み」というサブタイトルどおり、船をモチーフにしたようなステージ上で、アップテンポな曲がメインとなるステージ。1曲目はいきなり「嫁津波」からスタートしたのですが、さすがに「津波」は歌えなかったみたいで、歌詞は「嫁の波」に変えられていました。

この「第一部」で大きく特徴的だったのは、日本伝統の祭り囃子を取り入れていた点。そのため、まるで会場はお祭りのような雰囲気に。かつ、そこにファンクをはじめとした洋楽の要素も強く入れており、いわば「民謡風ファンク」的なリズムに。まさに民謡のリズムに、ダイナミックなバンドサウンド、ホーンセッションのリズムを融合させたステージは、無条件で踊りだしそうな楽しいステージでした。

「第一部」は、その後、懐かしい「FUNK FUJIYAMA」や、新曲「TAKARABUNE」などを含む約45分のステージ。とても楽しいステージでした。このステージの楽しさって、あのソウルフラワーユニオンに通じる楽しさなんですよね。まさか米米のライブでSFUと同じような楽しさを味わえるとは思っていませんでした・・・。米米のステージの楽しさって、どちらかというとエンターテイメントショー的な要素がメインだと思っていただけに、きちんと音楽的な側面でも「楽しさ」を演出している点、米米CLUBのライブミュージシャンとしての実力を再認識しました。

「第一部」は45分程度のステージ。ここで15分の休憩を挟んで、続いて「第二部」に突入。こちらは、「いつもの米米」のステージということでした。

この「第二部」では、懐かしいヒット曲なども並び、熱心なファンではない私にとっては、特に「ああ、そういえばこういう曲もあったなぁ」と懐かしく感じる曲もチラホラ。「TIME STOP」からはじまり「抱きしめたい」も懐かしいなぁ、と感じたり。さらにテキーラまさはるという、ゲストボーカルが登場し、「ベネズエラでは誰もが知っている曲です」といって何を歌いだしたかと思うと、「君がいるだけで」のスペイン語?バージョン。さらに、その後、カールスモーキー石井が再登場し、「君がいるだけで」をしっかりと歌ってくれました。

中盤以降は、シュー・クリーム・シューのステージがあったり、ジェームス小野田が、金ぴかの鎧を身にまとい登場し(「第二部」では最初のうちは、ステージ上にはいませんでした)、彼のボーカル曲で盛り上がったり、大人数で様々なパフォーマンスが出来る米米ならではのバラエティーに富んだステージに。後半では、ジェームス小野田と、ミナコによるデゥオでの「愛ズレー恋ズレー」からジェームス小野田とカールスモーキー石井の「オン・ザ・ロックをちょうだ」への流れを一種のコントのように演じて、会場をわかせました。

終盤は、「OH!MY ANGEL」、そして個人的にもっとも聴きたかった「SHAKE HIP!」へ。ある意味、この日一番盛り上がったかもしれません。私ももちろんダンス。米米らしいファンキーで、かつ、ステージ全体会場全体で盛り上がれるナンバーで、まさに本編ラストにふさわしい締めくくりでした。

アンコールは、カールスモーキー石井が、ピアノの演奏だけをバックに、バラードナンバー「愛してるのに」を披露。そして、ラストは、ご存知「浪漫飛行」へ。会場は大いに盛り上がり、ライブはフィナーレへ。最後は、メンバー全員がステージの前にズラリと並び、メンバー紹介、そして丁寧にファンやスタッフにお礼の言葉を述べて、3時間に及ぶライブは幕を下ろしました。

「第二部」は、まさにエンターテイメントショーといった感じのステージ。最初から最後まで、ひとつの流れとして構成されたステージで、歌あり踊りありコントありの楽しいステージでした。実際、カールスモーキー石井も、自ら「司会者」と言っていたので、そういうショーであることを強く意識しているのでしょう。

ただ、ライブ自体は、楽しい部分といまひとつな部分の差が大きかった印象が。コミカルな要素が強い部分、洋楽のテイストが強い曲、あるいは逆に、思いっきり歌謡曲風に振れた曲に関しては文句なしに楽しかった反面、普通のJ-POP風のナンバーは、少々平凡に感じられましたし、バラードナンバーなどは、カールスモーキー石井のナルシスティックな部分が前に出てしまい、ファンではないと退屈に感じられる部分も・・・。

とはいえ、ライブ全体は、まさにショーとしてよく考えられていて、全体的には、熱心なファンではなくても十分楽しめられるステージだったと思います。充実した3時間で、満足して会場を後にしました。

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2013年2月24日 (日)

どこか懐かしい空気が

Title:SHIELDS
Musician:GRIZZLY BEAR

今回紹介するアルバムは、アメリカの4人組インディーロックバンドの新作。前作「Veckatimest」も大きな評判を集めましたが、今回のアルバムも、各種メディアの2012年年間ベストアルバムの上位にランクインしたほか、アメリカのビルボードチャートで7位、イギリスのチャートでは17位というヒットを記録しています。

前作は聴いておらず、今回のアルバムも、年間ベストアルバムに多く顔をのぞかせていたことから、遅ればせながら聴いてみました。まず、彼らのアルバムからはサイケデリックロックの要素を強く感じます。「Sleeping Ute」から、サイケちっくなサウンドが印象的ですし、続く「Speak In Rounds」も同様、サイケデリックロックの影響を強く感じます。

ただ、それ以上に強く感じたのは、60年代の懐かしい空気。「Yet Again」などの出だしのギターやメロディーなど典型的なイメージですが、哀愁ただようメロディアスなポップスは、60年代のギターロックバンドの雰囲気を強く感じます。

そのため、サイケなサウンドとあわせて、アルバム全体、どこか懐かしい空気が漂うようなアルバムだったと思います。また、メロディーはどの曲もメロディアスで聴きやすく、ポピュラリティーがあり、アメリカやイギリスなどでヒットを記録しているのも、そういう耳なじみやすいメロディーを書くバンドであるという理由が大きいのでしょう。

ただ、この手のオールドスタイルなメロといい、サイケ風なサウンドといい、最近のインディーバンドって、こういうタイプが多いような、という漠然とした印象も。ちょっとおとなしくまとまっている感じもあって、惜しい印象も受ける、そんな作品でした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

+/ED SHEERAN

このデビューアルバムが、全英1位、全米5位という大ヒットを記録し、一躍話題となったイギリスのシンガーソングライター。アコースティックメインのサウンドで、良質なメロディーをしんみりと聴かせる、いわば正統派なシンガーソングライターといった感じ。日本で言えば、秦基博あたりのイメージにかぶる部分も?ただ、彼よりは、ずっとR&B寄りなのが大きな特徴なのですが。良質なポップアルバムといった感じで、広い方にお薦めできる作品。

評価:★★★★★

My Life II...the Journey Continues (Act 1)/Mary J.Blige

「クイーン・オブ・ヒップホップ・ソウル」の最新作。その名の通りのHIP HOPソウルから、80年代風のディスコサウンドまで幅広く聴かせるが、基本は王道R&B路線。迫力のあるボーカルでしっかりと聴かせてくれます。新鮮味という意味ではちょっと薄いものの、基本的に安心してじっくりと聴いていられるアルバムでした。

評価:★★★★

Mary J.Blige 過去の作品
STRONGER WITH EACH TEAR

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2013年2月23日 (土)

カバーアルバム3枚

今回は、カバーアルバム3枚をほぼ同時期に聴いたので、同時に感想をアップ。もちろん、相互に影響されたリリース、ではありませんが・・・。

Title:渋彩歌謡大全
Musician:渋さ知らズ

まずは渋さ知らズによる、日本のポップスのカバーアルバム。渋さ知らズといえば、大所帯で奏でる、圧巻の音の世界が特徴的なジャズバンドですが、基本的にそのスタイルは、このカバーでも貫かれています。

ちょっと意外な選曲の「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」も、基本、その渋さ路線が貫かれたインストに仕上げており、原曲のイメージとかなり異なりユニーク。まさに人力YMOというべき「RYDEEN」のカバーも、その出来映えはともかくとして、一聴の価値ありのユニークなカバーに仕上がっています。

ただ、基本的に歌詞とメロディーを聴かせる歌謡曲のカバーに、確かに演奏が後ろに回っている曲も少なくないものの、渋さのようなアバンギャルドな演奏はちょっとクドイようにも感じられました。そんな中、一番彼らの演奏とマッチしていたのは、最後の「君は答えよ」。あの「伝説のおかま」として知られる同性愛者の活動家、東郷健が歌った曲で、社会派ながらもかなりエグく、かつ猥雑な歌詞が特徴的。それが渋さのアングラ感満載の演奏とピッタリマッチしていて、絶妙な名カバーに仕上がっています。

おなじみの曲も多いだけに、聴きやすい内容でしたが、渋さとマッチしているか、といわれるとちょっと微妙な部分もあったカバーアルバム。まあ、これはこれでおもしろいかも。

評価:★★★★

渋さ知らズ 過去の作品
渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)
生渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)
割れ渋栗(川口義之with渋さ知らズオーケストラ)

渋夜旅

そして、同じ「歌謡曲」メインでも、こちらは対極的にシンプルなアレンジが特徴。

Title:COVER 70's
Musician:柴田淳

こちらはシバジュンのカバーアルバムで、タイトル通り、70年代の歌謡曲のカバー。彼女が小さい頃に慣れ親しんだような曲がメインとなるカバーで、初回盤のジャケットは、彼女の幼児の頃の写真が使われているのですが、まさにその頃に親が歌って、慣れ親しんだ曲、ということでしょう。

基本的に、原曲のイメージを重視したシンプルなアレンジになっています。ただ、一番魅力的だったのは、やはりシバジュンのボーカルそれ自体。憂いをひめた彼女のボーカルが、これがおもしろいほど歌謡曲やフォークソングの雰囲気にマッチ。絶妙で、かつ味わいのあるカバーに仕上がっています。

特に「青春の影」「東京」のように、原曲が男性ボーカルの曲については、より哀愁ただようノスタルジーを感じるようなカバーになっており、味わい深さが増した感じに。女性ボーカルの曲についても「異邦人」などは、シバジュンのボーカルが曲のイメージにピッタリ合っていて、驚くほど。原曲の良さを再認識すると共に、ボーカリスト柴田淳の魅力も存分に感じられるカバーアルバムになっていました。

インタビューでは、「カバーミュージシャンになるつもりはない」みたいな話をしていましたし、やはりカバーよりもオリジナルが聴きたいのですが、これだけ歌謡曲の雰囲気に彼女のボーカルが合うのなら、機会があれば、またカバーアルバムを聴きたいなぁ。実に魅力的な、カバーアルバムの逸品でした。

評価:★★★★★

柴田淳 過去の作品
親愛なる君へ
ゴーストライター
僕たちの未来

そして最後は、こちらは洋楽。映画音楽のカバーアルバムです。

Title:My Favorite Songs~うたの木シネマ~
Musician:渡辺美里

いままでも「うたの木」と題して、何枚かのカバーアルバムをリリースしている彼女。今回は、タイトル通り、映画音楽をカバーしています。

正直言えば、渡辺美里の「うたの木」シリーズ。いままでの作品は、名カバーからはほど遠いものでした。一番の理由は彼女の歌唱力の問題。確かに彼女、声量はあります。音程もしっかり取れています。ただ、歌い方が、全体的にのべっとした平坦な歌い方をしていて、単調。彼女は一般的に「歌が上手い」といわれ続けてきましたが、声量や音感の良さに、少々頼りすぎてしまっているきらいがあるように感じました。

それだけに今回のカバーアルバムも期待はしていなかったのですが、今回のアルバムに関しては、その単調な歌い方がグッと良くなっているように感じました。しんみりと、感情を込めて噛み締めるような丁寧なカバーが多く、ボーカリストとしての魅力を感じることが出来るカバーが多く収録されているように感じました。

もっとも、原曲に対して、彼女なりの新しい解釈は希薄で、新たな発見みたいなものはなかったのは残念なのですが・・・とはいえ、あまり期待していなかったアルバムだったのですが、思ったよりは良いアルバムだったと思います。ボーカリストとして、一歩前進した、そんなカバーアルバムでした。

評価:★★★★

渡辺美里 過去の作品
Dear My Songs
Song is Beautiful
Serendipity

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2013年2月22日 (金)

吹っ切れた!

