「今風」のR&Bなれども
Title:R.E.D.
Musician:NE-YO
エレクトロなアレンジをベースとしたトラックに、メロウなメロディーライン。ある意味、典型的な今風のR&B路線。スタイリッシュで都会的なのですが、ブラックミュージックらしいソウルの要素が薄い・・・というのが、ここ最近のアメリカのヒットチャート王道系のR&B路線でしょうか。
NE-YOも、いわゆるそんな「今風」のシンガーの一組。スタイリッシュで都会的なサウンドが特徴的。このアルバムでも、例えば「SHUT ME DOWN」あたりは、典型的な今風のエレクトロダンスチューンといった感じでしょうか。
ただ、そんな中でも、「ありがち」という平凡な印象を受けず、彼のアルバムが非常に魅力的なのは、その類まれなる美メロはもちろんのことながら、単純に「現代風」と言えない要素が入っているからではないでしょうか。
このアルバムで大きく感じるのは、まず80年代風ポップからの影響。前作「LIBRA SCALE」ではMICHEAL JACKSONからの影響を公言していましたが、本作でも、例えば「JEALOUS」をはじめ、マイコーからの影響を感じさせるような、ちょっとノスタルジックな気持ちにさせる80年代風のポップがチラホラ。
また、同時に、どこか昔ながらのソウルミュージックからの影響もチラホラ感じられたりするのも大きな特徴。例えば、「MY OTHER GUN」みたいなバラードナンバーは、どこか古き良き時代のソウルの匂いが感じられたりして?ここらへん、単純な「今風」R&Bとは、また異なる魅力を感じさせてくれます。
アルバム1枚で、ひとつの映画ようなコンセプチャルな内容だった前作に比べると、アルバム全体としての特徴は薄めで、いつものNE-YOのアルバム、といった感じ。ただ、それだけにいい意味で安心して楽しめたアルバムだったように感じます。いろいろな魅力的な要素はあるものの、やはりなんだかんだいっても、美しいメロディーラインは、万人にお薦めできる1枚。今回も傑作でした。
評価:★★★★★
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