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2013年1月

2013年1月31日 (木)

イギリスからもアイドル系が・・・

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は、まず1位2位に、2枚同時リリースのアルバムが並びました。

今週1位2位は、GLAYの2枚同時リリースのニューアルバムがランクイン。1位「JUSTICE」、2位「GUILTY」の順番になっています。約2年3ヶ月ぶりという久々の新譜。見事ワンツーフィニッシュを飾りました。

ただし、初動売上は「JUSTICE」が5万7千枚、「GUILTY」が5万6千枚。いずれも前作「GLAY」の9万4千枚を大きく下回り、前々作「LOVE IS BEAUTIFUL」の15万枚の約3分の1という結果に。今年は函館での野外ライブやドーム公演、来年は東北での野外ライブが予定されていて、一見、いまだに高い人気を誇るようにも感じますが、アルバムの売上を見る限り、話題づくりでなんとか盛り上げようとする意図が見え隠れします。

そしてそれに続く3位は、なんとイギリスのONE DIRECTION「TAKE ME HOME」が、先週の4位から3位にランクアップ。売上も、1万6千枚から3万5千枚にアップしています。さらに、デビューアルバム「UP ALL NIGHT」も先週の13位から6位にランクアップ。昨年8月27日付で8位にランクインして以来のベスト10返り咲きで、順位も最高位を記録しています。ジャニーズ系や韓流に続いて、欧米からのアイドル勢も続くのでしょうか?

続いて、4位以下の初登場ですが、まずは4位。吉井和哉「18」がランクイン。YOSHII LOVINSON名義の楽曲も含む、吉井和哉のソロとして初となるベスト盤です。初動売上3万枚は、直近のミニアルバム「After The Apple」の2万5千枚からはアップしたものの、フルアルバムとしての前作「The Apple」の3万7千枚からはダウン。ベスト盤としては、浮動層をあまり確保できていないのが気になります。

続いて5位には、沖縄のパンクバンド、MONGOL800の、こちらも初となるベストアルバム「800BEST -simple is the BEST!!-」が入ってきました。先日、初となるミュージックステーションに出演した彼ら。その時に、反原発、反オスプレイと書かれたTシャツを着ていたことも大きな話題となりました。初動売上は2万4千枚。直近のアルバムは、カバーやコラボ曲を集めた企画盤「etc works 2」で、初動7千枚、オリジナルとして前作「eight-hundreds」は初動1万8千枚で、いずれよりもアップ。こちらはそれなりに浮動層を取り込んだ模様。もっとも、一時期の人気に比べると、かなり寂しい感じは否めませんが。

今週の初登場は以上。ただし、今週はさらにベスト10圏外からランクアップし、ベスト10入りしてきたアルバムがありました。

まずは7位。前作「Doo-Wops&Hooligans」が、イギリスをはじめ、世界各国で大ヒットを記録し話題となったアメリカのシンガー、Bruno Mars「Unorthodox Jukebox」が先週の24位からランクアップし、日本では初となるベスト10ヒットとなりました。前作は、国内盤リリース時には20位までしかランクアップしていませんでしたが、じわじわと国内でも知名度が広がっていていた模様。このたびの来日公演の影響で、一気にランクアップです。さらに、その前作も再度ランクアップし、18位にランクイン。最高位を更新しています。

8位には、元東方神起のメンバー、キム・ジェジュンの初となるミニアルバム「I」が、先週の15位からランクアップし、2週目にしてベスト10入り。こちらは韓国盤の輸入盤でのみでのベスト10ヒットとなりました。

さらにアメリカで大人気のカントリーシンガー、Taylor Swift「RED」が、先週の22位から10位に一気にランクアップし、昨年11月12日付チャート以来のベスト10返り咲きとなっています。こちらは、21日にフジテレビ系バラエティー「SMAP×SMAP」に出演した影響でしょうか?

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年1月30日 (水)

細長く続くアイドルグループ

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

新譜ラッシュが続くシングルチャート。今週は10曲すべてが初登場。

そんな中で1位を獲得したのがモーニング娘。「Help me!!」。1位獲得は2009年の「しょうがない 夢追い人」以来、4年ぶり13作ぶりの1位復帰。オリコンによると、3年代(90年代、00年代、10年代)での1位獲得は女性グループでは初ということ。ただ、もっとも90年代にヒットを飛ばしていたグループとは、名実共に「別物」なわけで・・・。とはいえ、「卒業」「新加入」を繰り返すこのシステムは、確かに全盛期からの凋落は早かったものの、その後、細く長く続いたという意味では、結果的には「成功」だったわけで。初動売上9万3千枚は、前作「ワクテカTake a chance」の8万1千枚よりアップ。ただ、前々作「One・Two・Three」は初動10万枚だったので、一時期よりは回復したものの、決して人気は上り調子という感じではないのですが。

2位は韓流。人気アイドルグループSUPER JUNIORのメンバーのうち3人によるユニット、SUPER JUNIOR-K.R.Y.「Promise You」がランクイン。いかにもK-POPっぽい、メロウな、というよりも甘ったるいバラードナンバー。初動売上は6万9千枚。SUPER JUNIORとしての直近のシングル「Sexy,Free&Single」の10万9千枚からはさすがに大きく下回っています。

3位は、avexの男女7人組ダンスグループ、AAA「Miss you」。こちらもR&B風のバラードナンバー。初動売上は3万9千枚で、前作「虹」の4万枚からは微減。

4位以下も初登場が並びます。4位はサカナクション「ミュージック」。ご存知、エレクトロでダンサナブルなロックナンバーが人気のバンド。本作も、最初、エレクトロでダンサナブルなアレンジが印象的なのですが、どこか切ないメロが印象に残ります。初動売上3万5千枚は、前作「夜の踊り子」の3万枚からアップ。初動売上の過去最高枚数を更新しています。

で、実は今週、5位以下9位まではズラリ、モバゲー用ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」登場キャラクターによるキャラクターソングが並びました。

5位 十時愛梨(原田ひとみ) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 013 十時愛梨(アップルパイ・プリンセス)」
6位 小日向美穂(津田美波) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 011 小日向美穂(Naked Romance)」
7位 多田李衣菜(青木瑠璃子) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 012 多田李衣菜(Twilight Sky)」
8位 川島瑞樹(東山奈央) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 014 川島瑞樹(Angel Breeze)」
9位 本田未央(原紗友里) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 015 本田未央(ミツボシ☆☆★)」

このシリーズ、一度に大量のシングルを出して、大量にシングルチャート上位に食い込んでくることでおなじみで、昨年4月にも5枚同時にベスト10入り、8月にも5枚同時にリリースして、うち2作がベスト10入りしています。ただ、昨年4月は、最高位につけたのが双葉杏(五十嵐裕美) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 002 双葉杏(あんずのうた)」で初動3万7千枚、8月は神崎蘭子(内田真礼) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 006 神崎蘭子(華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~)」で初動2万3千枚だったのに対して、本作は最高位の5位でも1万9千枚と順調に右下がり気味。単なるキャラクター人気に起因するものか、純粋に飽きられてきたからなのかは不明なのですが。

楽曲は、基本的にどれもいかにもなアイドルソング。まあ、わざとそういう「わかりやすい」作風にしているのでしょうが。ただ、ポップソングとして手堅く押さえる部分は押さえている印象もあります。

そして初登場最後、10位にはヴィジュアル系ロックバンド、バロック「たとえば君と僕」がランクインしています。ヴィジュアル系としては比較的癖のないメロディアスなポップスロックなので、比較的、幅広い層に受け入れられそう。初動売上1万枚で、前作「キズナ」の1万4千枚からダウン。前々作「メロウホロウ」の水準まで戻っています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、明日更新の予定!

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2013年1月29日 (火)

2ピースの極み

チャットモンチー TOUR2013

会場 Zepp Nagoya 日時 2013年1月20日(日)18:00~

新年初ライブは、2人組バンドとなったチャットモンチー。チャットモンチーは、ワンマンライブははじめて。チャットモンチーのステージ自体、なにげにまだ2回目。それも1度目は、まだデビュー間もない2005年に下北沢のSHELTERで見て以来というステージ。実は、その後、ロフトでのワンマンライブのチケットを確保していたのですが、直前に用事が入ってしまい、泣く泣く諦めた、という少々苦い思い出が・・・(^^;;で、最新アルバム「変身」が傑作だっただけに、ワンマンライブにはじめて足を運んできました。

チケットは事前に売り切れたみたいで、Zepp Nagoyaは超満員。一番後ろの方で、なんとか場所を確保し、開演を待ちます。

ステージ上には、大きな門のようにかたちどられたリボンが背景となって、その上には、「Chatmonchy」の文字が。その門のようになったリボンの「入り口」の部分から、チャットモンチーの2人が登場。最初はえっちゃんがドラムに、あっこがギターをかかえ、「変身」からスタートです。

まさかの脱退劇で2人組となったチャットモンチー。新メンバーを入れず、2ピースバンドで、どのようなライブを見せてくれるのかあぁ、と思ったのですが、ライブでは、サポートメンバーなしで、2人だけのステージに。続く「初日の出」では、えっちゃんとあっこのツインドラムからスタートし、さらに3曲目「コンビニエンスハネムーン」では、えっちゃんとあっこがポジションチェンジして、ステージを見せてくれました。

誰もサポートを入れない2ピース、とはいえ、曲によっては、主に追加のギターの音が後ろで鳴っていたので、カラオケが入った状況だったとは思います。もっとも、私、一番後ろで見ていて、ステージは、客の頭越しにしか見えなかったので、本当に、「カラオケのギター」が鳴っていたのかは、少々不確かなのですが・・・。

ただ、それでも基本的には、2人のみでの演奏が主軸。個人的に、この日聴けてうれしかった「東京ハチミツオーケストラ」も2ピース仕様のアレンジになっていました。その後、「テルマエ・ロマン」「少女E」「Yes or No or Love」と「変身」からの曲が続き、短いMCに。そこでは、「今日は引越しが多いよ~」という、あっちゃんのコメントが、この日のステージを象徴づけていました。

中盤は、しんみり聴かせるナンバーがメイン。「染まるよ」「歩くオブジェ」と、「変身」からの曲が続く中、あっちゃんがピアノを弾いたり、ドラムとギターを交換したり、忙しく、いろいろな楽器を持ち替えての「引越し」が続いて行きます。

途中、メンバー2人が一度引っ込み、名古屋への移動の途中の新幹線の車内で録音したと思われるテープが流されました。ここらへんも、普通のライブならば、サポートメンバーが場をつなぐところなんでしょうが、2人のみのライブならではといった感じでしょう。

その後は、えっちゃんのアコギ弾き語りで新曲をしんみり聴かせ、「恋愛スピリッツ」へと続き、聴かせる曲が続きます。彼女たちのステージ、基本的に2人が、様々な楽器を持ち替えてのステージなのですが、とはいえ、決して「不慣れな楽器を」というイメージはありません。もともと、かつて見たステージでも、非常に演奏力の高いバンドだなぁ、というイメージがあったのですが、この日のステージでも、シンプルながらも、逆にシンプルだからこそ緊張感ある迫力あふれるステージを見せてくれました。

この日のハイライトともいえる圧巻のステージは後半。「余談」から、アップテンポなナンバーがはじまり、えっちゃんが、名古屋のお菓子「しるこサンド」が好き、というMCが挟み、一気にハイテンションのステージになだれこみます。「ハテナ」「きらきらひかれ」そして本編ラストとなる「満月に吠えろ」まで、ハイテンションな曲が続きましたが、このステージが実に素晴らしかった。メロディーはポップながらも、2ピースのバンドサウンドが非常にハードで迫力があり、かつ2人の息もピッタリ。Zepp Nagoyaって、音がいまひとつ悪いだけに、下手なバンドが演奏すると、音がこもって聴いていてキツイのですが、そういう不快感が全くなく、クリアな音が聴こえたということは、それだけ彼女たちの演奏が上手かったということ。ポップなメロや、えっちゃんのかわいらしいボーカルに見落としがちなのですが、チャットモンチーって、本当に実力のあるロックバンドなんだなぁ、ということを再認識しました。

その後はもちろんアンコール。「ウタタネ」を披露した後のMCでは、「本編はここまで。最後は『おまけ』」ということで「どうしても演りたかった曲」をもう1曲、えっちゃん曰く「2ピースの極み」という、その曲は、「ふたり、人生、自由が丘」。その「2ピースの極み」という評価の通り、最初、あっこがドラムを叩いていたのに、途中からえっちゃんに交代。要するに、2人が自由自在にいろいろな楽器を奏でながらのステージで、まさに2人のみという編成ならではのステージになっていました。

アンコールも含めて全2時間弱。結局、「変身」の曲は全曲披露してくれました。最後の曲を「2ピースの極み」といっていましたが、2ピースならではの「引越し」も楽しめ、さらに2人ならではのシンプルながらも息のあったステージに、このライブ全体が、まさに「2ピースの極み」といってもいいライブだったのではないでしょうか。新年一発目のライブながらも、今年のベストライブ候補。ロックバンド、チャットモンチーのすごみを感じたステージでした。

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2013年1月28日 (月)

最初で最後のベスト盤

Title:GREEN GARDEN POP
Musician:YUI

Title:ORANGE GARDEN POP
Musician:YUI

昨年12月の紅白歌合戦を最後に、YUIとしての活動を休止した彼女の、「YUIとして最初で最後」となるベスト盤。「GREEN」「ORANGE」と、タイトルに色を含めて同時発売としたのは、ビートルズの「青盤」「赤盤」を意識したとか。

「GREEN」と「ORANGE」の2枚に、大きな違いはありません。ただ、あえて言えば、「GREEN」の方は、いかにも「若者の叫び」を意識したような曲が多く、逆に「ORANGE」は、もうちょっと素直な、等身大のラブソングが多かったような印象を受けました。

で、どうしても気になってしまうのは、その若者の代弁者的な彼女のスタイル。「My Generation」あたりが典型なのですが、いかにも尾崎豊を意識したようなスタイルがどうもに気になってしまいます。もっと上の世代が考えてそうな、「今時の若者像」的な歌詞は、ある意味わかりやすすぎるだけに、いまひとつリアリティーがなく、「言わされている」という感じすら受けてしまいます。

逆に、そんな若者の代弁者的な曲とは逆に、好感を持てたのが、特に「ORANGE」に多く収録されていた、素朴で素直なラブソング。こちらは素直な若者らしい、率直な気持ちと、リアリティーある描写が印象的で、変に気負った感じもなく、非常に好感の持てる内容になっていたと思います。

ここからは勝手な推測なのですが、今回の彼女の活動休止、実際には音楽活動は新年すぐに別名義で開始したとか。要するに、YUIとして求められている、若者の代弁者像が本当に歌いたい音楽とずれてきたから・・・そんなことをベスト盤から憶測してしまいます。もっとも、それに関するインタビューもほとんど読んでいないですし、あらたな活動で、どんな曲を歌ったのか、全くわからないので、この指摘は完全に的外れの可能性もあるのですが。

もうひとつちょっと気になったのは、彼女は比較的アコースティックギター1本をかかえて、シンプルな音を志向しているように感じるのですが、実際のアレンジに関しては、ストリングスなどもふんだんに入れて、悪い意味でもいかにもJ-POP的な仰々しい内容。ここらへん、彼女の本来の持ち味とのギャップが生じているようにも感じてしまいました。

いい曲も多いものの、一方では、いかにも売れることにターゲットを絞ったような曲づくりも目立つような印象を受けたベスト盤。そこらへんが今回の活動休止の大きな理由、なのかもしれません。ここらへん、再活動後にどのような曲をリリースしてくるのか、注目したいところです。