Title:1-2-3
Musician:THE BAWDIES

最近は、すっかり人気者となったTHE BAWDIES。ライブのチケットも入手がかなり困難な状況が続いていて、その人気のほどが伺えます。完全英語詞で、かつ、60年代からそのまま飛び出してきたようなロックンロールを奏でるバンドがこれだけ人気を獲得するというのは、やはりまだまだこういうロックンロールを求める人は多いんだなぁ、とうれしくなってきます。

そんな人気絶頂ともいえる彼らの最新作。今回のアルバムでまず感じるのは吹っ切れたなぁ、といった印象でした。彼らは昔から、そのロックンロールやソウルからの影響がかなりストレートなバンド。その上、それをあくまでも英語で歌うというスタイル。そうすると、どうしても出てくる意見としては、「THE BAWDIESとしての個性がない」「じゃあ、60年代のロックンロールを聴けばいいじゃん」という意見。確かに、そういう点は、彼らの根本的な弱点とは感じます。

でも、そんな彼らが、このアルバムで選んだスタイルは、いままでのスタイルをそのまま貫くというスタイル。それもいままで以上に、彼らの影響を受けた音楽の影響を隠していないスタンスを感じます。いかにも60年代風な、ちょっとくすんだ赤いジャケットや、「1-2-3」というタイトルなんかもどこかオールドスタイル。楽曲も、オールドスタイルだけどポップで軽快、とても楽しいロックンロールナンバーの連続になっています。

特にそんな傾向が顕著だったのが、タイトルトラックである(そして、なぜかボーナストラック扱いの)「1-2-3」。出だしからして、まんまウィルソン・ピケットなこの曲は、特にソウルミュージックからの影響を前面に押し出した、いままでの彼ら以上に「黒い」ナンバー。おそらく、もっとも彼らが演りたかったナンバーではないでしょうか。

もちろん、ある程度似たタイプの曲が多いというのは彼らも気にはしているのでしょう。シングル曲「LEMONADE」みたいな、ちょっと雰囲気の変わった、軽快なギターポップナンバーも間に挟まっています。ただやはりその上で、彼らが最もフィットする楽曲のスタイルを貫く方向性を強く感じます。

アルバム全体で、わずか40分弱という、昔のアルバムのような短さもまた、好印象。これだけ短いからこそ、それこそ楽曲のバリエーションを気にせず、勢いで最後までダレルことなく楽しめるアルバムになっています。彼らがごちゃごちゃ難しいこと抜きで、やりたいことをやりつくした感じのする傑作アルバム。最後まで息をつかせぬ楽しいアルバムでした。さっそく登場した今年のベスト盤候補。まだまだTHE BAWDIESの勢いは続きそうです。

評価:★★★★★

THE BAWDIES 過去の作品
THIS IS MY STORY
THERE'S NO TURNING BACK
LIVE THE LIFE I LOVE


ほかに聴いたアルバム

STEP FOR FIVE/ゴスペラーズ

一言で語ると王道。今風のエレクトロサウンドを取り入れたりはしているものの、R&B系男性ボーカルグループが、アイドル系からダンスユニットからいろいろと増える中、ちゃんといままでどおりの道を歩みつづけている感じが、彼らの自分たちに対する自信を感じさせます。目新しさという部分は乏しいものの、安心して聴くことが出来るゴスペラーズらしいアルバムでした。

評価:★★★★

ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II

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2013年2月21日 (木)

チャートの谷間

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は、初登場が少なめの「チャートの谷間」的な週でした。

まず今週1位は、韓流男性アイドルグループ2PMのニューアルバム「LEGEND OF 2PM」という仰々しいタイトルの作品が獲得。シングルアルバム通じての初となる1位獲得。初動売上5万枚は、前作「2PM BEST~2008-2011 in Korea~」の2万9千枚からアップ。ただし、前作は韓国のヒット曲を集めた、全韓国語のアルバムだったので、純然たるオリジナルとして前作「REPUBLIC OF 2PM」の初動5万枚からは横バイという結果になりました。

2位は先週1位の浜崎あゆみ「LOVE again」がワンランクダウン。2週連続でベスト10入り。3位には、EXILEの事務所所属、当初はEXILEのATSUSHIも所属していた男性ボーカルグループDEEPのベスト盤「DEEP BEST」がランクイン。ベスト3入りはアルバムでは初。初動売上1万4千枚は前作「YOUR STORY」の1万3千枚よりも若干アップながら、ベスト盤ということを考えると、浮動層を取り込んだとは言い難い結果かも。

続いて、4位以下の初登場ですが、今週、純粋な新譜は1枚のみ。4人組ロックバンドBase Ball Bearのベスト盤「バンドBのベスト」が6位にランクインです。初動売上は1万1千枚。直近のミニアルバム「初恋」の9千枚よりはアップしていますが、フルアルバムとしての前作「新呼吸」の初動1万2千枚からはダウンしており、こちらも浮動層を取り込んだとは言い難い結果に。ちなみにベスト盤としては2作目で、インディーズ時代の曲をまとめた前のベストアルバム「完全版『バンドBについて』」は初動8千枚。さすがにこちらよりはアップしました。

もう1枚。ベスト10以下からランクアップしてベスト10に初登場した作品が。それが、グラミー賞にノミネートされた作品を収録した、毎年おなじみのオムニバスアルバム「2013 Grammy Nominees」。先週の20位から9位にランクアップ。売上も、先週の5千枚から9千枚にアップしています。10日に授賞式が行われ、日本でも話題になりましたが、その影響が大きいのでしょう。

ちなみに、グラミー賞の公式サイトはこちら。"Winner"をクリックすると、今年の受賞作が見られます。通常は、「主要4部門」と言われる「最優秀アルバム」「最優秀レコード」「最優秀新人」「最優秀楽曲」が話題となりますが、その他にも膨大な量の賞があることがわかります。クラシックや子供向けアルバム、コミックアルバムなんていう部門もあったり、意外なところでは、ライナーツノートやアルバムのパッケージなどに対する賞があるのもユニークなところ。主要部門以外は、作詞、作曲、編曲程度しか授賞対象とならない日本のレコード大賞とは格の違いと、音楽業界の奥の深さの違いをまじまじと感じます。

今年はFUN.やMumford & Sonsなど、ロック系が目立った印象もあるグラミー賞。そのFUN.のアルバム「SOME NIGHT」は今週、12位までランクアップ。ポップで聴きやすいアルバムなだけに、日本でもブレイクしていいと思うのですが・・・。

さて、洋楽といえば、ここ最近、ロングヒットを続けているONE DIRECTION「TAKE ME HOME」BRUNO MARS「UNORTHODOX JUKEBOX」。今週はONE DIRECTIONが6位から4位に、BRUNO MARSが8位から7位にランクアップ。ただし、売上的にはONE DIRECTIONが1万6千枚→1万4千枚、BRUNO MARSが1万1千枚→9千枚と徐々にダウン。とはいえ、まだまだロングヒットは続きそう。

また、邦楽勢からもMONGOL800「800BEST -simple is the BEST!!-」がロングヒットを続けており、今週で4週目のベスト10入り。先週から変わらず10位にランクインという結果に。もちろん、かつての大ヒットアルバム「MESSAGE」の時のような勢いはありませんが、やはりあのアルバムを買ったようなえ、ベスト盤ということで久しぶりに手を取ったという方も少なくないのでしょうか。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に。

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2013年2月20日 (水)

あいかわらずアイドル系が席巻・・・

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週に限った話ではないのですが・・・とにかく、アイドル系が目立ったチャートになりました。

また、今週も1位はジャニーズ系。Kis-My-Ft2「My Resistance -タシカナモノ-」が獲得しました。ラップも入れた今風のR&B風ナンバーとはいえ、いつも通りのジャニーズ系らしいポップ。テレビ朝日系ドラマ「信長のシェフ」主題歌。前作「アイノビート」の25万8千枚からアップの31万6千枚。販売形態が4種から5種に増えた影響と、ドラマタイアップというタイアップ効果か?

2位は、ある意味おばさま方のアイドル、氷川きよし「しぐれの港」。初動売上は4万5千枚。初動売上4万5千枚で、前作「最後と決めた女だから」の5万6千枚からダウン。前々作「櫻」の4万6千枚と同水準に。ここ最近、5万枚前後で推移しています。イントロからサビまで様式化されたド演歌といった感じで、ファン以外は受け付けなさそう。昔はもうちょっとおもしろい曲を歌っていたと思うんだけど・・・。

で、3位は女性アイドルグループアイドリング!!! 「さくらサンキュー」がランクイン。もう、桜ソングですか、といった感じですが。初動売上3万7千枚は、前作「One Up!!!」の4万2千枚からダウンしています。

他にも今週は、女性アイドルグループの曲が目立ちました。6位はPASSPO☆「サクラ小町」って、こちらも桜ソングですか。安直だなぁ・・・(苦笑)。以前はぱすぽ☆名義で活動していたグループが、グループ名を英語表記に変更。初動売上1万5千枚は、前作「WING」の9千枚から大幅アップ。全17形態でのリリースということですが、前作は全25形態(!)リリースということで、売上増はやはり改名効果も?しかしこのグループ、実質的なファン数はどのくらいなんだろう(苦笑)。

9位に、吉本興業が送り出した女性アイドルグループYGA「キミと出会えてよかった!」がランクイン。3月に解散が予定されていて、これがラストシングル。初動売上1万1千枚は、前作「狩り女 夏子」から横バイ。ベスト10入りは、前々作「ライジング・サン JAPAN!」以来2作ぶり。各種イベント特典はあったみたいですが、今時珍しい1種類リリースだったそうで、それでこの結果は一応解散効果ということでしょうか。

もう1組。アイドルグループではないものの、一応、アイドルの範疇か?グラビアアイドル松井絵里奈率いるバンドearthmind「ENERGY」がランクイン。TBS系アニメ「ビビッドレッド・オペレーション」オープニングテーマ。90年代のビーイング系みたいな感じのポップス。これが3枚目のシングルですが、初動売上9千枚は、前作「ARCADIA」の4千枚から大きくアップし、初のベスト10ヒットとなりました。

そして今週初登場もう1曲は、こちらは韓流男性アイドルグループ。U-KISS「Alone」がランクイン。NHKドラマ「書店員ミチルの身の上話」主題歌。エレクトロアレンジに、マイナーコード主体のアイドルポップは、いかにもなK-POP風ナンバー。初動売上2万7千枚は、前作「Distance...」の2万9千枚から若干のダウンです。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは明日更新!

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2013年2月19日 (火)

彼ららしいアルバム、だが。

Title:EMBRACE
Musician:BOOM BOOM SATELLITES

まずこのアルバム、いい作品か悪い作品か問われれば、間違いなくいい作品だと思います。

実にBOOM BOOM SATELLITESらしい作品。このアルバムに関してまず感じるのはそういう点ではないでしょうか。4つ打ちのデジタルなビートに、ダイナミックなギターサウンド。ストレートなデジタルロック路線は、BOOM BOOM SATELLITESのいままでのアルバムが好きなら、まず気に入る作品だと思います。実際、初回盤に同封のUSBに収録されている、このアルバムに関してのインタビューでも、中野雅之がBOOM BOOM SATELLITESとしての集大成的なアルバム、と語っています。

ただ、私はこのアルバムを聴いて、いまひとつ絶賛できないものを感じました。確かに、ストレートなデジタルロックで、聴いていてビートを素直に楽しめる作品なのは間違いありません。でも、素直な作品なゆえに、聴いていて、新しさを感じられなかった、という点が大きく気になってしまいました。

要するにパターンとして、デジタルなサウンド、4つ打ちのビートに、ヘヴィーなサウンドが重なる構造。ボーカルも、「歌」というよりも、サウンドの中に溶け込むようなエフェクトがされているのがひとつのパターン。彼らの黄金律とも言えるようなパターンは、確かに魅力的ではあるものの、ちょっとマンネリ化してしまったいるのでは?とも感じました。

ストリングスを入れたり、ギターをよりノイジーにしたり、ピアノを入れてきたり、それなりのバリエーションは楽しませてくれましたが、イメージを大きく逸脱するものではなく。それはそれで安心は出来るものの、正直言って、ちょっと物足りなさも感じてしまいました。

もっとも、上にも書いた通り、BOOM BOOM SATELLITESらしい内容に仕上がっているため、はじめて聴く人にとっては、刺激的でしょうし、最初の1枚としてもお薦めできるような内容だとは思います。ただ、次の一歩がいまひとつ見えてこない、そういう意味でも気になってしまったアルバムでした。

評価:★★★★

BOOM BOOM SATELLITES 過去の作品
EXPOSED
19972007
TO THE LOVELESS
EXPERIENCED
REMIXED


ほかに聴いたアルバム

m-flo DJ MIX"BON ENKAI"/m-flo

m-floのメンバーが、タイトル通り宴会で盛り上がりそうな曲を集めたDJ Mix盤。エレクトロアレンジのナンバーをメインに、アゲアゲなナンバーが連続。一方で、途中にDJ OZMAやら、「消臭力」のCMソングをサンプリングしたm-floの「Sure Shot Ricky」やら、「銀河鉄道999」やらを配している点がユーモラス。全体的に、avex系のシンガーが多いのは、仕方ないこととはいえちょっと残念ですが、CDをかければその場がパーティー会場になりそうな、とても楽しいDJ Mixアルバムでした。

評価:★★★★

m-flo 過去の作品
electriCOLOR -COMPLETE REMIX-
Award SuperNova-Loves Best-
m-flo inside-WORKS BEST III-
MF10 -10th ANNIVERSARY BEST-
m-flo inside-WORKS BEST IV-
SQUARE ONE

