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2012年12月

2012年12月31日 (月)

2012年ベストアルバム(暫定版)

2012年も、あと1時間弱で終わり。みなさま、本年も当サイトをご愛顧いただいてありがとうございました。来年もよろしくお願いします。そんな訳で、2012年のベストアルバムの暫定版。まだ聴いていない2012年のアルバムもあるので、順位をつけずにご紹介。順位をつけた正式版は、例年通り、1月下旬に予定しております。

邦楽編

まずは上半期のベスト5を・・・

1位 TOTAL/THA BLUE HERB
2位 B級映画のように2/田我流
3位 ULTRA/bonobos
4位 MISOGI EP/GRAPEVINE
5位 恋に似ている/THEラブ人間

これに続く、下半期のベスト盤候補としては・・・

時のシルエット/aiko
すとーりーず/ZAZEN BOYS
坩堝の電圧/くるり
リトルメロディ/七尾旅人
24HOURS DREAMERS ONLY!/N'夙川BOYS
Force/Superfly
変身/チャットモンチー
100年後/OGRE YOU ASSHOLE
wordwide/たむらぱん
銀河のほとり、路上の花/中川敬
親が泣くLIVE at 下北沢GARDEN 29 Feb.2012/井乃頭蓄音団

正直、9月くらいまではほとんど年間ベストレベルの傑作と呼べる作品が少なく、今年は大丈夫か、どうしちゃったんだろう?と心配していたのですが、それ以降、傑作アルバムが出るは出るは。最終的には、ここから10枚選ぶのはかなり厳しいのでは??というほどの豊作な1年になったようにすら思います。ただ、一方、去年と同様、これといって光る大物新人が少なめなのが気にかかるところ。OGRE YOU ASSHOLEや井乃頭蓄音団、THEラヴ人間あたりは今後に期待のバンドですが。

洋楽編

続いて、洋楽上半期のベスト3は・・・

1位 The Idler Wheel.../FIONA APPLE
2位 The Odd Future Tape Vol.2/Odd Future
3位 Live at All Tomorrow's Parties,9th April 2000/MOGWAI

これに続き、下半期のベスト盤候補としては・・・

WRITE ME BACK/R.Kelly
SWING LO MAGELLAN/DIRTY PROJECTORS
channel ORANGE/FRANK OCEAN
CUT THE WORLD/ANTONY AND THE JOHNSONS
UNTIL THE QUIET COMES/FLYING LOTUS
HOME AGAIN/MICHAEL KIWANUKA

洋楽も邦楽同様、下半期は傑作アルバムの連続で、充実した傑作のリリースが相次ぎました。ただ、邦楽ほどの豊作ではなかったかも。もっとも、その中で活躍が目立つのが、Odd Futureがらみの作品。特にFRANK OCEANの作品は、現在発表されている海外メディア等の「年間ベスト」で軒並み上位に入っていましたが、それも納得の傑作。来年も、この連中からは目が離せなさそう。

そんな訳で、今年の多くの名盤・名曲に出会えた1年でした。また来年も、すばらしい音楽にめぐり合えますように。それではみなさん、よいお年を!

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2012年12月30日 (日)

2012年ライブまとめ

今年も早いもので残すところあと2日。そんな訳で、今年1年間で足を運んだライブを振り返って見ます。今年、足を運んだライブは・・・

1/21(土) ヒダカトオルミニライブ(タワーレコード名古屋パルコ店)
1/22(日) 文化小劇場芸術三昧シリーズ-西区-栗コーダーカルテットコンサート(西文化小劇場)
2/4(土) KAN BAND LIVE TOUR 2012 ある意味・逆に・ある反面(Zepp Nagoya)
3/18(木) 神聖かまってちゃん×B.B.クィーンズ 夢のENDは鳴り止まないっツアー!(Zepp Nagoya)
5/13(日) 栄ミナミ音楽祭'12(矢場公園特設会場 他) その2
5/26(土) 及川光博 ワンマンショーツアー2012「銀河伝説」(愛知県芸術劇場大ホール)
6/2(土) SAKAE SP-RING 2012(OZON、HOLIDAY NAGOYA 他) その2
7/28(土) FUJI ROCK FESTIVAL '12(苗場スキー場) その2   
8/10(日) THE BEACH BOYS JAPAN TOUR(日本ガイシホール)
8/25(土)26(日) スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド(富山県南砺市ヘリオス/フローラルパーク) その2 
10/1(月) 猛烈ロックンロール教室・文化祭~思秋期のころ~(名古屋CLUB QUATTRO)
10/14(日) TOYOTA ROCK FESTIVAL 2012(豊田スタジアム/西・東イベント広場) その2
10/20(土) 森、道、市場 2012(三ヶ根山ロープウェイ山麓駅跡周辺) その2
11/21(水) 中川敬×リクオ ~中川敬セカンド・ソロ・アルバム『銀河のほとり、路上の花』発売記念ツアー~(得三)
12/24(月) ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION 2012(名古屋CLUB QUATTRO)

 今年はなんといっても久々のフジロックに、念願のスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドと、行きたかったライブに多く足を運べた1年でした。そんな中で、今年のベスト3は・・・

3位 キウイとパパイヤ、マンゴーズ@スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド

まず忘れられないのは、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドでのキウイとパパイヤ、マンゴーズのステージ。もちろん、ステージ自体も、ラテン、レゲエ、民謡などの要素を取り混ぜつつ、とても楽しいステージだったのですが、それ以上に素晴らしかったのが、ライブの雰囲気。若い世代はもちろん、おじさんにおばさん、小さな子供に、さらには外人さんまで。まさに壁をいろんな人が、彼らのステージで、とても楽しそうに踊っていたのがとても印象的なライブでした。

2位 KAN@KAN BAND LIVE TOUR 2012 ある意味・逆に・ある反面

いわずと知れた安定のステージ。ある意味、様式化している部分もあるのですが、まるでコントのように楽しいステージと、それと見事にリンクしている歌。かと思えば、聴かせる部分はしっかりと聴かせる。陳腐な言い方ですが、まさに笑いあり涙ありの一大エンターテイメントショーに仕上がっています。毎度のことながら、心の底から楽しめるライブでした。

1位 BUDDY GUY@FUJI ROCK FESTIVAL

今年、最も「見れてよかった!!」と思ったのが、やはりFUJI ROCK FESTIVALでのBUDDY GUYのステージ。そのため、ステージ自体の内容云々以上に、主観的な思いいれも強いのですが、本場シカゴのステージをそのまま持ってきたような、アットホームで、自由度の高いステージは、楽曲の良さはもちろんのこと、エンタテイメント要素もたくさん。ブルースというと、渋い大人の音楽みたいなイメージがつきがちなのですが、実は踊って笑って楽しめる、楽しい音楽なんだ、ということが感じられる素晴らしいステージでした。

他にも今年は、栗コーダー、ミッチー、日本マドンナ、bomi、(M)otocompo、JUSTICE、THE BEACH BOYS、OKI、サ上とロ吉、レキシ、RANKIN TAXI、中川敬、ZAZEN BOYS・・・と、素晴らしいライブをたくさん体験することが出来ました。来年も、またたくさんの素晴らしいライブを体験できるといいなぁ。

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2012年12月29日 (土)

またTM関連2作

Title:キネソロ
Musician:木根尚登

木根尚登のソロデビュー20周年記念アルバムの第4弾。今回のアルバムは、彼のソロデビュー初期、1992年から2000年にかけてリリースされたアルバムを、セルフリメイクしたアルバムになっています。

そのため、今回のアルバムは、まだTM活動中にリリースしたソロデビュー作「泣かないで」や、小室系全盛期に、小室哲哉プロデュース作として話題になり、(現時点で)彼唯一のベスト10ヒットとなった「REMEMbER ME?」も収録。TM人気からの流れで、木根ソロ作も比較的ヒットしていた時代の作品なので、熱心なファンではなくても、聴いたことある曲も少なくないかも?