評価:
GREEN GARDEN POP ★★★★
ORANGE GARDEN POP ★★★★

YUI 過去の作品
I LOVED YESTERDAY
HOLIDAYS IN THE SUN
HOW CRAZY YOUR LOVE


ほかに聴いたアルバム

MELODY/清水翔太

J-POPの名曲を数多くカバーしたカバーアルバム。歌い方には癖がないので、シンプルなカバーになっています。そのため、彼が曲に新たな色をつけることにより、曲の新たな魅力を発見するようなことはないものの、一方で、もともとの曲を、メロと歌詞だけの丸裸の状況にすることにより、その曲のメロと歌詞の良さを再認識できるようなカバーも。典型的だったのは桑田佳祐の「白い恋人達」のカバーでした。逆に、中島みゆきの「化粧」のような曲もしっかりとカバーしている点、彼の歌唱力を再認識できる内容になっていました。

評価:★★★★★

清水翔太 過去の作品
Umbrella
Journey
COLORS
NATURALLY

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2013年1月27日 (日)

今風のサウンドにポップなメロ

Title:Coexist
Musiciant:The xx

年末から年明けにかけて、各種メディアで年間ベスト10が発表されました。その中から、当初、聴き逃したアルバムを聴いているのですが、このアルバムも、そんなアルバムの1枚。イギリスの3人組バンド、The xxのニューアルバムです。

The xxは、2009年にアルバム「xx」でデビュー。このアルバムが大きな評判を呼び、メディアでは軒並み2009年のベスト盤に選出。イギリスでもっとも権威のある音楽賞の一つである、マーキュリー賞も授賞するなど、大きな評判を呼びました。

今回のアルバムは、それに続くニューアルバム。当然、前作の評価が大きかっただけに、本作も注目を集めました。結果、イギリスのアルバムチャートでは見事1位を獲得。アメリカビルボードでも最高位5位をしたほか、各国チャートでも上位に食い込み、世界的な大ブレイクを果たした他、評判も上々。まさに今、もっとも注目を集めているバンドの一組です。

楽曲のタイプは、「ポスト・ポップ」と呼ばれることもあるみたいですが、基本的に、ポストロック風の、音数の絞り、かつ、ビートを強調したようなサウンドが特徴的。雑誌などによっては、おととし、ジェイムス・ブレイクのヒットでも注目を集めているダブステップの枠組みで紹介している場合もあるみたいです。広い空間の中で鳴らされているような、奥行きのある雰囲気を醸し出しつつ、ビートを強調した音が、その中で静かに鳴らされ続けている・・・どこか幻想的な雰囲気が魅力的。音数が少ないからこそ、非常に緊迫感ある雰囲気が醸し出されています。

一方では、そんなトラックの中で鳴っているメロディーは、シンプルながらも、非常にポップでかつメロディアス。ほとんどの曲が、男女デゥオになっているのですが、男女デゥオだからこそ、さらにポップに、かつ耳馴染みやすい雰囲気に仕上がっています。トラックこそ、時代の先端を行くようなサウンドながらも、メロディーはポピュラリティーがあり、だからこそ、各国チャートで上位に食い込むようなヒットを記録しているのでしょう。

ただ、メロディーもサウンドもシンプルで淡々としているだけに、ちょっと最初の取っ付きは悪いかもしれません。でも、何度か聴けば-この手のアルバムではありがちなのですが-中毒性の高い音が癖になりそうなアルバムだと思います。次は日本でもヒット、なるのか?

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Strangeland/KEANE

デビューアルバム以来、全てのアルバムをイギリスのヒットチャートで1位に送り込んでいるにも関わらず、なぜか日本ではほとんど無視された状況の彼ら。確かに、前作のミニアルバム「NIGHT TRAIN」や、前々作「Perfect Symmetry」は、彼らの新しい試みが中途半端に終わっており、いまひとつなアルバムで、いくらイギリスで売れていても、日本ではいまひとつの盛り上がりで仕方ないのかなぁ・・・と思っていたのですが、本作は、日本でも十分ブレイクできそうな傑作になっていました。

楽曲は、ピアノを中心としたアレンジで、美しく爽やかなメロディーラインを聴かせてくれるポップスバンド。イメージとしては、同じくイギリスのロックバンド、COLDPLAYやTRAVISあたりと近い雰囲気のあるバンドで、それこそ、いかにもイギリスで売れそうなタイプといった感じ。デビュー作以降、このピアノを中心としたアレンジの美しいメロディーを聴かせる傑作アルバムを連発していたのですが、「Perfect Symmetry」ではシンセを用いたニューウェーヴ風のアルバムをリリースしてきて、結果、いまひとつな出来に終わっていました。今回のアルバムは、まさに原点回帰とも言うべき作品。COLDPLAYやTRAVISあたりが好きなら、絶対に気に入るアルバムだと思います。お勧めの傑作アルバムです。

評価:★★★★★

KEANE 過去の作品
Perfect Symmetry
NIGHT TRAIN

A Different Kind of Truth/VAN HALEN

なんと14年ぶりの新作となる、ご存知アメリカのハードロックバンドの新作。いかにもなハードロックサウンドと、親しみやすいメロディーで、自分くらいの世代にとっては、BON JOVIあたりと並んで、高校生あたりが最初に聴きはじめる洋楽バンドというイメージも強かったりして。そんな彼らの、本当に久々となる新譜は、まさにこれぞハードロックといった感じの王道路線で、期待を裏切りません。いかにもな、ハードで、だけどクリアなギターサウンドに、ポップなメロディーライン。聴きやすいし、聴き終わった後、「ロックを聴いた」という満足感にひたれます。個人的にはちょっと好みのタイプではないのですが、ハードロックが好きなら、文句なく満足できそうな1枚。

評価:★★★★

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2013年1月26日 (土)

目でも楽しむブルース

Title:2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

今回紹介するのは、ちょっと変わった代物。アメリカのブルース・イメージ社という会社が毎年リリースしているブルースカレンダーです。その名の通り、カレンダーに、戦前のブルースミュージシャンの貴重な写真や、当時の広告をデザインした内容。さらには、全21曲入りとなる、戦前ブルースを収録したCDがついてくるというお得感。イメージとしては、CDがメインで・・・と言いたくなりますが、彼ら曰く、戦前のブルースミュージシャンの写真は音源以上に貴重、だそうで、あくまでも、メインとなるのはカレンダーのようです。

Bluescalender2013

で、こちらが壁に飾った写真。1月は、ギター・エヴァンジェリスト(ギター伝道師)として著名なBlind Willie Johnson。CDは21曲入りなのですが、うち前半12曲については、12ヶ月各月に対応する形に。1曲目Blind Willie Johnsonの「Dark Was The Night-Cold Was The Ground」についての解説が下に書かれています。もちろん英語ですが、短い文章でそんなに難しくないので、大意をつかむのは容易かと。

ちなみに、このカレンダーの大きな特徴として、ブルースミュージシャンの誕生日と逝去した日が、それぞれ日付の欄に記されています。例えば昨日1月25日は、Sleepy John Estesが、1899年にテネシー州のリブリーで生まれた日という記載があります。逆にマイナス点としては、海外のカレンダーなので当たり前なのですが、日本の祝祭日の記載は一切ありません。

貴重な写真と、ユーモラスな当時の広告を眺めているだけでとても楽しくなってくるカレンダーで、なにげにおしゃれなので、部屋のインテリアとしても悪くないかも。大きさは、いわゆる昔のレコードジャケットと同じ大きさ。フックに掛けて飾っているのですが、ちょっと重みがあるので、穴のところにパッチシールを貼って補強しています。

で、やはり気になるのは、全21曲入りのCDの方。BLAIND BLAKEや、若い時の貴重な写真も拝見できるMEMPHIS MINNIE、BLIND LEMON JEFFERSONといった、戦前の大物ミュージシャンたちの曲がおしげもなくズラリ。ただ、ブルースカレンダーといっても、正統派のブルースだけではなく、例えば、LIL McCINTOCKの「Sow Good Seeds」は、ブルースというよりもむしろカントリーの雰囲気を感じてしまいますし、表紙を飾っているREVEREND EMMET DICKENSONのタイトルからしてユニークな「The Devil And God Meet At Church」は、曲ではなく、寸劇(?)。もちろん英語なので内容がわからないのが残念なのですが・・・。他にも、コントみたいな男女の掛け合いが収録された曲なんかもあります。

で、概して感じるのは、今のブルースのイメージに比べて、雰囲気がすごく軽く、自由で、エンターテイメントの要素を強く感じる点。ブルースというと、白人に虐げられた黒人の労働歌というイメージが強く、確かにそれは事実なのですが、こうやって聴くと、決して暗い音楽ではなく、むしろ、エンターテイメント性の強い楽しい音楽として聴かれてきた側面も強く感じます。

入門盤、というよりも、どちらかというとブルースのファン向けに作られた作品なので、ブルースを聴いたことない方も・・・という感じではお薦めできないのですが、興味があれば、初心者でも十分楽しめる内容だと思います。なにより、カレンダーに載っている貴重な写真や広告を眺めるだけでも楽しめる作品。今年1年間、このカレンダーが私の部屋の壁を楽しく飾ってくれそうです。

評価:★★★★★

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2013年1月25日 (金)

肩の力が抜けて

Title:SWEET ROMANCE
Musician:カーネーション

カーネーションというバンドは、アルバムをリリースする度に、特に評論化筋に高い評価を受けるような、いわば玄人受けするようなバンドでした。いままで、何枚かアルバムを聴いてきました。そのどれもが、確かに高い評価を受けるのは、よくわかる作品だったのですが、正直言うと、私個人として、アルバムにはまってしまった・・・という感じには残念ながら至りませんでした。

そんな私でも、このアルバムには、おもいっきりはまってしまいました。それは、私の音楽的嗜好が変わったのか、それとも、やはりこのアルバムが傑作だったからか。おそらく両方だからだろうなぁ、とは思います。

「音楽的嗜好」という話をすると、ソウル風のサウンドや、時折入る、ブルージーなギターが、個人的に壺に入りました。今回のアルバムは、ミディアムテンポの楽曲が多いのですが、それだけに、1曲目の「Spike&Me」に代表されるような、グルーヴィーという表現がピッタリ来るような、バンドサウンドが実に魅力的。一方では「I LOVE YOU」みたいな、シティポップ風の爽やかなポップチューンも耳につき、音楽性の幅も感じました。

また、そこらへんの個人的な嗜好を差し引いても、このアルバムは傑作といって間違いないと思います。もちろん、彼らは、いままでも非常に安定感のある作品を産み出して来ました。ただ、その中で、今回のアルバムは、彼らにとって肩の力が抜けたものを感じました。特に前作「UTOPIA」は、こちらも傑作だったのですが、震災の影響を強く押し出した作品になっており、かなり気合の入った作品になっていたと思います。それに比べると、今回の作品は、特に強いコンセプトもなく、ある意味、彼らにとってやりたいようにやっているアルバムのようにも感じられました。

そういう意味で、個人的には、いままで聴いた彼らのアルバムの中では最高傑作に感じました。ベテランらしい、いい味付けのするアルバムといった感じ。お薦めの逸品です。

評価:★★★★★

カーネーション 過去の作品
Velvet Velvet
UTOPIA

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2013年1月24日 (木)

アルバムチャートもお正月が終わり・・・

今週のアルバムチャート

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アルバムチャートも新譜ラッシュ。今週は、上位に新譜が並びました。

まず1位は、ビジュアル系ロックバンド、シドの初となるベスト盤「SID 10th Anniversary BEST」が獲得。タイトル通り、結成10年を記念してリリースされたベスト盤で、1位獲得は、シングル、アルバム通じて初。ただ、初動売上は4万5千枚で、直近のオリジナル「M&W」と同数で、どちらかというと、他に大物がいない、チャートの谷間的な週にリリースしたことが、初の1位獲得の要因かと。また、ベスト盤にも関わらず、浮動ファン層はあまり確保できていない模様。まあ、ベスト盤なので、来週以降の売上も鍵になりそうですが。

2位は、個人的にもお気に入りのロックバンド、THE BAWDIES「1-2-3」がランクイン!初動売上2万4千枚は、前作「LIVE THE LIFE I LOVE」からアップ。チャートの谷間的な週に助けられた部分はあるものの、初となるベスト3ヒットとなりました。まだまだ人気上昇中の彼ら。これからの活躍にも期待できそう。

3位には「ONE PIECE 15th Anniversary BEST ALBUM」がランクイン。こちらもタイトル通り、人気アニメ「ONE PIECE」のアニメ放送15周年を記念してリリースされたベスト盤で、過去のアニメ主題歌が並ぶ全3枚組のアルバム。あれ、でもミスチルの「fanfare」や、バンプの「sailing days」は??と思ったのですが、こちらは、映画主題歌なので未収録の模様。初動売上1万7千枚は、同じ主題歌集の前作「ONE PIECE MEMORIAL BEST」の8万2千枚から大きくダウン。

続いて4位以下の初登場ですが、まずは5位。人気女性声優戸松遥「Sunny Side Story」がランクイン。2枚目のアルバムですが、前作「Rainbow Road」は最高位15位だったので、アルバムで初のベスト10入り。初動売上1万3千枚は、その前作の9千枚からアップ。シングルアルバム通じてのベスト10入りは、2008年のシングル「motto☆派手にね!」以来。

初登場の新譜はあと1枚。仙台を拠点に活動するラップユニット、LGYankees「DOKI DOKI LGYankees!!!!!!」が9位にランクイン。どちらかというと、着うたチャートでおなじみだったミュージシャン。初動売上は1万枚で、前作「GO!GO!LGYankees!!」の1万2千枚よりダウンも、初動1万枚前半をキープしており、なにげに固定ファンは確保している模様。

今週、新譜は以上でしたが、これに加えてベスト10圏外からランクアップし、ベスト10したアルバムが。それが先週の24位から一気に4位にランクアップしたイギリスの人気アイドルグループONE DIRECTION「TAKE ME HOME」。先日、日本への初来日が大きなニュースとなりましたが、その影響でのランクアップの模様。11月の初登場時は最高位6位だったので、それを上回る順位となっています。ただし、売上は1万6千枚で、初登場時の2万6千枚には及びませんでした。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2013年1月23日 (水)

お正月もすっかり明けて・・・

今週のシングルチャート

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今週も新譜ラッシュ。ベスト10のうち8曲が初登場です。

1位は、韓国のアイドルデゥオ東方神起「Catch Me -If you wanna-」が獲得。近作も、前作に引き続きエレクトロダンスチューン。初動売上13万7千枚は、前作「ANDROID」の15万2千枚からダウン。前々作「STILL」の水準までダウン。3月に控えたニューアルバム発売の影響か?韓流ブームも一段落した感じですが、彼らに関しては、完全に固定ファンを確保した印象が。

2位3位はいずれも女性アイドルグループ。2位はAKB48の派生ユニット、ノースリーブス「キリギリス人」、3位は私立恵比寿中学「梅」がそれぞれランクイン。ノースリーブスは、今話題のゴールデンボンバー、鬼龍院翔作曲のナンバー・・・なのですが、いまひとつ特徴のない平凡なポップ。2位は2作連続ながら、初動売上は6万2千枚で、前作「ペディキュアday」の8万5千枚からダウン。10万→8万5千→6万2千枚と減少傾向が続いています。私立恵比寿中学は、前山田健一作曲。彼らしい、妙にひねったメロディーが耳につくナンバー。初動売上4万1千枚は、前作「Go!Go!Here We Go!ロック・リー」の2万枚から大きくアップしています。

続いて、4位以下の初登場曲ですが、まずは4位。女性シンガーソングライターmiwa「ホイッスル~君と過ごした日々~」がランクイン。「第91回全国高校サッカー選手権大会」応援歌で、楽曲もそれをイメージするような、学生時代の風景を描写したバラードナンバー。初動売上2万9千枚は、前作「ヒカリヘ」の2万7千枚からアップ。前作は、初動売上を前々作の1万5千枚から大きく伸ばしてきただけに、着実に人気を確保している印象が。

5位には、初耳の名前が。DANCE EARTH PARTY「イノチノリズム」という曲が入ってきています。DANCE EARTH PARTYは、EXILEのUSA、TETSUYA、NESMITHとCrystal Kayによるユニット。2月に上演される舞台「DANCE EARTH~生命の鼓動~」のメインキャストによるユニットだとか。爽やかなダンスナンバーになっています。

6位初登場は、ご存知DAIGO率いるBREAKERZ「RUSTY HEARTS」。同名タイトルのオンラインゲームのオープニングテーマ。90年代のビジュアル系バンドみたいな感じの曲。初動売上1万3千枚は、前作「オーバーライト」の1万5千枚からダウン。

8位には、人気女性声優花澤香菜「Silent Snow」がランクイン。ROUND TABLE北川勝利による、優しい雰囲気のポップチューン。初動1万2千枚は、前作「happy ending」の1万1千枚から微増。

最後、10位にはアイドルグループでんぱ組.inc「W.W.D」がランクイン。こちらも作曲は前山田健一で、次々変わる展開の曲風が、「らしい」感じ。初動売上9千枚は、前作「キラキラチューン」の4千枚からアップし、初のベスト10ヒットを記録しています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、明日!