メニー・ア・マール/bomi

昨年のSAKAE SP-RINGで偶然ステージを見て、その楽しいステージに一気に気に入った女性シンガー。昨年、ミニアルバムもリリースされましたが、フルアルバムとしてはこれが1枚目となります。

全編エレクトロポップの楽しいアップテンポなナンバーがメインで、確かに、これはライブだと盛り上がりそう・・・。ただ、CDで聴くと、似たようなタイプの曲が多く、例えば途中でラップ風のボーカルが入るなど、構成もワンパターン。聴かせるメロディーがキラリと光るような曲もある反面、ノリに頼ったような曲も多く、ライブでは楽しめそうですが、CDだと物足りなさを感じてしまいます。素直に楽しめるポップアルバムだとは思うのですが、あと一歩といった感じ。ライブは確かに楽しいだろうなぁ、と感じるのですが・・・。

評価:★★★

bomi 過去の作品
キーゼルバッファ

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2013年2月18日 (月)

高橋優の魅力つまったミニアルバム

Title:僕らの平成ロックンロール(2)
Musician:高橋優

高橋優については、はじめて聴いたメジャーデビュー作「リアルタイム・シンガーソングライター」が正直いまひとつで、続く「この声」が傑作だっただけに、どちらが本当の彼の実力なんだろう?という感覚を抱いていました。

それだけに、彼のアルバムで3番目に聴いた今回の新作、「リアルタイム~」の彼が本当なのか、「この声」の彼が本当なのか、それを見極めるためにも、個人的には重要な作品だと思っていました。それで、聴いてみた結果なのですが・・・やはり「この声」で見せてくれた彼の実力こそ、本当の彼なんだなぁ、ということを実感することが出来ました。

まず1曲目「ボーリング」が素晴らしい。「面倒臭ぇ!」としがらみだらけで上手くいかない日常に対して叫び

「努力しなくてもプロフェッショナルになりたい
傷付けなくても愛し合える人でありたい
僕らにだけ都合のいいように 全宇宙が団結してくれりゃいいのに」

(作詞 高橋優 「ボーリング」より)

まあ、はっきりいって都合よい叫びですよね。でもある意味、多くの人にとっては本音ではないでしょうし、また、こういう部分をさらすことによって、私は逆に勇気づけられるように思います。要するに、「あぁ、こういう都合がいいこと思っているのは自分だけじゃないんだ」と。そして、逆に、こういう気持ちを胸の奥底にしまい込んで、日々の生活をがんばれるような思いがしました。薄っぺらく「がんばれ」だけを叫ぶようなJ-POPよりも、彼の歌はよっぽど前向きになれるような気がします。

そういう弱い部分をかかえた人たちの本音という意味では、「昨日の涙と、今日のハミング」にも印象的な歌詞がありました。

「『一等賞を獲らなきゃ それ以外では意味ありません』
そう言い放つアスリートに拍手喝采が巻き起こってる

『じゃ僕の人生無意味ですか?』とテレビに問いかけてみる
『知らん!』と言わんばかりに既に キャスターは次の話題を話していた」

(作詞 高橋優 「昨日の涙と、今日のハミング」より)

なんか、ここ最近、ずっとこの手の風潮が続いているような気がするんですよね。みんな一等賞を取るようにがんばらなくてはいけない、的な。彼の歌は、そんな一等賞になれない人たちに、「そのままでいいんだよ」みたいに歌っている訳ではありません。ただ、そういう人たちの本音をそのまま歌っている歌詞に、非常に共感をもてるし、上でも書いた通り、逆にがんばろう、という気分にもなってきます。

かと思えば「I LOVE YOU」のようなシンプルなラブソングなんかもあったりするのも素敵なところ。彼の、前向きにつんのめっているようなボーカルも、リアルのある叫びのようなものを感じられて、とても心に残ります。

前作「この声」でも感じた「ささいな日常の肯定」というのを強く感じられた今回のミニアルバムは、まさに彼の魅力を存分に出すことの出来た傑作ではないでしょうか。今後もどんどん傑作をリリースしてくれそうな、非常に楽しみになってくる作品でした。

評価:★★★★★

高橋優 過去の作品
リアルタイム・シンガーソングライター
この声


ほかに聴いたアルバム

バラー丼/いきものがかり

いきものがかりのバラードベスト。正直、聴いていて途中から胸焼けがしてきました。というのも、どの曲もお決まりのように曲を盛り上げるためにストリングスアレンジが入っているから。彼らに限らず最近のJ-POPの傾向なんですが、曲を盛り上げるための安直なストリングスってもうやめません?アルバムの中の1曲としてならば問題ないのでしょうが、似たタイプのアレンジの曲を並べられると、聴いていて、かなり厳しい内容でした。

評価:★★★

いきものがかり 過去の作品
ライフアルバム
My Song Your Song
ハジマリノウタ
いきものばかり
NEWTRAL

Sync/木村カエラ

前作は、ASPARAGUSの渡邊忍が全面プロデュースを手がけていましたが、今回は、様々なミュージシャンが参加しています。その結果、エレクトロアレンジの曲、ギターロック、80年代風ポップ、ソフトロックなどなど、様々なタイプの曲が並んだバラエティーあふれるアルバムになっています。そして、どの曲もポップで楽しく、そういう意味では、木村カエラらしい、聴いていて素直に楽しめるアルバムに。ただ、いい意味でも悪い意味でも、少々「無難」な面は否めず、いままでの木村カエラにはなかったような新鮮味、みたいなものには乏しく、また、核になるような1曲というのもなかったのはちょっと残念だったかも。

評価:★★★★

木村カエラ 過去の作品
+1
HOCUS POCUS
5years
8EIGHT8

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2013年2月17日 (日)

デビューから25年、いまだに現役

解散後、再結成前の期間を含むものの、2012年にデビューから25周年を迎えたUNICORN。昨年には、その25周年を記念して、CD4枚+DVDのボックス盤がリリース。さすがにこちらは聴けなかったものの、その後、CD4枚の部分について、シングルベストとライブベストに分けられてリリース。こちらを聴くことが出来ました。

Title:Quarter Century Single Best
Musician:UNICORN

まずはシングルベスト。そろそろ彼らも「何枚目のベストだよ~?」状態になりつつありますが、このアルバムがうれしいのは、全シングルについて、カップリングまで含めて(カラオケを除く)全網羅されている点。リミックス曲なども収録されているため、アルバム初収録の曲もあり、ファンにとってもうれしい内容ではないかと。

また、収録順も、デビューシングル「大迷惑」から、最新シングル「Feel So Moon」まで発売順に並んでいるため、UNICORNとしてのバンドの歩みを、再結成後も含めて知ることができます。並べて聴くと明確なのですが、やはりデビュー直後の作品というのは、時代的にバンドブーム真っ盛りの中であったこともあり、よりパンキッシュな要素もあり、なにより若いなぁ、ということを感じます。

ただ、その後の楽曲で、急激に成長していくのがおもしろいところ。もともと「大迷惑」からして、テーマがサラリーマンの悲哀という、当時のバンドブームからすると、とても異質なテーマでしたが、その後のポップだけどユーモラスたっぷりな作品の数々は、時代を超えた魅力を感じさせます。

解散直前の「雪が降る町」「すばらしい日々」は、この流れで聴くと、ひとつの到達点のように感じる作品で、いまから振り返ると、「すばらしい日々」を最後に解散というのも、ユニコーンとしてやれることをやりつくしたからなのかなぁ、ということを感じてしまいます。

ただおもしろいのが、再結成後の「WAO!」とそれ以降の作品に、ちゃんと繋がっているという点で、解散前と再結成後の作品を続けて聴いても、まったくチグハグな部分を感じません。90年代に人気があったバンドの再結成というと、例えばTM NETWORKにしても典型なのですが、活動を続けているのかやめたのか、よくわからないバンドも多い中、解散前と同様に、現役感を感じる活動をしっかりと続けているという意味でも、彼らは特筆すべきバンドですし、また、今後がまだまだ楽しみといった感じ。再結成後の楽曲にしても、かつてのファンにだけに向いているようなノスタルジックな部分はほとんど感じない点も、大きな魅力に感じました。

評価:★★★★★

Title:Quarter Century Live Best
Musician:UNICORN

こちらは同じく25周年のライブベスト。大きな特徴としては、解散前のライブ音源と、再結成後のライブ音源を、ほぼ交互に収録している点。そのため、解散前と再結成後の彼らを比較することが可能です。

解散前、特に初期の音源に関しては、黄色い歓声が飛び交い、アイドル的な雰囲気も会場から感じられるのが特徴的。ただ、基本路線は解散前も再結成後も大きな変化はないように感じます。ライブ音源は、原曲に比べると、よりバンドサウンドを前に押し出したような印象が強く、また、メンバー全員で楽しく演っているという感じも強く受け、原曲以上に自由度が増した感じも。

なによりもライブバンドとしての魅力を感じさせてくれるライブ盤。なにげにユニコーンは、ワンマンやイベントも含めて、一度もステージを見たことがないだけに、一度、ライブを見てみたいなぁ。また、再結成後の音源に関しても、メンバー全員が和気藹々と演奏している部分が伝わり、バンドとしての結束力はいいんだろうなぁ、ということを感じさせますし、そういう雰囲気の良さが、新曲の現役感にもつながってくるんでしょうね。

評価:★★★★★

ユニコーン 過去の作品
シャンブル
I LOVE UNICORN~FAN BEST
URMX
Z
ZII


ほかに聴いたアルバム

KETSUNOPOLIS 8/ケツメイシ

ケツメイシの最新作は心機一転となった問題作。そもそもアルバムタイトルからして、「ケツノポリス」というタイトルに変化はないものの、ローマ字表記となり、ジャケット写真も、いつもの首里城をバックにしたものからタイバンコクの夜の風景に変えています。

楽曲も大きくイメージが一新。なによりもエレクトロサウンドを全面的に取り入れたのが大きな特徴になっています。そのため、インパクトも強く、ライブでも盛り上がれそうな反面、エレクトロサウンドは、既に世の中に蔓延していて「いまさら?」感も否めず、全体的に似たような雰囲気になってしまったのはマイナス点かも・・・。

とはいえ、彼ららしい「GOKON Queen」みたいなユーモラスな歌詞の曲もあったり、最後の「YOUR WAY」も彼ららしい前向きのナンバー。コアな部分は、いままでのケツメイシと大きな変化はありません。大きく変えたアルバムタイトルやジャケットにしても、「ケツノポリス」というタイトルはいままでどおりですし、4人並んでの写真もいままで通り。そういう意味では、変わる部分は変わるけど、変わらないコアの部分は決して変わらないという、彼らなりの決意も伝わってきます。賛否両論ありそうですし、アルバムの出来としても、手放しで傑作、という感じではありませんが、これからの彼らにとって大きなターニングポイントになりそうな1枚でした。

評価:★★★★

ケツメイシ 過去の作品
ケツノポリス5
ケツノポリス6
ケツノポリス7
ケツの嵐~春BEST~
ケツの嵐~夏BEST~
ケツの嵐~秋BEST~
ケツの嵐~冬BEST~

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2013年2月16日 (土)

最高のステージ、グダグダのトーク(笑)

RHYMESTER「ダーティーサイエンス」発売記念ミニライブ&トークショー

会場 CLUB SARU 日時 2013年2月10日(日) 18:30~

Rhymester_live

先日、RHYMESTERのアルバム「ダーティーサイエンス」を購入したら、ミニライブ&トークショーのイベント参加券がついてきました。イベント参加券がついてくるという話は全く知らなかったので、ちょっとした儲けモノ。三連休の中日という日程の良さもあり、もちろん出かけてきました。

場所は、金山駅から徒歩10分程度の場所にある「CLUB SARU」というライブハウス。完全に初耳のライブハウスだったのですが、キャパは200名くらいの小さな箱で、これだけ小さな箱でRHYMESTERを見れるのはかなりラッキーかも。無料イベントということもあってか、会場も8割程度の入りで、結構快適な環境で、この日のイベントを楽しむことが出来ました。

最初、会場のスタッフより簡単な前説があった後、開演時間を10分程度過ぎたころに、メンバーが登場!(といってもDJ JINは、その前からステージ上で、DJ Setの準備をしていましたが(^^;;)最初は、アルバムの1曲目「ダーティー」で簡単に会場を暖めた後、「ゆめのしま」そして「スクリーム」と、アルバム序盤の曲で一気に会場を盛り上げます。

さらに簡単なMCを挟んで「ダーティーサイエンス」、さらにはここからそのままつなげる形で「Deejay Deejay」へと流れ込みました。アルバムから代表曲が続く形で、ライブは最高潮に盛り上がります。

その後のMCでは、メンバーが風邪で倒れたという話。最初は宇多丸がインフルエンザに倒れたみたいで、渋谷のイベントでは、Mummy-DとDJ JINの2人でラップをしたエピソードを。それにちなんで、この日もMummy-DとDJ JINでワンフレーズだけラップの掛け合いを披露してくれたりもしました。また、この日のイベントで、はじめてライブで披露するような曲も多いそうで、そういう意味でもうれしいステージ。でも、はじめてでも観客がちゃんと盛り上がっていたのは、ここにいる人全員が、アルバム購入者だからこそ、なんでしょうね。