そんな曲が、今回のリメイクでは全体的にフォーキーなアレンジに生まれ変わっています。特に「REMEMbER ME?」なんか、原曲は、小室アレンジということで華原朋美のコーラスも入って、鮮やかな雰囲気だったのですが、このアレンジでは、しんみりとしたアレンジになり、イメージも一新。もっとも、もともと木根尚登の曲調自体、フォーキーな作風なので、今回のアコースティックベースのフォーキーなアレンジは、原曲にもマッチしているという印象は受けました。

ただ、ちょっと奇妙だったのが、そんなフォーキーなアレンジの、所々にロック色が強いノイジーなエレキギターのサウンドが入ってくる点。アコギメインだと、インパクトが薄いと考えたからでしょうか?でも、個人的には、このノイジーなギターがアルバム全体のバランスを悪くしているような・・・。もうちょっと素直にアコギ主体のアレンジの方がよかったなぁ。原曲がいいだけに、ちょっと惜しさを感じるアルバムでした。

評価:★★★★

木根尚登 過去の作品
NEW TOWN STREET
中央線
キネバラ
キネベス
キネソロ

で、せっかく木根尚登ソロも聴いているんだから、宇都宮隆のソロアルバムも発売されたみたいなので、こちらも久々に聴いてみました。

Title:TRILOGY
Musician:宇都宮隆

とはいえ、正直ほとんど期待していなかったのですが、これが意外と好印象。確かに、あきらかにTM NETWORK時代のイメージを引きづったような楽曲も多いのですが、それはそれで、例えば「CROSS」など、歌詞にしろメロにしろ、そのまんまTMといった感じで、ファンとしてはむしろ微笑ましく感じられてしまうほど(笑)。

ただ、かといってそのまま昔のままなのか、と言われるとそうではなく、「必然の夢」「TRILOGY」など、アレンジには、現代風のエレクトロサウンドの影響も感じられ、決して90年代に留まっているわけではなく、それなりに今風のアップデイトされたウツの姿を見ることが出来ます。もっとも、メロディーや歌詞は、そのまんま90年代という曲は多いのですが・・・。

少々思い出補正も入ってしまうのですが、かつてのTM時代の宇都宮隆のイメージと、今風の音をほどよくバランスさせているような好印象を受ける作品でした。TM NETWORKのファンだった方は、聴いてみても損はないはず。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

LEO/家入レオ

デビューシングル「サブリナ」がいきなりベスト10ヒットを記録し、ブレイクした女性シンガーソングライターのデビューアルバム。YUIや絢香を輩出した音楽プロデューサー西尾芳彦が主宰する「音楽塾ヴォイス」出身のシンガーソングライターということで、要は、YUIや絢香の2番煎じ的な位置付けのミュージシャン。なので、典型的な90年代のJ-POP路線というのは、絢香に、「若い女性の本音」を歌うようなスタイルはYUIからの継承といった感じでしょうか。

ただ、とはいうものの、楽曲自体は思った以上に良い出来。そのデビューシングルでヒットした「サブリナ」をいきなり1曲目に持ってくるあたり、自信を感じさせるのですが、確かに、それだけ勢いのある内容に仕上がっていたとは思います。なにより、90年代のガールズロックらしいメロディーやサウンドが非常に懐かしさを感じさせ、いわば「おっさんホイホイ」的なミュージシャンかも(笑)。サビは、一度聴いたら忘れられないようなメロディーをきちんと書いてきており、今後もコンスタントにヒットを飛ばしそう。

一方で、歌詞は、いかにも中2病的な内容が少々陳腐かも。このアルバムにも収録されている3枚目のシングル「Bless you」の歌詞「愛なんていつも残酷で もう祈る価値ないよ」なんて、いかにも中2的な歌詞を前面に押し出しているあたり、「うーん・・・」と思ってしまう部分も。もっとも、まだ17歳の彼女なだけに、歌詞の面では、今後の成長に期待、ということで。

評価:★★★★

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2012年12月28日 (金)

ロックバンドとしてのステージ

ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION 2012

会場 名古屋CLUB QUATTRO 日時 2012年12月24日(月)18:30~

今年も早くも残すところ数日となってしまった年末。2012年最後のライブとして、ZAZEN BOYSのライブに足を運んできました。クリスマスイヴの夜のCLUB QUATTROは、クリスマスよりもZAZENのライブを今か今かと待ちわびる、多くのファンであふれかえっていました。

18時半を10分くらい過ぎ、メンバーがステージにあがります。やがて、バンドのメンバー全員がドラムのまわりに集まり、ギターやベースのヘッドを、みんなドラムに向けて、円陣となります。そして、向井秀徳のカウントを合図に、一気にスタート。いきなり鳥肌モノのイントロ、1曲目「Honnoji」からライブの幕はあきました。

序盤は、MCもなく、一気にライブは進んでいきます。「サンドペーパーざらざら」「泥沼」、さらには「ポテトサラダ」と、最新アルバム「すとーりーず」からの曲がメインとなる展開。アルバム音源では、バンドの音数は少なく、空間を聴かせるような構成となっていましたが、ライブではむしろ、ダイナミックなバンドサウンドを前面に押し出したような構成になっていました。途中、レッド・ツェッペリンの「移民の歌」を彷彿とさせるようなヘヴィーなギターリフを主導とした、バンドメンバー全員によるジャムセッションがあったりと、イメージ以上にハードロックなステージを聴かせてくれました。

中盤は、「すとーりーず」からの曲が連続。途中、簡単な曲紹介などの短いMCを挟みつつ、「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」から「電球」「天狗」「ハートブレイク」と続きます。途中で、向井秀徳は適宜、ギターとキーボードを入替つつの展開し、よりバンドサウンド色、ロック色の強くなった「すとーりーず」の世界を、ステージ上につくりあげていきます。

ライブは、基本的にMCは少なく、淡々と進んでいったのですが、終盤には、向井秀徳が、キーボードでチャルメラのメロディーを奏でつつ、即興で、「クリス~マス♪」と歌詞をつけて歌ったりして。クリスマスイヴの夜のこの日、彼がクリスマスに言及したのは、この時のみでした。その後、彼がつくったチャルメラのメロディーにのせた即興の歌詞に、ファン2人をステージ上に乗せ、2人ではもらせて、その後、観客全体にはもらせるという展開に。ちょっとしたユーモラスな、会場が一体となるような余興でした。

終盤は「COLD BEAT」に「WHISKY&UNUBORE」と、ライブではおなじみのナンバー。「WHISKY&UNUBORE」では、相変わらず「そこらに転がる五号瓶~」と向井秀徳が歌うと、「五号瓶~」と観客が返す、ゆるーいコール&レスポンスが。もうお約束ですね。本編最後は、「すとーりーず」「破裂音の朝」で、まず幕を降ろします。

アンコールでは、メンバー全員が一本のマイクに集合。「安眠棒」を向井秀徳が歌いながら、他のメンバーはボイスパーカッションという構成に。ボイスパーカッションは、お世辞にも上手いものではなかったのですが、どこかユーモラスなものでした。

さらに、この日一番のハイライトは、それに続く「Asobi」。シンセのサウンドに、重なるバンドサウンド、特にドラムス松下敦のドラミングとの重なりに、生音と電子音の対比が見事で、ゾクゾクっとくるものがあります。天井のミラーボールがまわり、会場はちょっとしたダンスホールとなりましたが、そのサウンドに、踊りながらも、圧倒されるものがありました。

それに続き、さらにダブルアンコール。再びメンバー4人がマイクスタンドの周りにあつまり、「KIMOCHI」を、向井秀徳のギター一本とアカペラで披露。こちらも、お世辞にも上手いアカペラではなかったものの、しんみりと歌い上げる合唱は、聴かせるものがありました。

ダブルアンコールまで、全2時間半。気がつけば、あっという間のステージでした。ここ最近のZAZEN BOYSのアルバムは、向井秀徳のワンマンというテイストが強く、バンドサウンドが薄くなっており、では、ライブでは?という思いながらライブに望んだのですが、まず、やはり客観的に見て、向井秀徳のワンマンバンドという色合いは否めなかったなぁ。向井秀徳以外のメンバーの前には、マイクもなく、MCもほとんどなかったし・・・。

ただ、バンドサウンドが薄くなってきたアルバムに反比例するかのように、むしろバンドサウンドは、さらにヘヴィーに、ロックテイストが増しているように感じました。特に、松下敦のドラムと、吉田一郎のベースがかなり重いサウンドを奏でており、バンドサウンドのダイナミズムに磨きがかかっていました。確かに、向井秀徳のワンマン色は強いものの、一方では、バンドとしての一体感は、かなり強く感じるステージだったと思います。

思うに、向井秀徳は、CD音源では、バンドに捉われず、自分の好きな音づくりをする一方、ライブでは、ロックのダイナミズムなバンドサウンドを楽しんでいるような印象を受けます。だから、以前見たライブに比べて、よりロック色が強くなったような印象を受けましたし、だからこそ、向井秀徳は、ロックバンドとしての活動を続けているのでしょう。

ZAZEN BOYSのロックバンドとしての魅力を存分に感じることが出来たステージでした。特に、「Asobi」は強い印象に残る内容でした。バンドとしての快感を楽しんでいるように感じた向井秀徳は、まだまだこのバンドでの活動を続けていきそうですね。また、彼らのライブを見てみたいです。

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2012年12月27日 (木)

まだまだ現役!

