アルバムレビュー(洋楽)2012年

2013年1月 6日 (日)

21世紀のシューゲイザーバンド

Title:Mauve
Musician:Ringo Deathstarr

21世紀のシューゲイザーバンドとして話題のアメリカのロックバンド、Ringo Deathstarr。これが2枚目のオリジナルアルバムになります。

彼らの大きな特徴は、冒頭の通り、シューゲイザーの大きな影響を受けている点。特にマイヴラあたりからの影響は顕著で、男女ダブルボーカルに、ギターのホワイトノイズ、そして意外とポップなメロディーと、まさにシューゲイザーの王道を行くようなサウンドが耳に残ります。

今回のアルバムでは、全16曲入りというボリュームながらも、アルバム全体の長さは、50分足らず。1曲あたり2、3分程度の長さの曲がほとんどで、次から次へと新しい曲が展開していくスタイルに。助長なサウンドや展開を取り払い、まさに核となるメロディーとサウンドのみを残したような内容。この、2、3分程度の長さの曲が連続、という点でも、ポップ指向を感じます。

この手の音は、個人的に壺にはまりまくり。来日記念盤である「Shadow」を聴いて、彼らの音楽にはまってしまったのですが、今回のアルバムもまた、はまってしまいました。

ただ・・・王道のシューゲイザー路線なのは、個人的には大好きなのですが、ちょっとあまりにもそのままで、新鮮味がないような・・・。21世紀のバンドとしては、彼らなりの新しさもほしかったような印象を受けてしまいました。

評価:★★★★

Ringo Deathstarr 過去の作品
Shadow


ほかに聴いたアルバム

THE PASS OF TOTALITY/KORN

KORNの最新作は、全編デジタルサウンドを導入した作品に。ダブステップなど、今風の音を取り入れながらも、小難しい感じはなく、むしろかなりわかりやすい内容に。ここらへんのポピュラリティーが彼らの人気の高さの所以か。KORNが好きなら、難なく楽しめそう。

評価:★★★★

KORN 過去の作品
Untitled
KORNIII:REMEMBER WHO YOU ARE

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2012年12月22日 (土)

「今風」のR&Bなれども

Title:R.E.D.
Musician:NE-YO

エレクトロなアレンジをベースとしたトラックに、メロウなメロディーライン。ある意味、典型的な今風のR&B路線。スタイリッシュで都会的なのですが、ブラックミュージックらしいソウルの要素が薄い・・・というのが、ここ最近のアメリカのヒットチャート王道系のR&B路線でしょうか。

NE-YOも、いわゆるそんな「今風」のシンガーの一組。スタイリッシュで都会的なサウンドが特徴的。このアルバムでも、例えば「SHUT ME DOWN」あたりは、典型的な今風のエレクトロダンスチューンといった感じでしょうか。

ただ、そんな中でも、「ありがち」という平凡な印象を受けず、彼のアルバムが非常に魅力的なのは、その類まれなる美メロはもちろんのことながら、単純に「現代風」と言えない要素が入っているからではないでしょうか。

このアルバムで大きく感じるのは、まず80年代風ポップからの影響。前作「LIBRA SCALE」ではMICHEAL JACKSONからの影響を公言していましたが、本作でも、例えば「JEALOUS」をはじめ、マイコーからの影響を感じさせるような、ちょっとノスタルジックな気持ちにさせる80年代風のポップがチラホラ。

また、同時に、どこか昔ながらのソウルミュージックからの影響もチラホラ感じられたりするのも大きな特徴。例えば、「MY OTHER GUN」みたいなバラードナンバーは、どこか古き良き時代のソウルの匂いが感じられたりして?ここらへん、単純な「今風」R&Bとは、また異なる魅力を感じさせてくれます。

