様々なジャンルを自分たちの音として取り込む
Title:My Lost City
Musician:cero
今日紹介するミュージシャンは、最近話題の3人組バンド、cero。最近、各所で彼らが絶賛され、取り上げられることが多く、2枚目となるこのアルバムも、ミュージックマガジン誌の「ロック[日本]」部門で年間4位になるなど、高い評価を受けています。実は彼ら、2011年のライブイベント「Our Favorite Things」でそのパフォーマンスを見ているのですが、ちょっとうつらうつらしており、ほとんど覚えておらず(^^;;事実上、しっかりと彼らの「音」を聴いたのははじめて、ということになります。
まず、彼らの音楽を聴いて、感じたのは、様々な音楽の要素を取り込んでいるなぁ、という点。1曲目「水平線のバラード」はアカペラからスタートしたかと思えば、「マウンテン・マウンテン」や「マイ・ロスト・シティー」は、民俗音楽っぽいリズムがとても心地よく、かと思えば「cloud nine」は、爽やかなラテン風のリズムを感じます。
他にも、シティポップっぽいメロながらも、ポストロックの影響を感じるアレンジが特徴的な「大洪水時代」や、ピアノが軽快なポップナンバー「スマイル」、ジャジーに聴かせる「roof」や、HIP HOP風の「わたしのすがた」まで、まさに様々なジャンルが展開しており、先が見えない構成が大きな魅力となっています。
そんなバラバラな作風ながらも、全体的にはポップなメロディーと、全体を流れる垢抜けた都会的な雰囲気で、アルバム全体がまとまっているため、アルバム自体はあまりバラバラといった雰囲気はありません。新人ながらも、様々なジャンルを、上手く咀嚼した上で、自分たちの音楽として取り込んでいるスタイルには、各所での絶賛も納得の出来映えだったと思います。
インパクトという点で、若干薄いかなぁ・・・という印象は否めないものの、今、もっとも注目の新人バンドの一組である点には間違いないと思います。これからも期待!次のライブは、うつらうつらしないで、きちんと体験しなければ(笑)。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
HARENTIC ZOO/黒猫チェルシー
ジャケット写真も、ちょっといままでの作品と雰囲気が異なりますが、黒猫チェルシーの新作は、曲の雰囲気もいままでとはガラッと変わりました。ガレージロックの色合いが薄くなり、ポップな曲がグッと増えた内容は、メロディーはしっかりしており、メロディーメイカーとしての実力を感じさせる内容になっています。また、楽曲のバリエーションも、ハードロック風の曲から、軽快なギターポップ、レゲエ風の曲など、グッと増えました。残念ながら、インパクトが薄く、これは、といった曲がないものの、今後に期待できそうな、彼らの成長を感じさせる問題作です。
評価:★★★★
黒猫チェルシー 過去の作品
All de Fashion
猫Pack
NUDE+
猫Pack2
Ave Materia/People In The Box
People In The Boxの最新作は、全体的にアコースティックで、美しい雰囲気の音づくりが印象的な作品。いつも通り、ポップなメロディーで、聴きやすい一方、幻想的なアレンジや独特な歌詞で、知らず知らずのうちに奥深い世界観にはまり込むというのはいつも通り。ただ、この作品も十分楽しめる内容ながらも、傑作続きだったここ数作に比べると、ちょっと印象が薄かった感も否めず。
評価:★★★★
People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
Citizen Soul
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2013年」カテゴリの記事
- 9年ぶりのオリジナル(2014.03.14)
- 削除クロース(笑)(2013.12.28)
- 音楽シーンへの憤りも感じる(2013.12.27)
- 脱EDM(2013.12.20)
- やさしくなりたい(2013.12.17)
コメント