Title:GRRR!
Musician:THE ROLLING STONES

今年、結成50周年ということで大きな話題となったTHE ROLLING STONES。当初は、50周年という記念すべき年にしては、少々話題に乏しい感もあったものの、写真集の発売やドキュメンタリー映画の公開、さらには、ついに待望のライブも実施されました!残念ながらライブについては、来日の予定がないものの、やはり日本で一番大きな話題になったのは、このベスト盤と、このベスト盤に収録されている、久々の新曲2曲ではないでしょうか。

今回のベスト盤は、4種類が発売されています。もっとも、昨今のアイドルみたいに、ファンなら4種類買え、という訳ではなく、内容は重複したもの。基本は、CD3枚組、全50曲入りのバージョンが2,980円。さらに、このバージョンが、DVDサイズのボックスに収録されており、写真集がついてくるデラックス・エディションが5,000円也。さらにさらに、曲数を80曲に増やし、さらにボーナスディスクをつけ、そのうえ、7インチEPまでつけた全5枚CD+1EPのスーパーデラックスエディションが15,000円という、マニア向け。逆に、エントリーエディションとして、CD2枚組40曲に絞った、2,500円というバージョンもあります。

個人的には、スーパーデラックスエディションに惹かれつつも、さすがに15,000円という価格には手が出ず。最初、写真集がプラスされただけで、約2,000円の追加出費かぁ、ということで迷っていたのですが、結果、デラックス・エディションを購入。ただ、ハードカバーの写真集は、ミュージシャンの写真が載っているかと思いきや、キース・リチャーズのギターやら、チャーリー・ワッツのキック・ペダルやら、ツアーの告知ポスターやらの写真が載っている「資料集」としての要素が大きい、ハードカバーのしっかりした内容。ファンなら、2,000円追加出費する価値は十分にあるのではないでしょうか。

逆にエントリーエディションは、通常盤と500円程度の差しかなく、やはり完全な入門者にとっては、2枚組40曲は(確かにストーンズの魅力を伝えるには、最低、この程度は必要なのでしょうが・・・)ちょっと敷居が高い感じも。個人的には、1,500円程度で、CD1枚組全12曲程度、という形式が、完全な初心者には手が出しやすいのでは?とも思ったりして。

で、肝心の3枚のCDは、60年代中盤の初期作品が収録されたDISC1、60年代から70年代の、もっとも脂ののった時期のDISC2、70年代後半以降の曲と、新曲が入ったDISC3という構成に。やはり初々しさが残るDISC1と、代表曲の連続のDISC2が、素直に一番、魅力的。DISC3は、この2枚に比べると、若干、マンネリ気味な側面も?

そしてやはり注目は2曲の新曲。そのうち、特に「Doom And Gloom」は、ロックンロールなナンバーで、若々しいサウンドに勢いを感じられ、結成50年という大ベテランながらも、若手バンドに負けない現役感を感じさせるナンバーになっています。「One More Shot」も、彼らしい、ソウルの要素を感じられるロックンロールナンバー。こちらは逆にベテランらしい安定感を思わせるナンバー。ただ、どちらも、いまなお現役であるこということを感じられる楽曲に仕上がっていました。

そんな訳で、名曲の数々に、彼らの偉業を感じつつ、これからの活躍も楽しみになってくるベスト盤でした。次は、来日公演!実現してくれないかなぁ・・・。

評価:★★★★★

The Rolling Stones 過去の作品
Shine a Light: Original Soundtrack
Some Girls LIVE IN TEXAS '78
CHECKERBOAD LOUNGE LIVE CHICAGO 1981(邦題 ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981)
(MUDDY WATERS&THE ROLLING STONES


ほかに聴いたアルバム

PART LIES,PART HEART,PART TRUTH,PART GARBAGE,1982-2011(邦題:グレイテスト・ヒッツ~パート・ライズ、パート・ハート、パート・トゥルース、パート・ガービッジ、1982-2011)/R.E.M.

昨年9月、突然の解散を発表した、アメリカを代表するオルタナティヴバンドが、約30年のキャリアを総括したベスト盤。新曲3曲を含み、彼らのオールキャリアの代表曲が収録されています。

全2枚組の内容になりますが、泥臭く、いかにもアメリカンロックという雰囲気の、DISC2に収録された曲に比べると、DISC1に収録された初期のナンバーは、ロックというよりもギターポップのような、ポップス色も強い内容で、個人的には、初期のナンバーの方が好みかも。とはいえ、30年以上第一線で活躍を続けた彼ららしい名曲揃いで、あらためて解散を残念に感じます。

評価:★★★★★

R.E.M. 過去の作品
Accelerate
COLLAPSE INTO NOW

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2012年12月26日 (水)

今年最後のヒットチャート

今週も、シングルチャートは新譜ラッシュの一方、アルバムチャートは新譜少な目に。そのため、シングル、アルバム同時にアップします。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今年最後の週間チャート。シングルチャートは最後の最後まで新譜ラッシュとなりました。

今年最後の1位は、AKB48がらみ。乃木坂46「制服のマネキン」がランクイン。エレクトロアレンジは今風ながらもメロは王道の歌謡曲路線。タイトルや歌詞は秋元康っぽい感覚だよなぁ。初動売上23万2千枚は「走れ!Bicycle」の18万6千枚からアップ。デビュー以来、初動売上は右上がり傾向が続いていて、人気が一段落した感のあるAKBがらみで、数少ない気を吐くユニットになっています。AKBがらみといえば、NMB48「北川謙二」が、先週の34位から9位にランクアップし、ベスト10に返り咲いています。

2位は、韓国のバンドCNBLUE「Robot」。軽い感じのポップスロックなのは相変わらず。初動4万2千枚は、1位を獲得した前作「Come on」の3万3千枚よりアップ。2作ぶりのベスト3ヒット。

3位には、ハロプロ系アイドルユニット、Berryz工房「WANT!」がランクイン。こちらは完全、今風のエレクトロダンスチューン。3位は自己最高位タイ。ただし、初動売上2万4千枚は、前作「cha cha SING」の2万9千枚からダウン。

4位初登場は、ボーカル京の喉の不調のため、一時活動を休止していたDIR EN GREYの1年半ぶりのニューシングル「輪郭」。ヘヴィーなバンドサウンドが持ち味の彼らですが、新作はファルセットボイスを用いた幻想的な雰囲気の曲に。てか、喉の不調で活動休止だったのに、こういう曲だとまた喉を痛めない??(^^;;初動売上2万2千枚は、前作「DIFFERENT SENSE」の2万5千枚から若干のダウン。

6位にGReeeeN「雪の音」が入ってきました。初動売上は1万5千枚。ベスト10を逃した前作「OH!!!!迷惑!!!!」の8千枚よりアップ。JR東日本の「JR SKI SKI」CMソング。「JR SKI SKI」といえば、かつてZOOの「Choo Choo TRAIN」やglobeの「DEPARTURES」のヒットを産み出した、タイアップ曲がヒットする「名門」的なCM。前作より大幅アップは、前作がアルバム先行ということもありましたが、タイアップ効果も?もっとも、CM自体、関東ローカルなので、関東人以外にとっては、全く馴染みのないCMなのですが・・・。

ウィンターソングが続きます。7位はGACKT「WHITE LOVER-幸せなトキ-」。GACKTが出演しているkissmarkの「Rouge et Noir」CMソング。初動1万2千枚は、前作「白露-HAKURO-」の1万3千枚から若干のダウン。

8位には、EXILEと同じ事務所の男性ボーカルグループ、DEEP「夜風」。王道のバラードナンバー。2作ぶりのベスト10返り咲きでしたが、初動売上1万1千枚は、14位に終わった前作「GO」と横バイ。低水準のチャートに助けられた形に。