アルバム1枚で、ひとつの映画ようなコンセプチャルな内容だった前作に比べると、アルバム全体としての特徴は薄めで、いつものNE-YOのアルバム、といった感じ。ただ、それだけにいい意味で安心して楽しめたアルバムだったように感じます。いろいろな魅力的な要素はあるものの、やはりなんだかんだいっても、美しいメロディーラインは、万人にお薦めできる1枚。今回も傑作でした。

評価:★★★★★

NE-YO 過去の作品
Because Of You
NE-YO:THE COLLECTION
LIBRA SCALE

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2012年12月18日 (火)

今を生きるブルース

今日は、現在、活躍しているブルース・ミュージシャンの新作を2作、紹介します。

Title:NOTHIN BUT LOVE
Musician:Robert Cray Band

まずは御年59歳。今のブルースシーンを代表するギタリスト、ロバート・クレイのニューアルバム。もともとは、ビートルズを聴いて、ギターを演りだしたという彼は、ロックや、あるいはソウルからの影響を強く感じます。このアルバムでも、軽快な「SIDE DISH」はロック色が強い感じ。

マイナーコード主体の哀愁漂うメロディーは、日本人受けしそうな、ある種歌謡曲に通じるような匂いも。また、ギタープレイは、かなり洗練された感じで、泥臭さは薄め。「A MEMO」みたいな、ポップなメロディーが楽しめる曲もあり、コンテンポラリー色が強く、聴きやすいアルバムになっていました。

個人的には、正直、もっと泥臭い雰囲気の方が好きだったりするのですが、それでもバリバリ聴かせてくれるブルージーなギタープレイはやはり魅力的。癖は少ない感じはしますが、いい意味で聴きやすいアルバムだと思います。

評価:★★★★

Title:Texas Breeze
Musician:Milton Hopkins with Jewel Brown

そうそう、こういう泥臭いブルースがたまらないんです(笑)。といいたくなるのは、こちらは1934年生まれ、あのブルース界を代表するミュージシャン、ライトニン・ホプキンスの従兄というギタリスト、ミルトン・ホプキンスと、1937年生まれ、50年代から60年代は、あのジャズ界の大御所、ルイ・アームストロングのバンドでボーカルをつとめていたというジュエル・ブラウンによるアルバムです。

まさに戦前のブルースや、昔懐かしいジャズ、ソウルなどの要素を取り入れた、オールドファッションドなサウンドがたまりません。前半は、ジュエル・ブラウンによる力強くドスの聴いたボーカルが迫力満点。ホーンセッションなども入った、陽気な曲も多く、エンターテイメント性も感じる展開になっています。

後半は、ミルトン・ホプキンスのギタープレイを主軸としたギターインストの曲がメイン。こちらも、軽快なプレイが多く、楽しい雰囲気で統一されています。古き良き、ブルースナンバーを今に伝える、といった感じでしょうか?

まさにロックンロールが出てくる以前の、アメリカのブラックミュージックシーンを、そのまま冷凍パッケージして、今の時代に解凍したアルバムといった感じ。ただ、全体的に明るい雰囲気が強く、聴いていて楽しくなってくるようなアルバムでした。ここらへんの楽しさは、時代を超えて、万国共通なのでは?ベテラン同士が組んだアルバムで、泥臭さも感じるのですが、ベテランらしい渋さよりも、明るさが前面に出ていた楽しい作品でした。

評価:★★★★★

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2012年12月16日 (日)

天才、復活

Title:wordwide
Musician:たむらぱん

「天才」という肩書がふさわしい、数少ないシンガー、たむらぱんのニューアルバム。ただ、前作「mitaina」がちょっといままでの勢いが止まっただけに、大丈夫か??と思ったのですが、本作は、「天才、復活!!」と言っても過言ではない傑作を産み出してくれました。

