エキセントリックな中にも
Title:楽しいね
Musician:神聖かまってちゃん
神聖かまってちゃんというバンドは、の子の奇抜なパフォーマンスや、動画配信という話題性、また、「非リア充」的な立ち位置から、社会に対してうまく溶け込めないような立場での歌詞が大きな話題となりました。
ただ、その一方で、楽曲自体については、そういう社会の中で恵まれない若者の立場を描きながらも、基本的にストレートなポップ。今時の若者の主張をストレートに載せた歌詞と、比較的、多くのリスナーが受け入れられるようなポピュラリティーのバランスが絶妙で、実はむしろクレバーさすら感じさせます。
今回のアルバムに関しては、そういうバランス感覚が、さらに冴えてきているようにすら感じます。「知恵ちゃんの聖書」は、おそらくクラスの中で孤立したような女の子に対する優しい視点を感じる一方、シングルカットできるようなポピュラリティーを備えていますし、「2年」は、「僕ら真ん中道外れちゃってるんです」「負け組」という歌詞をストレートに書きながら、全体的にはどこか郷愁感のある印象的な曲に仕上がっています。
歌詞の面で印象的だったのが「友達なんていらない死ね」で、
「えっまじ!?
そんなセリフが言えたとき
お友達ってやつがいるのかな」
(作詞 の子 「友達なんていらない死ね」より)
歌詞の内容には、現代っ子らしさを感じつつも、表面的には「いらない」といっている友達を求める姿には、どこか共感をおぼえるものもあります。
「花ちゃんはリスかっ!」みたいに、リストカットをストレートに歌うエキセントリックな内容もあります。ただ、全体的には、そういう過激な内容の中にも、普遍的なテーマをちゃんと組み込んでいたりして、アルバム全体としては、いい意味でよくまとまったポップなアルバムとなっていました。
ただ、全体的にエキセントリックな雰囲気を出したいがためか入っているシンセのノイズは、ちょっと耳障りに感じる部分も・・・。少々アレンジが過剰気味に感じる部分もあり、もうちょっと楽曲のメロディーや歌詞自体を前に持ってきてもよかったのでは?と思う部分もありました。
その点はちょっと気になったのですが・・・アルバム毎に成長を感じられる彼ら。今回のアルバム、売上的には残念ながらちょっと落ちてしまいましたが、まだまだその活躍を見せてくれそうです。
評価:★★★★★
神聖かまってちゃん 過去の作品
友だちを殺してまで。
つまんね
みんな死ね
8月32日へ
で、神聖かまってちゃんといえば、ドラムスのみさこがはじめたユニットが話題になりました。
Title:バンドじゃないもん!
Musician:バンドじゃないもん!
神聖かまってちゃんのみさこと、かっちゃんこと、女優の金子沙織によるツインドラム・アイドルユニット。タイトル通り、「バンド」ではなく、あくまでもユニットということだそうで、路線的には、完全にアイドルを意識した感じに。
ただ・・・正直、このユニット、どこまで本気か冗談かわからないのが微妙なところ・・・。「パヒパヒ」など、かなり狂ったようなハイテンションポップチューンで、かなりユニークなのですが、その後の曲は、意外と「普通」にまとまってしまっていて、本気でアイドル目指しているの??なんて勘違いしてしまいそうな内容。
ボーカルとしても、決して上手くないのですが、じゃあ下手うまといった感じになれているのか、と言われるとそうでもなく、ぶっちゃけ、「下手」なイメージに。本格的アイドルにも、アイドルのパロディーにもなりきれていない感じで、なんか中途半端さを感じてしまいました。
評価:★★★
ほかに聴いたアルバム
3RISE/HOME MADE家族
HOME MADE家族のアルバムは、細かい理屈はともかく、純粋に楽しめる楽曲が並んでいます。今回のアルバムも、まさに彼ららしい楽曲が序盤に並んでいました。タイトル通り、なにかのはじまりのような純粋な爽やかさを感じさせる「ビギンザビギン」からダンスチューン「気分はまるでJackpot・改!」にハードロック風の「World Is Mine」への展開には、否応なく気分は高まり、HOME MADE家族の本領発揮といった感じでしょう。
ただ、そんな彼ららしい楽しいポップソングがアルバム全体にちらばりつつも、「Love is...」や「琥珀色に染まるこの街は」みたいな典型的で平凡な売れ線ソングもチラホラ。その楽曲に純粋に楽しめるというHOME MADE家族の魅力は変わらないものの、その勢いはちょっと落ち気味に感じてしまうアルバムでした。
評価:★★★★
HOME MADE 家族 過去の作品
HOME
Heartful
Best Song "Thank You!"
CIRCLE
FAMILY TREE~Side Works Collection Vol.1~
seven emotions
AKATSUKI
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