最後。今年最後の初登場。10位に人気声優豊崎愛生「オリオンとスパンコール」がランクインしてきました。軽快で明るいギターロック風のポップチューン。初動売上9千枚で、20位に終わった前作「シロツメクサ」の8千枚から若干のアップ。ベスト10ヒットは、「春風 SHUN PU」より3作ぶりですが、こちらも低水準のチャートに助けられた形になっています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週もまた、ベスト盤が目立つヒットチャートに。

今年最後のチャートの1位を獲得したのは、人気ポップユニット、いきものがかりのバラードベスト「バラー丼」が獲得しました。初動売上は10万7千枚。大ヒットしたベスト盤「いきものばかり」の45万7千枚はもちろん、直近のオリジナル「NEWTRAL」の19万2千枚からもダウン。さすがにバラードベストだと、熱心なファン向けのアイテムに留まったということでしょうか・・・。

このベスト盤をはじめ、今週もベスト盤が目立つチャートに。2位は、先週1位のEXILEのベスト盤「EXILE BEST HITS-LOVE SIDE/SOUL SIDE-」がベスト3をキープした他、4位に松任谷由実「日本の恋を、ユーミンと。」、7位8位にYUI「GREEN GARDEN POP」「ORANGE GARDEN POP」がそれぞれベスト10をキープ。さらに初登場として、10位にエレファントカシマシ「THE BEST 2007-2012 俺たちの明日」がランクイン。2009年に3枚同時リリースされたベスト盤「エレカシ 自選作品集」に続く形でのベスト盤。初動売上は1万3千枚で、直近のオリジナル「MASTERPIECE」の1万5千枚よりダウン。ただし、「エレカシ 自選作品集」のうち、もっとも上位にランクインした「PONY CANYON 浪漫記」の初動2千枚よりは大幅にアップしています。

初登場はあと2枚。5位に木村カエラ「Sync」、そして6位に槇原敬之「Dawn Over the Clover Field」がそれぞれランクインしています。

木村カエラは1年2ヶ月ぶりのニューアルバム。前作「8EIGHT8」は見事1位を獲得したのですが、今回はベスト3にも入れず。デビューアルバム「KAELA」以来のベスト3陥落となりました。初動売上も2万1千枚と、前作の初動4万2千枚から半減。前々作「HOCUS POCUS」の4分の1となっており、かなり厳しい結果となっています。

マッキーの新作は、こちらも約1年5ヶ月ぶり。順位は前作「Heart to Heart」と同じですが、初動売上1万8千枚は、2万枚だった前作からダウン。人気は根強いものの、初動売上は漸減傾向。最近、目立ったヒットがないだけに、そろそろシングルのスマッシュヒットがほしいところなのですが・・・。

そんな訳で、今年最後のヒットチャートは以上。新年最初の週間チャートは1月7日ということなので、次のチャート評は1月7日かな??それでは!

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2012年12月25日 (火)

90年代はよかった・・・ということもないですよ?

ある世代の人にとっては、驚きを感じるようなオムニバスアルバムがリリースされました。

Title:MILLION~BEST OF 90's J-POP~BLUE

Tilte:MILLION~BEST OF 90's J-POP~RED

なんと、90年代に一大ブームを作り出し、チャートを席巻したビーイング系とavex系のコラボによるコンピ。今の世代で言えば、ハロプロ系とAKB系が組んで、コンピをリリースするような感覚でしょうか?なんか、20年後くらいにそういうアルバムもリリースされそうですが・・・(^^;;

正直言うと、ビーイング系もavex系も音楽的には典型的な「商業音楽」で、音楽的な評価は決して高いわけではありません。個人的にも、特にビーイング系は、リアルタイムでは、似たような曲ばかりの陳腐なジャンルというイメージで、積極的には聴いていませんでした。ただ、それから20年近くが経ち、思い出補正も入り、今から聴いてみたら印象も違うかも?という期待もあり、懐かしさもあり聴いてみた訳ですが・・・

うーん、率直な感想、ビーイング系に関しては、予想していた以上に厳しかった(苦笑)。特に、ZYYGだのFIELD OF VIEWだのビーイング系ブームになってから、雨後の竹の子のようにデビューしてきた連中。とってつけたようなサビに、おまけのようなAメロ、Bメロ。「翼広げ過ぎ 瞳閉じすぎ」などと揶揄されるような、紋切り型の歌詞のさきがけになったような、主人公の顔が全く見えない歌詞。申し訳程度になっているだけのアレンジ。なぜあれだけ売れたのが、今から聴くと、不思議にすら感じてしまいます。

ただ、当時、ほとんど無視していたけど、今から聴くと意外と悪くなかったのが大黒摩季で、「ら・ら・ら」なんかは、ビーイング系では珍しく、顔の見える主人公をすえた、リアリティーを感じる歌詞で、メロもなかなか良いし、おや、意外と名曲かも、と思ってしまいました。

一方、もうひとつの主軸となっているのがavex系・・・というよりも、こちらも一世を風靡した小室系。こちらは、個人的にTMや渡辺美里のファンということもあり、甘い見方になってしまうのですが、やはり全盛期の曲は、勢いもあり、いいなぁ、と感じてしまいます(笑)。

特に、この時期の小室系に特徴的なのが、時代を先取りするような今風のサウンドを取り込んでいながら、非常にベタなポップにまとめている点。典型的なのがH Jungle with tの「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」でしょうか。ジャングルという、その当時、先端を行くようなクラブ系の音を取り入れながらも、それを人気コメディアンに歌わせ、かつ、大ヒットできるようなポップに落とし込んでいるのは見事。もっとも、こういう手法が、音楽ファンの反感を買ったのも事実ですが、J-POPの音楽の幅を広げたのもまた事実だと思います。

まあ、とはいうものの、このコンピ、全体的には、思い出補正が入っていないと、あまりお薦めできないアルバム。ここ最近、アイドルやK-POPに占拠されたチャートと比べて、90年代はよかった的な意見が少なくありませんが、90年代も、ヒットチャート王道系は、今と比べて、そんなによかったとは思いませんよ?確かに、ミリオン連発で、シーン全体にいろいろな意味で余裕があったのは事実ですが・・・。

評価:
BLUE ★★★
RED ★★★


ほかに聴いたアルバム

新造ライヴレーションズ/MONOBRIGHT

個人的な予想通り、10月からの国内ツアーを最後に、ヒダカトオルと「離婚」することになったMONOBRIGHTの最新アルバム。まあ、当初から「離婚」ありきの加入だとは思っていたのですが、それにしても、ちょっと早かったような・・・。

今回のアルバム、ひとつユニークな試みがあり、それは全編新曲のオリジナルアルバムでありながら、ファンを前にしたライブでの演奏を収録した「ライブアルバム」であるという点。そのため、観客の歓声も作品の一部となっています。

楽曲に関しては、「SHOUT TO THE TOP」などはちょっとヒダカトオルっぽいなぁ、と感じるものの、全体的にはあまりヒダカトオル色は強くありません。メンバーとして、いい感じでMONOBRIGHTの中に溶け込んだ感じでしょうか。ライブレコーディングならではの緊張感があり、特に序盤に関しては、文句のない出来になっています。ただ、その勢いが中盤以降ではちょっと失速。悪くはないけど、MONOBRIGHTとしての個性があまり感じられず、ちょっと物足りなさも感じる結末になってしまいました。ライブレコーディングが上手く作用はしているけど、惜しさも感じるアルバムでした。

評価:★★★★

MONOBRIGHT 過去の作品
monobright one
monobright two
adventure
淫ビテーションe.p.
ACME

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2012年12月24日 (月)

新たなるチバユウスケの可能性

Title:DEAR ROCKERS
Musician:SNAKE ON THE BEACH

ミッシェル・ガン・エレファントのボーカルとして絶大な支持を集め、現在ではThe Birthdayのボーカリストとして、今なおロックシーンの先頭で活躍を続けるチバユウスケ。そんな彼が、「SNAKE ON THE BEACH」名義でソロアルバムをリリースしました。

特に現在活動中のThe Birthdayをやめて、何か新たな活動をスタートしよう、とかそういう意図があった訳ではなく、雑誌のインタビューによると、The Birthdayからイマイアキノブが抜け、しばらく暇になると思ったから、だそうで、その後、ご存知の通り、The Birthdayはフジイケンジが加入し、活動を継続。そのThe Birthdayの活動の合間を縫うようにしての制作作業となったようです。