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2013年1月22日 (火)

今の日本の音楽シーン

Title:20112012
Musician:ヒャダイン

人気アイドルグループ、ももいろクローバーZへの楽曲提供などで大きな注目を集め、昨年は、雑誌「GQ」で「GQ Men of the Year 2012」を受賞するなど、話題を呼んだ、自身の音楽活動では「ヒャダイン」の名前で活躍している前山田健一のソロデビューアルバム。話題のミュージシャンということもあって、聴いてみました。

で、ももクロに提供したシングル曲を聴いて予想していた部分はあるのですが、はっきりいってしまうと、私にとってはちょっと厳しかった(苦笑)。CD2枚組のそれなりのボリュームがあるアルバムなのですが、通して聴くのがちょっと辛くなるような内容でした。

おそらく、その一番の理由は、楽曲が全体的に情報過多であるという点。これは、ももクロをシングルで聴いていても感じたのですが、ポップでエンタテイメント性あふれるつくりになっているのは間違いないものの、様々なアイディアがつめこまれていて、確かに、目くるめく展開が楽しめるということは楽しめるのですが、聴き終わって、どっぷり疲れてしまう、そんな印象を受けてしまいました。

これは多分、彼の音楽が良い悪いという話ではなく、純粋に私がこの手の音楽は少々苦手、という話。別の表現を借りれば、理屈っぽい。まあ、こんな理屈っぽいサイトをつくっているお前が言うな!という声が聴こえてきそうですが、自分が理屈っぽい人間なだけに、音楽は、むしろ理屈っぽいとちょっと疲れてしまうんですよね・・・。ただ、一方で、こういう音楽が、ここ最近の流れなのかなぁ、ということを感じたりもしました。

実は、この「情報過多」という話、私のオリジナルではなく、何の雑誌かは忘れてしまったのですが、先日、ももクロの音楽を評したコラムで見かけた話。そのコラムでは、最近のネット社会の中、こういう情報が多い音楽が受けているのでは、という結論だったのですが、私はむしろ、最近の音楽の流れなのかなぁ・・・ということを感じてしまいます。

というのも、80年代は、シンセのサウンドなどを取り入れた、華やかなサウンドが流行った反動で、90年代は、グランジロックのような、シンプルなロックサウンドが主流となりました。その結果、シンプルな音作りが良しとされていた風潮があったように感じます。ただ、2010年代に入り、またその流れが、様々な音を詰め込んだような、派手な曲調に戻ってきた、という、ひとつの流れを感じました。

ただ、彼の音づくりに関しては、自分が苦手で・・・という話なのですが、一方で、気になったのが歌詞の世界。「リア充ってこんなもんだっけ」あたりが典型なのですが、いわば2chをはじめとする、ネット世論を偏見も含め、そのまま歌詞にした内容。単純なエンタテイメントなんだから、ごちゃごちゃ言うものじゃない、という意見もありそうですが、ちょっとそういうネット世論を、批評的に取り入れるでもなく、もっと奥に突っ込むでもなく、そのまま取り上げるような歌詞には、違和感を覚えました。

うーん、単純に、好き嫌いの話になっちゃうのですが、やはり個人的には苦手だなぁ・・・。逆にももクロの曲が好きなら、素直にはまれるのかもしれませんが。ただ、良い悪いは別として、今の日本の音楽シーンでは、彼みたいなタイプの曲が、しばらくは主流になっていくのかもしれません。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

Best Wishes/Ken Yokoyama

ハイスタとしても活動を再開した、横山健のソロアルバム。全英語詞のストレートなメロディアスパンクなのは相変わらず。基本的に、いつも通りの王道メロパンク路線といった感じだが、東日本大震災を受けてつくられた作品なだけに、愛する人を守れと歌う「You And I,Against The World」や、子供たちに恥じない国にしろと歌う「This Is Your Land」など、若者を奮い立たせるような曲が多いのが印象的。若干、内向きな気がしないでもない点が気にかかるのですが・・・。

評価:★★★★

Ken Yokoyama 過去の作品
Four

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2013年1月21日 (月)

待望の復活!!

Title:SHAPE5
Musician:ZEPPET STORE

ZEPPET STOREというバンド、ご存知でしょうか。あのX JAPANのhideによって見出され、hideのレーベル「LEMONed」は、もともと彼らを世に送り出すために設立されたレーベルだったとか。その後、徐々に人気を伸ばし、1999年にリリースされたアルバム「CLUTCH」では、オリコンチャートベスト10入りを記録しています。

その後は残念ながら人気は伸び悩み、2005年には惜しまれつつも解散。各自ソロ活動を続けていましたが、2011年3月に東日本大震災でのチャリティー目的で再結成。新曲「SMILE」を配信でリリースし、さらに2012年12月13日、hideの誕生日にあたるこの日に、8年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

まず、やはりヘヴィーなギターサウンドでガツンと来る「NOTHING」の出だしから、うれしくなってしまいます。イギリスのギターロックからストレートな影響を受けたサウンドに、メロディアスなメロディー。さらに、この「NOTHING」の最後では、初期ZEPPET STOREを彷彿とさせるような、シューゲイザー風のノイズギターで締めくくるところがちょっとうれしいところ。

アルバム全体としては、やはり後期のヘヴィーなサウンド志向がそのまま続いているような印象を受けます。特に今回のアルバムは、英語詞と日本語詞が混在しているのも大きな特徴。英語詞の曲については、洋楽テイストが強く、サイケの雰囲気な「TWILIGHT」など、バンドサウンドを前に押し出した曲が多かった印象が。

一方、日本語詞の曲に関しても、そのギターサウンドを前面に押し出しているものの、彼らの持ち味であるメロディーを、より前に押し出したような曲が多いのも特徴的。「COLORS」「ファイティング」あたりは、メロディーメイカーとしての彼らの本領が発揮された曲、とも言えるかもしれません。

基本的にヘヴィーなサウンドを主軸としながらも、ポップス方面に振れた曲も多く、ZEPPET STOREのかつての活動で発揮していた魅力を、全方向的に打ち出した印象もあるアルバムで、そういう意味では、これがZEPPET STOREについて最初に聴くアルバム、としても最適な1枚。勢いという意味では、正直、全盛期には劣るものの、待望の復帰作としては十分納得のできるアルバムだったと思います。

こういう骨太でポップなギターロックバンド、少なくなってしまっただけに、彼らの復帰は非常にうれしいところ。今後もコンスタントに活動を続けてくれるのでしょうか?これからの活躍にも期待!!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ワンダーポップ/宇宙まお

なぜか妙にROCK'IN ON JAPAN誌でプッシュを受けている女性シンガーのメジャーデビューミニアルバム。ポップというイメージが強かったのですが、アルバムでは意外とバンドサウンドを前に出してきており、むしろロックというイメージが強いかも。確かに「あの子がすき」など、知らず知らずに口ずさみそうなメロを書いてきていて、悪くはないのですが、ずば抜けたものにも欠け、なぜ、あれだけプッシュされるのか、少々不思議な面も・・・。

評価:★★★★

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2013年1月20日 (日)

スリリングな3つの楽器の会話

Title:THREE
Musician:坂本龍一

坂本龍一の今回のニューアルバムは、彼の過去の楽曲を、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの三重奏にリアレンジしたセルフカバーアルバム。もともと、1996年に、「1996」と題された、同じ趣旨のアルバムをリリースし、大絶賛を得たらしいのですが、このアルバムは、いわば、それに続く形でのセルフカバーアルバムになっています。

そんな訳で、イメージとしては、かなり「クラッシック音楽」的な要素が強いアルバム。ただし、あくまでも坂本龍一の楽曲のセルフカバーであるため、聴き馴染みのある曲、あるいはどこかで聴いたことあるような曲が多く収録されています。また、ベースはポピュラーソングであるため、どの曲も4、5分、長くても7分程度の曲であるため、「クラシック音楽」と身構えることなく、気軽に聴くことが出来るアルバムに感じます。

また、その上でこのアルバム、世の中にありふれている「ポップのクラシックアレンジ」というアルバムとは明らかに一線を画するアルバムに感じました。その手のアルバムでよくありがちなのが、単なるバンドサウンドを弦楽器やオーケストラに置き換えただけ。また、いかにもオーケストラらしい壮大なアレンジを、どんな曲でも突っ込んできて、結果、仰々しいだけになっている、そういうアルバムが少なくありません。

このアルバムは、三重奏ということもあり、アレンジは非常にシンプル。むしろ空間を生かすようなアレンジになっているだけに、3つの楽器の間に、とてもスリリングな空気が流れているような印象を受けました。時には融和し、時には対抗するような、3つの楽器による演奏は、クラシックというよりも、むしろジャズやロックのアドリブみたいな緊張感を思わせる部分も。

良く知られている「Merry Christmas Mr.Lawrence」みたいな、BGM感覚でも聴けるような曲もあれば、一方では、「Nostalgia」のようなポストロック的な印象を受ける曲もあり、バリエーションも様々。最後まで耳の離せない展開を聴かせてくれます。

実は「1996」は聴いていないので、そちらとの比較でとやかく言うことは出来ないのですが、このアルバムも坂本龍一の才能がいかんなく発揮された傑作であることは間違いないと思います。いい意味で幅広いリスナー層も楽しめる作品だと思うので、是非。

評価:★★★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-


ほかに聴いたアルバム

欲望/東京スカパラダイスオーケストラ

全編一発撮りで構成されたスカパラのニューアルバム。キャバレーロック風な、ビターな雰囲気漂うインストナンバーが多く、ポップな傾向が強かった、ここ最近のアルバムとは一線を画するような内容に。歌モノである、中納良恵の「黄昏を遊ぶ猫」や、ハナレグミの「太陽と心臓」も文句なしの名曲。ポップだけではない、と主張するような、スカパラ本領発揮を思わせる作品。ポップス志向になり、離れていってしまったかつてのファンもチェックしてみても損はないのでは?

評価:★★★★★

東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'

オオカミ青年/藤巻亮太

現在、活動休止中のレミオロメンのメインボーカリストであり、メインライターのソロデビュー作。小林武史プロデュースになり、無駄に仰々しくなったレミオロメンと異なり(最後のアルバムはそうでもなかったのですが)、比較的シンプルな曲が多い雰囲気に。ただ、初期レミオロメンとも少々異なる印象があり、シンプルさを目指しながらも、無垢だった初期レミオロメンと違い、いろいろな音に色気が出てしまったというイメージか。悪くはないが、今後、彼が目指そうとしている方向性が少々見えてきていない感が。

評価:★★★★

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2013年1月19日 (土)

3部作の締めくくり

Title:TRE!
Musician:GREEN DAY

昨年、リリースされたGREEN DAYの3部作の締めくくりとなるアルバム。以前にも書いた通り、この3部作、以前にも書いた通り、1作目「UNO!」は青春時代、2作目「DOS!」はセックス、ドラッグ、ロックンロール、そして3作目である本作はパーティーの翌朝の自己反省をコンセプトとした内容に仕上がっています。

そのコンセプトの影響か、このアルバムは、全体的にミディアムテンポの聴かせるナンバーが主体。メロディーを聴かせるこのアルバムは、メロディーメイカーとしての彼らの実力を感じさせるアルバムになっています。

そしてラストの「THE FORGOTTEN」は、この3部作を締めくくるような、ストリングスとピアノを入れたバラードナンバー。彼らが単なるパンクバンドではない、ということを主張するかのような、ラストナンバーとなっています。

ただ、日本盤だと、この後に、「NUCLEAR FAMILY」のライブバージョンがボーナストラックとして入るんですよね。彼ららしいパンクナンバーでの締めくくりは、ある意味、GREEN DAYらしい終わり方ともいえるのですが・・・コンセプトを意識した展開で、最後にボーナストラックというのは、完全に蛇足だよなぁ・・・。

そんな訳で、フルアルバム3枚というボリュームでの新作となったGREEN DAYのアルバム。かなり挑戦的なリリースでしたが、このタイミングで、この3部作というのは、実に上手いリリースだったなぁ、と思います。

というのも、彼らはこのアルバムの前に「American Idiot」と「21st Century Breakdown」という傑作をリリース。社会派な内容が強かったこれらのアルバムで、単なる若者向けのパンクバンドではない、社会派のロックバンドというイメージをつけることに成功しました。

しかし、それは同時に、GREEN DAYというバンドのイメージを、拘束する結果にもなりかねません。かといって、昔と同じようなパンクアルバムを作るのも芸のない話。そこで3部作という形にして、一気に3枚分のアルバムをリリースしたことにより、原点回帰的なパンキッシュな内容と、様々なタイプの作品をリリースすることによる、彼らの実力をアピールを同時に出来た、今回の3部作を聴いて、そう感じました。

3枚目となる今回のアルバムは、まさにそんなGREEN DAYのパンクバンドだけではない様々な側面を感じられるアルバムで、バラードナンバーからギターポップ、あるいはパワーポップなナンバーまでズラリと揃っています。正直、少々インパクトの側面では物足りなさも感じられるものの、メロディーの良さはさすが。聴きどころも多いアルバムだったと思います。

3部作で、まさにGREEN DAYにはお腹いっぱい、といった感じ。とはいえ、次の展開にも期待・・・といったところなのですが、昨年は、ビリーが薬物乱用の治療のため、リハビリ施設におくられたという気になるニュースも。一日も早く復帰して、また、素晴らしいロックンロールを、私たちに聴かせてほしいです!

評価:★★★★★

GREEN DAY 過去の作品
STOP DROP AND FALL!!!(FOXBORO HOTTUBS)
21st Century Breakdown
AWESOME AS F**K(邦題:最強ライヴ!)
UNO!
DOS!