タイトルチューン「new world」も、爽やかでポップなメロディーながらも、微妙にひねってあって、これがまた癖になってユニークだったのですが、序盤の真骨頂とも言えるのが2曲目「おしごと」。ポップなメロディーなのに、途中から、どんどん変化していく展開が、いい意味で突飛すぎて、リスナーが置いてきぼりに(笑)。特に後半、オペラ風の作風は、下手すればQUEENを彷彿させるほど??にも関わらず、メロディーは至ってポップ。さらに、これを上回る「働くこと」に対して皮肉いっぱいに綴った歌詞も非常にユニーク。ともかく、たむらぱんの本領発揮!ともいえる傑作になっています。

他にもバリエーションが豊富だった今回のアルバム。「でんわ」では、エレクトロの要素を取り入れたり、「ヘニョリータ」では、ニューオリンズ風のハッピーなナンバー。「直球」というタイトルながらも、どこかメロディーがひねっているのも、おもしろいですし、逆に「ぼくの」なんかは、正統派なバラードナンバー。決してひねくれポップだけではなく、王道のポップチューンも、当たり前だけど書けるんですよ、と主張しているような名曲に仕上がっています。

そして、最後を飾るのが、このアルバムもうひとつの聴きどころ、「でもない」。なんと、Shing02が参加し、HIP HOPを取り入れた作品。トラックもHIP HOP的で、他のポップソングとは一線を画する、新たな可能性を感じます。人とのかかわりあいへの悩みをストレートに歌った歌詞も、とても印象的。単なる明るく楽しいだけのポップスソングとは明らかに異なる内容に、たむらぱんのミュージシャンとしての奥深さを感じる傑作でした。

バリエーションも増え、楽曲に奥行きを感じると同時に、アルバムを通して聴いた印象としては、ポップで明るい曲も多く、いい意味でのポピュラリティーもちゃんと兼ね備えた傑作。ちょっと物足りなさの残った前作から一転、たむらぱんとしての実力を存分に感じることが出来る作品になっていました。

正直、売上的には、売りどころを若干逃してしまった感は否めず、一時期ほどクローズアップされる機会も少なくなってしまった感も否めません。ただ、アルバム的には、間違いなく、「ノウニウノウン」「ナクナイ」に類する傑作だと思います。これだけのミュージシャンが、なぜいまひとつ、ブレイクできないのかが不思議であると同時に、残念に感じます・・・。

ポップス好きはもちろんのこと、ロックリスナーにも聴いてほしいなぁ。Shing02が参加している、という意味では、HIP HOP好きも要チェックって感じだし。そんなわけで、みなさん聴いてください!(笑)たむらぱんを「天才」と称する理由も実感できる作品だと思います。

評価:★★★★★

たむらぱん 過去の作品
ブタベスト
ノウニウノウン
ナクナイ
mitaina


ほかに聴いたアルバム

BABY ACID BABY/ART-SCHOOL

メンバーの宇野剛史と鈴木浩之が脱退し、2人組となったART-SCHOOLのフルアルバムとしては、3年ぶりとなるニューアルバム。序盤はへヴィーなガレージロック、中盤以降は不気味な雰囲気の曲が展開し、バリエーションは増えた印象が。ただ、いまひとつ、これといった核になるような曲がなく、物足りなさも感じる内容に。

評価:★★★★

ART-SCHOOL 過去の作品
Ghosts&Angels
ILLMATIC BABY

14 SOULS
Anesthesia

hacanatzkina/cruyff in the bedroom

いまや数少なくなった正統派なシューゲイザー系の後継者的バンド。楽曲全体を覆い尽くすようなホワイトノイズが心地よく、そこにポップなメロが絡む・・・というのが、いかにもシューゲイザー系といった感じで壺。ただ、メロディーに関しては、以前からJ-POPっぽく、いい意味でも悪い意味でもベタな部分があったのですが、本作は、メロに平凡さを感じ、それがちょっと悪い部分で気になってしまったかなぁ。

評価:★★★★

cruyff in the bedroom 過去の作品
Ukiyogunjou

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2012年12月10日 (月)