今回のアルバム、一番驚かされるのは、その楽曲の方向性。チバユウスケといえば、ミッシェルにしろ、The Birthdayにしろ、その前に活動したROSSOにしろ、ガレージロック、パブロックというイメージが強いのですが、このアルバム、1曲目「Deah John」から、まず静かなピアノからスタート。1分以上経って、ようやくチバの聴きなれたがなり声が聴こえたかと思えば、打ち込みのリズムがはじまり、ピアノと打ち込みのリズムの対比が印象的な曲になっています。

続く「Coldman」も、おなじみなノイジーギターではじまるかと思えば、テンションの低いボーカルが淡々と続く展開に、どこかミニマルテイストなものを感じますし、一番意外だったのは「YUKI」。郷愁を誘うピアノのインスト曲になっており、チバユウスケのイメージからすると、驚きさえ感じさせるナンバーになっています。

ガレージロック風のバラードナンバーの「NIL」みたいに、チバユウスケのパブリックイメージに合ったようなナンバーもあるものの、一方では、彼の特徴あるボーカルに頼らないインストナンバーも多く、ミッシェルやThe Birthdayのイメージからすると、かなり意外に感じらえっるようなナンバーが多く収録されていました。

思うに、チバユウスケというボーカリストは、その特徴あるしゃがれ声が、ガレージロックやパブロックなどのジャンルにピッタリマッチ。そのため、いままで、そういうジャンルの音楽ばかりに取り組んできました。

ただ、その結果、チバユウスケのイメージがついてしまい、演れる音楽の幅が狭くなってしまっていたイメージがあります。そんな中、決してイメージに囚われず、音楽性の幅を広げ、新たな可能性を模索しようとする姿がこのアルバムにはありました。

もっとも、それが成功しているか、といわれると少々微妙で、アルバム全体としては、とっちらかった感も否めず、挑戦も中途半端な印象も受けます。所々に入っているガレージロックな曲を聴くと、やはりこの声は、こういうタイプのロックに合っているよなぁ、とも感じてしまうのも事実。そういう意味では、このアルバム、残念ながら「傑作」とは言えません。

とはいえ、現状に満足せず、挑戦を続けようとする彼の姿勢には、大いに応援したいところ。今後、この活動がThe Birthdayなどにどのように反映されるかは不明です。ただ、是非、今後もコンスタントに、こういうソロ活動をしてほしいなぁ。万人にお薦めというアルバムではありませんが、いろいろな意味で、ファンならチェックしておきたい作品でしょう。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

HALLOWEEN ADDICTION-ハロウィン中毒-/Tommy february6&Tommy heavenly6

ハロウィンを題材にした曲を3曲収録した、企画盤的なアルバム。いずれの曲も10分を超える内容で、演劇風の展開の凝った内容。フェブラリーの側面のヘヴンリーの側面があるものの、通して聴くと、あまり意識せず、どちらもハロウィンらしい、西洋風の、ちょっと怪しげでファンタジックな内容に。ある意味、とても彼女らしい企画盤といった感じ。

評価:★★★★

Tommy february6/Tommy Heavenly6 過去の作品
I KILL MY HEART(Tommy Heavenly6)
Strawberry Cream Soda Pop “Daydream”(Tommy February6)
Gothic Melting Ice Cream’s Darkness “Nightmare”(Tommy heavenly6)

FEBRUARY&HEAVENLY(Tommy february6/Tommy heavenly6)

Have a Nice Day/SPECIAL OTHERS

メロディアスで軽快なポップチューンが心地よいインストアルバム。スカやロックなどの要素も入れつつ、「barrel」みたいに、ちょっとジャジーで、ブルージーな要素も感じるような曲も。所々感じる、ブラック・ミュージックからの影響が、楽曲に深みを与えていい感じに。

評価:★★★★★

SPECIAL OTHERS 過去の作品
QUEST
PB
THE GUIDE
SPECIAL OTHERS

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2012年12月23日 (日)

祝!紅白初出場!!

ここ最近、急激に人気と知名度が高まってきたせっちゃんこと斉藤和義。今年は、なんと紅白歌合戦への初登場も決まり、その知名度は「お茶の間」レベルにまで高まっています。そんな中、なんと元BLANKEY JET CITYのドラマー、中村達也とMANNISH BOYSというバンドを結成。アルバムをリリースしました。

Title:Ma!Ma!Ma!MANNISH BOYS!!!
Musician:MANNISH BOYS

斉藤和義のギターと、中村達也のドラムがベースとなっているバンドということもあり、アルバムは、かなりハードで、ガレージテイストのロックなアルバム。もともと、斉藤和義の楽曲でもロックなナンバーは少なくありませんでしたが、自己紹介的なナンバーである「MANNISH BOYSのテーマ」といい、中盤の「Mach Venus」といい、ロックでパンクな側面を強く押し出しており、むしろ中村達也からの影響か、怪しげな雰囲気のサウンドといい、ブランキーあたりの影さえちらり?

ロックでパンクな側面はサウンドだけではなく、歌詞の側面でも。「ないない!」では、かなりストレートかつ具体的に反原発、というよりも、原発事故から時間がたち、うやむやのうちに3月11日以前に戻そうとする政府や原子力発電の関係者を、強烈に皮肉っています。

2人のみのバンドということもあり、2人でロックを楽しんでいるということを感じさせる側面も。ユーモラスだったのが「あいされたいやつらのひとりごと~青春名古屋編~」で、中村達也が育った街、名古屋の有名店が歌詞に織り込まれたナンバー。ちょっとステレオタイプな名古屋弁は、苦笑いモノなので、有名店も、「ピカイチ」以外はおそらくここ最近、東京でも知れてきたような店ばかりと思われるので、期待したほどではなかったのですが、ともかく、とてもユーモラスな楽曲でした。

ただ・・・正直、せっちゃんと中村達也という実力派2人のバンドとしてはちょっと物足りなく感じた面も。ロックという側面を意識的に押し出したからかもしれませんが、斉藤和義の大きな特徴でもある、日常的な風景と心情を織り込んだような歌詞が少なかった点。また、「LOVE&LOVE」みたいな曲もあったものの、全体的には、せっちゃんらしい、心にグッと来るようなメロディーが少なかった点があげられます。

斉藤和義と中村達也という才能が融合して、単純に足し算がされたというよりも、足して2で割ってしまった感じかなぁ。そういう意味で、ちょっと惜しかったような感じも。とはいえ、近い部分もありつつも、異なる才能の持ち主の2人組のバンドなだけに、これ1枚で終わるのは惜しい気も。2作3作と続けて、是非とも傑作を聴かせてください!

評価:★★★★

で、せっちゃんがらみでもう1枚。どちらかというとMANNISH BOYSで物足りなかった側面は、こちらで聴けたのかもしれませんが・・・。

Title:ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
Musician:斉藤和義

来年、デビュー20周年を迎える彼が、その20周年記念企画第1弾としてリリースした、アコースティックによるリメイクアルバム。一夜限りのスペシャルバンドによるセッションによるアルバムだそうで、選曲も彼本人によるもの。中島みゆきの「蕎麦屋」のカバーも収録されています。

選曲に、その楽曲自体の内容、そして、演奏自体には文句のつけようがありません。MANNISH BOYSが、彼のロックな側面を強調したものだとすると、こちらは、彼のもうひとつのポップな側面を強調した感じのアルバムになっています。

ただ・・・アコースティックによるリメイクということなのですが、元々アコースティックテイストが強かった曲だけに、そんなに新たな発見、ということを感じられなかったのが残念な点か。もちろん、内容自体は、誰もが文句なしに楽しめる名曲揃いという点は、間違いないのですが。

評価:★★★★

斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES


ほかに聴いたアルバム

叙景ゼロ番地/eastern youth

ノイジーなギターとシャウト、そして、非常に叙情的な歌詞にメロディー。ある意味、円熟の域に達しているような感のあるeastern youthの新作。マンネリ気味といわれればマンネリ気味な気もするのですが、完全に彼らにしか出来ない世界観を作り出しているのは相変わらず。中盤以降は、いつも以上にポップで、いい意味で聴きやすいメロディーラインが印象に残りました。