そしてライブのラストを飾るのは、アルバムのラストでもある「The Choice Is Yours」へ。最後の最後まで会場のテンションは最高潮に盛り上がり、約40分弱、短い時間でしたらライブは終了しました。

あっという間のステージでしたが、ライブは最高に良かったです!なによりも、わずかキャパ200名程度のステージ。すぐに手が届きそうな距離でメンバーがいて、会場の一体感も最高。RHYMESTERが、大きなキャパのステージで、どのようなライブをするのか、彼らのライブはこの日がはじめてなのでよく知らないのですが、一般的にHIP HOPのステージって、キャパが大きくなると、エンターテイメントに走らないと、見せ場が少ないのでスカスカな雰囲気になってしまうイメージがあります。でもやはり、この位のキャパだと、ラッパーと観客との距離が近くて一体感も出て、マイクとDJ Setのみというステージでもしっかり見栄えがして、最高に楽しめますね。とても熱い40分のステージでした。

で、その後、地元のFM局、ZIP FMでもパーソナリティーがつとめる鉄平が登場。彼が司会となりトークショーがはじまりました。まずはメンバー3人に、アルバムについてのインタビュー・・・と思いきや、ほとんどアルバムについてのネタはなく(笑)、(「雑誌のインタビューとかWebとかで散々語っているから、知っているだろう」ということで)なんとなく、グダグダなトークが続きます。この日風邪気味のDJ JINの体調とか(熱は下がっているけど、体調は悪いらしく、楽屋では直前までうつぶせて休んでいたということ。ただ、ライブがはじまると、それを感じさせないアグレッシブなステージをきちんと見せてくれていたのはさすが)、レコーディングの時、どんなお弁当をとったか(エスニック料理が流行りだったとか)、そんなネタで盛り上がります。

そして、トークイベントの「ネタ」として、「東海地方の有名人の名言あてましょう」のコーナーが。東海地方の有名人の名言の一部を隠して、メンバーにその穴埋めをしてもらおうという企画で、あくまでもネタとして楽しむため、むしろその名言を当ててしまった人に罰ゲームが課されるというルールになっていました。こちらもメンバー全員、下ネタがらみのネタが多く登場し、グタグタにトークが続いていきます(笑)。途中、宇多丸がうっかり名言を当ててしまって、お母さんの名前+「愛してるよ」と、その場で叫ばされる罰ゲームが。

トークは約50分くらいと、ライブより長く、また、微妙にグタグタな内容だったのですが(笑)、こちらもなかなかおもしろかったです。予想はしていたのですが、やはり宇多丸は、トークが上手いですし、おもしろいですね~。こういう場所なので、もっと過激な話とか飛び出すのかなぁ、とも期待していたのですが、Twitterやブログなどで拡散されることを警戒してか(という話もチラリと出ました)、ここにとても書けないような過激なトークは飛び出さなかったのはちょっと残念・・・。

ライブとトークあわせて、約1時間半程度のイベント。なかなか充実して楽しいイベントでした。特にライブの部分は、彼らのライブの中でも、一番おいしいところを凝縮したと思われるステージだっただけに、先日のチャットモンチーに続き、今年のベストステージ候補になりそうなくらいの素晴らしいステージでした。

やっぱRhymesterのライブは楽しいですね~。次のツアーは、とりあえず行く予定はないのですが、でも近いうちに彼らのライブにも一度足を運んでみたいなぁ。かなりお得感満載のイベントでした。

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2013年2月15日 (金)

パワフルでソウルフルなボーカルが魅力

Title:BOYS&GIRLS
Musician:ALABAMA SHAKES

今回紹介するバンドは、あのラフ・トレードからデビューし、大きな話題となっているバンド。黒人女性ボーカルのブリタニー・ハワードを中心に、白人男性3人で組まれたでロックバンド。今年のグラミー賞にもノミネートされ、話題を呼んでいます。リリース直後から気になっていたのですが、おくればせながら、アルバムを聴いてみました。

このボーカルのブリタニー・ハワード、黒人女性ということですが、ビヨンセみたいないわゆるスラリとしたモデルスタイルの美形では・・・残念ながらありません(^^;;まさに「ソウル姉ちゃん」というスタイルのパワフルな女性で、その外見に違わない、パワフルなボーカルが実に魅力的。あのジャニス・ジョップリンと比較されることが多いようで、確かにスモーキーな雰囲気のボーカルは近い部分があるかもしれません。ただ、パワフルなボーカルは、ジャニス以上にソウルフルなイメージが強く感じられます。(あえていえば、同じくよく比較されるアレサ・フランクリンに近いかも・・・)

楽曲自体も、まさにビンテージソウルといった感じ。古き良きロックンロールと、ソウルの要素を上手く取り込んだサウンドが実に魅力的。アップテンポで勢いをつけて、というよりも、ミディアムテンポで、ゆっくりとそのグルーヴを聴かせる曲がメインとなっていて、よりソウルテイストが強くなっています。

特に「YOU AIN'T ALONE」や、タイトル曲でもある「BOYS&GIRLS」のようなバラードナンバーでは、まさに古き良きソウルミュージックそのものといった感じ。パワフルなボーカルも思う存分に生かされており、ソウル好きにはたまらないのではないでしょうか。

一方では、「RISE TO THE SUN」のように、バンドサウンドが前に出てくる作品では、よりロックテイストが強くなっている印象。もともとはLed ZeppelinやAC/DCなどのコピーもしていたそうですが、ハードロックからの影響も感じるダイナミックな演奏が、バンドの曲に幅を与えています。

アルバム全編に流れるスモーキーなくすんだ雰囲気が、実に魅力的な傑作。最近、この手のビンテージソウル風なミュージシャンやバンドが増えている印象があるのですが、エレクトロサウンド全盛な昨今のブラックミュージック界隈の傾向から、こういう音が逆に求められているのかなぁ、なんてことも思ったりして。ともかく、これからも楽しみなバンドです。

評価:★★★★★

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2013年2月14日 (木)

フルアルバムで1位獲得

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムリリースが連続していましたが、フルアルバムは約1年ぶり。

今週の1位は、浜崎あゆみ「LOVE again」が獲得。5ヶ月連続リリースの第4弾となるフルアルバムで、前作「A Classical」に続いての1位獲得。初動売上5万3千枚も、その前作の2万5千枚から倍増しています。ただし、フルアルバムとしては前作「Party Queen」の9万7千枚から半減近くダウン。かなり厳しい結果といわざるを得ないでしょう。

2位は、着うたチャートでおなじみだったラップユニット、ソナーポケット「ソナポケイズム4~君という花~」がランクインです。前作「ソナポケイズム3~君との365日~」と同じく、初登場2位を獲得しています。ただし、初動売上は3万9千枚と、前作の4万8千枚からダウンしています。

3位は、4人組女性バンドSCANDAL「ENCORE SHOW」が入ってきています。昨年3月にリリースされたベストアルバム「SCANDAL SHOW」に続く形のアルバムで、こちらはシングルのカップリングなどを収録した、いわゆるB面ベスト。初動売上2万8千枚は、「SCANDAL SHOW」の4万2千枚、直近のオリジナル「Queens are trumps-切り札はクイーン-」の3万5千枚からダウンしていますが、ファン向けの企画盤ということを考えると、かなり健闘した結果と言えるでしょう。

続いて4位以下の初登場ですが、4位5位と、80年代の日本のロックシーンの中心にいたミュージシャンによる作品によるデッドヒートが繰り広げられ、両者わずか50枚(!)差で、順位が決まるという結果となっています。

まずは4位。ご存知甲本ヒロト&真島昌利率いるロックバンド、ザ・クロマニヨンズ「YETI vs CROMAGNON」がランクイン。前作「ACE ROCKER」の6位よりはアップしたものの、初動売上1万7千枚は、前作の2万枚よりダウン。ここ数作、初動2万枚で安定した人気を確保していましたが、少々失速してしまった感も。

5位には布袋寅泰「COME RAIN COME SHINE」がランクイン。オリジナルとしては、前作「GUITARHYTHM V」から約4年ぶりとなる久々のニューアルバム。ただ、初動売上は1万7千枚で、前作の2万7千枚からダウン。

ちなみに「枚」単位ですと、クロマニヨンズが17,947枚、布袋が17,897枚と、まさに50枚差。おそらく集計の「誤差」の範囲だと思われ、まさに両者拮抗した結果となっています。

初登場はもう1枚。3ピースロックバンドUNISON SQUARE GARDEN「CIDER ROAD」が9位にランクインです。昨年9月、シングル「リニアブルーを聴きながら」が初のベスト10ヒットとなりましたが、アルバムも初のベスト10入り。初動売上は1万1千枚で、最高位18位だった前作「Populus Populus」の7千枚を大きく上回っています。

ちなみに先週紹介したロングヒットを続けている洋楽アルバムは今週もONE DIRECTION「TAKE ME HOME」が6位、BRUNO MARS「UNORTHODOX JUKEBOX」が8位で、まだまだベスト10入りを続けています。ただし、売上は、ONE DIRECTIONが2万2千枚→1万6千枚、BRUNO MARSが1万8千枚→1万1千枚にダウン。どこまでロングヒットが続くか、気になるところです。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2013年2月13日 (水)

またジャニーズ系vsAKB系

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

タイトル通り、また例のごとく、ジャニーズ系とAKB系が1位2位を争いました。

結果、1位を獲得したのはジャニーズ系。KAT-TUN「EXPOSE」。ロックテイストが強いアップテンポなナンバーで、ジャニーズ系らしいポップソング。初動売上は15万4千枚で、前作「不滅のスクラム」の15万6千枚から微減。ここ数作、15万5千枚前後で初動売上が安定してきました。

一方2位は、AKB48がらみ。柏木由紀のソロデビューシングル「ショートケーキ」。爽やかでキュートな雰囲気を前面に出したポップソング。初動売上は10万4千枚で、ここ最近のAKB48がらみのソロ作では、直近の河西智美「まさか」の3万2千枚は大きく上回りましたが、指原莉乃「それでも好きだよ」の12万4千枚、渡辺麻友「シンクロときめき」の12万3千枚を下回るという結果に。

3位もAKBがらみ。先週1位のSKE48「チョコの奴隷」が、2週目にしてベスト3をキープしました。

続いて4位以下初登場ですが、アイドル系が続きます。4位は、ハロプロ系アイドルグループ℃-ute「この街」がランクイン。森高千里が1990年に発表した楽曲のカバー。ノスタルジーな雰囲気のバラー。ただ、初動売上2万4千枚は、前作「会いたい 会いたい 会いたいな」の4万7千枚から大きくダウン。購入特典のイベントの影響による模様。

以下も初登場が続きます。まずはアニメ系。5位に人気声優田村ゆかり「W:Wonder tale」、8位にμ's「きっと青春が聞こえる」がそれぞれランクイン。田村ゆかりは、テレビアニメ「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」エンディングテーマ。90年代初頭のガールズポップを彷彿させるようなナンバー。初動1万5千枚は、前作「微笑みのプルマージュ」の1万9千枚よりダウンで、前々作「Endless Story」(初動1万6千枚)の水準に戻りました。

μ'sは、雑誌「電撃G's magazine」などが主体となった企画によるアニメキャラクターのアイドルユニット。初動売上1万2千枚は、前作「僕らは今のなかで」の1万枚からアップで、初のベスト10入り。こちらも典型的な90年代のガールズポップ風ナンバー。懐かしさ感じるものの、20年前とあまり変わらない雰囲気の曲がいまだにもてはやされている現状は、手放しでは喜べないような・・・。

そして韓流もランクイン。6位にCODE-V「何度サヨナラを繰り返したら僕らは強くなれるの?」、10位に大国男児「バレンタイン・ファイター」がそれぞれランクイン。どちらも男性アイドルグループです。

CODE-Vは、前作「世界中が敵になってもきっと君を守りぬくから」に続いての、ひねりのない陳腐な歌詞をそのままタイトルにしたナンバー。バラードナンバーなのですが、メロもどこかで聴いたことあるような・・・。それでも初動売上1万4千枚は、前作の8千枚からアップなのですが・・・。大国男児は、今風エレクトロアレンジながらも、メロは典型的なアイドルポップ。初動売上1万1千枚は、前作「本気Magic」の1万8千枚からダウン。3月にこの曲も含んだアルバム発売が予定されており、その影響でしょう。

そんなアイドル、韓流、アニメ系にはさまれるように、7位に倉木麻衣「TRY AGAIN」がランクイン。例のごとく、日テレ系アニメ「名探偵コナン」オープニングテーマ。前作「恋に恋して」はメロウなR&Bナンバーでしたが、一変してエレクトロアレンジのアップテンポなナンバーに。初動売上は1万3千枚と、前作の1万6千枚からダウン。