原点復帰の3部作

ここ最近、「American Idiot」や「21st Century Breakdown」など、社会派的な作品を続けてリリースし、パンクバンドというイメージを超えた評価を得てきたGREEN DAY。そんな中、前作から3年ぶりにリリースされた新譜は、なんと3作連続リリース!9月に第1弾が、11月に第2弾がリリースされ、さらに来年1月(⇒すいません、12月リリースでした)には第3弾のリリースが予定されています。今回紹介するのは、その第1弾と第2弾。

Title:UNO!
Musican:GREEN DAY

スペイン語で「1」を意味する「UNO」と名づけられた第1弾アルバムは、社会派指向となったここ最近の作品から一変、初期の彼らに戻ったような作風が大きな特徴となっていました。

まず1曲目に登場する「NUCLEAR FAMILY」からして、以前の彼らのような、メロディアスでパンキッシュなナンバー。これぞ、GREEN DAY!とうれしくなってくるようなスタート。その後も、彼ららしい、シンプルでメロディアスなナンバーが続き、難しいこと抜きで楽しめるアルバムに仕上がっています。

「LET YOURSELF GO」「LOSS OF CONTROL」とか「ANGEL BLUE」あたりも、まさに彼らの本領発揮ともいえるアップテンポなパンクチューン。ほぼ全曲、最後まで陽気なアップテンポナンバーの連続で、ほとんどギアを緩めることなく、最後まで突っ走るアルバムになっていました。3作連続リリースでありながら、いきなりハイテンションでのスタートです。

評価:★★★★★

Title:DOS!
Musician:GREEN DAY

で、スペイン語で「2」を意味する第2弾。こちらも「UNO!」同様、シンプルでパンキッシュなナンバーが並ぶ作品になっています。

ただ、「UNO!」と比べると、突き抜けるような陽性パンクナンバーは少なめ。そういう意味では、インパクトも少々薄めで、「UNO!」に比べると、物足りなさを感じる方もいるかもしれません。

ライナーツノートに書かれた情報によると、この3部作のテーマは、「UNO!」が「青春時代」、「DOS!」は「セックス、ドラッグ、ロックンロール」、そして来年1月に予定されている「TRE!」は「パーティーの翌朝の自己反省」だそうで、そういう意味では、向こう見ずな明るさのあった「青春時代」と比べて、「セックス、ドラッグ、ロックンロール」の狂乱に溺れながらも、どこか憂いを感じるアルバム、ということでしょうか?今回のアルバムでは、前作に比べて、楽曲のバリエーションが増えているように感じました。

「MAKEOUT PARTY」のようなハードロックナンバーは、まさに「ロックンロール」ですし、女性ボーカルを入れてきた「NIGHTLIFE」は、まさに「セックス」といった感じ??「Amy」はタイトルそのもの昨年夭折した女性シンガーAmy Winehouseに捧げるソウル風のバラードナンバー。「UNO!」のような、「青春時代」の明るさとは異なる、「セックス、ドラッグ、ロックンロール」らしい狂乱さはありながらも、ちょっと大人の雰囲気も感じるそんなアルバムということでしょうか?パンクバンドGREEN DAYの「深み」の部分を感じるアルバムでした。

評価:★★★★★

GREEN DAY 過去の作品
STOP DROP AND FALL!!!(FOXBORO HOTTUBS)
21st Century Breakdown
AWESOME AS F**K(邦題:最強ライヴ!)


ほかに聴いたアルバム

TKOL RMX 1234567/RADIOHEAD

「The King Of Limbs」のリミックスアルバム。ダブステップや、エレクトロニカ、テクノなど、現在の最先端を行くミュージシャンにリミックスを依頼して完成したアルバムで、アルバムのリミックスというよりは、今の最先端のシーンを俯瞰できるようなオムニバスという色合いの濃いアルバム。

先日、シンコーミュージックからリリースされた「ベース/ビート・ミュージック・ブック」に、このリミックス盤に参加しているミュージシャンについての情報が詳しく記載されているので、こちらを片手に聴くと、ミュージシャンのことがよくわかって良いかも。個人的には、トライバルビートが心地よかったBlawanリミックスによる「Bloom」や、リズムがテンポよく心地よい、Modeselektorリミックスによる「Good Evening Mrs Magpie」が良かったなぁ。