評価:★★★★

eastern youth 過去の作品
地球の裏から風が吹く
1996-2001
2001-2006

歩幅と太陽
心ノ底ニ灯火トモセ

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2012年12月22日 (土)

「今風」のR&Bなれども

Title:R.E.D.
Musician:NE-YO

エレクトロなアレンジをベースとしたトラックに、メロウなメロディーライン。ある意味、典型的な今風のR&B路線。スタイリッシュで都会的なのですが、ブラックミュージックらしいソウルの要素が薄い・・・というのが、ここ最近のアメリカのヒットチャート王道系のR&B路線でしょうか。

NE-YOも、いわゆるそんな「今風」のシンガーの一組。スタイリッシュで都会的なサウンドが特徴的。このアルバムでも、例えば「SHUT ME DOWN」あたりは、典型的な今風のエレクトロダンスチューンといった感じでしょうか。

ただ、そんな中でも、「ありがち」という平凡な印象を受けず、彼のアルバムが非常に魅力的なのは、その類まれなる美メロはもちろんのことながら、単純に「現代風」と言えない要素が入っているからではないでしょうか。

このアルバムで大きく感じるのは、まず80年代風ポップからの影響。前作「LIBRA SCALE」ではMICHEAL JACKSONからの影響を公言していましたが、本作でも、例えば「JEALOUS」をはじめ、マイコーからの影響を感じさせるような、ちょっとノスタルジックな気持ちにさせる80年代風のポップがチラホラ。

また、同時に、どこか昔ながらのソウルミュージックからの影響もチラホラ感じられたりするのも大きな特徴。例えば、「MY OTHER GUN」みたいなバラードナンバーは、どこか古き良き時代のソウルの匂いが感じられたりして?ここらへん、単純な「今風」R&Bとは、また異なる魅力を感じさせてくれます。

アルバム1枚で、ひとつの映画ようなコンセプチャルな内容だった前作に比べると、アルバム全体としての特徴は薄めで、いつものNE-YOのアルバム、といった感じ。ただ、それだけにいい意味で安心して楽しめたアルバムだったように感じます。いろいろな魅力的な要素はあるものの、やはりなんだかんだいっても、美しいメロディーラインは、万人にお薦めできる1枚。今回も傑作でした。

評価:★★★★★

NE-YO 過去の作品
Because Of You
NE-YO:THE COLLECTION
LIBRA SCALE

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2012年12月21日 (金)

12年の歩み

Title:ベリー ベスト オブ ゴー!ゴー!
Musician:GO!GO!7188

昨年2月に、突如解散を発表したGO!GO!7188。突然の発表で、解散ライブなどもなく、その後、ライブベストとカップリング&レア音源集がリリースされたのみ。そして、ある種お決まりのように、集大成的なシングルベストのリリースとなりました。

今回のシングル集は、彼女たちが発表したシングルを発売順に並べたもの。ある意味、何も工夫もない、いかにも最後のお小遣い稼ぎ的なベスト盤ではあるものの、むしろ、そのシンプルな曲構成ゆえに、彼女たちの歩みをよく知ることが出来るベスト盤になっています。

前にも書いた通り、GO!GO!7188は、デビュー当初、はまりまくり、ライブなども数多く足を運んでいたバンド。そうい意味では、デビュー直後のシングルは思い入れも深く、そしてやはり今聴いても楽しむことが出来ました。特に、「太陽」から「こいのうた」への流れは、かなり強烈。グループサウンズと歌謡曲、ガレージパンクとポップをごちゃまぜにした、GO!GO!7188の魅力がグッと凝縮されている、といっても過言ではないかと思います。

その後は、私のGO!GO!7188熱も少々醒めてしまうのですが、それでも中盤の頃までの曲は、名曲が多いですね。特に、グループサウンズを完全に意識したような「あぁ青春」「C7」のあたりは、GO!GO!7188らしさとして、周りから求められているのにきちんと応じつつも、決してマンネリにならずに聴かせるポップソングを作り上げている、もっとも脂がのっているように感じます。

ただ、後期になると、少々マンネリ気味になってきたのは否めず。「片思いファイター」など、スカのリズムを入れつつ、軽快なポップにまとめてきたり、新たなGO!GO!7188像に挑戦しつつ、少々中途半端に終わってしまったようにも感じます。それでも、ポップソングとして十分耳を惹くだけのポピュラリティーはありますが・・・。

そんな訳で、メジャーデビューから12年。GO!GO!7188の歩みを手軽に聴けるベスト盤でした。ベスト盤にありがちな、いろいろな曲を詰め込んだ感じはなく、CD1枚におさめている点、初心者にも手を出しやすいかも。今からでも遅くありません!まず最初の1枚として是非。

評価:★★★★★

GO!GO!7188 過去の作品
虎の穴2
2マンTour 徹子のHair+Open Night Family~夜明けの家族
アンテナ
Go!!GO!GO!Go!!
アコースティック大作戦!!アコースティック・ライブ・ベスト
ラストライブ オブ ゴー!ゴー!
カップリング ベスト オブ ゴー!ゴー!
レア コレクション オブ ゴー!ゴー!


ほかに聴いたアルバム

Back in the Summer/COMEBACK MY DAUGHTERS

COMEBACK MY DAUGHTERSの新作は、タイトル通り、夏の終わりを意識したかのようなミニアルバム。ちょっとけだるい雰囲気ながらも、同時に爽やかさを感じるポップソングが魅力的。派手さはないものの、しんみり聴かせる美メロは相変わらず。全6曲入りのミニアルバムですが、そのうち半分はギターインストナンバー。

評価:★★★★

COMEBACK MY DAUGHTERS 過去の作品
EXPerience
OUTTA HERE

GOLDEN DELUXE/Little Tempo

デビュー20周年を記念してリリースされた本人たち選曲によるベスト盤。Little Tempoというと、スチールパンをメインに、爽やかなラテン風のインストナンバーを届けてくれる、というイメージ。実際、そんな心地よい風が吹きぬけるような曲も多い反面、ダブを取り入れた曲、ポストロック風な曲など、サウンドは複雑多岐。その確かな実力を感じます。さすがに3枚組というフルボリュームは、ファン以外にはなかなか手が出せなさそうですが、それでも、聴き始めるとあっという間に聴けてしまうような密度たっぷりのベスト盤でした。

評価:★★★★★

LITTLE TEMPO 過去の作品
山と海
太陽の花嫁

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2012年12月20日 (木)

沖縄発世界一周?

Title:トロピカルフーズ
Musician:BEGIN

最近、ベスト盤や「島唄」でのリリースが相次いでいたため、オリジナルとしては約3年ぶりとなるニューアルバム。BEGINといえば、沖縄というイメージが強い彼らですが、今回のアルバムは、沖縄音楽の要素をその主軸として残しながらも、世界各地の音楽を取り込んだアルバムになっていました。

1曲目の「ウルマメロディー」は、三線を入れた、いつもながらの沖縄音楽からスタートするのですが、「我ったータイムは八重山タイム」はカントリー風、「Churrasco」はラテンの軽快なサウンド。「グッドナイト・アイリーン」は、フォークミュージックの要素を強く感じます。

世界各地の音楽ということで、イメージ的にはワールドミュージックの装いだったように感じます。ただ、歌詞は、「帰郷」にしろ「国道508号線」にしろ、沖縄をテーマとした曲が多く、あくまでも彼らの軸足は沖縄から離れていないことが感じられます。

まさに沖縄発世界一周といった感じのアルバムなのですが、ただ、彼らの曲にひとつ共通したものがあり、それは彼らの曲が、あくまでも「庶民の歌」がベースであるという点。彼らが演奏する楽曲は、いわば街角で、おっちゃんやおばちゃんが楽しそうに歌っていそうな音楽。非常にシンプルで暖かみのあり、でも陽気で楽しい楽曲ばかりで、それは、どんな音楽のジャンルを取り入れてもぶれることはありません。むしろ、今回のアルバムでは、「沖縄」だけに捕らわれない、様々なジャンルの音を取り込んだからこそ、そういう彼らのコアの部分が、より明確になったように感じます。

そんな彼らの音楽だからこそ、誰にでも無条件で薦められるような傑作に仕上がっていました。聴いていて、知らず知らずに一緒に歌いだしてしまいそうな、あるいはほっこりと暖かい気分になりそうな、そんな素敵なアルバムです。