そして初登場最後は9位。Dream5「COME ON!」がランクインです。NHK教育「天才てれびくんMAX」から登場した男女5人組のダンスユニット。こちらも90年代の匂いが強いトランス風のナンバー。2枚目のベスト10ヒットで、初動売上1万1千枚は、前作「シェキメキ!」の9千枚から若干アップしています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日~。

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2013年2月12日 (火)

私たちの身に染み付いたサウンド

Title:続、続々カワチモンド

先日のレビューで、最近は日本土着の音楽に興味がある、という話をしました。今回紹介するのは、その延長線上。また、例のごとくミュージック・マガジン誌のベストアルバム2012、ワールド・ミュージック編の10位にランクインしていたことから興味を持った作品。関西圏の伝統的な音頭である、河内音頭、あるいは江州音頭のレア音源、珍盤などを収録したオムニバスアルバム。2006年にリリースされた同趣旨のオムニバスアルバム「カワチモンド」の第2弾となります。

おそらく企画の趣旨としては、「音頭という、日本古来からのレア・グルーヴの魅力を見直そう」的な意図であろうと思います。ただ、聴いてみた感想として、率直なところ、イメージとしては、夏のシーズンに馴染みの深い盆踊り。夏になれば、よく公園からこういう祭りばやしが聴こえてくるよなぁ~といった感想を抱いてしまったというのが正直なところ。ただ、逆に言えば、それだけ日本人にとっては、身体に染み付いたリズムということなのでしょうが。

ただ、確かによくよく聴けば、特にその太鼓の奏でるビートや、三味線の響きにおもしろさを感じる曲も少なくありませんでした。解説にも「アフリカ音楽を連想させる」という言及が見られる「江州音頭唯丸節 浪速遊侠伝」や、「民謡ヤンレー節 鈴木主水」など、太鼓のリズムには、まさに「レア・グルーヴ」という呼び名がふさわしい、独特のグルーヴ感を感じられますし、「千両幟 VooDoo Ciranda」なども久保田真琴のリミックスが実にユニークに仕上がっています。

曲が、というよりも、あの勝新太郎が歌う「『悪名』河内音頭」は、勝新太郎の男らしさに男でも惚れてしまいそうな魅力が。「ソウル河内音頭」なんかは、ラップ風のボーカルまで入った、ソウルを勘違いしたようなサウンドなのですが、それが逆に歌謡曲らしい雑多さが出ていて、ユニークに仕上がっていました。

そんな聴きどころも多く、河内音頭の魅力が伝わる一方で、いかにも演歌然とした、様式化したド演歌の曲も多く収録されていました。これらの曲に関しては、「独特のビート」感も薄く、いまひとつ魅力を感じらず、いまひとつ、楽しむための壺が不明・・・正直、あまりおもしろみを感じられませんでした。

レア音源を集めたから、ということで、玉石混合だったのか、単純に、自分がその魅力をわからなかっただけなのか・・・アルバム全体を通じて、河内音頭にはまったか、といわれるとそこまではなかったけど、確かに魅力的な曲も少なくはなかったな、というのが感想。どちらかというと、実際に、盆踊りの会場で、これらの曲を聴きながら踊れば、もっと魅力をかんじられたのかも。ある意味、日本人にとって身近すぎるビートなのかなぁ、とも感じたアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

caldera/LA-PPISCH

80年代後半のバンドブームの代表格の一組で、「パヤパヤ」などの大ヒットで知られるロックバンド。スカをいち早く取り入れ、後のスカパンクバンドの先駆的なバンドとしても高い評価を得ています。2008年にメンバーの上田現が急逝した後は、ライブを中心に活動をしていたそうですが、デビュー25周年を機にリリースした記念盤がこちら。新曲2曲に、ライブなどでよく演奏される代表曲8曲を、今のメンバーで再録音した内容だそうです。

基本的に、明るく軽快なスカのサウンドを主軸に置いた曲が多く、ライブでよく演奏されるだけあって、祝祭色の強い曲がメイン。聴いていて、無条件でウキウキできるような楽しい曲が並んでいます。相変わらずの代表曲「パヤパヤ」が収録されている他、上田現が元ちとせに提供し大ヒットした「ワダツミの木」のセルフカバー、ファンに人気の高い「美代ちゃんのxxx」などなども収録。全体的には80年代的な雰囲気も漂う点も特徴的ながら、その点、少々新鮮味に欠ける部分も気になるところかも。

評価:★★★★

ガイガーカウンターカルチャー/アーバンギャルド

以前から、その独特な世界観が話題となっていた「テクノポップバンド」アーバンギャルドの新作。「テクノポップバンド」と鍵カッコつきなのは、本作では、ハードロック的な要素を強く入れて、テクノポップらしい、ピコピコポップが後ろに下がった感じがするから。ただ、テクノポップに留まらず、様々な音を入れたことにより、全体的に雑多さが増した感じが。歌詞も、いい意味で言えばクレバーさを感じられる、悪い意味で言えば、少々狙ったような感じの歌詞が印象的。でも、サウンドも歌詞も、ちょっと理屈っぽいんですよね。こういう理屈っぽいサイトをやっていてこういうのもなんなのですが(^^;;頭でっかちな感じが聴いていて疲れてしまいました。以前から、こういう傾向はあって、それもそれで魅力とは思っていたのですが、今回のアルバムは、許容範囲を若干超えてしまった感も。

評価:★★★

アーバンギャルド 過去の作品
少女の証明
メンタルヘルズ

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2013年2月11日 (月)

トリップできそうな快感の1枚

Title:SPIRIT(邦題 スピリット~ライヴの軌跡)
Musician:HASSAN HAKMOUN

グナワという音楽、ここのサイトでも何度か取り上げたので、その名前に聞き覚えある方もいるのではないでしょうか。「モロッコのレゲエ」とも呼ばれる西アフリカのトランス音楽で、昨年夏、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドでその素晴らしいステージを聴かせてくれた、グナワ・ディフュージョンも、その代表的なミュージシャンです。

で、今回紹介するのはモロッコ出身で、現在、ロサンジェルスに活動の拠点を置くグナワミュージシャン、ハッサン・ハクムーンというミュージシャン。今回、このアルバムを聴いてみたきっかけは、「ミュージック・マガジン」誌の2012年ベストアルバム、ワールド・ミュージック部門で1位を獲得したこと。このアルバムは、1988年から2002年の間に行われたライブの模様を収録したライブベスト盤ということだそうです。

ここでも何度かグナワのミュージシャンの作品を取り上げてきましたが、個人的には、その中で一番はまったアルバムでした。ライブ盤ということもあるのでしょうが、トランス風のサウンドがより前面に押し出したようなサウンドが特徴的。ライブ会場で聴いていたら、おそらくトリップしてしまえるような快感があります。中毒性あるミニマルなトライバルビートが特徴的で、一般的なイメージで、実に「アフリカ音楽」らしいサウンドを聴かせてくれます。

グナワというと、アラブ音楽からの影響を受けたミュージシャンも多く、アラブ風のサウンドが良くも悪くも一種の癖になっているのですが、彼の場合、その癖があまり強くありません。ただ、曲によっては、アジアンテイストのエスニックなサウンドが時々顔をのぞかせ、ちょっとしたスパイスのように、ひとつのインパクトとなっています。

そして、さらに素晴らしかったのが、このアルバムに特典としてついてきた「LIVE IN FRANCE」という、おそらくタイトルからして、フランスでのライブの模様をおさめた2曲入りのCD-R。1曲あたり10分を超える長尺で、ミニマルなサウンドが延々と続き、よりトランシーにトリップできるような作品になっています。

とにかく直感的に心地よいアルバムで、一気にはまってしまったアルバムでした。なんでも彼、ここ最近、日本人と結婚したとかで・・・日本でもライブを演ってほしいなぁ。なによりも楽しそうなライブの快感が、そのままつまったような傑作でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

MDNA/MADONNA

全編にエレクトロサウンドを導入したマドンナのニューアルバム。ヘヴィーなビートの曲から、ガーリーなポップソングまでバラエティー豊富。インパクトあるメロディーも相変わらずで、ポップミュージシャンとしての実力を感じるアルバム。全編エレクトロを導入したのは、やはり今話題のLady Gagaの向こうを張ってという感じなのでしょうか?確かに、バラエティー富んだ内容に、「ミュージシャンとしてはこちらが上手」という彼女の主張と自信が伝わってきそう。

評価:★★★★

MADONNA 過去の作品
Hard Candy
Celebration

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2013年2月10日 (日)

懐かしくも新しい??

Title:LONERISM
Musician:TAME IMPALA

オーストラリアはパース出身のKevin Parker率いるサイケデリックロックバンド。これが2枚目となるアルバムのようですが、各種メディアなどで大きな話題に。「NME」では、年間ベストの1位に選出するなど、注目を集めています。

という訳で、おくればせながらアルバムをチェック。曲を覆いつくすようなギターノイズにドラムス。曲によっては、シンセなどでスペーシーな雰囲気を醸し出しつつ、幻想的な世界観をつくりあげています。

そんな感じで書くと、イメージとしては、シューゲイザー系の流れか?という感じにもなるのですが、楽曲のイメージとしてはもっと昔。70年代、いや、もしくは60年代あたりの匂いすら感じられる雰囲気のバンドになっています。

おそらく、そんなイメージを醸し出している大きな要素がメロディーライン。そのサイケな音に隠されて、ボーカルが後ろにまわってしまっているのですが、シンプルで人なつっこいメロディーラインが特徴的。どこか懐かしい匂いのするメロディーラインが、オールドスタイルな雰囲気を醸し出していて、聴いていて、60年代あたりの空気を感じてしまうのでしょう。

特にシンプルなギターロック「Keep On Lying」などは、そんな60年代、70年代の空気感がたっぷりですし、サイケっぽいアレンジながらも、メロがシンプルでポップという意味では、続く「Elephant」なんてまさにそんな感じ。タイトルが長い「Nothing That Has Happened So Far Has Been Anything We Could Control」なんかも、サイケなアレンジながらも、メロはどこかビートルズ風??

そのため、新鮮味がないといえば新鮮味がないのですが、一方で、一回りして「新しい音」ともいえなくもない??ただ、どちらにしろ、ポップなメロディーのため、いい意味で聴きやすいアルバムになっているのは事実。そのサイケな音と、ポップなメロディーに、ついついはまってしまうような作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

EL CAMINO/THE BLACK KEYS

アメリカの2人組ロックバンド、THE BLACK KEYSの新作。ブルースや、昔ながらのロックンロールスタイルに大きな影響を受けたガレージロックは、非常にどす黒いグルーヴィーな音を醸し出していて、直感的に心地よいサウンドになっています。メロディーは哀愁たっぷりで、日本人好みのメロかも?ヴィンテージなスタイルの、ロックンロールらしいロックンロールのアルバム、といった感じ。

評価:★★★★★

LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL/ADELE

2011年にリリースしたアルバム「21」が、全世界で2,000万枚を超えるモンスターヒットを記録したADELE。こちらはそんな彼女の2011年9月に行われたロイヤル・アルバート・ホールでのライブの模様を収録したベスト盤。DVDとCDの2枚組となっています。

CDもいいのですが、やはり注目はライブの模様をそのまま収録したDVD。1曲1曲、曲の内容を丁寧に解説し、歌に入るというスタイルで、老若男女に支持されているところといい、シンプルなラブソングメインの曲といい、アレンジはシンプルであくまでも歌詞とメロディーが主体というスタイルといい、ある意味、日本で言うところの「歌謡曲」的な位置付けにあるのかなぁ、なんてことを思ったりしました。

もうひとつ印象に残ったのは彼女のボーカルで、DVDで聴くと、CDで感じたよりもパワフルなボーカルだなぁ、ということを感じます。で、ライブで見る彼女がやけにおばちゃんっぽい・・・(^^;;まだ若干23歳なはずなのですが、妙に恰幅のいいスタイルといい、豪快な笑い方といい、なんか彼女のイメージが一変しました(笑)。いや、あのおばちゃんっぽい豪快な雰囲気は好感が持てましたけどね。ミュージシャンとしてはもちろんのこと、ボーカリストとしての実力も感じることの出来るアルバムでした。

評価:★★★★★

Adele 過去の作品
19
21

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2013年2月 9日 (土)

槇原敬之の今と昔

Title:秋うた、冬うた
Musician:槇原敬之

またかよ~~(呆)。という感じが強い、マッキーのベスト盤。今回は、タイトル通り、秋、冬をテーマとした曲を集めた企画盤的な要素も強い内容に。察しのとおり、夏と春をテーマとしたベスト盤も近日中に発売されるとか。てか「遠く 遠く」ってむしろ春の歌だと思うんですが・・・。