ほかに聴いたアルバム

LuLu/LOU REED&METALLICA

元Velvet Undergroundのボーカル&ギタリストにして、オルタナティヴロックに大きな影響を与えたルー・リードと、メタルバンドの大御所、メタリカのコラボ。19世紀のドイツの古典ミュージカル「LULU」を基にしたアルバムだそうですが、ある意味、同じロックとはいえ、ジャンルが全く違う、水と油的なコラボに、かなり驚いた方も少なくないのではないでしょうか。

楽曲の雰囲気としては、ルー・リードのボーカルに、メタリカのバンドサウンドといった感じで、メタル色は強いものの、一方では、メタリカがルー・リードに遠慮したのか、あまりメタリックなサウンドにはなっていません。異色コラボは非常におもしろさを感じたものの、お互い、少々遠慮気味なのか、少々中途半端で、全く新しい音、といった感じにはなっていないのは残念。ルー・リード、メタリカ双方のファンにとって、少々物足りないかも。

評価:★★★★

2012 Grammy Nominees

毎年おなじみ、グラミー賞のノミネート作品を集めたオムニバス盤の、こちらは2012年度版。やはり2012年といえば、圧巻だったのはAdeleで、もちろん1曲目を飾っています。そのAdeleにしても同じく最近人気のMumford&Sonsにしても、最近のエレクトロ主体のブラックミュージックと対比するかのような、アコースティックな歌モノが目立ち、例えばこのアルバムにも収録されているBon Iverなんかにしてもそうなのですが、歌モノへの回帰が強いのかなぁ、という印象も。平凡な曲も少なくありませんが、アルバム全体としておもしろくなく、音楽シーン全体の停滞を感じた2011年のバージョンと比べると、グッとおもしろくなった印象が。

評価:★★★★

Grammy Nominees 過去の作品
2011 GRAMMY NOMINEES

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2013年1月18日 (金)

実力は「バブル」にあらず。

Title:日本の恋と、ユーミンと。
Musician:松任谷由実

 

「日本の恋と」じゃなくて「バブルの恋と」じゃねーの・・・なんて揶揄も飛ばしたくなりそうな感じなのですが(笑)。2012年、大きな話題となった松任谷由実のオールタイムベストです。

今年は、同じベテランシンガーソングライターのベスト盤として、山下達郎のベストも大きな話題となりました。この2作、構成上、ひとつ大きな違いがありまして、山下達郎のベストが、作成順に並んでいるのに対して、ユーミンのベストは、アルバム全体としての流れを考えた構成になっています。

そのため、DISC1に関しては、おそらくもっともメロディーメイカーとしてのユーミンにスポットをあてた曲が並んでいたように感じます。特に序盤の曲に関しては、ユーミンといえばバブル経済と揶揄するような声を黙らせるような、美メロの連続。「卒業写真」なんて、あれだけシンプルなメロディーなのに、あれだけ泣かせるメロディーを書いちゃうあたり、とんでもない実力の持ち主だなぁ、と感じてしまいますし、その後の「Hello,my friend」への展開は神がかり的。その後の、ある意味、「バブル」のイメージに最もマッチしちゃいそうな「恋人はサンタクロース」へ1曲を挟んだだけで続けられてしまう構成にも、ビックリしてしまいました。

DISC2は、一方で「バブル経済」を彷彿とさせそうな、いわばユーミンのパブリックイメージにもマッチしたおしゃれな都会的なシティポップが並びます。もちろん、ここらへんの曲も名曲であることには変わりないと思うのですが、そんな中に挟まっている「翳りゆく部屋」の迫力には圧倒されてしまいます。

そして最後を締めくくるDISC3で、一番ユニークなのは、彼女の名を一気に高めた名曲「ひこうき雲」に続き、その「ひこうき雲」に強い影響を与えた、イギリスのロックバンド、プロコル・ハルムの「青い影」を、ユーミンが、本人たちと共演したカバーバージョンを収録されている点。この「青い影」を本人たちとカバーという点だけでも大きな話題なのですが、その「青い影」からの影響が顕著な「ひこうき雲」と並べちゃうあたり、彼女のすごい自信を感じました。

冒頭で書いた通り、すっかりバブル経済の象徴的なイメージがついてしまった彼女。確かに、曲によっては、「こういう時代もあったんだね」と感じてしまう曲もチラホラ。ただ、今回、調べてみたところ、彼女の最も売れた曲って、シングルは「真夏の夜の夢」で1993年、アルバムは「THE DANCING SUN」で1995年。いずれもバブル崩壊後というのは、ちょっと意外な感じが(もっとも、この時期は、CDのミリオンセラーが連発しており、音楽業界のみはバブル景気的な時代でしたが)。また、もちろん、バブル景気の象徴とだけ片付けられない魅力があるのも事実で、確かに一時期に比べれば、人気はかなり厳しい状況であるものの、根強いファンに支えられており、このアルバムもチャート1位を獲得するなど、ヒットを記録しており、彼女の実力は決してバブルではなかったことを証明しています。

通常盤で3枚組というフルボリュームですが、ある年代以上にとっては耳なじみのあるスタンダードナンバーが並んでいて、ユーミンの熱心なファンでなくても、非常に楽しめるアルバムだったと思います。彼女の実力を再認識するとともに、ちょっとノスタルジックな雰囲気も味わえるアルバムでした。

評価:★★★★★

松任谷由実 過去の作品
そしてもう一度夢見るだろう
Road Show


ほかに聴いたアルバム

A World Of Pandemonium/the HIATUS

今回のアルバムは、ハードな曲は少なめ。代わりに、ミディアムテンポのしっかりと聴かせるナンバーが多く、メロディーメイカーとしての実力も感じます。また、サウンドもアコースティックなサウンドに、打ち込みをからませたユニークな曲が多く、単なるパンクバンドではないという、彼らの主張が聴こえてくるような作品になっていました。

評価:★★★★★

the HIATUS 過去の作品
Trash We'd Love
ANOMARY

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2013年1月17日 (木)

ちょっと方向性は変えたけど・・・。

Title:連絡
Musician:在日ファンク

在日ファンクのニューアルバムに関して、事前に入ってきた情報は、「いままでのアルバムとは異なるメロウなファンクナンバー」という情報でした。そんな今回のミニアルバムは、全8曲入りながらも、そのうち3曲がインターリュード。事実上、5曲入りのミニアルバムとなっています。

また、今回のアルバムで大きな特徴となっているのは、作曲が、浜野謙太のみでなく、他のメンバーも参加しているという点。その結果、いままでの在日ファンクのアルバムとは、確かにちょっと違った雰囲気のアルバムになっていたと思います。

一番大きな違いは、浜野謙太らしい、JB直系のファンクナンバーだけではなく、例えばギター仰木亮彦が作曲している「嘘」は非常にメロウなナンバーになっていますし、ラストの浜野謙太作曲の「不思議なもんでさ」も同様に、メロディーを聴かせるミディアムテンポのナンバーに仕上がっています。

そして歌詞にしても、いままでの在日ファンクのような、歌詞の意味よりも、リズムに載るかどうかを重視したような、意味のあるようでない、ないようである歌詞ではなく、ちゃんと内容のある歌詞に仕上がっています。

じゃあ、いままでの在日ファンクとガラリと変わってしまったのか、と言われると、決してそうではありません。1曲目「ホームシック」は、まさにJB直系のファンキーなナンバーですし、他にも「肝心なもんか」も同様。それとファンキーなインターリュードナンバーが、上手いことにメロウな曲の間に配置されているため、アルバムを聴き終わった後は、JB直系のファンクチューンを期待していても、ちゃんと「在日ファンクのアルバムを聴いた!」と、満足感を得ることが出来る構成に仕上がっているのは見事です。

いままでの在日ファンクらしさを生かしつつ、あらたな方向性にも手をつけた、実に見事な構成に仕上がっていたと思います。これからの活躍も楽しみになる作品でした。

評価:★★★★★

在日ファンク 過去の作品
在日ファンク
爆弾こわい
ベスト・オブ・在日ファンク~覗いてごらん見てごらん~


ほかに聴いたアルバム

SAMURAI SESSIONS vol.1/雅-MIYAVI-

ギタリスト雅が、タイトル通り、ジャンルを超えた様々なミュージシャンとセッションを行った企画アルバム。KREVAやthe HIATUSの細美武士、亀田誠治やちょっとユニークな面では、三味線奏者の上妻宏光とのコラボを聴かせてくれます。

個性的なプレイヤーに、彼のエッジが利いたギターサウンドが載り、それぞれの個性がぶつかり合うのが非常におもしろい企画。緊張感のあるセッションで、おもわずそのプレイに聴きいってしまうような内容でした。ただ、比較的、コラボ相手の音が、一度聴いたらすぐにその人とわかるような音を出しておらず、雅に合わせたような部分も。そういう意味では、雅の個性と真正面からぶつかって喧嘩しちゃうような個性の持ち主とのコラボがあったらもっとおもしろかったかも。タイトルから考えると、第2弾、3弾も予定されていそうなので、もっともっとユニークなコラボを期待。

評価:★★★★★

雅-MIYAVI- 過去の作品
WHAT'S MY NAME?

Day And Night Blues/MAMALAID RAG

MAMALAID RAGの5枚目となるニューアルバム。「Blues」と名づけたタイトルといい、昔のレコードジャケットを意識したようなCDジャケットといい、かなりオールドスタイルな雰囲気がプンプン漂ってきているのですが、内容の方も、いままでのシティポップ路線から、ルーツ志向のブルース、あるいはカントリーの影響を強く感じさせるアコースティックな内容になっています。そのため、内容的にはインパクトの薄い、地味な内容になっているものの、ほっこりと暖かい雰囲気の作風に仕上がっていて、聴いていて、懐かしさも感じるようなアルバムに。もともと、ブルースからの影響を感じられたミュージシャンでしたが、今後は、引き続き、ルーツ回帰志向が続くのでしょうか、それとも、シティポップ路線に戻るのでしょうか?ちょっと今後が気になるアルバムでした。

評価:★★★★

MAMALAID RAG 過去の作品
the essential MAMALAID RAG
SPRING MIST

LIVING

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2013年1月16日 (水)

お正月休み明けきらないうちに・・・。

今週も、アルバムの新譜は少なめだったので、シングルアルバム同時アップです。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

シングルチャートは、新年2発目から、いきなりの新譜ラッシュです。

1位獲得は、ジャニーズ系アイドル、Hey!Say!JUMP山田涼介「ミステリーヴァージン」でした。本人主演「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件」主題歌。初動売上は18万8千枚。Hey!Say!JUMPの直近作「SUPER DELICATE」が初動24万8千枚なので、まあ健闘した結果といった感じでしょうか。10代男性ソロシンガーの初登場1位獲得は1980年の近藤真彦「スニーカーぶる~す」以来だそうです。結局、ジャニーズ系なのね。

2位は、人気のロックバンド、ONE OK ROCK「Deeper Deeper」がランクイン。ヘヴィーだけどメロディアスなロックナンバーで、ONE OK ROCKらしい感じ。初動売上4万3千枚は、前作「The Beginning」からほぼ横バイ。低水準のチャートに助けられたのですが、シングルでの2位はもちろん、ベスト3入りもこれが初。3月にはニューアルバム「人生×僕=」も予定されており、こちらの売上も気になるところ。

3位には、ゆず「REASON」がランクイン。日テレ系アニメ「HUNTER×HUNTER」エンディングテーマ。打ち込みなどの要素も加え、ゆずとしてはドラマチックなアレンジになっていますが、今回、作詞作曲及び編曲に、前山田健一が参加しているので、その影響か?初動売上は4万1千枚で、前作「また明日」の3万3千枚よりアップし、2011年の「Hey和」以来4作ぶりのベスト3入り。タイアップの影響も大きかったか?

続いて4位以下の初登場ですが、また今年も目立つのでしょうか?女性アイドルグループの曲が初登場で3曲ランクインしています。

4位にCheeky Parade「BUNBUN NINE9'」、6位BABYMETAL「イジメ、ダメ、ゼッタイ」、9位風男塾「人生わははっ!」がそれそれランクインしています。Cheeky Paradeは、avexがデビューさせたアイドルグループで、これがメジャーでのデビューシングル。BABYMETALはアミューズ所属の小中学生のアイドルグループ、さくら学院からの派生ユニット。名前どおり、バリバリのメタルサウンドに、アイドルソングを載せるというスタイル。初動売上1万8千枚は、前作「ヘドバンギャー!!」の4千枚からアップし、初のベスト10ヒット。最後、風男塾は、おたくアイドルユニット、中野腐女子シスターズのメンバーが男装したユニット。ベスト10入りは腐男塾名義でリリースした2010年の「無敵!夏休み」以来。ただ、初動売上1万1千枚は、前作「雨ときどき晴れのち虹」から横バイで、低水準のチャートに助けられた形に。

他には、5位にAKB48岩佐美咲「もしも私が空に住んでいたら」がランクイン。前作に引き続き、演歌でのリリースで、女性演歌歌手のデビューから2作連続ベスト5入りは森昌子以来40年ぶりだそうですが、AKB48の名前で売れているんだから、快挙でも何でもないと思うんだけどね。楽曲は、演歌というよりムード歌謡といった感じ。初動売上1万8千枚は、前作「無人駅」の2万4千枚からダウン。

最後、10位には人気声優竹達彩奈「時空ツアーズ」が入ってきています。なんと、あの筒美京平作曲で、ちょっと懐かしさも感じられる歌謡曲路線で、ついつい聴き入ってしまう感じ。作詞も、元スーパーカーいしわたり淳治が手がけています。初動売上は9千枚で、前作「♪の国のアリス」の1万枚からは若干ダウン。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートも、今週は初登場盤が多くランクインです。

今年の初登場第1弾は、浜崎あゆみ。彼女の代表曲をオーケストラアレンジにリメイクした「A Classical」が1位を獲得しています。デビュー15周年記念の5ヶ月連続リリースの第3弾。1位獲得は、2011年の「FIVE」以来となりました。ただ、初動売上2万5千枚は、前作「again」の3万4千枚からダウン。クラシックアルバムでの初登場1位は史上初の快挙だそうですが、売上水準だけを見れば、快挙でもなんでもない結果だと思います。

2位は四ノ宮那月(谷山紀章)&一ノ瀬トキヤ(宮野真守)名義「うたの☆プリンスさまっ♪ シャッフルユニットCD 那月&トキヤ」がランクイン。先々週にランクインした「カミュ&レン」に続く、PSP用ゲームソフトの登場キャラクターが、ユニットを組んでCDをリリースするキャラクターアルバムの第5弾。初動売上2万1千枚は、その前作の1万5千枚からアップ。

そして3位には、先週1位三代目J Soul Brothers「MIRACLE」が2ランクダウンながら、ベスト3をキープしました。

続いて、4位以下の初登場ですが、まず5位。愛知出身のラッパー、AK-69の約2年ぶりのアルバム「The Independent King」がランクインです。初動売上は1万8千枚で、ベスト3入りした前作「THE RED MAGIC」の2万6千枚からは、数字は落としてしまいました。

今週の初登場2枚はいずれも韓流グループ。まず女性アイドルグループ少女時代の韓国でのアルバム「I Got a Boy」が7位に。韓国でのアルバムは、前作「The Boys」が最高位2位、週間売上2万1千枚を記録していますが、今週の売上1万5千枚はそこからダウン。もっとも、日韓関係悪化の影響で、売上を大きく落とした日本でのオリジナル盤ほどは落ちていない点、コアなファンしか買っていない影響でしょうが。そして最後、10位には韓国の男性アイドルグループ2AMの1stアルバム「VOICE」が入ってきています。初動1万1千枚。直近のシングル「誰にも渡せないよ」の初動1万9千枚よりもダウンする結果に。

そんな感じで、今週のチャート評は以上。では、また来週の水曜日に~。

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2013年1月15日 (火)

次はニューアルバム??