評価:★★★★★

BEGIN 過去の作品
3LDK
ビギンの島唄 オモトタケオ3
ビギンの島唄 オモトタケオのがベスト


ほかに聴いたアルバム

常夜灯/中島みゆき

中島みゆきといえば、どちらかというと社会の「影」になりそうな人たちにスポットをあてた曲が多い、という印象があります。今回の曲は、まさに、そんな社会の中で、「弱者」と呼ばれそうな人たちにスポットをあてたような曲が目立ちました。挫折した人、社会から虐げられている人、そういう人たちの背中をそっとやさしく押すような楽曲が目立ちます。どうも威勢の良いことを言うことに支持があつまりがちな昨今、彼女の書く曲は、もっと見直されるべき時期に来ているような。

評価:★★★★

中島みゆき 過去の作品
DRAMA!
真夜中の動物園
荒野より

B.O.N.D./スターダストレビュー

こちらも、デビューから30年以上が経過した超ベテランバンド、スタレビの最新作。ユーモラスがあったり、しんみり聴かせたり、軽快に楽しませてくれたり、いい意味でのベテランらしい安定感があるのはいつも通り。ただ・・・今回の作品、少々アレンジに不満が。どうも無駄にシンセの音が入りすぎているような印象を受けました。それも、妙に音がチープだったような印象が・・・。ちょっと残念に感じられるアルバムでした。

評価:★★★

スターダストレビュー 過去の作品
31
ALWAYS
BLUE STARDUST
RED STARDUST

太陽のめぐみ

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2012年12月19日 (水)

男性グループが目立つチャート

今週も、アルバムの新譜が比較的少なめ。ということで、シングル・アルバム同時にチャート評をアップしました。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のヒットチャートは、妙に男性アイドルグループの目立つチャートになりました。

まずはベスト3。1位にジャニーズ系、NEWS「WORLD QUEST」、一方3位には韓流男性アイドルグループSHINee「1000年、ずっとそばにいて・・・」と2組の男性アイドルグループがランクイン。2位だった先週1位AKB48「永遠プレッシャー」を挟む形になりました。

NEWSは日テレ「FIFAクラブワールドカップジャパン2012」イメージソング。かなり難易度の高そうなポップスで、聴いていて、歌唱力的にかなり厳しいものが・・・。初動売上は13万枚。前作「チャンカパーナ」の24万4千枚から大幅ダウン。ただ、前作は特典や、CDのリリース形態でかなりドーピングしているので、単純比較は出来ないかも。もっとも、前々作「Fighting Man」の15万枚からもダウン。

2位SHINeeは、爽快なポップナンバー。こちらも初動4万枚は、前作「Dazzling Girl」の9万7千枚より大幅ダウン。前々作「sherlock」の4万8千枚よりも下回る、ちょっと厳しい結果に。

男性グループは、4位以下も続きます。まずは日韓アイドルグループ。4位に日本勢Lead「Still」、5位に韓流U-KISS「Distance...」が並んでランクイン。

Leadはマイナーコード主体のエレクトロ風のポップナンバーで、K-POPと歌謡曲の中間あたりを行くような路線。前作「Wanna Be With You」は初動2万3千枚で、自己最高位3位を記録しましたが、本作は、初動3万枚とさらにアップ。U-KISSは、ありがちなR&B風のウインターバラード。初動2万9千枚は、前作「One of You」から横バイ。

さらにアイドルグループではなく、ロックバンドなのですが、こちらも男性のバンドが2組ランクイン。6位にLUNA SEA「The End of the Dream」、10位にバロック「キズナ」がそれぞれランクイン。一応、どちらもヴィジュアル系で括られそうなバンドです。

LUNA SEAは、ヘヴィーなバンドサウンドに対比するような、河村隆一の端整なボーカルで、ちゃんとLUNA SEAらしさを作り上げているのはさすが。ベテランとしての安定感も感じられます。初動2万2千枚は11年4ヶ月ぶりのニューシングルとなった前作「THE ONE -crash to create-」の2万3千枚から微減。

LUNA SEAに比べるとバロックはかなり軽く感じてしまいますが、打ち込みも入れて、それなりにポップにまとめあげています。2ヶ月連続リリースの第1弾。初動売上1万4千枚は、前作「メロウホロウ」の1万枚よりアップしています。

男性グループは以上ですが、さらに男性ボーカリストがもう1人。7位に三浦大知「Right Now」がランクイン。今風のエレクトロポップとなった新作で、初のベスト10ヒットとなった前作「Two Hearts」の9位初動1万6千枚を、順位、初動売上ともに上回る2万1千枚を記録し、勢いを見せつけました。

そんな男性勢が強かった今週のチャートですが、唯一の女性勢の初登場が8位真野恵里菜「NEXT MY SELF」。来年2月にハロー!プロジェクトを卒業するそうで、ハロプロ最後のシングルとか。爽やかなポップチューンは、まるっきり90年代のガールズポップといった感じ。初動売上1万8千枚は、前作「Song for DATE」の1万2千枚よりアップ。「卒業」のアナウンス効果・・・というよりも、パッケージ数の増加が原因か?


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週1位は、先週と変わらず。

EXILEのベスト盤「EXILE BEST HITS -LOVE SIDE / SOUL SIDE-」が2週連続で1位にランクイン。ナンダカンダ言っても、やはり強さを感じます。初登場最高位は2位、人気声優水樹奈々のニューアルバム「ROCKBOUND NEIGHBORS」がランクイン。初動売上9万6千枚は、オリジナルとしての前作「IMPACT EXCITER」の9万3千枚よりもアップし、強い人気を感じます。

3位には、韓国の男性アイドルグループSS501のメンバー、キム・ヒョンジュンのソロアルバム「UNLIMITED」がランクインしています。初動売上は7万1千枚。B'zが楽曲を提供して話題となった、直近のシングル「HEAT」の初動18万3千枚からは大幅にダウンしています。

続いて、4位以下の初登場ですが、まず4位に、ケツメイシ「KETSUNOPOLIS8」。タイトルは、いつも通りですが、表記がカタカナからアルファベットに変更になっています。前作「ケツノポリス7」は、初動売上が、前々作「6」の26万枚から8万7千枚に大幅ダウンしたのですが、本作はさらにダウンしてしまい、初動売上は5万6千枚。メジャーデビュー以来、はじめてベスト3から陥落という結果になっています。

5位には、ロックバンドflumpool「experience」がランクイン。こちらもメジャーデビュー以降、3作連続最高位2位だったのが、ベスト3からも陥落。初動売上5万枚も、前作「Fantasia Of Life Stripe」の8万1千枚からダウンしてしまいました。

そして初登場最後には、10位に、アメリカのパンクバンドGREEN DAYの、3作連続リリースアルバムの第3弾、¡Tré!」がランクイン。見事、3作連続ベスト10入りとなりましたが、初動売上1万9千枚は、「¡Uno!」の2万6千枚、「¡DOS!」の2万2千枚から順調にダウン。ま、3作連続リリースでは、こういう風になっても仕方ないのでしょうが。

そんな訳で、今週もシングル、アルバム同時紹介となったチャート評。次回は、また来週の水曜日に!

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2012年12月18日 (火)

今を生きるブルース

今日は、現在、活躍しているブルース・ミュージシャンの新作を2作、紹介します。

Title:NOTHIN BUT LOVE
Musician:Robert Cray Band

まずは御年59歳。今のブルースシーンを代表するギタリスト、ロバート・クレイのニューアルバム。もともとは、ビートルズを聴いて、ギターを演りだしたという彼は、ロックや、あるいはソウルからの影響を強く感じます。このアルバムでも、軽快な「SIDE DISH」はロック色が強い感じ。

マイナーコード主体の哀愁漂うメロディーは、日本人受けしそうな、ある種歌謡曲に通じるような匂いも。また、ギタープレイは、かなり洗練された感じで、泥臭さは薄め。「A MEMO」みたいな、ポップなメロディーが楽しめる曲もあり、コンテンポラリー色が強く、聴きやすいアルバムになっていました。

個人的には、正直、もっと泥臭い雰囲気の方が好きだったりするのですが、それでもバリバリ聴かせてくれるブルージーなギタープレイはやはり魅力的。癖は少ない感じはしますが、いい意味で聴きやすいアルバムだと思います。

評価:★★★★

Title:Texas Breeze
Musician:Milton Hopkins with Jewel Brown

そうそう、こういう泥臭いブルースがたまらないんです(笑)。といいたくなるのは、こちらは1934年生まれ、あのブルース界を代表するミュージシャン、ライトニン・ホプキンスの従兄というギタリスト、ミルトン・ホプキンスと、1937年生まれ、50年代から60年代は、あのジャズ界の大御所、ルイ・アームストロングのバンドでボーカルをつとめていたというジュエル・ブラウンによるアルバムです。

まさに戦前のブルースや、昔懐かしいジャズ、ソウルなどの要素を取り入れた、オールドファッションドなサウンドがたまりません。前半は、ジュエル・ブラウンによる力強くドスの聴いたボーカルが迫力満点。ホーンセッションなども入った、陽気な曲も多く、エンターテイメント性も感じる展開になっています。

後半は、ミルトン・ホプキンスのギタープレイを主軸としたギターインストの曲がメイン。こちらも、軽快なプレイが多く、楽しい雰囲気で統一されています。古き良き、ブルースナンバーを今に伝える、といった感じでしょうか?