ただ、今回のアルバム、企画盤的な内容のためか、「北風~君にとどきますように」「冬がはじまるよ」「もう恋なんてしない」みたいなおなじみの代表曲が収録されている反面、ベスト盤初登場となる曲もチラホラ。個人的に特にうれしかったのは、「3月の雪」が収録されたこと。1991年のアルバム「君は誰と幸せなあくびをしますか」収録の曲なのですが、卒業式の後、これから別れ別れになる学校の友だちたちと遊んだ1シーンを描いた作品。リアルタイムに聴いた20年前(!)も聴いて涙したのですが、今聴いても、涙腺が緩くなってしまう、マッキー屈指の名曲。個人的にも、マッキーの好きな曲ベスト10には必ず入ってきそうな曲で、このアルバムに入っていて、久しぶりに聴き入ってしまいました。

他にも、「さみしいきもち」「12月の魔法」など、あれだけ手を変え品を変え、ベスト盤をリリースしながらも、まだこんな名曲が漏れていたのか!(というよりも、ファンとしての立場では、まだあの名曲がベスト盤に収録されたことなかったのか!)という、彼の楽曲の層の厚さには驚かされる選曲になっています。

ワーナーミュージックからのリリースということで、原則、初期の作品を収録されているのですが、それに加えて秋、冬のイメージの曲という縛りがあることによって、意外な選曲となり、あれだけベスト盤を頻発していながらも、新鮮味を感じられる内容になっていました。「どんなときも。」など、代表曲が収録されていないという点では(多分、「春、夏」盤にとってあるのでしょうが)初心者向きではないような気がする反面、逆に変な手垢のついていない、微妙な恋愛風景や心象風景の描写が見事なシンプルな初期の名曲が並んでいる点、槇原敬之というミュージシャンの魅力を感じるにはうってつけの1枚と言えるかもしれません。

久しぶりに初期のアルバムを聴きなおしたくなったアルバムで、いままで発売されているベスト盤の中では、下手したら一番はまったかも。もう、ベスト盤はいい加減にしてほしい・・・という意味で、3でしたが、内容の素晴らしさで、1つ追加で・・・

評価:★★★★

で、このベスト盤が昔のマッキーだとしたら、こちらは今の槇原敬之。

Title:Dawn Over the Clover Field
Musician:槇原敬之

お説教くさいメッセージソングを彼が主軸に据えてきて、かなり久しくなってしまいました。ここ最近は、比較的、あまりにもな曲は(前作「Heart to Heart」では別の意味であまりにもな曲がありましたが)後ろに下がっていたような感じがしましたが、残念ながら最新作では、再びお説教くさい曲が目立ってしまったような気がします。

1曲目「Theme Song」では「消防車のサイレンの音は、誰かを助けに行く音だからうるさいなんて思っちゃダメだよ」って、そんなことわざわざ歌にするようなこと??彼のリスナーの対象が小学生くらいなら、まあわからないこともないけど、彼の曲を聴いているようないい年をした大人に、こういうメッセージを伝える意味はどこにあるの?

でまあ、こういうメッセージ性の強い曲はともかく、今回のアルバムはラヴソングが大幅に増えて、そのラヴソングには期待していたのですが、ところが、そのラヴソングすら、やけに説教くさくなってしまっていました。

「Birds Stop Twittering Tonight」では、メールや携帯でつながる最近の恋愛事情を否定したり、最後の「Boys&Girls!」では、恋愛をめんどくさがる若者に恋をしようと呼びかけたり。

でもさあ、以前のマッキーのラヴソングなら、こんなメッセージを直接歌にしなくても、好きな人を思う心象描写から、好きな人に直接会うことの素晴らしさや、ひいては恋をすることの素晴らしさを、その曲から感じることが出来たんですよね。なんか、全体的に歌詞が練れていないというか、上の「秋うた、冬うた」と続けて聴くと、どうしちゃったんだろう?という歌詞の出来に、心配になってきてしまいます・・・。

ただ、その気になる歌詞の反面、メロディーに関しては、かなりの安定感で名曲揃いとすらいえてしまう内容。「アイルランド」がテーマという今回のアルバムらしい、アイリッシュケルトの要素を取り入れた「四つ葉のクローバー」をはじめ、マッキーのイメージにピッタリの暖かみのあるアレンジも印象的。ここらへんは、ベテランらしい安定感と、天性のメロディーメイカーとしての才能を、しっかりとみせてくれたアルバムになっていたと思います。

なんだかんだいっても、「Season's Greeting」みたいな、マッキーらしい名曲も紛れ込んでいたりするんですけどね・・・。ここ最近、比較的、説教くささの薄い、いいアルバムが続いていたので残念な限り。歌詞は3、メロとアレンジは5ということで・・・。

評価:★★★★

槇原敬之 過去の作品
悲しみなんて何の役に立たないと思っていた
Personal Soundtracks
Best LOVE
Best LIFE

不安の中に手を突っ込んで
NORIYUKI MAKIHARA SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT CELEBRATION 2010~SING OUT GLEEFULLY!~
Heart to Heart

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2013年2月 8日 (金)

暖かさがあふれだしています。

Title:Oh!SHIGOTO Special
Musician:つじあやの

約2年ぶり、ちょっと久しぶりとなるつじあやのの新作は、タイトルの通り、彼女が手がけたCMソングやタイアップ曲、あるいは企業などとのコラボ曲を収録した、「お仕事」な曲を収録したアルバム。

・・・というと、一種の企画盤みたいに思われるかもしれませんが、これらの曲、全曲が前回のアルバム「虹色の花咲きほこるとき」以降に手がけた曲だとか。そういう意味では、列記としたオリジナルアルバムである今回の作品。正直、CDの売上という側面では、一時期よりちょっと寂しい感じのする彼女ですが、ところがどっこい、この手のタイアップに関しては、引っ張りだこの人気者ということがわかるアルバムだと思います。

で、今回のアルバム、ウクレレを中心としたアレンジに、身の回りの日常を歌った暖かい歌詞という、実につじあやのらしい出来に仕上がっていました。前々作「Sweet, Sweet Happy Birthday」は大人っぽい歌詞が目立ち、前作「虹色の花咲きほこるとき」は逆にアレンジから、ウクレレの音色が少なくなり、と、いままでのつじあやのとはちょっと異なる側面を見せたアルバムが続いていました。しかし、このアルバムに関しては、「これぞ、つじあやの!!」と満足できるようなアルバムになっていたのではないでしょうか。

もちろん、この手のタイアップ曲なだけに、つじあやのらしさを望まれ、新しい挑戦は出来なかった、という面はあるのでしょう。ただ、ほっこりとつつまれるような暖かいメロディーラインや歌詞、そしてそんな曲にピッタリな、暖かい彼女の歌声を聴くと、やはり彼女にとっては、ウクレレ片手にのんびりと歌えるような曲が一番しっくり来るなぁ、なんてことを思ってしまいます。

そして、そんな誰もが幸せになるようなつじあやのの歌を聴いていると、彼女がなんでこれほどタイアップに引っ張りだこなのか、よく理解できるような気がします。ただ、それだけなら単なる「万人受けするポップス」となりそうですが、決して平凡なポップスになっていないのは、彼女のメロディーセンスの良さ所以でしょう。わかりやすいフックや、リズムなどに頼ることなく、1曲全部で聴かせるような美メロには、彼女のセンスの良さが光ります。

また、タイアップがついているとはいえ、こういうシンプルな曲を集めて1枚のアルバムとしてリリースするあたり、今の彼女の興味が、こういう原点回帰的な方向に行っているのかなぁ、なんてことを感じたりして。どちらにしろ、つじあやのの魅力が最大限発揮されたアルバム。1枚のオリジナルアルバムとして、文句なしの傑作です。

評価:★★★★★

つじあやの 過去の作品
Sweet,Sweet Happy Birthday
COVER GIRL2
つじギフト~10th Anniversary BEST~
虹色の花咲きほこるとき

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2013年2月 7日 (木)

洋楽系のヒットが目立つ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

新譜がたくさんランクインされた今週のアルバムチャート。1位はあの女性シンガー。

今週の1位は、約2年3ヶ月ぶりのアルバムとなる、中島美嘉「REAL」が獲得。1位獲得は2作前の「VOICE」以来、約4年2ヶ月ぶりとなります。ただし、初動売上は4万9千枚と、前作「STAR」の9万2千枚から約半減。前回1位を獲得した「VOICE」は初動15万5千枚だったので約3分の1。かなり厳しい結果となっています。ただ、先日の紅白も、彼女、全然声が出ていなかったし、シンガーとしてもちょっと厳しい状況だしなぁ・・・。

2位には、先週3位だったイギリスのアイドルグループ、ONE DIRECTION「TAKE ME HOME」がワンランクアップしています。かなりのロングヒットになりそう・・・。ただし、売上は先週の3万5千枚から2万2千枚にダウンしています。

このONE DIRECTIONもそうなのですが、もう1枚、順位を伸ばしている洋楽アルバムがあります。それが、先週の7位から5位にランクアップしたBRUNO MARS「UNORTHODOX JUKEBOX」。こちらは売上も先週の1万5千枚から1万8千枚にアップ。こちらも今後のロングヒットが期待できそう。今週は、このように新譜が多い中で、洋楽のヒットが目立つチャートとなりました。

さて、続けましょう。3位には、男性SSW、秦基博「Signed POP」がランクインです。すっかり人気が定着してきた彼。前作「Documentary」に続くベスト3ヒットとなりました。ただ、初動売上は前作の3万枚から2万1千枚にダウンしてしまっています。

続いて、4位以下の初登場盤。4位に、アニメソングなどを中心に歌ってきた女性シンガー藍井エイル「BLAU」がランクイン。純然たるオリジナルアルバムとしては、これが初のアルバムとなります。ただし、昨年4月に、アニメ「Fate/Zero」にからむ企画盤アルバムをリリースしており、こちらは最高位12位、初動売上6千枚を記録。本作は初動1万9千枚を記録しており、大幅増となっています。

6位には、あさき「天庭」がランクイン。あさきは、主にゲームミュージックを手がけるミュージシャン。本人名義では2005年の「神曲」以来、約7年4ヶ月ぶりとなる2作目のアルバム。前作「神曲」はベスト100にもランクインできなかったため、前作から大幅に売上を伸ばし、初のベスト10ヒットとなる大躍進を遂げています。

7位に「THE IDOLM@STER ANIM@TION MASTER 生っすかSPECIAL カーテンコール」。TBS系アニメ「THE IDOLM@STER」のキャラクターによる、主に歌を収録した企画盤。初動売上1万5千枚で、前作「05」の1万6千枚からほぼ横バイ。

8位には、ヴィジュアル系ロックバンド、NIGHTMARE「SCUMS」がランクイン。初動売上は1万4千枚で、セルフタイトルだった前作「NIGHTMARE」の1万6千枚から微減。

初登場最後。10位には、HIP HOPユニット、RHYMESTER「ダーティーサイエンス」が入ってきました。1993年デビューの、日本のHIP HOPシーンの黎明期から活動を続ける彼ら。前作「フラッシュバック、夏。」はミニアルバムだった影響で、最高位16位初動7千枚に留まりましたが、本作は初動1万1千枚を記録。前作「POP LIFE」は、初動1万枚だったので、微増という結果になりました。

アルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2013年2月 6日 (水)

あまり馴染みない名前が多いような・・・。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャート。あくまでも主観的な感想なのですが、あまり馴染みのない名前が多いような印象が・・・。

まず1位。こちらはおなじみですが、名古屋を拠点に活動するAKB48の姉妹ユニット、SKE48「チョコの奴隷」がランクイン。初動売上は53万8千枚で、前作「キスだって左利き」の51万1千枚からアップと、2作連続上昇傾向。曲自体は、どうってことない無難なアイドルポップといった感じなのですが。

で、2位はちょっと馴染みの薄いユニット、GENERATIONS from EXILE TRIBE「ANIMALS」がランクイン。名前からわかるとおり、EXILEの弟分ユニット。名前にわざわざ「EXILE」を入れないといけないのが悲しいところ。曲調はK-POP風のエレクトロポップで、さほど新鮮味はない感じ。ただ、なじみは薄いものの、これが2作目のベスト10ヒット。初動売上は7万2千枚で、前作「BRAVE IT OUT」とほぼ同水準。ちなみにこのユニット、知名度自体はいまひとつなのですが、メンバーの白濱亜嵐が、最近、騒がせたAKB48の某人気メンバーのお泊り愛騒動のお相手。それでほぼ直後にシングル発売というのは、ひょっとして、それを利用しての・・・というのは勘ぐりすぎ?

3位はおなじみですね。きゃりーぱみゅぱみゅ「キミに100パーセント」。テレビ朝日系アニメ「クレヨンしんちゃん」主題歌。もちろん今回も中田ヤスタカプロデュースによる作品。アニメ主題歌ということもあり、いつも以上に楽しげな、かつお子様にも楽しめそうな(悪い意味ではないよ)ポップスに。ベスト3入りは初登場。ただし、初動売上は2万1千枚は前作「ファッションモンスター」と同水準。

続いて4位以下の初登場ですが、4位に、今週、もっとも初耳のミュージシャンが。Coda「BLOODY STREAM」がランクイン。テレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」主題歌というタイアップ効果で、初のベスト10ヒット。ただ、このCodaというミュージシャンの素性がいまひとつ不明。男性ボーカリストということしかわからないのですが・・・。楽曲は、一昔前の歌謡曲風で、いい意味で一般受けしそうな感じ。人気アニメのタイアップということもさることながら、なじみやすい曲調もヒットの要因か?

