目でも楽しむブルース
Title:2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
今回紹介するのは、ちょっと変わった代物。アメリカのブルース・イメージ社という会社が毎年リリースしているブルースカレンダーです。その名の通り、カレンダーに、戦前のブルースミュージシャンの貴重な写真や、当時の広告をデザインした内容。さらには、全21曲入りとなる、戦前ブルースを収録したCDがついてくるというお得感。イメージとしては、CDがメインで・・・と言いたくなりますが、彼ら曰く、戦前のブルースミュージシャンの写真は音源以上に貴重、だそうで、あくまでも、メインとなるのはカレンダーのようです。
で、こちらが壁に飾った写真。1月は、ギター・エヴァンジェリスト(ギター伝道師)として著名なBlind Willie Johnson。CDは21曲入りなのですが、うち前半12曲については、12ヶ月各月に対応する形に。1曲目Blind Willie Johnsonの「Dark Was The Night-Cold Was The Ground」についての解説が下に書かれています。もちろん英語ですが、短い文章でそんなに難しくないので、大意をつかむのは容易かと。
ちなみに、このカレンダーの大きな特徴として、ブルースミュージシャンの誕生日と逝去した日が、それぞれ日付の欄に記されています。例えば昨日1月25日は、Sleepy John Estesが、1899年にテネシー州のリブリーで生まれた日という記載があります。逆にマイナス点としては、海外のカレンダーなので当たり前なのですが、日本の祝祭日の記載は一切ありません。
貴重な写真と、ユーモラスな当時の広告を眺めているだけでとても楽しくなってくるカレンダーで、なにげにおしゃれなので、部屋のインテリアとしても悪くないかも。大きさは、いわゆる昔のレコードジャケットと同じ大きさ。フックに掛けて飾っているのですが、ちょっと重みがあるので、穴のところにパッチシールを貼って補強しています。
で、やはり気になるのは、全21曲入りのCDの方。BLAIND BLAKEや、若い時の貴重な写真も拝見できるMEMPHIS MINNIE、BLIND LEMON JEFFERSONといった、戦前の大物ミュージシャンたちの曲がおしげもなくズラリ。ただ、ブルースカレンダーといっても、正統派のブルースだけではなく、例えば、LIL McCINTOCKの「Sow Good Seeds」は、ブルースというよりもむしろカントリーの雰囲気を感じてしまいますし、表紙を飾っているREVEREND EMMET DICKENSONのタイトルからしてユニークな「The Devil And God Meet At Church」は、曲ではなく、寸劇(?)。もちろん英語なので内容がわからないのが残念なのですが・・・。他にも、コントみたいな男女の掛け合いが収録された曲なんかもあります。
で、概して感じるのは、今のブルースのイメージに比べて、雰囲気がすごく軽く、自由で、エンターテイメントの要素を強く感じる点。ブルースというと、白人に虐げられた黒人の労働歌というイメージが強く、確かにそれは事実なのですが、こうやって聴くと、決して暗い音楽ではなく、むしろ、エンターテイメント性の強い楽しい音楽として聴かれてきた側面も強く感じます。
入門盤、というよりも、どちらかというとブルースのファン向けに作られた作品なので、ブルースを聴いたことない方も・・・という感じではお薦めできないのですが、興味があれば、初心者でも十分楽しめる内容だと思います。なにより、カレンダーに載っている貴重な写真や広告を眺めるだけでも楽しめる作品。今年1年間、このカレンダーが私の部屋の壁を楽しく飾ってくれそうです。
評価:★★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2013年」カテゴリの記事
- 44年ぶり(2013.12.29)
- 荒々しいトラックが強烈(2013.12.24)
- あの傑作アルバムの続編(2013.12.23)
- 早くも2作目!(2013.12.21)
- 驚愕のライヴ!(2013.12.15)
コメント