評価:★★★★

RADIOHEAD 過去の作品
In Rainbows
The Best Of
ROCKS:Live In Germ
THE KING OF LIMBS

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2012年12月 9日 (日)

ブレイク後の彼ら

Title:BOUGER LE MONDE!(邦題:世界を動かせ!)
Musician:STAFF BENDA BILILI

アフリカは、コンゴ民主共和国出身のバンド。メンバーは、ポリオによる障害者やストリートチルドレン。路上生活の中、バンド活動を行い、前作「屈強のコンゴ魂」も野外で録音されました。しかし、そんな前作が、彼らの境遇という面だけではなく、音楽的にも大きな話題になり、スマッシュ・ヒットを記録。彼らについてのドキュメンタリー映画も作成され、さらには来日公演も果たしました。

まさにコンゴの路上から誕生したバンドが大成功を収めた訳で、そんな彼らの2作目。まず、ジャケットからして、デビューアルバムと異なり、一気に派手なお金をかけたような内容に。なにより着ている服が一気に垢抜けています。また、野外レコーディングだった前作から一変、今回はちゃんと(?)スタジオをつかって録音された内容になっています。

文字通りの成功者となった彼ら。ハングリー精神旺盛だった彼らの音楽性も、すっかりおとなしくなってしまって・・・・・・とはなっていないので、前作で彼らを気に入った方はどうかご安心を。むしろ、2作目になり、パワーアップした出来に仕上がっていました。

ファンクやソウルにレゲエなどの要素を混ぜたような独特の音楽性は相変わらず。今回の作品は、よりライブを意識したような出来になっていました。前回、来日した時に彼らのライブにも参加したのですが、そのアグレッシブなステージは、CD録音とは大きく異なっていてビックリした記憶があります。今回のアルバムは、彼らのライブでみせてくれたアグレッシブな側面がより前面に出ていて、ライブで感じたワクワク感が、CDでも感じることが出来ました。

「Osali Mabe」「Bilanga」あたりもアップテンポな内容が、ライブで盛り上がりそうなのですが、特にインパクトを感じたのが「Libala Ya Mungwa」で、ハイテンポなリズムに、彼らの音楽の大きな特徴となっている、サントゲという、空き缶に弦を貼っただけの楽器が奏でる独特な音色が印象的な作品。ちなみに、これに続く「Souci」は、この間の来日ライブでも演奏されていたなぁ、と懐かしく感じたり・・・。

いい意味で垢抜けた内容に仕上がっていて、前作で気に入った方ももちろん、アフリカ音楽をあまり聴いたことない方でもお薦めできそうな内容になっていました。この音源を、ライブで聴けたら、すごく楽しそうだなぁ。また、来日してくれないかな?また、彼らのライブに駆けつけたくなってくる、そんなアルバムでした。

評価:★★★★★

STAFF BENDA BILILI 過去の作品
TRES TRES TRES(邦題:屈強のコンゴ魂)


ほかに聴いたアルバム

Junk of the Heart/THE KOOKS

イギリスで人気の4人組ロックバンドによる3年ぶりのニューアルバム。シンプルでメロディアスなギターロックは、いかにもイギリスのバンドといった印象。オーケストラアレンジの曲があったり、打ち込みを取り入れたりと、バリエーションもあり、素直なポップのアルバムとして楽しめる感じになっています。

評価:★★★★

THE KOOKS 過去の作品
Konk

Making Mirrors/Gotye

このアルバムが、世界的なヒットを記録したオーストリアのシンガーソングライター。様々な音を詰め込んだポップソングは、日本でいえば、宅録系といった印象。バリエーションの富んだ作風で、インパクトあるポップソングもあるが、いい意味でも悪い意味でもつかみどころがない感じ。