5位もちょっと馴染みの薄い名前。福岡のローカルアイドルLinQ「CHIKU-TAKU」がランクイン。前作「シアワセのエナジー」に続くベスト10入り。初動売上は1万6千枚で、前作の1万2千枚からアップで初のベスト5入り。

6位はおなじみの名前ですね。ゴスペラーズ「氷の花」。映画「きいろいゾウ」主題歌で、聴かせるバラードナンバー。初動売上は1万1千枚で、前作「STEP!」から横バイどころか、6作前「冬響」からずっと同水準の売上が続いています。根強いといえば根強い人気なのですが・・・。

そして初登場最後、8位も今週目だったなじみのない名前のアイドルグループ。バクステ外神田一丁目「ヨロピク ピクヨロ!」がランクイン。つんく♂と志倉千代丸の共同プロデュースによる「アイドル育成型エンターテイメントカフェ AKIHABARAバックステージpass」出身のアイドルグループによるデビューシングル。方向性的に完全にAKB48の2匹目のドジョウみたいなのですが、こういうユニットが簡単にベスト10入りしちゃうくらい、シングルチャートは低迷しているってことでしょうか。初動売上9千枚でベスト10入りというのは、低水準のチャートに助けられた感じです。

さて、今週の初登場は以上ですが、今週は低水準のチャートとなった影響か、ベスト10圏外からの返り咲き組が2曲。

まず7位に乃木坂46「制服のマネキン」がランクアップ。先週のベスト50圏外からのいきなりのランクアップは、某通販サイトの売上を一時に計上した影響による模様・・・ってか、こういうことによるランクアップって、まあ、AKBがらみに限らないのですが、こういうことが可能なら、もう「週間ランキング」の意味が失われているような・・・。

もう1曲。ゴールデンボンバー「Dance My Generation」が、先週の16位から9位にランクアップ。3週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。売上も、先週の6千枚から8千枚にアップ。相変わらずの勢いを感じさせます。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは明日アップの予定です。

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2013年2月 5日 (火)

大きな成長を感じる傑作

Title:one and zero
Musician:androp

andropのニューアルバム「one and zero」が素晴らしい!andropのアルバムについては、いままでも聴いていました。オルタナ系のギターロック路線は、個人的には好きなタイプではあったものの、特にこれといった特徴のない感じで、悪くはないけど・・・といった印象で、積極的に推したくなるようなアルバムではありませんでした。

ただ、そんなニューアルバムは、そんないままでのイメージを払拭するような内容に。イントロを挟んで、事実上の1曲目となる「Rising Star」からまず、ノイジーなギターの音にピアノの音色が幻想的で美しいシューゲイザーナンバーが耳を惹きます。続く「Boohoo」も、ファンキーなギターのリフに重なるシンセの音色が美しいナンバーでインパクト十分です。

他にも、ファンキーなベースの早弾きがインパクト十分な「Plug In Head」や、爽やかなシティポップ風の「Radio」、トランシーな4つ打ちのナンバー「World.Words.Lights.」、音数絞ったポストロック風のアレンジが印象的な「Human Factor」などバリエーションが豊富な内容に。全体的に、シンセなどを使用し、美しくコーティングされたような、夢の世界のようなサウンドが印象的で、耳を惹くものがありました。もともとから、バリエーションのある楽曲を聴かせてくれるバンドでしたが、アルバム全体を流れる音の美しさに、andropとしての個性を感じられる仕上がりになっていたように思います。

一方では、「You」みたいなダイナミックなバンドサウンドを聴かせてくれたり、王道のギターロック路線もしっかりと健在。「Am0:40」あたりは歌詞もメロもインパクト十分なのですが、BUMP OF CHICKENっぽいのはご愛嬌?最後は、ストリングスも入れて、幻想的な雰囲気たっぷりの、タイトルズバリ「End roll」で締めくくる点まで、構成もパッチリです。

また、メロディーラインは、基本的にポップで聴きやすく、そのため、様々なタイプの曲を取り入れても、小難しくならず、聴きやすいポップに仕上がっている点も特徴的。ただ、その一方で、メロディーはちょっとベタに陥りやすく、前作まででも目立っていた、平凡なギターポップのチラホラ。いわゆる「ハズレ」の曲も少なくなく、そういう意味では、ちょっと残念な部分も。全15曲入りなのですが、もうちょっと曲を絞れば、さらなる傑作になったのではにでしょうか。

とはいえ、そういう点を差し引いても、いままで聴いてきたandropのアルバムの中で、間違いなく最高傑作であり、彼ら自身、ひとつ壁を超えたアルバムであったと思います。いままで、平凡なギターロックバンドという印象だったのですが、これだけのアルバムをリリースできれば、これから先、さらなる傑作を産み出せそう。楽しみです。

評価:★★★★★

androp 過去の作品
door
relight


ほかに聴いたアルバム

BRACKISH/SHAKALABBITS

ベースのKING脱退、新メンバーYOSUKE加入後、初となる作品は6曲入りのミニアルバム。ここ最近、ハードロック路線に舵をとり、このアルバムも、基本的にその路線は顕著ですが、本作ではそれに加えて、原点回帰的なスカからの要素も強く感じられました。軽快なギターロックは新鮮味はありませんが、安定感があって、安心して聴ける印象。

評価:★★★★

SHAKALABBITS 過去の作品
SHAKALABBITS
4 ALL AGES
Phasemeter Trippin' Bug Shake
Condenser Baby

FUCK FOREVER/a flood of circle

こちらも全7曲入りのミニアルバム。基本的に、基礎体力のあるバンドなので、ガレージロック路線が決まればカッコいいのですが、ボーカルの声があまりにも端整なのと、メロディーにひねりが足りず、少々平凡さが目立つため、一歩間違えるとつまらないJ-POP路線に陥ってしまうのが玉に瑕。「Summertime Blues II」「KINZOKU Bat」あたりが前者の代表で文句なしにカッコいいのに、後者の影響が出てしまった「FUCK FOREVER」は、90年代のヴィジュアル系バンドみたい・・・。前作では、後者のタイプの曲を払拭し、大きく一歩前進したかな?と思っていたのですが、また元に戻ってしまったのが残念。脂がのれば、日本を代表するようなガレージバンドになれる素質は持っていると思うのですが・・・。

評価:★★★★

a flood of circle 過去の作品
泥水のメロディー
BUFFALO SOUL
PARADOX PARADE
ZOOMANITY
LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL

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2013年2月 4日 (月)

心ゆさぶられる

Title:DISCOVER NEW JAPAN 民謡ニューウェーブ VOL.1

ここ最近、日本の昔からの音楽に興味を持ってきました。そういう心境に至った経緯は大きくふたつ。ひとつはご存知ソウルフラワーユニオン。日本の土着の音楽やリズムを、その楽曲に積極的に取り入れている彼らの音楽から、民謡の持つリズムの楽しさをはじめて知りました。もうひとつはワールドミュージックからの流れ。欧米だけではなく、世界各地の音楽に興味を持つうち、じゃあ、我々日本のルーツミュージックはどうなんだ?という疑問に至りました。

そんな日本のルーツミュージックへの興味を持つミュージシャンは最近増えているようで、今回、おもしろいオムニバスアルバムがリリースされました。その名も「DISCOVER NEW JAPAN 民謡ニューウェーブ VOL.1」。音楽ライターでDJの大石始氏監修によるアルバムで、自身の楽曲に、日本の民謡の要素を取り入れた曲、あるいは、日本の民謡を、自分なりのアレンジで歌ったような曲などが収録されており、いずれも、今のミュージシャンによる、日本のルーツミュージックの解釈が、とてもユニークな内容に仕上がっています。

で、その解釈の方法として、大きく2つのスタンスを取るミュージシャンが目立ちました。ひとつは祭り囃子のリズムを取り込み、ライブ志向の楽曲をつくってくる方法、そしてもうひとつは、民謡に、テクノやポストロックなどのアレンジを実験的に加え、過去と現在の融合を図る方法。個人的に、特にユニークだったのは、後者の方法を取るミュージシャンだったように思います。

例えば、昨年、「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」でもライブを堪能した、OKIの「hup tare dub」。アイヌの民族楽器、トンコリの音色が非常に幻想的で、その中で静かに歌う、おそらく老女の歌い手との対比が、斬新さを感じました。

他に耳を惹いたのは二羽高次×ヨシダダイキチの「会津磐梯山」「おはら庄助さん なんで身上つぶした」のフレーズは、おそらく誰もが知っているおなじみの民謡ですが、これにシタールの音色をかぶせる手法がとてもユニーク。こちらも、日本民謡ながらもどこかエキゾチックな、実に不思議な曲に仕上がっていました。

一方、祭り囃子を生かしたアップテンポな曲も、心踊る曲が多く、文句なしで楽しめるものの、例えば、ソウルフラワーユニオンなどと比べると、ちょっと物足りなさを感じる側面も。なにが物足りないのかなぁ・・・と思ったのですが、おそらく、祭り囃子のビートを前面に押し出しすぎて、メロディーが後回しになっているような部分があるのでは?とも思ってしまいました。

ただ、アルバム全体としては、とても楽しい、心ワクワクするようなオムニバスだったと思います。それは、やはり日本人として・・・と言いたいところなのですが、もっと人としての根源的な部分で、身体がついつい反応するようなリズムやグルーヴが、ここには流れているから、ような気がしてしまいます。企画としては文句なしにおもしろかったオムニバス盤。「VOL.1」というタイトルからすると、「VOL.2」「VOL.3」もリリースされるのでしょうか。是非、今後とも、続けてほしい企画です。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Do You Remember?/ザ50回転ズ

ザ50回転ズといえば、ガレージ風のサウンドをベースに、様々なタイプの曲を取り入れる点が大きな特徴ですが、今回のアルバムの特徴は、全面的にホーンセッションを取り入れた点。軽快なホーンの音色で、よりポップスさが増している感じが。その一方で、キャバレーロック風の「香港ブーガルー」、ラテンの要素を取り入れた「キャプテン・オブ・アメリカ」など、ゴッタなジャンルを取り入れ、いい意味での猥雑さは、相変わらず。

評価:★★★★

ザ50回転ズ 過去の作品
50回転ズのビックリ!!
ロックンロール世界旅行
ロックンロール・ラブレター

Beats for Daddy/DJ FUMIYA

RIP SLYMEのメンバーであり、トラックメイカーであるDJ FUMIYAのソロデビュー作。RIP SLYMEのファンならはまりそうな、「JYANAI?」をはじめ、ユーモラスなトラック、楽曲の連続で、RIP SLYMEのファンなら文句なくはまれそうですし、そうでなくても、DJ FUMIYAの実力を実感できる傑作に。アイドル風でコミカルな「LOVE JIGOKU」や、ボッサ風のギターでしんみり聴かせる「TOKYO LOVE STORY」など、バリエーションも豊富で、RIP SLYME以上に自由度があがった感じになっています。

評価:★★★★★

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2013年2月 3日 (日)

2012年ベストアルバム(邦楽編) その2

昨日は6位まで紹介した2012年ベストアルバム。今日は5位から1位の紹介です。

5位 変身/チャットモンチー

聴いた当時の感想は、こちら

ドラムス高橋久美子脱退により、新メンバーやサポートメンバーを入れることなく、2ピースバンドとして新たな活動をスタートさせた彼女たち。曲によっては、サポートを入れている曲があるものの、基本的には2人のみでの演奏。そのため、音数を絞ったよりタイトなサウンドになっており、バンドとしての実力が、より前面に出ているアルバムに。チャットモンチーの、ロックバンドとしての基礎体力、実力を嫌というほど認識させられた傑作。にも関わらず、以前の通り、ポップなメロや、等身大の女の子を描いた歌詞はいつも通り。さらに大きな存在に変身を遂げたアルバムでした。

4位 リトルメロディ/七尾旅人

聴いた当時の感想は、こちら

七尾旅人については、以前からメディアなどでは非常に評判の高いミュージシャンだったものの、正直、私自身、そのアルバムはいまひとつ好きになれませんでした。というのも、実験的な作品が多く、どうもひねくり回した、という印象しか抱けなかったからです。ただ、前作「billion voices」から、メロディーを重視したポップな作品が増え、今回のアルバムは、ポップなメロディーの曲が主軸になっています。もともと、メロディーメイカーとして、美メロを多く書いてきた彼でしたが、その才能をフルに発揮した傑作になりました。特に傑作だったのは、「圏内の歌」。福島の被災者の心境を描いた歌詞は、おととしのライブでも聴いたのですが、あらためて聴くと、心に響きます。彼の天性の才能が発揮された傑作でした。