Title:PARKLIVE
Musician:blur

2009年の再結成後、徐々に活動を再開しているblur。今回発売されたニューアルバムは、ライブアルバム。2012年8月12日、ロンドンのハイドパークで、ロンドンオリンピックの閉会式にあわせて行われたライブイベントに参加した模様をおさめたアルバムで、その翌々日にはライブ音源が配信リリースされたことでも話題になりました。

その後、CDでもリリースされたものの、なぜか国内盤は一向に発売されず。ようやくリリースされたのは12月。それも、3種類同時発売という形態で、CD2枚組の通常盤、映像をおさめたDVD盤、そして、それらをすべて含んだ上で、00 Clubでのウォーム・アップ・ギグなどのレア・ライブ音源を収録したCD2枚が附属した、CD4枚組+DVDのデラックス・エディションもリリースされています。さすがデラックス・エディションまでには手が出ず、CD2枚の通常盤を入手。

このライブ盤で、特に感涙モノなのが、アルバムの序盤。いきなり1曲目から、代表曲「GIRLS&BOYS」からスタートしたかと思うと、「LONDON LOVES」「TRACY JACKS」「JUBILEE」とおなじみのナンバーが続き、「BEETLEBUM」「COFFEE&TV」という展開で、観客のテンションが最高潮になっているのがこちらにも伝わりますし、このライブ音源を聴いているだけでワクワクするような展開。まさにポップスバンドblurとしての本領が発揮された序盤の展開になっていました。

なんといっても、アルバムの要所要所に観客からの歓声があがり、また、観客からの大合唱も起きるあたりに、ライブ会場の一体感をこちらでも感じると同時に、blurの本格的な活動再会を待ち望むファンも多いんだろうなぁ、ということが伝わってきます。

演奏された楽曲も、「COUNTRY HOUSE」「TENDER」「SONG 2」などなどの代表曲が続き、まさに出し惜しみなしのベスト盤的な構成。いままで、blurを全く聴いたことなくて・・・という方でも楽しめそうな内容。なによりも、blurの魅力がしっかりと伝わってくるライブ盤になってきます。

なんでも、来年5月には来日公演も予定されているとか。是非、足を運びたいところなのですが、あの頃は非常に忙しいので、行けるかどうか微妙な状況・・・。そしてなによりも、次はニューアルバムを是非!活動再開して、ライブ活動はコンスタントに行っても、ニューアルバムはなかなかリリースしないというケースが多いだけに、ニューアルバムのリリースがいつになるのか、非常に気になるところなのですが。

評価:★★★★★

blur 過去の作品
MIDLIFE:A Beginner's Guide to Blur
All the People... Live in Hyde Park: 2nd July 2009


ほかに聴いたアルバム

TALK THAT TALK/RIHANNA

今風のエレクトロサウンドを主軸として、アップテンポなダンスナンバーからバラードまで網羅されており、ある意味、卒のない内容に。安定感もあり、いい意味で、幅広い層が楽しめそうなポップアルバムに。1年間で1枚というリリースペースながらも、どのアルバムも出来は安定していて、このアルバムは全英チャートで1位、全米チャートで3位を記録していますが、売れるべくして売れているという印象。

評価:★★★★

RIHANNA 過去の作品
Rated R(R指定)
LOUD

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2013年1月14日 (月)

なぜ、売れなかった??

オフィスオーガスタ所属の2人組宅録ユニット、COIL。本人たちの活動以上に、オフィスオーガスタのミュージシャンたちのユニット福耳での活動や、福耳への楽曲提供などでも活躍しているユニットです。そんな彼らが、ベスト盤を2枚続けてリリースしました。

Title:マスターピース~COIL傑作集~
Musician:COIL

まずは1枚目のベスト盤。こちらには、彼らの10枚のシングルを発売順に並べ、その他の代表曲を追加。さらにRCサクセションの「ぼくの好きな先生」に、GROOVISIONSのキャラクター、Chappie名義の曲として提供した「バス待ち」のデモ音源がボーナストラックとして収録されています。

まさにタイトル通り、COILの傑作を収録したベスト盤で、COILの最初の1枚としてもお薦めの内容なのですが、特筆すべきは72ページにも及ぶブックレット。メンバーが、COILとしての活動を振り返る対談や、全楽曲についての解説が掲載しているほか、COILの初期スタッフによるCOILを振り返る対談などが収録されており、読み応え満点。このブックレット目当てに購入しても良いのでは?と思わせるような、ファンにとってもうれしい内容になっています。

で、このブックレットのスタッフの対談でも、冒頭のオフィスオーガスタの森川社長によるコメントでも、繰り返し述べられているのが、彼らがほとんど売れなかった、という事実。残念ながら、COILの曲は、今現在、ブレイクに至ることはありません。オリコン最高位は、3枚目のアルバム「AUTO REVERSE」の49位。福耳によるCOILへのトリビュートアルバムとしてリリースされた「10th Anniversary Songs~Tribute to COIL~」は、9位というヒットを記録しているにも関わらず・・・。

このブックレットにも、COILが売れなかったことに対しての無念の思いが、社長のコメントにもスタッフの対談にも、かなり強調して記載しています。それだけ期待の大きかったミュージシャンということなんでしょう。また、私も常々おもっていたのですが、このベスト盤を聴いて、何故、彼らが売れなかったのか、あらためて不思議にすら思ってしまいます。

ほどよくロッキンなギターサウンドに、時としてキュートという形容詞すらあてはまりそうな、ポップなメロディー。ビートルズや、イギリスのオルタナ系ギターロックからの影響を受けたようなメロやアレンジは、ギターロック好きには、かなりはまりそう。歌詞は、ウィットに富んだユーモラスも加味されていて、一度聴いたら忘れられないようなタイトルの曲も。実際、福耳に提供した曲はヒットを記録していますが、COIL名義の曲が、なぜこれほどまで売れなかったのか、いまさらながら残念に思います。

まあ、確かに、歌詞にインパクトがあっても、メロディーはちょっと地味な曲も多いし、男性2人組というスタイルもちょっと地味(失礼!)。また、デビュー時に、メンバーそれぞれ既に30歳を超えていた、という遅咲きも、新人としての売り出しにくさの要因だったのかもしれません。それでも、アルバムあたりで評判を集め、1作くらいベスト10入りするくらいのヒットは産み出せそうだったとは思うのですが・・・。

そんな訳で、文字通りの傑作そろいのベスト盤。代表曲も網羅されていますし、CD1枚にまとまっている内容ですし、初心者にもピッタリ。また、読み応えあるブックレットに、熱心なファンでもお薦めできる1枚だと思います。いまからでも遅くないと思いますよ!ギターロック好きなら、文句なしにお薦めです。

評価:★★★★★

Title:セカンド・ベスト~COIL佳作集~
Musician:COIL

で、こちらはタイトル通りの「セカンド・ベスト」。上の「マスターピース」に収録されなかった曲から、メンバーの岡本定義、佐藤洋介がセレクトした楽曲を、それぞれのCDに収録しています。

もちろん、岡本定義セレクトは、岡本定義作曲の作品で、佐藤洋介セレクトは佐藤洋介作曲の作品が基本。そのため、メンバー2人の音楽性の対比が明確で、それがとてもユニークな作品になっていました。

岡本定義作曲の作品は、基本、シングル曲も彼の作品が多いだけに、COILの一般的なイメージとピッタリマッチ。また、このアルバムに収録された曲は、ミディアムテンポでメロディーを聴かせる曲が多く、彼のメロディー志向を、より明確にしています。

一方で、佐藤洋介作曲の作品は、ハードロック志向が強く、岡本定義の方向性とは明確に違います。ただ、とはいっても、メロディー重視の曲があったり、逆に岡本定義作曲の曲にもハードロック風の曲があったりと、両者の嗜好が微妙に重なる部分もユニークなところ。この絶妙な両者のバランスが、COILの音楽の幅を広げ、魅力を高めているんでしょうね。

そんな訳で、COILの魅力をより深く知ることができるベスト盤。初心者向けの最初の1枚・・・ではないものの、「マスターピース」でCOILの魅力を知った方の、次のアルバムとしては最適なアルバムです。

評価:★★★★★

COIL 過去の作品
ギャルソン
Vitamin C
ソナチネ
ボサノバ
カフェラテ

カセットミュージック


ほかに聴いたアルバム

blues/back number

日常風景を描写した歌詞に、しんみりと聴かせる哀愁ただようメロが特徴的で、人気上昇中のバンド。ただ・・・ちょっと厳しい言い方をすると、劣化版レミオロメンといった感じ(苦笑)。あまりヒネリも個性もない、平凡なメロが多く、ちょっと厳しい印象も。とはいえ、シングルになった「青い春」や「わたがし」のメロディーは耳に残る美メロですし、前作に比べると確実に成長している印象も。そういう意味では、今後は楽しみ、かも。

評価:★★★

back number 過去の作品
スーパースター

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2013年1月13日 (日)

ダメな自分を吐露した歌詞が痛い

Title:親が泣くLIVE at 下北沢GARDEN 29 Feb.2012
Musician:井乃頭蓄音団

名前からして、かなりのインパクトがある5人組バンド、井乃頭蓄音団。もともと、OTOTOYの東日本大震災チャリティーアルバム「Play for Japan Vol.8」に参加していたことからその名前を知り、ずっと気になっていました。このほど、ニューアルバムがリリースされた、と知り、さっそく聴いてみたのですが、時として「気持ち悪い」とも評される(失礼!)、その世界観にいっぺんにはまってしまいました!!

彼らの大きな特徴は、その歌詞。ボーカル松尾遥一郎が書く歌詞は、私小説的な要素の強い歌詞なのですが、自分のダメさ加減を、そのまま素直に吐露した歌詞が、非常にインパクトがあり、かつ、胸につきささります。例えば、タイトルナンバーである「親が泣く」では

「みんながみんな揃いも揃って
同じ夢を追っているもんだから
お先にどうぞと譲ってみたけれど
諦めきれずに もう30

親が泣く」

(「親が泣く」より 作詞 松尾遥一郎)

と、まさに「夢を諦めないで」「がんばれば明日は見える」的なJ-POP歌詞の対極ともいえそうな、イタタタタな内容。一度でも、何らかの形で親に迷惑をかけちゃったような経験のある身にとっては、かなり胸が痛む歌詞ではないでしょうか(^^;;

彼の描く歌詞は、いわば、人間が誰しも持っている「弱い」部分をストレートに表に出している歌詞。ただ、だからといって、これまたJ-POPの歌詞にありがちな「弱い自分を認めて前に進もう」みたいな歌詞ではありません。ただただ淡々と、弱い自分を描く。それを決して肯定しているわけでも否定しているわけでもありません。あえていえば、誰しも持っている人間としての「弱い」部分を達観して、そのままをさらけだしている、そういう印象を受けました。

そのさらけだし方があまりにもストレートで、かつ、人間の「弱さ」ゆえにあらわれる「醜さ」みたいな部分もそのままさらけだしています。そのため、聴く人によっては、「気持ち悪い」という感想を受けるのかもしれません。ただ、やはりそういう部分も含めて、人間であれば、そういう「弱さ」は誰でも持っています。そういう「醜さ」を漂白剤で無理やり白くしたような、ヒット曲に比べて、松尾遥一郎の書く歌詞は、あまりにもリアリティーがあり、強く心に突き刺さってきます。

で、今回のアルバムはライブ盤ということで、そのライブの模様をおさめたDVDも収録されているのですが、松尾遥一郎のパフォーマンスが、また微妙に気持ち悪い(笑←重ね重ね失礼!)。ちょっとエキセントリックな、「天才芸術家」みたいな雰囲気のパフォーマンスが、また一段とユニークで、強く印象に残ります。楽しそうなライブの雰囲気も伝わってきますし、彼らのライブ、一度行きたいなぁ・・・。ちょっと客の入りが寂しそうなのが気にかかりましたが(^^;;

また、メロディーやアレンジもとてもユニーク。基本的にフォークソングの影響を強く受けている楽曲なのですが、曲によっては、ブルージーだったり、ツェッペリンばりのヘヴィーなギターサウンドやサイケデリックなギターサウンドが展開されたり、歌謡曲っぽい曲があったり、まんま特撮モノの主題歌みたいな曲もあったりと、こちらもとてもユニーク。最後の最後まで飽きさせない展開になっています。

既に昨年の年末の、暫定版ベスト盤候補に名前をあげましたが、2012年のベスト盤候補ともいえるくらいの傑作アルバムだったと思います。断然、興味がわいてきました。是非、彼らのライブにも足を運びたいなぁ。いろいろと自分を卑下していますが、このバンド、もっともっと注目されてもいいと思いますよ。好き嫌いはありそうな内容ですが、お薦めです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

シングルコレクション+ ミツバチ/坂本真綾

人気声優で、ミュージシャンとしても活躍している坂本真綾の2005年以降のシングルを集めたベスト盤。珠玉のポップソングが揃っていて、ガールズポップファンなら文句なしにお薦め。ただ、そんな中で、若干、個人的におおはまりできないのは、一部、いかにも「アニソン」っぽい曲が混じっているのと、メロにしろ、彼女のボーカルにしろ、あまりにも完璧で、隙がないからか?とはいえ、文句なしに楽しめるアルバム。特に、ユーミンの「やさしさに包まれたなら」のカバーは絶品です。

評価:★★★★★

坂本真綾 過去の作品
かぜよみ
everywhere
You can't catch me
Driving in the silence

CASSETTEFUL DAYS~Japanese Pops Covers~/土岐麻子

土岐麻子が、日本のポップスの名曲をカバーしたカバーアルバム。基本的に、80年代から90年代初頭の曲がメインとなっています。最初に、カセットテープをラジカセにセットするような音が入っていて、イメージとしては、かつてカセットに録音して何度も聴いた曲をカバーした、という感じでしょうか。

ただ、今回のカバー、アレンジは打ち込みが目立って、ちょっと平凡。歌い方も、かなり平坦な歌い方で、あまり面白みはなく、ただ淡々と歌っている感じ。正直言って、新たな発見もなく、面白みもありませんでした。実力あるシンガーだと思うだけに、ちょっと残念。

評価:★★★

土岐麻子 過去のアルバム
TALKIN'
Summerin'
TOUCH
VOICE~WORKS BEST~
乱反射ガール
BEST! 2004-2011

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2013年1月12日 (土)

まさかの第3弾!!

Title:レキミ
Musician:レキシ

正直、内容的に一発企画モノだと思っていたのですが(^^;;まさかの第3弾。元SUPER BUTTER DOG池田貴史によるソロプロジェクト、レキシのニューアルバムが完成しました。

1stアルバムでは、歴史の知識が増えそうな、豆知識を楽曲の隅々に織り込んできたりしたレキシですが、2ndアルバム以降は、基本的に、歴史用語をPファンクのリズムにのせて歌詞にしたような内容。歴史用語が単なるネタ的に用いられている点は、今回のアルバムも前作と同様で、歴史おたくの池田貴史の本領発揮だった1stと比べると、歴史好きとしては若干物足りなさは感じるのですが(それでも「墾田永年私財法」みたいな、歴史の知識が知らずと身につくような歌詞は本作も健在ですが(笑))、ネタ的にはかなり安定してきた感じが。1作だけのユニットではなく、今後も永続的に続くユニットとしての方向性が、確立してきた印象を受けました。

「大奥~ラビリンス~」をはじめ、Pファンクのサウンドにのせて、リズミカルな曲がメインなのはいつも通り。また、今回も多くのゲストが、レキシネームで参加。齋藤摩羅衛門こと斉藤和義や、カブキちゃんことSalyu、田ンボマスターこと、サンボマスターの山口隆など、豪華なメンバーが、アルバムを彩っています。

ただ、基本Pファンクながらも、齋藤摩羅衛門が参加した「姫君Shake!」では、せっちゃんっぽいロックンロールナンバー、足軽先生こといとうせいこうが参加した「恋に落ち武者」ではHIP HOP、さらにラスト、田ンボマスターが参加した「墾田永年私財法」ではピアノバラードと、バラエティー豊富。ゲストの色もきちんと出ていて、なにげに面白いだけではない、池田貴史のミュージシャンとしての懐の深さと実力も感じます。

おもわずクスリと笑ってしまうユーモア満点の歌詞も相変わらず。歴史好きならもちろんのこと、歴史に疎くても、十分楽しめる内容だと思いますので、その点はご安心を。もちろん、歴史ネタ抜きにしても、音楽だけでも楽しめるアルバムである点は言うまでもありません。池田貴史がお姫様の格好をしている(笑)裏ジャケットや、ユーモラスなタイトルだけ見て、単なるコミックソングとバカにしているともったいないですよ!

