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2013年1月 8日 (火)

「夜」を空気公団と共に

Title:夜はそのまなざしの先に流れる
Musician:空気公団

約1年半ぶりとなる空気公団のニューアルバムは、ちょっとユニークなレコーディング方法が特徴的。今年7月7日、東京・水天宮前の日本橋公会堂で今野裕一郎によるソロユニット「バストリオ」をゲストに迎えて、レコーディングライブを実施。その時の音源に、スタジオ録音の音源を重ねることにより、ニューアルバムを完成させました。先日、MONOBRIGHTが、すべてライブ音源でのニューアルバムをリリースしましたが、本作は、ライブアルバムとスタジオ音源の中間を行くようなユニークな内容になっています。

今回のアルバムは、星空を映したアルバムといい、タイトルといい、「夜」をイメージした印象があります。アルバムは、静かなピアノの音と、時計の音から始まります。静かな雰囲気のスタートは、夜のはじまりをイメージするようです。

その後も、基本的には、いつもの空気公団。アコースティックなサウンドがベースのアレンジに、シンプルなメロディーライン。決して派手さはないものの、聴き終わった後、どこか心にひっかかるメロディーが大きな魅力です。

今回は、「夜」をイメージしたためか、全体的にミディアムテンポのナンバーが多く、ただでさえ、のんびりしたイメージのある空気公団の楽曲ですが、さらにのんびりとした雰囲気になっています。また、今回はインストのナンバーが多い印象も。ピアノやピアニカで奏でられる、のんびりとしたやさしい楽曲は、アルバム全体に流れる「夜」のイメージを増幅しています。

また、このアルバムの大きな特徴であるライブレコーディングの部分。その影響か、演奏にいつも以上に緊張感が感じられました。音と音の間に流れる空間が、より強調されているような、いい意味でピンとはりつめられたような空気が、ひとつこのアルバムの大きな魅力に感じられます。

最後は「あなたはわたし」「これきりのいま」と、アップテンポな明るいナンバーで締めくくり。ここらへん、「夜」が続いた最後、爽やかな「朝」のイメージでしょう。特に「これきりのいま」の最後は「おはよう」の言葉で締めくくられています。

コンセプチュアルなアルバムで、ライブレコーディングの魅力も加えつつ、一見、「地味」な印象がありながらも、最後まで耳の離せないアルバムになっていました。空気公団の、今の実力が存分に発揮されていた傑作ではないでしょうか。彼らが、実に魅力的なポップバンドだなぁ、ということを再認識できた1枚でした。

評価:★★★★★

空気公団 過去の作品
空気公団作品集
メロディ
ぼくらの空気公団
春愁秋思
LIVE春愁秋思


ほかに聴いたアルバム

ハッピーエンド/フラワーカンパニーズ

フラカンの約2年ぶりのニューアルバム。楽曲は、王道のオルタナ系ギターロック。ベテランの彼らですが、音は、そこらへんの若手に負けないような「若さ」を感じられるのは魅力的ですが、正直、ちょっと新鮮味は薄い感じも・・・。ただ、その一方、歌詞が半端ない内容。郷愁を誘う「夏のにおい」や、今を生きようとする力強さが伝わる「なれのはて」など、BGM感覚で聴いていても、否応なく、歌詞が耳の中に飛び込んできます。人生をテーマとした「人生 GOES ON」など、大人の彼らだからこそ書けるような歌詞も大きな魅力。

評価:★★★★

フラワーカンパニーズ 過去の作品
フラカン入門

MACH CLUB/KING BROTHERS

かつて、「東のミッシェル、西のキンブラ」なんてことも言われたKING BROTHERS。最近は、'N夙川BOYSとしての活躍が目立つのですが、ちゃんとキンブラとしての活躍も健在です。激しいシャウトとギターのガレージサウンドなのは相変わらず。迫力がありながらも、スカスカな音は相変わらず。'N夙川BOYSの活躍で、メロディーメイカーとして一流な面ものぞかせたのですが、このアルバムでも「GET AWAY」みたいに、ガレージサウンドで隠れているものの、よくよく聴くと意外とポップな曲も。ただ、全体的にはちょっとゴチャゴチャした印象は否めず、まとまりにかけた感も。まあ、そういう「ラフさ」も彼らの魅力といわれれば魅力なのですが・・・。

評価:★★★★

KING BROTHERS 過去の作品
THE FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN

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