評価:★★★★

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2012年12月 4日 (火)

イギリスの国民的バンド

Title:The 2nd Law(邦題 ザ・セカンド・ロウ~熱力学第二法則)
Musician:MUSE

すっかりイギリスを代表する大物バンドの一員となったMUSEの最新作。今回も、当然のようにイギリスのアルバムチャートで1位を獲得し、4作連続の1位。アメリカビルボードでも2位という、好セールスを記録しています。

また、先日行われたロンドンオリンピックでは、メンバーも聖火ランナーとして参加。このアルバムにも収録されている「SURVIVAL」はロンドンオリンピック公式テーマソングにも採用されたとか。まさに名実共に、イギリスの国民的バンドとなっています。

MUSEといえば、ストリングスなども大胆に導入し、ダイナミックなサウンドを展開するのが大きな特徴。今回のアルバムも、1曲目「SUPREMACY」では、ヘヴィーでドラマチックなギターサウンドからスタート。まさにMUSEらしい出だしとなっています。

この曲に限らず、そのロンドン五輪テーマソングの「SURVIVAL」といい、ストリングスを導入した「EXPLORERS」といい、彼ららしいダイナミックなサウンドの楽曲が多く収録されており、ファンとしては、満足のいく構成だったのではないでしょうか。

ただ、その一方で、様々なジャンルの曲にも挑戦していたのが今回のアルバムのひとつの特徴。例えば「MADNESS」はダブステップの要素を導入し、ファンを驚かせたりもしていますし、「PANIC STATION」ではファンキーなリズムが展開。「THE 2ND LAW:UNSUSTAINABLE」は、彼ららしいドラマチックな曲といえ、今風のエレクトロサウンドを入れていたりして、新たな方向性の模索も感じられます。

ま、とはいえ、全体的には、いつものMUSEのイメージの枠組みを越えることはなく、ファンならば満足のいく内容だったのではないでしょうか。もっとも、個人的には、やはりこのいろいろな音を詰め込んだ、プログレを彷彿させるようなドラマチックなアレンジは、少々苦手かも・・・。

評価:★★★★

MUSE 過去の作品
The Resistance

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2012年12月 3日 (月)

郷愁感誘う

Title:LA BELLE EPOQUE VOLUME2(邦題 ラ・ベル・エポック 第2集)
Musician:ORCHESTRA BAOBAB

さて、今回紹介するのは、アフリカはセネガルの代表的なミュージシャン、オーケストラ・バオバブです。

オーケストラ・バオバブは、1970年、セネガルで活躍していた老舗バンド「スター・バンド・ド・ダガール」を脱退したメンバーによって結成されたバンド。「バオバブ」という、いかにもアフリカ的な名前は、その時、メンバーが在籍していた専属クラブの名前から取られたそうです。

60年代のセネガルの音楽シーンは、ラテン音楽一色。彼らが以前所属していた「スター・バンド」もそんなラテン音楽のバンドだったそうです。彼らもそんなラテン音楽やキューバ音楽の影響を強く受けながらも、西アフリカの伝統音楽の要素を加えて、独自の音楽性を確立していきます。その音楽性は、後にアフリカを代表する人気ミュージシャンとなるユッスー・ンドゥールにも大きな影響を与えたそうです。(ユッス・ンドゥールは、日本でも坂本龍一やドリカムの曲に参加したことがあり、また、ホンダ「Step Wagon」のCMで、ビートルズの「オブラディ・オブラダ」のカバーを歌っていたこともあります。)

70年代に一世を風靡した彼らですが、80年代になると新しい音楽であるンバラの台頭などもあり、徐々に人気を低迷。最後は、ンバラを取り入れようとするメンバーと、あくまでもラテンにこだわるメンバーが対立し、87年に解散してしまいます。しかし、99年ころから再結成に向けて動き出し、2002年には久々のアルバムをリリース。2007年にはもう1枚アルバムをリリースし、現在に至っています。(ちなみに彼ら、再結成後の2003年に、今年、私も足を運んだ、富山・南砺市のワールド・ミュージックのイベント「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」にも参加しています)