評価:★★★★★

レキシ 過去の作品
レキツ


ほかに聴いたアルバム

PHASE/ROVO

スペーシーなサウンドが心地よいROVOの最新作。10分程度の曲が並び、彼らとしては短めな曲だが、基本的にはいつものROVOと同様、ライブ志向のサウンドは、椅子にすわってじっと聴いているよりもライブ、それも野外で聴いてみたいなぁ。アバンギャルドなようで、ポップなメロディーも特徴的。個人的には、ちょっとアジアンテイストで、リズムが心地よい「COMPASS」が好み。

評価:★★★★★

ROVO 過去の作品
NUOU
ROVO Selected 2001-2004
RAVO
PHOENIX RISING
(ROVO×SYSTEM7)
PHOENIX RISING LIVE in KYOTO(ROVO×SYSTEM7)

Memphis Bound~ビートにしびれて~/Blues Sisters from Respect

もともとRespectという、女子高生4人組のブルースバンドとして話題となったバンドのメンバーだった、初夏と紅葉が、バンドメンバー脱退に伴い、2人組になってしまったのを機に、「Blues Sisters」として活動を開始。そしてリリースされたニューアルバムです。

楽曲の半数はブルースやソウルの名曲のカバーで、残り半数はカバー。カバーに関しては、ブルースやソウルに造詣の深い彼女たちらしい選曲に、愛を感じるカバーに仕上がっています。ただ、英語の発音が少々不鮮明で、ちょっと軽い雰囲気は気になりますが。一方、オリジナルに関しては、カバーとの出来の差が露骨で、平凡な内容に、かなり厳しいものが。もっとも、Respectとしての前作、「From The Cradle」でも同じことを感じたのですが、ただ、例えば「ラシンバン」など、それなりに悪くないナンバーなんかも書いてきており、オリジナルに関しては確実な成長を感じます。

よくも悪くも「青い」バンドだなぁ、と感じるのですが、それでもブルースやソウルへの真摯な愛情を感じられ、素直に応援したくなります。まだまだな部分は大きいのですが、この調子でがんばれ!!

評価:★★★

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2013年1月11日 (金)

合法ダウンロードシリーズ最終章

Title:JumpUP!
Musician:PE'Z

Jumpup_pez

PE'Zの無料配信アルバム「合法ダウンロード」シリーズの第3弾。12月1日から公式サイトで配信がスタートしています。「向日葵-Himawari-」「OH! YEAH! PARTY!!」に続く、この「合法ダウンロード」シリーズは、無料配信の後、ライブツアーを行い、そのライブツアーの音源を収録したライブアルバムを含むCDパッケージ盤の発売という流れになっていて、このアルバム発売後も、年末に自主企画イベントを実施し、その時のライブ音源を収録したライブアルバムとミュージックビデオのDVDがついたパッケージの完全版が3月のリリースが予定されているそうです。

今回、第3弾で終了ということですが、こういう企画を3度も行うということは、それなりに成功した、ということでしょうか。それとも、思ったほど上手くいかなかった、ということでしょうか。無料配信で、初心者への敷居を下げ、その後のライブへ引き込み、そのライブ音源を収録したパッケージを買わせるという手法は、ビジネスモデルとしては悪くないと思うのですが・・・。(公式には、「違法ダウンロード」規制が法制化され、違法ダウンロード撲滅という目的が達成されたため、という形になっていますが)

そして、その内容なのですが、めちゃくちゃ楽しいわぁ~!やはり、その後のライブ⇒パッケージという流れを考えてなのか、とにかくライブ映えしそうなアップテンポで楽しいナンバーが並んでいます。明るくポップな「5running」から、スカ風の「JumpUP!」、さらには、ラテン風味の「Spacy Tours」と、序盤から一気に盛り上がりそうなナンバーの連続。正直、音源で聴くよりも、ライブの方が楽しそうだよなぁ、という感触があるものの、ライブでの楽しさを確実に伝えてくれるようなアルバムになっていました。

もっとも、まあPE'Zのアルバムとしては本作に限った話ではありませんが、楽曲の雰囲気としては、ジャズっぽさは薄く、むしろロックやポップからの影響が大きい感じが。それが本作ではより顕著に感じられたのは、ジャズやらロックやらポップやら、ジャンル云々よりも、ライブで楽しめる曲を、というスタンスだったのかもしれません。

いい意味でポップで聴きやすいアルバムなので、広い層にアピールできそうなアルバム。そういう意味でも、無料配信向けな感じもします。ちなみに、無料配信は、1月いっぱいまで。気になる方は、いまのうちに公式サイトに急げ!

評価:★★★★★

PE'Z 過去の作品
1・2・MAX
ギャロップ(pe'zmoku)
ペズモク大作戦(pe'zmoku)
I WANT YOU
向日葵-Himawari-
OH!YEAH!PARTY!!


ほかに聴いたアルバム

REMIXED/BOOM BOOM SATELLITES

BOOM BOOM SATELLITESのリミックス楽曲を集めたベスト盤。同じ曲のリミックスが並んで収録されていたりして(もっとも、同じ曲のリミックスが続いているのは、シングルのカップリングと同様なのですが)聴き比べられるところもユニークなところ。ただ、基本的にブンサテのイメージに沿った感じのリミックスが多く、大きな驚きはあまりなかったかも。また、リミックス作を集めた企画盤ということで、どちらかというとファン向けかと。もっとも、シングルのカップリングに収録されたリミックスがメインなので、ファンとしてはこうやってまとまってリリースされるのはうれしいかも。

評価:★★★★

BOOM BOOM SATELLITES 過去の作品
EXPOSED
19972007
TO THE LOVELESS
EXPERIENCED

BETWEEN THE TEN/YUKI

ベスト盤「POWERS OF TEN」に続いてリリースされた新作は、こちらはシングルのカップリング曲を集めた、いわゆるB面ベスト。シングル曲と同様、サブカル指向が強かった初期の作品が、徐々にポピュラリティーある作品にまとまってくる流れに。曲によってはシングル並みのインパクトのある曲もあり、YUKIは好きだけど、シングルまでは追っていないという方も要チェックかも。また、シングルに比べると、最近の曲でも、サブカルっぽい、もっとロック寄りだったり、ダブなどの要素を取り込んだ曲もあったりして、シングルとはまた別の志向も見えてユニーク。カップリング集ですが、オリジナルアルバム感覚としても十分楽しめる作品でした。

評価:★★★★★

YUKI 過去の作品
five-star
うれしくって抱きあうよ
megaphonic
POWERS OF TEN

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2013年1月10日 (木)

様々なジャンルを自分たちの音として取り込む

Title:My Lost City
Musician:cero

今日紹介するミュージシャンは、最近話題の3人組バンド、cero。最近、各所で彼らが絶賛され、取り上げられることが多く、2枚目となるこのアルバムも、ミュージックマガジン誌の「ロック[日本]」部門で年間4位になるなど、高い評価を受けています。実は彼ら、2011年のライブイベント「Our Favorite Things」でそのパフォーマンスを見ているのですが、ちょっとうつらうつらしており、ほとんど覚えておらず(^^;;事実上、しっかりと彼らの「音」を聴いたのははじめて、ということになります。

まず、彼らの音楽を聴いて、感じたのは、様々な音楽の要素を取り込んでいるなぁ、という点。1曲目「水平線のバラード」はアカペラからスタートしたかと思えば、「マウンテン・マウンテン」「マイ・ロスト・シティー」は、民俗音楽っぽいリズムがとても心地よく、かと思えば「cloud nine」は、爽やかなラテン風のリズムを感じます。

他にも、シティポップっぽいメロながらも、ポストロックの影響を感じるアレンジが特徴的な「大洪水時代」や、ピアノが軽快なポップナンバー「スマイル」、ジャジーに聴かせる「roof」や、HIP HOP風の「わたしのすがた」まで、まさに様々なジャンルが展開しており、先が見えない構成が大きな魅力となっています。

そんなバラバラな作風ながらも、全体的にはポップなメロディーと、全体を流れる垢抜けた都会的な雰囲気で、アルバム全体がまとまっているため、アルバム自体はあまりバラバラといった雰囲気はありません。新人ながらも、様々なジャンルを、上手く咀嚼した上で、自分たちの音楽として取り込んでいるスタイルには、各所での絶賛も納得の出来映えだったと思います。

インパクトという点で、若干薄いかなぁ・・・という印象は否めないものの、今、もっとも注目の新人バンドの一組である点には間違いないと思います。これからも期待!次のライブは、うつらうつらしないで、きちんと体験しなければ(笑)。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

HARENTIC ZOO/黒猫チェルシー

ジャケット写真も、ちょっといままでの作品と雰囲気が異なりますが、黒猫チェルシーの新作は、曲の雰囲気もいままでとはガラッと変わりました。ガレージロックの色合いが薄くなり、ポップな曲がグッと増えた内容は、メロディーはしっかりしており、メロディーメイカーとしての実力を感じさせる内容になっています。また、楽曲のバリエーションも、ハードロック風の曲から、軽快なギターポップ、レゲエ風の曲など、グッと増えました。残念ながら、インパクトが薄く、これは、といった曲がないものの、今後に期待できそうな、彼らの成長を感じさせる問題作です。

評価:★★★★

黒猫チェルシー 過去の作品
All de Fashion
猫Pack
NUDE+
猫Pack2

Ave Materia/People In The Box

People In The Boxの最新作は、全体的にアコースティックで、美しい雰囲気の音づくりが印象的な作品。いつも通り、ポップなメロディーで、聴きやすい一方、幻想的なアレンジや独特な歌詞で、知らず知らずのうちに奥深い世界観にはまり込むというのはいつも通り。ただ、この作品も十分楽しめる内容ながらも、傑作続きだったここ数作に比べると、ちょっと印象が薄かった感も否めず。

評価:★★★★

People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
Citizen Soul

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2013年1月 9日 (水)

紅白効果は?

今週の集計週は12月31日から1月6日。世間はお正月休み真っ盛りで、例年のことながら新譜はかなり少ないチャートに。そのため、今回もシングル、アルバムは同時にアップです。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

まずはシングル。紅白の影響を受けて、人気上昇中のあのバンド(?)の新曲が1位獲得です。

今週1位を獲得したのは、ベスト10で唯一の新譜。ゴールデンボンバー「Dance My Generation」が初の1位獲得です。なんでもインディーズでは初のシングルで「初登場1位」だそうです。ただ、ここ最近、インディーズとメジャーの垣根がほとんどなくなっている状況で、むしろ、ゴールデンボンバーってインディーズだったんだぁ、といった感想の方が出てくるぐらいで・・・。

おそらく、今年の紅白でもっとも話題となった出演者の一組が彼ら。ただ、事前の話題の割りには、パフォーマンスがしょぼくて、正直期待ハズレだったのですが、一気に知名度があがったのか、人気の方はうなぎのぼり。このシングルは初動12万4千枚を記録。ゴールデン・イクシオン・ボンバー DT名義だった前作「DT捨テル」の2万1千枚はもちろん、ゴールデンボンバーとしての前作「酔わせてモヒート」の5万1千枚も大きく上回りました。

さらに今回、このシングルのヒットのみならず、紅白で歌った「女々しくて」も、先週の31位(1千枚)から4位(8千枚)に大幅アップし、ベスト10に返り咲き。その「DT捨テル」も59位から15位にランクアップ。まさに紅白効果がはっきりあらわれた結果になっただけではなく、過去盤がランクアップするという、大ブレイク前夜の状況に。2013年はゴールデンボンバーの年になるか??

ただ、ゴールデンボンバーでは如実にあらわれた紅白/年末の賞レース出演効果ですが、昨年に引き続き、今年もほとんどあらわれず、事実上、ゴールデンボンバーくらい。2位にはAKB48「永遠プレッシャー」が、先週の8位からランクアップし、ベスト3に返り咲いていますが、売上は1万4千枚から1万枚にダウン。AKB48では同じく「UZA」が12位から8位にランクアップし、ベスト10返り咲きを果たしていますが、売上は4,828枚から5,048枚とほぼ横バイ。他にも、こちらも一部紅白で話題となったももいろクローバーZ「サラバ、愛しき悲しみたちよ」が10位から6位にランクアップしていますが、5,496枚から5,697枚とほぼ横バイ。確かに「売上が落ちなかった」という意味では強かったかもしれませんが、紅白効果というよりも、お年玉で一時的にお金持ちになった中高生が、いままでほしくても買えなかったCDを買った、という、いつも年初のヒットチャートにあらわれる効果の影響ではないでしょうか。

ちなみに3位は乃木坂46「制服のマネキン」が先週6位からランクアップし、ベスト3返り咲きを果たしていますが、売上は2万枚から1万枚と大きくダウンしています。

ベスト10以下を見ても、紅白効果は限定的なようで、斉藤和義「やさしくなりたい」が、ベスト200圏外から28位にランクアップしたのが一番目立つところ。ここ数年の現象ですが、紅白で、あらためて今年のヒットチャートを振り返り、ヒット曲を買いなおすという人が少ない、というのは、ひょっとしたら、もっと危機感を持ってもいい現象かもしれません。そんな中、ゴールデンボンバーの奮闘は、あらたな人気者の登場を予感させますが。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャート。ベスト10圏内に初登場はゼロという結果に。

1位は先週から変わらず。EXILEの弟分ユニット、三代目J Soul Brothers「MIRACLE」が、2週連続の1位を獲得。また、2位にはEXILEのベスト盤「EXILE BEST HITS-LOVE SIDE/SOUL SIDE-」が先週の3位からランクアップ。EXILEがらみの作品が1位2位に並ぶ結果になりました。

3位は、FANKY MONKEY BABYS「ファンキーモンキーベイビーズ5」が先週の2位からランクダウン。先週の紅白でもパフォーマンスを披露しましたが、残念ながら紅白効果はほとんどあらわれなかった模様。

で、基本的にベスト10の顔ぶれは先週から変わらずなのですが、唯一、ベスト10に返り咲いたのが10位にランクインした嵐「Popcorn」。先週の11位からランクアップし、ベスト10返り咲きです。ただ、売上は先週の1万1千枚から1万枚にダウン。ベスト10入りしているアルバム全体の売上が落ちた影響の模様です。

そんな訳で、いつものことながら、ちょっと寂しかった今週のヒットチャートは以上。来週・・・も新譜少な目のチャートは続きそう??

