今を生きるブルース
今日は、現在、活躍しているブルース・ミュージシャンの新作を2作、紹介します。
Title:NOTHIN BUT LOVE
Musician:Robert Cray Band
まずは御年59歳。今のブルースシーンを代表するギタリスト、ロバート・クレイのニューアルバム。もともとは、ビートルズを聴いて、ギターを演りだしたという彼は、ロックや、あるいはソウルからの影響を強く感じます。このアルバムでも、軽快な「SIDE DISH」はロック色が強い感じ。
マイナーコード主体の哀愁漂うメロディーは、日本人受けしそうな、ある種歌謡曲に通じるような匂いも。また、ギタープレイは、かなり洗練された感じで、泥臭さは薄め。「A MEMO」みたいな、ポップなメロディーが楽しめる曲もあり、コンテンポラリー色が強く、聴きやすいアルバムになっていました。
個人的には、正直、もっと泥臭い雰囲気の方が好きだったりするのですが、それでもバリバリ聴かせてくれるブルージーなギタープレイはやはり魅力的。癖は少ない感じはしますが、いい意味で聴きやすいアルバムだと思います。
評価:★★★★
Title:Texas Breeze
Musician:Milton Hopkins with Jewel Brown
そうそう、こういう泥臭いブルースがたまらないんです(笑)。といいたくなるのは、こちらは1934年生まれ、あのブルース界を代表するミュージシャン、ライトニン・ホプキンスの従兄というギタリスト、ミルトン・ホプキンスと、1937年生まれ、50年代から60年代は、あのジャズ界の大御所、ルイ・アームストロングのバンドでボーカルをつとめていたというジュエル・ブラウンによるアルバムです。
まさに戦前のブルースや、昔懐かしいジャズ、ソウルなどの要素を取り入れた、オールドファッションドなサウンドがたまりません。前半は、ジュエル・ブラウンによる力強くドスの聴いたボーカルが迫力満点。ホーンセッションなども入った、陽気な曲も多く、エンターテイメント性も感じる展開になっています。
後半は、ミルトン・ホプキンスのギタープレイを主軸としたギターインストの曲がメイン。こちらも、軽快なプレイが多く、楽しい雰囲気で統一されています。古き良き、ブルースナンバーを今に伝える、といった感じでしょうか?
まさにロックンロールが出てくる以前の、アメリカのブラックミュージックシーンを、そのまま冷凍パッケージして、今の時代に解凍したアルバムといった感じ。ただ、全体的に明るい雰囲気が強く、聴いていて楽しくなってくるようなアルバムでした。ここらへんの楽しさは、時代を超えて、万国共通なのでは?ベテラン同士が組んだアルバムで、泥臭さも感じるのですが、ベテランらしい渋さよりも、明るさが前面に出ていた楽しい作品でした。
評価:★★★★★
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