このアルバムは、そんな彼らの初期作品集とも言える作品。「ラ・ベル・エポック」というのは、「黄金時代」という意味なのですが、彼らの黄金時代ともいえる、70年代の録音が収録されています。ただ、「初期作品集」とはいえ、結成の段階で、既にプロの集団だった彼ら。既に、半ば完成された彼らの世界を聴くことが出来ます。

上にも書いた通り、基本的にはラテン音楽をそのスタート地点としている彼らの音楽。そのため、このアルバムに収録されている曲も、ラテンの色合いが濃く、とても哀愁あふれるナンバーが並んでいます。特に1枚目に収録されている「サマ・ホル・ブル・デム」などは、垢抜けたサウンドとメロディーは、アフリカ音楽に縁がない方でもなじみやすいかも。どこか郷愁を誘うメロディーは意外と日本人好みのような感じもします。この曲に限らず、例えば2枚目の冒頭を飾る「ンジャイ」などもそうでしたが、どこか憂いをひめたナンバーは、日本人にとっても懐かしさを感じるかもしれません。

また、「カブラル」などは、アフリカ音楽というよりも、南洋の楽園で流れてきそうなナンバー。結構垢抜けた雰囲気の曲も多く、アフリカ音楽のイメージとは異なる印象を受ける方も少なくないかもしれません。

ただ、それだけで、単なる「ラテン系バンド」として終わってしまわないところが大きな魅力。典型的なのは2枚目に収録されていた「ケレン・カティ・レーン」まさにジェイムズ・ブラウン風のファンキーなリズムに、これぞブラックパワー!と心ウキウキ躍りだしたくなるナンバーになっています。他にも最後を飾る「リマレ・ンジャイ」など、アフリカの空気を感じられる曲があちらこちらに。そういう意味では、彼らの大きな特徴である、ラテン音楽と西アフリカの伝統音楽の融合が、このアルバムでも強く感じられますし、この独自性こそが、大きな魅力に感じられます。

70年代の初期作品集とはいえ、決してマニア向けの初期ベストという訳ではなく、むしろ「黄金時代」というタイトルにふわさしいベスト的な内容だったと思います。郷愁感誘うメロディーは、「ワールドミュージック」という枠組みを超えて意外と聴きやすいかも?ちなみに、一般的には82年のセッションの模様を収めた「PIRATES CHIOCE」というアルバムが、名盤としてよく紹介されているので、興味ある方はそちらから入るのがお薦めかも?

評価:★★★★★

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2012年11月30日 (金)

街角のカフェで流れていそうな

Title:フィーリンを感じて

タイトルから、「腹痛が痛い」みたいな重複表現を覚えるような違和感があるのですが、「フィーリン」は、キューバで生まれた音楽のジャンルのこと。1940年代に、キューバの首都ハバナで、若者の間で発生した音楽ムーブメントで、キューバの伝統的な音楽に、当時、最先端の音楽として流行していたジャズの感覚を取り入れた音楽でそうです。

このアルバムは、1950年代から1960年代にかけて、フィーリンがもっとも勢いがあった時代の、フィーリンあるいはフィーリンからの影響を感じさせる楽曲を集めた、国内独自編集によるオムニバスアルバム。国内初CD化、世界初CD化の作品も多く含むそうです。

楽曲の雰囲気は、感覚的な表現を使うと、しんみりとしてムーディー。一番簡単に言ってしまうと、ムーディーなジャズ風のポップスといった感じなのでしょうが、その根底に、根強いラテンの空気が感じられるのが独特なところ。私たち日本人に聴き馴染みのある、欧米のポップスと比べると、スペイン語独特の巻き舌のボーカルもまた、耳に残るインパクトを感じました。