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2013年1月 8日 (火)

「夜」を空気公団と共に

Title:夜はそのまなざしの先に流れる
Musician:空気公団

約1年半ぶりとなる空気公団のニューアルバムは、ちょっとユニークなレコーディング方法が特徴的。今年7月7日、東京・水天宮前の日本橋公会堂で今野裕一郎によるソロユニット「バストリオ」をゲストに迎えて、レコーディングライブを実施。その時の音源に、スタジオ録音の音源を重ねることにより、ニューアルバムを完成させました。先日、MONOBRIGHTが、すべてライブ音源でのニューアルバムをリリースしましたが、本作は、ライブアルバムとスタジオ音源の中間を行くようなユニークな内容になっています。

今回のアルバムは、星空を映したアルバムといい、タイトルといい、「夜」をイメージした印象があります。アルバムは、静かなピアノの音と、時計の音から始まります。静かな雰囲気のスタートは、夜のはじまりをイメージするようです。

その後も、基本的には、いつもの空気公団。アコースティックなサウンドがベースのアレンジに、シンプルなメロディーライン。決して派手さはないものの、聴き終わった後、どこか心にひっかかるメロディーが大きな魅力です。

今回は、「夜」をイメージしたためか、全体的にミディアムテンポのナンバーが多く、ただでさえ、のんびりしたイメージのある空気公団の楽曲ですが、さらにのんびりとした雰囲気になっています。また、今回はインストのナンバーが多い印象も。ピアノやピアニカで奏でられる、のんびりとしたやさしい楽曲は、アルバム全体に流れる「夜」のイメージを増幅しています。

また、このアルバムの大きな特徴であるライブレコーディングの部分。その影響か、演奏にいつも以上に緊張感が感じられました。音と音の間に流れる空間が、より強調されているような、いい意味でピンとはりつめられたような空気が、ひとつこのアルバムの大きな魅力に感じられます。

最後は「あなたはわたし」「これきりのいま」と、アップテンポな明るいナンバーで締めくくり。ここらへん、「夜」が続いた最後、爽やかな「朝」のイメージでしょう。特に「これきりのいま」の最後は「おはよう」の言葉で締めくくられています。

コンセプチュアルなアルバムで、ライブレコーディングの魅力も加えつつ、一見、「地味」な印象がありながらも、最後まで耳の離せないアルバムになっていました。空気公団の、今の実力が存分に発揮されていた傑作ではないでしょうか。彼らが、実に魅力的なポップバンドだなぁ、ということを再認識できた1枚でした。

評価:★★★★★

空気公団 過去の作品
空気公団作品集
メロディ
ぼくらの空気公団
春愁秋思
LIVE春愁秋思


ほかに聴いたアルバム

ハッピーエンド/フラワーカンパニーズ

フラカンの約2年ぶりのニューアルバム。楽曲は、王道のオルタナ系ギターロック。ベテランの彼らですが、音は、そこらへんの若手に負けないような「若さ」を感じられるのは魅力的ですが、正直、ちょっと新鮮味は薄い感じも・・・。ただ、その一方、歌詞が半端ない内容。郷愁を誘う「夏のにおい」や、今を生きようとする力強さが伝わる「なれのはて」など、BGM感覚で聴いていても、否応なく、歌詞が耳の中に飛び込んできます。人生をテーマとした「人生 GOES ON」など、大人の彼らだからこそ書けるような歌詞も大きな魅力。

評価:★★★★

フラワーカンパニーズ 過去の作品
フラカン入門

MACH CLUB/KING BROTHERS

かつて、「東のミッシェル、西のキンブラ」なんてことも言われたKING BROTHERS。最近は、'N夙川BOYSとしての活躍が目立つのですが、ちゃんとキンブラとしての活躍も健在です。激しいシャウトとギターのガレージサウンドなのは相変わらず。迫力がありながらも、スカスカな音は相変わらず。'N夙川BOYSの活躍で、メロディーメイカーとして一流な面ものぞかせたのですが、このアルバムでも「GET AWAY」みたいに、ガレージサウンドで隠れているものの、よくよく聴くと意外とポップな曲も。ただ、全体的にはちょっとゴチャゴチャした印象は否めず、まとまりにかけた感も。まあ、そういう「ラフさ」も彼らの魅力といわれれば魅力なのですが・・・。

評価:★★★★

KING BROTHERS 過去の作品
THE FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN

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2013年1月 7日 (月)

今年最初?去年最後??

今年最初のヒットチャートが月曜日に発表になりました。とはいえ、集計対象期間は12月24日から30日。要するに、事実上は昨年最後のチャート。また、紅白やレコ大の影響は来週になりそう。

また、今週のアルバムの新譜は少なめ。ということで、シングルアルバムチャート同時アップです。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

シングルも新譜は比較的少なめ・・・といっても、ベスト3は全て新譜になりました。

まず1位はV6「ROCK YOUR SOUL」。ゲーム「真・北斗無双」のCMソング。タイトル通り、ハードロック風なイントロながらも、アレンジは基本トランス。ただ、メロは歌謡曲という、いかにもジャニーズ系らしい曲に。1位獲得は2010年9月の「only dreaming」以来。ただし、初動売上5万5千枚は前作「KEEP oN.」の5万6千枚から若干のダウン。他に強力盤のなかったチャートに助けられた模様。

2位は5人組ロックバンドUVERworld「REVERSI」がランクイン。これで「BABY BORN&GO」以来4作連続の2位。初動売上は4万枚で、前作「THE OVER」の6万1千枚から大きくダウン。前作ベースなら、1位だったのですが・・・と言いたいところですが、このシングル、アルバム「THE ONE」からのリカットシングルで、そういう意味では大健闘の結果。映画「青の祓魔師-劇場版-」主題歌というタイアップ効果からか?

3位はAKB48からのソロ。河西智美「まさか」。AKB48からの卒業が発表され、今後はソロで売っていく方針ということでしょうか。ただ、初動売上3万2千枚は、ソロ1作目としては微妙な数値のような・・・。

続いて4位以下の初登場ですが、まずは5位。ももいろクローバーZ「「僕等のセンチュリー」ももいろクリスマス2012~さいたまスーパーアリーナ大会~ 限定発売シングル」。タイトル通り、イベント会場と通販限定のシングル。そして、今時珍しい(・・・っていう事態が異常だと思うのですが)1種類のみのリリース。で、初動売上は2万1千枚で、前作の初動7万3千枚から大きくダウンしていますが、事実上、コアなファンの実数といった感じでしょうか。ちなみにその前作「サラバ、愛しき悲しみたちよ」が、先週の17位から10位にランクアップ。12月10日付チャート以来、4週ぶりの返り咲き。低水準の今週のチャートに助けられた部分もありますが、売上も4千枚から5千枚に微妙にアップしています。

7位初登場が倖田來未「恋しくて」。バラードナンバーとなった新作ですが、初動売上1万8千枚は、久々の1位獲得となった前作「Go to the top」の5万4千枚より大幅ダウン。ノンタイアップという影響も大きいのですが、バラードナンバーがファンには受けなかったのか??

シングルチャート最後は、9位に元AKB48のアイドル、小野恵令奈「say!! いっぱい」がランクイン。前作同様、かなり萌え系を意識したような、アイドルポップ。初動売上は6千枚で、前作「えれにゃん」の1万1千枚から大幅ダウン。通常の週でしたら、ベスト10入りは厳しい数字で、かなり厳しい結果となっています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週、新譜はわずか3枚という結果になっています。

そんな中、1位も新譜。EXILEの弟分ユニット、三代目J Soul Brothers「MIRACLE」が、見事初の1位を獲得しています。初動売上も、13万7千枚と、前作「TRIBAL SOUL」の9万2千枚から大幅アップ。三代目となってからはこれが3枚目なのですが、3位→2位と徐々に順位をあげ、3枚目で1位獲得となりました。ちなみに発売日は1月1日ですが、入荷の都合で、25日から発売されていた模様。

2位は来年の6月の東京ドーム公演での解散が決定したFUNKY MONKEY BABYS「ファンキーモンキーベイビーズ5」。残念ながら1位獲得ならず。初動売上も8万2千枚で、前作「ファンキーモンキーベイビーズ4」の10万9千枚からダウンという結果になりました。

3位はEXILEのベスト盤「EXILE BEST HITS-LOVE SIDE/SOUL SIDE-」が、先週の2位からワンランクダウンで、ベスト3をキープしました。

続いて4位以下の初登場ですが、今週の新譜は1枚のみ。7位初登場の「うたの☆プリンスさまっ♪ シャッフルユニットCD カミュ&レン」でした。PSP用ゲームソフトの登場キャラクターが、ユニットを組んでCDをリリースするキャラクターアルバムの第4弾。第3弾「藍&真斗&翔」は初動1万5千枚で12位。本作も初動売上は1万5千枚と横バイながら、ベスト10入りを果たしました。

ほかに今週は、初登場から2週目にして初のベスト10入りしてきたアルバムがあります。それが先週の12位から10位にランクアップしてきた「DJ KAORI'S PARTY MIX IV」。ご存知DJ KAORIが、洋楽のヒット曲をつないでDJミックス盤としてリリースしたアルバム。先週の13,538枚から13,878枚と、わずか300枚程度ですが、売上もアップしています。

そんな訳で、今週のシングル&アルバムチャートは以上。次は今週の水曜日??

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2013年1月 6日 (日)

21世紀のシューゲイザーバンド

Title:Mauve
Musician:Ringo Deathstarr

21世紀のシューゲイザーバンドとして話題のアメリカのロックバンド、Ringo Deathstarr。これが2枚目のオリジナルアルバムになります。

彼らの大きな特徴は、冒頭の通り、シューゲイザーの大きな影響を受けている点。特にマイヴラあたりからの影響は顕著で、男女ダブルボーカルに、ギターのホワイトノイズ、そして意外とポップなメロディーと、まさにシューゲイザーの王道を行くようなサウンドが耳に残ります。

今回のアルバムでは、全16曲入りというボリュームながらも、アルバム全体の長さは、50分足らず。1曲あたり2、3分程度の長さの曲がほとんどで、次から次へと新しい曲が展開していくスタイルに。助長なサウンドや展開を取り払い、まさに核となるメロディーとサウンドのみを残したような内容。この、2、3分程度の長さの曲が連続、という点でも、ポップ指向を感じます。

この手の音は、個人的に壺にはまりまくり。来日記念盤である「Shadow」を聴いて、彼らの音楽にはまってしまったのですが、今回のアルバムもまた、はまってしまいました。

ただ・・・王道のシューゲイザー路線なのは、個人的には大好きなのですが、ちょっとあまりにもそのままで、新鮮味がないような・・・。21世紀のバンドとしては、彼らなりの新しさもほしかったような印象を受けてしまいました。

評価:★★★★

Ringo Deathstarr 過去の作品
Shadow


ほかに聴いたアルバム

THE PASS OF TOTALITY/KORN

KORNの最新作は、全編デジタルサウンドを導入した作品に。ダブステップなど、今風の音を取り入れながらも、小難しい感じはなく、むしろかなりわかりやすい内容に。ここらへんのポピュラリティーが彼らの人気の高さの所以か。KORNが好きなら、難なく楽しめそう。

評価:★★★★

KORN 過去の作品
Untitled
KORNIII:REMEMBER WHO YOU ARE

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2013年1月 5日 (土)

懐かしい名前の復帰作

Title:B.B.QUEENS LEGEND~See you someday~
Musician:B.B.クイーンズ

ある一定の年代の方にはちょっと懐かしい名前ではないでしょうか、B.B.クイーンズ。1990年、フジテレビ系アニメ「ちびまる子ちゃん」のテーマ曲「おどるポンポコリン」が大ヒット。その年のレコード大賞を受賞するなど、一躍、時の人となりました。

もともとB.B.クイーンズは、スタジオミュージシャンなどで活躍していたミュージシャンたちを集めて、ビーイングが企画した企画モノバンド。後のビーイング系ブームの先駆け的存在となっています。

それが2011年に再結成。その後、なんと、神聖かまってちゃんとのコラボシングル&コラボツアーを行うなど、話題になりました。今回のアルバムでも、そのコラボシングル、B.B.かまってちゃん名義の「夢のENDはいつも目覚まし!」に、神聖かまってちゃんのカバー「ロックンロールは鳴り止まないっ」も収録されています。

他にも、元T-BOLANの森友嵐士が参加した「声なき声がきこえる」や、宇徳敬子xDEEN名義の「未来のmemories」なども収録された、いわばビーイング系の同窓会的なアルバム。「未来のmemories」などは、いかにもビーイング系といった感じでしたが・・・。

個人的には、B.B.かまってちゃん目当てで聴いたのですが、ただ、アルバム全体としては、実力のあるミュージシャンが揃っているだけに、完成度の高いポップソングが並んでいます。「ロックンロールは鳴り止まないっ」も、ちゃんと卒のないカバーに仕上げていますし、バックブランドHbGとコラボした曲は、今風のエレクトロナンバーですが、しっかり彼らなりに消化しています。

こちらも、ある世代には懐かしい、「ちびまる子ちゃん」のオープニング「ゆめいっぱい~2012~」をレゲエ風にカバーしていたり、近藤房之助ボーカルのフォークナンバー「小さな旅」など、様々なジャンルの曲が並んでいて、とても楽しい内容に。ある意味、卒のない内容は、いかにもビーイング系らしい感じはして、もうちょっと遊びの要素もあった方がおもしろかったのになぁ、とも思うものの、聴いていて、素直にワクワクと楽しめるポップアルバムになっていたと思います。名前に懐かしさを感じた方、神聖かまってちゃんのファンの方、お薦めです。

評価:★★★★★

Title:1968 vol.2~DOWN HOME~
Musician:近藤房之助

で、そのB.B.クィーンズのメンバーでもある近藤房之助のニューアルバム。B.B.クィーンズでは、奇抜な格好で変なおじさんを演じている彼ですが、本来は、日本を代表するブルースシンガー。このアルバムは、そんな彼が、影響を受けたブルースの楽曲をカバーしたカバーアルバムの第2弾です。

全体的には、ノイジーなギターに、ピアノ、ブルース・ハープ、曲によってはホーンセッションなども入れた分厚いアレンジ。いい意味で、今の耳でも聴きやすいアレンジで、ブルースの入門的なアルバムとしても最適。なによりも、グルーヴィーなアレンジに、どすの利いた泥臭い近藤房之助のボーカルがしびれるようにカッコいいです!

第1弾である前作もそうだったのですが、このアルバムも、全英語詞なのですが、近藤房之助のボーカルは、英語を正しく発音しようとか、そういうことはほとんど気にしていません。むしろ、英語で上手く歌うよりも、いかにブルースの心の部分を歌に載せるか、それを意識して歌っているように感じました。そのため、まさに心につきささるようなボーカルがとても印象に残るようなアルバムに仕上がっています。

上にも書いた通り、比較的、今風のアレンジで、ロック的な要素も強いため、ブルースをあまり聴かない方でも楽しめ、かつ、ブルースの魅力を感じることが出来るアルバムだと思います。ブルースに興味はあるけど、手が出しにくくて・・・という方は、このアルバムから、元曲をたどっていってみてはいかが?

評価:★★★★★

近藤房之助 過去の作品
1968


ほかに聴いたアルバム

PARADE/HY

沖縄出身の5人組バンド、HYの2年ぶりとなるニューアルバム。沖縄らしい要素を隠し味に取り入れた、爽やかなポップソングが特徴的。ただ、メロディーは、悪くはないのですが、少々平凡な感じ。前作「Whistle」よりはよかったとは思うのですが・・・以前はもっと優れたメロディーを書いていたバンドだと思うんだけどなぁ。ちょっと勢いが衰え気味な印象は拭えません。

評価:★★★

HY 過去の作品
Whistle

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2013年1月 4日 (金)

素朴な曲が心に響く

Title:銀河のほとり、路上の花
Musician:中川敬

ソウルフラワーユニオンのボーカリスト、中川敬名義のソロ作第2弾。前作「街道筋の着地しないブルース」で傑作アルバムを聴かせてくれた彼ですが、それに続く本作でも、また傑作を私たちに届けてくれました。

楽曲は、基本的に前作と同様、ほぼアコースティックギター1本による演奏のみ。そこに、中川敬の、泥臭くも力があり、胸に響くようなボーカルがのります。前作もそうでしたが、本作も、オリジナルの他にカバーも多いアルバムで、ソウルフラワーユニオンの作品はもちろんのこと、「ホレホレ節」という、戦前、日本からハワイに移住した人たちによってつくられた「民謡」のカバーや、高田渡の「生活の柄」、ちょっと変わったところでは、二階堂和美の「女はつらいよ」のカバーなども収録されています。

「女はつらいよ」は、タイトル通り女性目線の曲なので、先日、ライブで聴いた時は正直ちょっと違和感があったのですが、このアルバムで聴くと、原曲とは違った味を感じられて、聴き入ってしまいました。

彼らしい、あくまでも街角の人たちの、日常を歌ったような暖かい曲がほとんどなのですが、それ以上に、カバーも含めて、彼が歌いたい曲を自由に歌ったという印象を受けました。特に、アルバム製作中に東日本大震災が起こり、それを意識せざる得なかった前作と比べると、肩の力がよりぬけていたようにも感じました。

とはいえ、1曲目「それでも私は海が好き」では、東日本大震災の被災者の側に立ち、津波被害を受けても、それでも海の側で生きていこうとする力強い人たちの姿を見事に描いています。ここらへんの曲は、やはり中川敬だからこそ書けた曲でしょう。

