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2012年12月24日 (月)

新たなるチバユウスケの可能性

Title:DEAR ROCKERS
Musician:SNAKE ON THE BEACH

ミッシェル・ガン・エレファントのボーカルとして絶大な支持を集め、現在ではThe Birthdayのボーカリストとして、今なおロックシーンの先頭で活躍を続けるチバユウスケ。そんな彼が、「SNAKE ON THE BEACH」名義でソロアルバムをリリースしました。

特に現在活動中のThe Birthdayをやめて、何か新たな活動をスタートしよう、とかそういう意図があった訳ではなく、雑誌のインタビューによると、The Birthdayからイマイアキノブが抜け、しばらく暇になると思ったから、だそうで、その後、ご存知の通り、The Birthdayはフジイケンジが加入し、活動を継続。そのThe Birthdayの活動の合間を縫うようにしての制作作業となったようです。

今回のアルバム、一番驚かされるのは、その楽曲の方向性。チバユウスケといえば、ミッシェルにしろ、The Birthdayにしろ、その前に活動したROSSOにしろ、ガレージロック、パブロックというイメージが強いのですが、このアルバム、1曲目「Deah John」から、まず静かなピアノからスタート。1分以上経って、ようやくチバの聴きなれたがなり声が聴こえたかと思えば、打ち込みのリズムがはじまり、ピアノと打ち込みのリズムの対比が印象的な曲になっています。

続く「Coldman」も、おなじみなノイジーギターではじまるかと思えば、テンションの低いボーカルが淡々と続く展開に、どこかミニマルテイストなものを感じますし、一番意外だったのは「YUKI」。郷愁を誘うピアノのインスト曲になっており、チバユウスケのイメージからすると、驚きさえ感じさせるナンバーになっています。

ガレージロック風のバラードナンバーの「NIL」みたいに、チバユウスケのパブリックイメージに合ったようなナンバーもあるものの、一方では、彼の特徴あるボーカルに頼らないインストナンバーも多く、ミッシェルやThe Birthdayのイメージからすると、かなり意外に感じらえっるようなナンバーが多く収録されていました。

思うに、チバユウスケというボーカリストは、その特徴あるしゃがれ声が、ガレージロックやパブロックなどのジャンルにピッタリマッチ。そのため、いままで、そういうジャンルの音楽ばかりに取り組んできました。

ただ、その結果、チバユウスケのイメージがついてしまい、演れる音楽の幅が狭くなってしまっていたイメージがあります。そんな中、決してイメージに囚われず、音楽性の幅を広げ、新たな可能性を模索しようとする姿がこのアルバムにはありました。

もっとも、それが成功しているか、といわれると少々微妙で、アルバム全体としては、とっちらかった感も否めず、挑戦も中途半端な印象も受けます。所々に入っているガレージロックな曲を聴くと、やはりこの声は、こういうタイプのロックに合っているよなぁ、とも感じてしまうのも事実。そういう意味では、このアルバム、残念ながら「傑作」とは言えません。

とはいえ、現状に満足せず、挑戦を続けようとする彼の姿勢には、大いに応援したいところ。今後、この活動がThe Birthdayなどにどのように反映されるかは不明です。ただ、是非、今後もコンスタントに、こういうソロ活動をしてほしいなぁ。万人にお薦めというアルバムではありませんが、いろいろな意味で、ファンならチェックしておきたい作品でしょう。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

HALLOWEEN ADDICTION-ハロウィン中毒-/Tommy february6&Tommy heavenly6

ハロウィンを題材にした曲を3曲収録した、企画盤的なアルバム。いずれの曲も10分を超える内容で、演劇風の展開の凝った内容。フェブラリーの側面のヘヴンリーの側面があるものの、通して聴くと、あまり意識せず、どちらもハロウィンらしい、西洋風の、ちょっと怪しげでファンタジックな内容に。ある意味、とても彼女らしい企画盤といった感じ。

評価:★★★★

Tommy february6/Tommy Heavenly6 過去の作品
I KILL MY HEART(Tommy Heavenly6)
Strawberry Cream Soda Pop “Daydream”(Tommy February6)
Gothic Melting Ice Cream’s Darkness “Nightmare”(Tommy heavenly6)

FEBRUARY&HEAVENLY(Tommy february6/Tommy heavenly6)

Have a Nice Day/SPECIAL OTHERS

メロディアスで軽快なポップチューンが心地よいインストアルバム。スカやロックなどの要素も入れつつ、「barrel」みたいに、ちょっとジャジーで、ブルージーな要素も感じるような曲も。所々感じる、ブラック・ミュージックからの影響が、楽曲に深みを与えていい感じに。

評価:★★★★★

SPECIAL OTHERS 過去の作品
QUEST
PB
THE GUIDE
SPECIAL OTHERS

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