3位 すとーりーず/ZAZEN BOYS

聴いた当時の感想は、こちら

4年ぶりとなったZAZEN BOYSの新作は、前作同様、エレクトロの要素を多く取り入れた、向井秀徳のソロ的要素が強く出されたような作品。ただ、いままでの作品とひとつ異なった印象を受けたのが歌詞の世界で、いままでの「冷凍都市」から、歌詞の舞台に地方の都市が登場したりして、世界が広がった感じも。タイトル通り、向井秀徳がつむぐ、あらたな「ストーリー」が魅力的な作品に。一方で、サウンド的にはいままでのZAZEN BOYSの集大成的な感じも強く、そろそろ向井秀徳の次の一歩が見られそうな予感も。

2位 24HOURS DREAMERS ONLY!/N'夙川BOYS

聴いた当時の感想は、こちら

今年、もっともはまったアルバムは、このアルバムかもしれません。前作「PLANET MAGIC」で彼らにはまってしまいましたが、勢いにまかせている部分も否定できなかっただけに、次のアルバムはどうなるんだろう、と不安半分、期待半分で聴いた最新アルバムでしたが、前作を上回るような楽しいロックソングの連続でした。ワクワクするようなポップでキュートなメロディーラインに、ロックンロールなベースレスのサウンドも、時にはスリリングな展開が楽しめます。ロックンロールという音楽が本来持っていたような楽しさを体現化したようなアルバムで、難しい屁理屈抜きで楽しめる、とはまさにこのアルバムのこと。音楽が、本当に楽しく感じられるアルバムです。

そして・・・

1位 坩堝の電圧/くるり

聴いた当時の感想は、こちら

やはり総合的に見て、今年一番のアルバムといえば、これかなぁ。しばらく2人組として活動を続けていた彼らが、新メンバー2人を加入させ、4人組となった新生くるりとしての初のアルバム。いままで、ソングライターとしてくるりの主軸を一身に担っていた岸田繁の肩の荷が下り、バンドとしての自由な曲づくりを行ったように感じされる作品。ロック色が強く、あらたなくるりのスタンダードナンバー「everybogy feels the same」をはじめ、様々なタイプの曲があり、ユーモアさも、いままでのアルバム以上。個人的に、いまでもくるりの最高傑作だと思う「図鑑」みたいなぶっとんだ部分はなく、ちょうどよくまとまっている感じもしますが、非常にバランスもよく、多分、10年後20年後に振り返っても、くるりにとって重要なアルバムになっていることは間違いないと思わせるアルバムです。

以上。で、ベスト10をまとめると・・・

1位 坩堝の電圧/くるり
2位 24HOURS DREAMERS ONLY!/N'夙川BOYS
3位 すとーりーず/ZAZEN BOYS
4位 リトルメロディ/七尾旅人
5位 変身/チャットモンチー
6位 Force/Superfly
7位 親が泣くLIVE at 下北沢GARDEN 29 Feb.2012/井乃頭蓄音団
8位 100年後/OGRE YOU ASSHOLE
9位 B級映画のように2/田我流
10位 wordwide/たむらぱん

上半期と比べてもらうと気がつくと思うのですが、なんと、上期ベスト5で下期に残ったのが、わずか1枚のみ!それも、1位と2位の順位が入れ替わって、2位の田我流のみ、9位にランクインという結果になっています。ただ、かなり物足りなさを感じた上期と比べると、下期は傑作揃いになり、最終的に10枚を絞るのがかなり悩まされる豊作の1年になりました。

他にベスト10候補としては、上期ベスト5に残った
TOTAL/THA BLUE HERB
ULTRA/bonobos
MISOGI EP/GRAPEVINE
恋に似ている/THEラブ人間
や、上期で紹介した
うたびこ/青葉市子
STEREO WORXXX/capsule
この声/高橋優
の他・・・

時のシルエット/aiko
MOVE/上原ひろみ The Trio Project featuring Anthony Jackson&Simon Phillips
NEW FACE/トータス松本
銀河のほとり、路上の花/中川敬

と、まさに豊作となった1年。CD業界は、相変わらずの売上不振に悩んでいるようですが、傑作は間違いなくどんどんとリリースされているんですよね。そういう意味では、個人的に音楽業界の将来については、あまり心配していないのですが・・・。

アルバムのタイプも、上期ではメッセージ性の強い作品が目立ったのですが、年間を通じてみると、メッセージ性の強い作品はもちろん、エンタテイメント的な作品、サウンドを聴かせる作品、内省的な歌詞が特徴的な作品などなど、バラエティーに富んでいます。ベスト10圏内で新人は井乃頭蓄音団くらいで、その点はちょっと気にかかるものの、ベスト10からは漏れたものの、THEラヴ人間や青葉市子など、要注目の新人は出てきていて、その点も今後に期待が持てそう。

なんだかんだいっても、良い音楽というのは世の中にたくさん出てきますし、変に心配することはないんじゃないの?と楽観的な気分にさせられる1年でした。今年もまた、多くの傑作が生み出させることを、期待します。

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期

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2013年2月 2日 (土)

2012年ベストアルバム(邦楽編) その1

昨日の洋楽編に続いて、私的ベストアルバム邦楽編。今日と明日、2回にわけて。

10位 wordwide/たむらぱん

聴いた当時の感想は、こちら

「天才たむらぱん」復活。「ノウニウノウン」「ナクナイ」と傑作アルバムを次々リリースしてきた彼女でしたが、前作「mitaina」は彼女にしては取り留めて特徴のない凡作(とはいっても、一般的なミュージシャンにしてみれば十分に傑作なのですが・・・)で、ちょっと心配していたのですが、最新作はそんな心配を吹き飛ばす傑作に仕上がっていました。彼女らしいひねくれたポップスは相変わらず健在でしたが、ひとつ大きな特徴だったのは、ラッパーShing02が参加した「なくない」。HIP HOPの要素を取り入れたアレンジに、人との関わりあいの悩みを描いた歌詞が、単なるポップではない奥深さを与えていました。

9位 B級映画のように2/田我流

聴いた当時の感想は、こちら

東日本大震災後、強いメッセージを放つミュージシャンが増えましたが、そんな中でも最もストレート、かつ強烈なメッセージを聴かせてくれたのがこのアルバム。ユーモアセンスを交えつつ、皮肉たっぷりに綴られたリリックに、さらにそれでも前へ進もうとする力強さは、「前向き」といっても、巷にあふれる「がんばろう」ソングとはあきらかに一線を画するリアリティーが。

8位 100年後/OGRE YOU ASSHOLE

聴いた当時の感想は、こちら

前作「homely」も傑作でしたが、それに続く最新アルバムも、またもや傑作アルバムを産み出してくれました。音数を絞ったシンプルなアレンジは、「音」というよりも「空間」を聴かせるような独特の世界。ゆらゆら帝国の後継者的な音という指摘も多くされましたが、確かに、音的には近いものを感じます。ただ、メロディーはゆらゆら帝国よりも人なつっこい感じがして、より広い層にも支持されそう。まだまだ、彼らの快進撃は止まらなさそうです。

7位 親が泣くLIVE at 下北沢GARDEN 29 Feb.2012/井乃頭蓄音団

聴いた当時の感想は、こちら

知名度は、まだまだ低いものの、徐々に人気を伸ばしているロックバンドの、最新アルバムにしてライブ盤。フォークなメロを主軸に、ハードロックなアレンジを加えてくるサウンドもなかなかおもしろいものの、なんといってもインパクトがあったのはその歌詞。「ダメな自分をそのまま吐露した歌詞」というと、一般的なJ-POPにもありがちなようで、彼らほど内面の奥底までそのままさらけ出した歌詞は、皆無ではないでしょうか。そんな人間の弱さゆえにあらわれる醜さまで描写した歌詞は、人によっては「気持ち悪い」と捉えられるかも。でも、彼らの唱える現実は、実に身に染みます。

6位 Force/Superfly

聴いた当時の感想は、こちら

もともとSuperflyは、洋楽の影響を取り入れながらも、メロディーはベタなJ-POPで面白みがなく、あまり好印象なミュージシャンではありませんでした。しかし、前作「Mind Travel」から、そのメロディーのベタさが逆に楽曲のインパクトとなり、リスナーをグイグイと惹きこむ力を持つようになりました。そして最新アルバム。ライブを意識したアルバムは、まさに彼女の持ち味が最大限発揮された傑作アルバム。ロックの持つダイナミズムとエンターテイメント性を見事に両立されたアルバムで、ロックという音楽の持つ楽しさを最も前に押し出したアルバムと言えるかもしれません。

そんな訳で、明日は5位から1位!

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2013年2月 1日 (金)

2012年ベストアルバム(洋楽編)

年が明けてから早くも1ヶ月が経過しましたが、毎年恒例の私的ベストアルバムです。

5位 The Odd Future Tape Vol.2/Odd Future

聴いた当時の感想は、こちら

2011年アルバム「Goblin」が話題となったTyler,The Creatoが所属するHIP HOP集団、Odd Futureのメジャーデビュー作。2012年は同じく、Odd Futureに所属するFrank Oceanの新譜も大きな話題となりましたが、こちらも忘れてはいけません。「Goblin」同様、今の若者像を描いた作品は、不気味ながらもリアリティーがあり、インパクト十分。好き嫌いはありそうなアルバムですが、いまさに今の時代を象徴するような作品だと思います。

4位 HOME AGAIN/MICHAEL KIWANUKA

聴いた当時の感想は、こちら

2012年、最も話題となったイギリス出身のシンガーソングライターのデビュー作。ジャケットからして、いかにもビンテージソウル路線といった感じで、実際、昔ながらのソウル路線の曲もあるものの、フォークやジャズなどの要素を取り入れた、良質なポップスが多く収録されています。派手さはないものの、しんみり心に染みてくるような名曲が並ぶ傑作でした。

3位 UNTIL THE QUIET COMES/FLYING LOTUS

聴いた当時の感想は、こちら

以前と変わらず好んで聴いているものの、正直、ここ最近、エレクトロ系の音楽に大ハマリすることが少なくなってしまいました。驚くような、斬新な音になかなか出会えなくなってしまった、というのも大きな理由のひとつとは思うのですが・・・。そんな中で、今年、大ハマリした数少ないエレクトロ系の傑作。無機質なエレクトロサウンドの向こうに、ソウルやジャズの要素を感じられる独特の世界観が壺にはまりました。電子音にも関わらず、どこか人の暖かみを感じられる、そんな作品です。

2位 channel ORANGE/FRANK OCEAN

聴いた当時の感想は、こちら

2012年のベスト盤、1位2位に関しては、頭ひとつ出ていたように感じます。その分、どちらを1位にするかはかなり迷いましたが・・・。ご存知、5位にも登場したOdd Futureの一員であるR&Bシンガー、FRANK OCEANのメジャーデビューアルバム。バイセクシャルということをカミングアウトした歌詞も大きな話題となりましたが、やはりこのアルバムが傑作たる所以はそのメロディーライン。ファルセットボイスを多用しながら優しく歌い上げるメロディーが心に響きます。

そして・・・

1位 The Idler Wheel.../FIONA APPLE

聴いた当時の感想は、こちら

上半期も1位でしたが、年間でも、2位と最後まで迷いましたが、やはりこちら。シンプルな音に、独特のリズム、そしてそんな中に際立つFIONA APPLEのボーカル。メロディーラインの良さももちろんのことながら、そんなサウンドとボーカルにゾクゾクきてしまった傑作。正直、日本ではあまり話題になりませんでしたが、これほどの傑作がほとんどスルーというのは不可解にすら感じます。そんな独特のサウンドをかもしながら、ポップなメロディーは誰でも比較的受け入れられやすいメロディーなので、是非ともチェックしてほしい傑作です。

以上、5作。上にも書いた通り、1位2位が頭ひとつ出ていた感じでしょうか。ただ、傑作が多かった反面、シーンを一変させるような、いわば一時代を代表しそうなアルバムはなかったかなぁ、という感じ。全体的に、良作には、インディー志向のこじんまりしたような作品が目立ったような印象もあります。

他によかったのは・・・

WRITE ME BACK/R.Kelly
SWING LO MAGELLAN/DIRTY PROJECTORS
CUT THE WORLD/ANTONY AND THE JOHNSONS
Locked Down/Dr.John
Coexist/The XX

あたりでしょうか?インディー勢が調子がいい反面、大物ミュージシャンの傑作というのがリリースされていないような印象も。昨年から続き、相変わらずギターロックバンド系の勢いのなさが気にかかるところ。よくよく考えたら、ベスト5に、ロック系がいない・・・。

最後に、ベスト5をまとめると

1位 The Idler Wheel.../FIONA APPLE
2位 channel ORANGE/FRANK OCEAN
3位 UNTIL THE QUIET COMES/FLYING LOTUS
4位 HOME AGAIN/MICHAEL KIWANUKA
5位 The Odd Future Tape Vol.2/Odd Future

でした。明日から邦楽編!

ちなみに過去の洋楽ベストアルバムは・・・

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 上半期

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