最近は、Twitterをはじめ、反原発を声高に叫んでいる彼で、このアルバムにも、中の写真に「反原発」と書かれた落書きをおさめていたり、歌詞カードでは反原発デモの模様の写真を使っていたりするのですが、楽曲自体からは直接的な政治的主張はありません。しかし、「世界はお前を待っている」やソウルフラワーユニオンの「平和に生きる権利」など、ただただ、平和に自由に暮らしたいという、人々の素朴な主張を訴えた曲があります。あくまでもポリティカルな要素を楽曲で声高に主張するのではなく、人々の素直な願いを静かに歌う、実に彼らしいやり方だと思います。

前作に続き、またもや傑作アルバムになっていた今回のアルバム。静かに平和に自由に暮らしたい、という願いすら、時として揶揄されたりするような今の時代だからこそ、強く心に響くアルバムです。

評価:★★★★★

中川敬 過去の作品
街道筋の着地しないブルース


ほかに聴いたアルバム

Acoustic&Dining/DEPAPEPE

DEPAPEPEのニューアルバムは、タイトル通り、「食」とのコラボレーションアルバムだそうで、料理研究家や、料理人などを招き、彼らが作った曲からイメージされたオリジナル料理を考えてもらい、そのレシピも掲載されているそうです。

食と音楽との融合、というのはユニークといえばユニークですが、いかにも広告代理店が思いついたような感じの企画で、狙いすぎなイメージがぬぐえません。楽曲も、そのため、爽やかなギターサウンドはいつも通りながらも、ちょっと企画に引きずられて、おとなしくまとまってしまったような印象が。この手の企画モノがやけに多い彼らですが、もうちょっとシンプルなオリジナルアルバムをもっともっと聴きたいなぁ。

評価:★★★★

DEPAPEPE 過去の作品
デパクラ~DEPAPEPE PLAYS THE CLASSIC
HOP!SKIP!JUMP!
デパナツ~drive!drive!!drive!!!~
デパフユ~晴れ時どき雪~
Do!
デパクラII~DEPAPEPE PLAYS THE CLASSICS
ONE

REVOLUTION/SEAMO

やはりSEAMOのアルバムは楽しい!あらためてそう感じさせてくれたSEAMOの最新作。特に序盤、「YOU SEAMO」や、同じ地元名古屋のバンド、SPYAIRとコラボした「ROCK THIS WAY」など、ロッキンな、ビートの強いナンバーが続く作品は、聴いていてワクワクしますし、シーモネーター名義の「万華鏡」は、タイトルから想像できる通りのエロソングで、非常に楽しい名曲(迷曲?)になっています。

ただ、一方では、「アイタイヒト」は、よくありがちな、J-POPといった感じですし、「サラリーマン黙示録」もサラリーマンをテーマにしながら、どうも表面的な内容で、共感しがたい感じも。最高におもしろい曲と、平凡なポップナンバーの振れ幅がちょっと大きかったような印象があります。全体的には楽しいナンバーなので、お薦めは出来るのですが、惜しい感じもするアルバムでした。

評価:★★★★

SEAMO 過去の作品
Round About
Stock Delivery
SCRAP&BUILD
Best of SEAMO
5WOMEN
MESSENGER
ONE LIFE
コラボ伝説

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2013年1月 3日 (木)

ベスト盤に続き、早くも新作!

Title:[(an imitation) blood orange]
Musician:Mr.Children

今年、ベスト盤をリリースし、大ヒットを記録したミスチル。そのミスチルが、早くもニューアルバムをリリースしました・・・・・・といっても、前作「SENSE」がリリースされてから、約2年のインターバルが置かれているので、「通常の」リリースペースと言われれば、その通りなのですが・・・。

前作「SENSE」がコンセプチャルなアルバムで、シングル曲が全く収録されていなかったのに対して、本作は、シングル曲、配信オンリーで発表された曲、ドラマやCMソングで、音源がリリースされた曲など、既発表された曲が多く収録されています。そのため、「SENSE」が、かつての「深海」なら、このアルバムは「BOLERO」に位置するアルバム・・・という意見も見受けられるのですが、先行シングルは基本的に1枚だけで、どちらかというと、前々作「SUPERMARKET FANTASY」の方が、コンセプト以前に、「ヒット曲の集まり」というイメージが強く、「BOLERO」のイメージに近いような気がします。

今回のアルバムは、全体的に明るく、前向きなイメージの曲が多かった印象を受けました。特に、10曲目の「Happy Song」は、タイトル通りのナンバーで、このアルバムのクライマックスにはピッタリの印象。その後、スケール感のあるバラードナンバー「祈り~涙の軌道」で締めくくりという展開に、感動的な余韻を持って、アルバムを聴き終えることが出来ます。

もちろん、どの曲も聴かせる曲ばかりで、安心の安定感。このポップソングとしての訴求力の大きさは、日本のバンドの中でもピカイチ。ただ、そんな彼らのアルバムの中でも、「ヒット曲」の連続だった「SUPERMARKET FANTASY」や、コンセプチャルな「SENSE」などの最近のアルバムと比べると、全体的にちょっと地味な印象も拭えませんでした。

その地味な印象の大きな理由が、おそらくアレンジで、プロデューサー小林武史のアレンジが、全体的に大味で平凡。小林武史といえば、レミオロメンのプロデューサーとして、駄作を連発させてくれちゃいました。先日のベスト盤を聴いても感じたのですが、小林武史自体が金属疲労(?)を起しちゃっている印象が・・・。もうちょっと大味なアレンジや、いかにもなバラードナンバーよりも、シンプルなポップソングを聴いてみたいような・・・。

・・・とはいえ、それはあくまでもミスチルのいままでのアルバムに比べて、という話であって、このアルバム自体の出来については、申し分なく楽しめる傑作アルバムで、彼らの実力を存分に満喫できるアルバムだったと思います。ベスト盤も好調でしたし、このCD不況の中でも、彼らの快進撃は止まらなさそうです。

評価:★★★★★

Mr.Children 過去の作品
SUPERMARKET FANTASY
SENSE
Mr.Children 2001-2005<micro>
Mr.Children 2005-2010<macro>


ほかに聴いたアルバム

夢見る宇宙/BUCK-TICK

全体的に、ポップ色が強くなったニューアルバム。全体的に、80年代から90年代にかけてのビートロック風で、90年代にブームになったビジュアル系バンドの雰囲気に近い感じか?聴きやすいことは非常に聴きやすいのですが、新鮮味はない印象が。賛否両論わかれそうなアルバム。

評価:★★★

BUCK-TICK 過去の作品
memento mori
RAZZLE DAZZLE

Baby,It's Cold Outside/Galileo Galilei

デビュー当初は、よくありがちな売れ線ポップスロックバンド、というイメージだったのですが、前作「PORTAL」で一気にイメージが変化。エレクトロやシューゲイザーの影響を取り入れた楽曲には、ファンならずとも驚かされました。今回の作品も、その延長線上。基本的に、80年代のギターポップやシューゲイザー系のバンドからの影響を強く感じ、日本で言えば、かつてのスーパーカーあたりを彷彿とさせます。

ただ、前作「PORTAL」でも感じたのですが、この手のバンドは、かつて数多くブレイクしており、正直、面白みはありません。やりたいことはわかるのですが、いまさら感も強く、じゃあ、彼らだけの個性は?と考えた時に、あまり「個性」が感じられないような。前作同様、その意欲は買えるのですが、このままだと、シーンの中で埋もれてしまいそうな。

評価:★★★

Galileo Galilei 過去の作品
パレード
PORTAL

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2013年1月 2日 (水)

バラードが並ぶ後半が魅力

Title:Girl On Fire
Musician:Alicia Keys

2010年5月27日、音楽プロデューサーのSwizz Beatzと婚約。その彼もプロデューサーとして名前を連ねるAlicia Keysのニューアルバムです。

彼女らしい、ピアノが静かな音色を奏でるイントロからスタートし、続く「Brand New Me」では、静かなピアノバラードナンバーからスタートし、彼女の美しい歌声をゆっくりと楽しむことが出来ます。

ただ、前半に関しては、彼女の持ち味であるピアノの音色を入れながらも、エレクトロテイストを取り入れたアップテンポなナンバーが続きます。もちろん、これらアップテンポなナンバーも、ポップなメロディーと彼女のボーカルがあわさり、十分楽しむことが出来るのですが・・・でも、どうも、エレクトロテイストのアレンジがチープに感じちゃうんですよね。

全体的にポップで薄味ということもあるのでしょうが、例えば「Not Even The King」みたいに、ピアノ1本で聴かせるナンバーと並べちゃうと、逆に、音数を増やせば増やすほどチープに感じてしまいます。

一方、その「Not Even The King」をはじめとして、後半にはしんみりと聴かせるバラードナンバーが主体になっているのですが、こちらに関しては文句なし!彼女の歌声にゆっくりと耳を傾けられる名曲揃い。レゲエ風のリズムを取り入れた「Limitedless」はちょっとご愛嬌といった感じですが、シンプルにメロディーと歌を聴かせるバラードナンバーは、彼女の本領発揮といったところでしょう。

そんな訳で、後半は文句なしだった一方、ちょっと前半に不満も残るアルバム。前作に引き続き、全体的にポップで薄めだったのは、好き嫌いがわかれそうで、個人的に、もうちょっと濃い方向性の方が好きだったりするのですが・・・。もっとも、R&Bのアルバムとして、安心して楽しめるアルバムではあるとは思うのですが。

評価:★★★★

Alicia Keys 過去の作品
As I Am
The Element Of Freedom


ほかに聴いたアルバム

Earth Division EP/MOGWAI

新曲のみで構成された、4曲入りのEP。いつものギターノイズは控えめで、ピアノやストリングスで奏でられる美しい音色が印象的な作品になっています。そのため、いわゆるMOGWAIらしさを求めると、ちょっと物足りなさを感じるかも。ピアノやストリングスの美しい音色もそれなりに魅力的なのは、さすがMOGWAIといった感じなのですが、MOGWAIとしての個性は、少々薄く感じました。

評価:★★★

MOGWAI 過去の作品
The Hawk Is Howling
HARDCORE WILL NEVER DIE,BUT YOU WILL
Live at All Tomorrow's Parties,9th April 2000

The Less You Know,The Better/DJ SHADOW

DJ SHADOWのニューアルバムは、ジャケット写真に表示されたタイトルが、国によって現地の言葉になっているみたいで、日本盤では↓こんな感じ。

いや、「THE BETTER」ぐらい読めますがな(笑)。なんか、日本人的感覚だと、かなりユーモラスな雰囲気になってしまっています(^^;;

ただ、楽曲自体は別にユーモラスな内容でもなんでもなく、真剣勝負そのもの。HIP HOPのトラックに、ロッキンなギターサウンドが載るスタイルは、HIP HOPリスナーにもロックリスナーにも耳なじみやすく楽しめそう。楽曲ごとに、バリエーションの異なるアイディアが詰め込まれていて、最後まで飽きず、かつ、ポップにまとめられているため、決して小難しさはありません。統一感は薄いのですが、それもまたひとつの味にすらなっています。最後まで耳の離せない、楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★★

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2013年1月 1日 (火)

謹賀新年

新年、あけましておめでとうございます。

昨年は、たくさんの方に当サイトに遊びに来ていただき、大変感謝しております。本年も、「ゆういちの音楽研究所」をよろしくお願いします。

大晦日の夜は、また、例年と同じように、紅白をみながら、のんびりと年越しを迎えました。なんだかんだいっても、裏番組が全然おもしろそうじゃないため、ここ数年、ほとんど紅白にかかりっきりになっています。

今年は大きな目玉がないように言われていましたが、美輪明宏の「ヨイトマケの歌」は、ここ数年の紅白の中でもベストと思うようなパフォーマンスで、まさに圧倒的でしたね。個人的には、彼の出場決定したときからとても楽しみにしていたのですが、期待以上のパフォーマンスで、テレビの前に釘付けになってしまいました。

その直後に和田アキコが出ていたのは厳しかったなぁ。浜崎あゆみと、森進一と、和田アキコの歌唱力の劣化が、すごく気になってしまいました。「冬のリヴィエラ」は大瀧詠一作曲で、結構好きな曲だったのに・・・。

逆にaikoなんかは、特に目立った声量はないのに、あれだけ難しい音程を、難なく歌い上げるところ、実はかなりの歌唱力の持ち主なんだなぁ、と再認識したり。水樹奈々は、演技の入ったような歌い方が、ある意味声優らしく、なんだかんだいっても上手いなぁ、と思ったり。あと、石川さゆりと北島三郎は、演歌歌手の中でも、頭2つくらい出ているよなぁ、と思ったり。

斉藤和義は、やはりいいなぁ、と思いつつ、ああいう正統派のロック歌手が、他に矢沢永吉が出ていたくらいで、ほとんど出演していないのに、ちょっと寂しく感じられたり。ゴールデン・ボンバーは、正直、氣志團とかと比べると、かなり期待はずれで残念に感じたり・・・。

ナンダカンダ言っても今年の紅白、何気に楽しめたような気がします。今年もたくさんのヒット曲が産まれて、年末の紅白も、楽しいものでありますように。


さて、昨年の音楽シーンの話で、話題になったことがあります。

【邦楽完全終了のお知らせ】2012年オリコン年間シングルランキングトップ20、ついにAKB48グループとジャニーズで埋まる!

まあ、タイトル通り。ここでもヒットチャートを紹介していますので、そうだろうなぁ、と思った方は多いと思いますが・・・。

握手会参加券をつけたり、複数枚買いを促したりする商法に関しては、批判も多いようです。これに関して、「こうしないと売れないのだから仕方ない」「彼女たちが売れているおかげで音楽業界が保たれている」という反論も見受けられます。

ただ、おまけ商法や、同一の消費者に、ほぼ同じ内容の商品を複数買わせる手法は、経済的にも決して健全な状況だと思いません。また、CDが(特にシングルCDが)、既に商品として過去のものに完全になってしまっているのに、こういう商法で、無理やり生きながらえているとするのであれば、逆に音楽業界全体の構造改革が後手にまわってしまい、長い目で見れば、自ら首を絞めている状況に陥る危険性が高いと思います。(ちょうど、ガラケーが普及しすぎて、スマホへの移行に失敗した日本の携帯電話メーカーみたいに。)

そういう意味では、正直、AKB48に限らないのですが、最近の音楽業界の複数枚買い狙いの商法は、とても擁護できないと思っています。

それにからみ、昨年のレコ大で、こういう話も話題になりました。

AKBレコ大に「これが歌謡界の現状」 音楽家・服部克久氏の発言が波紋

まあ、服部克久氏くらいの世代で、最近のヒットシーンがおもしろくなく思っているのは、なにもAKB48に限らず、おそらくここ10年20年くらいのずっとでしょうが、昨年はちらりと本音が出てしまった、ということでしょうか。

もっとも、レコード大賞は、決して最も売れた曲に与えられる賞ではなく、(売れているかどうかも選考要素ですが)最も優れた曲に与える賞であるため、別にAKB48が問題と思えば、違う曲に賞を与えればいいだけの話で、そういうことを差し置いて、本当に皮肉を込めて「現状です」といったのであれば、ちょっと筋違いの批判だとは思うんですけどね。

 

ただ、こういう状況以上に気にかかるのは、ここ最近、特に昨年に関しては、純粋に「歌」だけで売れている、と言えるようなミュージシャンが、ほとんどいない、という状況がすごく気にかかります。

ちょうど昨年の年末、友人と忘年会でカラオケに行ったのですが、そこで、「最近って、どういう曲が売れているの??」と聴かれて、言いよどんでしまった自分がいました。確かに、ゴールデン・ボンバーやももクロなどは売れていますが、純粋に歌が売れているというよりも、パフォーマンス込みで売れているように思いますし、THE BAWDIESやONE OK ROCKなんかも売れていますが、サブカル系周辺のみのヒットに留まっています。

AKB48関係やジャニーズ系関係が売れている、という事実上に、それ以外が、特にアイドル系以外が、ほとんど売れていないという事実が、むしろ重要ではないでしょうか。今年は、アイドル系の人気に負けない、新人ミュージシャンのブレイクに期待したいところなのですが・・・。

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