そんな感じの音楽なので、どちらかというとラウンジ・ミュージックといった印象が強く感じます。センスのよい、おしゃれな音楽。この手の音楽の代表格である、ジャズとかボサ・ノヴァとかに近い雰囲気も感じます。単純なムード音楽みたいに単調ではなく、力強いボーカルを聴かせてくれたり、耳に残るサウンドを聴かせてくれたりも。そういう意味では、女の子を部屋に呼んだ時に、部屋でさりげなく流しておくと、センスの良さを感じさせるような音楽でしょうか(笑)。

なので、比較的広く万人にお薦めできそうなオムニバス盤。こじゃれた楽曲の数々は、間違いなくクオリティーの高さも感じるのですが・・・では、個人的にはまったかというと、正直言うと、ちょっと微妙(^^;;ある意味、あまりにも都会的で、洗練されすぎていて、もうちょっと泥臭い音楽の方が好みかも。それなりに楽しめたのですが、最後までちょっとはまれなかったなぁ・・・。

評価:★★★★

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2012年11月23日 (金)

シンプルなだけに・・・

Title:HOME AGAIN
Musician:MICHAEL KIWANUKA

今、最も話題の新人ミュージシャンの新譜が、ついに日本でもリリースされました。ウガンダからの移民である両親のもと、イギリス北部のマスウェル・ヒルで生まれ育った、25歳のシンガー。毎年、期待の新人ミュージシャンを取り上げる、BBCの「Sound of...」で、「Sound of 2012」に選ばれ(過去にはAdeleやMIKAなども選ばれています)、このデビューアルバムも、イギリスのアルバムチャートで4位にランクインしました。

ジャケットからして、60年代あたりのソウルの匂いがプンプンしてくるのですが、1曲目「TELL ME A TALE」など、まさに60年代ソウルドンピシャ。グルーヴ感あるリズムに、黒っぽいホーンによるアレンジが、ソウル好きには壺にはまりそうな作品になっています。

・・・と思って、サザンソウルの王道路線なのか?と思えば、そうではないところがおもしろいところ。その後の、タイトルチューンである「HOME AGAIN」にしろ「REST」にしろ、ソウルというよりは、どちらかというとフォークソングっぽい雰囲気の曲で、アコースティックなサウンドでメロディアスな染み入るような歌が特徴的でした。

もっとも、その後も「ANY DAY WILL DO FINE」みたいに、ソウルテイストの強いナンバーがあったり、「BONES」みたいにジャジーな曲もあったり。イメージとしては、ソウルやフォーク、ジャズなどと等距離の位置に立ち、それぞれの良いところを取り込んだ、といった感じでしょうか?

どの曲にも共通しているのが、アコースティックなサウンドと暖かみのあるメロディー、そしてちょっとスモーキーで味わい深い彼のボーカル。楽曲には派手さはありません。真新しいか、と言われるとそうでもありません。ただ、シンプルなだけに、逆に、聴き入ってしまう魅力が、この曲にはありました。CDの帯に書かれたあおり文句ではありませんが、どこか郷愁を誘うようなメロディーが実に魅力的です。

今年のフジロックにも出演し話題となりましたが、ストレートにボーカルとメロディーを聴かせるシンガーなだけに、幅広く薦められそう。最初は、ちょっと地味かと思いつつ、気がつけば、手放せなくなっている、そんな作品。今年を代表する傑作の1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Pull Up Some Dust And Sit Down/Ry Cooder

御年65歳になるアメリカを代表するギタリストの一人、ライ・クーダーの新作。アコースティックなサウンドに、全体的にアメリカ南部の空気をそのまま感じるような作品。カントリーやブルースなどの色合いが濃く、ブルースからの影響では、著名なブルースシンガー、John Lee Hookerからダイレクトに影響を受けた、そのものズバリ「John Lee Hooker For President」なんで曲も。様々なタイプの曲があるものの、カラッと明るい雰囲気は、いい意味でのアメリカらしさを感じます。

評価:★★★★★

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