まさにロックンロールが出てくる以前の、アメリカのブラックミュージックシーンを、そのまま冷凍パッケージして、今の時代に解凍したアルバムといった感じ。ただ、全体的に明るい雰囲気が強く、聴いていて楽しくなってくるようなアルバムでした。ここらへんの楽しさは、時代を超えて、万国共通なのでは?ベテラン同士が組んだアルバムで、泥臭さも感じるのですが、ベテランらしい渋さよりも、明るさが前面に出ていた楽しい作品でした。

評価:★★★★★

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2012年12月17日 (月)

エキセントリックな中にも

Title:楽しいね
Musician:神聖かまってちゃん

神聖かまってちゃんというバンドは、の子の奇抜なパフォーマンスや、動画配信という話題性、また、「非リア充」的な立ち位置から、社会に対してうまく溶け込めないような立場での歌詞が大きな話題となりました。

ただ、その一方で、楽曲自体については、そういう社会の中で恵まれない若者の立場を描きながらも、基本的にストレートなポップ。今時の若者の主張をストレートに載せた歌詞と、比較的、多くのリスナーが受け入れられるようなポピュラリティーのバランスが絶妙で、実はむしろクレバーさすら感じさせます。

今回のアルバムに関しては、そういうバランス感覚が、さらに冴えてきているようにすら感じます。「知恵ちゃんの聖書」は、おそらくクラスの中で孤立したような女の子に対する優しい視点を感じる一方、シングルカットできるようなポピュラリティーを備えていますし、「2年」は、「僕ら真ん中道外れちゃってるんです」「負け組」という歌詞をストレートに書きながら、全体的にはどこか郷愁感のある印象的な曲に仕上がっています。

歌詞の面で印象的だったのが「友達なんていらない死ね」で、

「えっまじ!?
そんなセリフが言えたとき
お友達ってやつがいるのかな」

(作詞 の子 「友達なんていらない死ね」より)

歌詞の内容には、現代っ子らしさを感じつつも、表面的には「いらない」といっている友達を求める姿には、どこか共感をおぼえるものもあります。

「花ちゃんはリスかっ!」みたいに、リストカットをストレートに歌うエキセントリックな内容もあります。ただ、全体的には、そういう過激な内容の中にも、普遍的なテーマをちゃんと組み込んでいたりして、アルバム全体としては、いい意味でよくまとまったポップなアルバムとなっていました。

ただ、全体的にエキセントリックな雰囲気を出したいがためか入っているシンセのノイズは、ちょっと耳障りに感じる部分も・・・。少々アレンジが過剰気味に感じる部分もあり、もうちょっと楽曲のメロディーや歌詞自体を前に持ってきてもよかったのでは?と思う部分もありました。

その点はちょっと気になったのですが・・・アルバム毎に成長を感じられる彼ら。今回のアルバム、売上的には残念ながらちょっと落ちてしまいましたが、まだまだその活躍を見せてくれそうです。

評価:★★★★★

神聖かまってちゃん 過去の作品
友だちを殺してまで。
つまんね
みんな死ね

8月32日へ

で、神聖かまってちゃんといえば、ドラムスのみさこがはじめたユニットが話題になりました。

Title:バンドじゃないもん!
Musician:バンドじゃないもん!

神聖かまってちゃんのみさこと、かっちゃんこと、女優の金子沙織によるツインドラム・アイドルユニット。タイトル通り、「バンド」ではなく、あくまでもユニットということだそうで、路線的には、完全にアイドルを意識した感じに。

ただ・・・正直、このユニット、どこまで本気か冗談かわからないのが微妙なところ・・・。「パヒパヒ」など、かなり狂ったようなハイテンションポップチューンで、かなりユニークなのですが、その後の曲は、意外と「普通」にまとまってしまっていて、本気でアイドル目指しているの??なんて勘違いしてしまいそうな内容。

ボーカルとしても、決して上手くないのですが、じゃあ下手うまといった感じになれているのか、と言われるとそうでもなく、ぶっちゃけ、「下手」なイメージに。本格的アイドルにも、アイドルのパロディーにもなりきれていない感じで、なんか中途半端さを感じてしまいました。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

3RISE/HOME MADE家族

HOME MADE家族のアルバムは、細かい理屈はともかく、純粋に楽しめる楽曲が並んでいます。今回のアルバムも、まさに彼ららしい楽曲が序盤に並んでいました。タイトル通り、なにかのはじまりのような純粋な爽やかさを感じさせる「ビギンザビギン」からダンスチューン「気分はまるでJackpot・改!」にハードロック風の「World Is Mine」への展開には、否応なく気分は高まり、HOME MADE家族の本領発揮といった感じでしょう。

ただ、そんな彼ららしい楽しいポップソングがアルバム全体にちらばりつつも、「Love is...」「琥珀色に染まるこの街は」みたいな典型的で平凡な売れ線ソングもチラホラ。その楽曲に純粋に楽しめるというHOME MADE家族の魅力は変わらないものの、その勢いはちょっと落ち気味に感じてしまうアルバムでした。

評価:★★★★

HOME MADE 家族 過去の作品
HOME
Heartful Best Song "Thank You!"

CIRCLE
FAMILY TREE~Side Works Collection Vol.1~
seven emotions
AKATSUKI

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2012年12月16日 (日)

天才、復活

Title:wordwide
Musician:たむらぱん

「天才」という肩書がふさわしい、数少ないシンガー、たむらぱんのニューアルバム。ただ、前作「mitaina」がちょっといままでの勢いが止まっただけに、大丈夫か??と思ったのですが、本作は、「天才、復活!!」と言っても過言ではない傑作を産み出してくれました。

タイトルチューン「new world」も、爽やかでポップなメロディーながらも、微妙にひねってあって、これがまた癖になってユニークだったのですが、序盤の真骨頂とも言えるのが2曲目「おしごと」。ポップなメロディーなのに、途中から、どんどん変化していく展開が、いい意味で突飛すぎて、リスナーが置いてきぼりに(笑)。特に後半、オペラ風の作風は、下手すればQUEENを彷彿させるほど??にも関わらず、メロディーは至ってポップ。さらに、これを上回る「働くこと」に対して皮肉いっぱいに綴った歌詞も非常にユニーク。ともかく、たむらぱんの本領発揮!ともいえる傑作になっています。

他にもバリエーションが豊富だった今回のアルバム。「でんわ」では、エレクトロの要素を取り入れたり、「ヘニョリータ」では、ニューオリンズ風のハッピーなナンバー。「直球」というタイトルながらも、どこかメロディーがひねっているのも、おもしろいですし、逆に「ぼくの」なんかは、正統派なバラードナンバー。決してひねくれポップだけではなく、王道のポップチューンも、当たり前だけど書けるんですよ、と主張しているような名曲に仕上がっています。

そして、最後を飾るのが、このアルバムもうひとつの聴きどころ、「でもない」。なんと、Shing02が参加し、HIP HOPを取り入れた作品。トラックもHIP HOP的で、他のポップソングとは一線を画する、新たな可能性を感じます。人とのかかわりあいへの悩みをストレートに歌った歌詞も、とても印象的。単なる明るく楽しいだけのポップスソングとは明らかに異なる内容に、たむらぱんのミュージシャンとしての奥深さを感じる傑作でした。

バリエーションも増え、楽曲に奥行きを感じると同時に、アルバムを通して聴いた印象としては、ポップで明るい曲も多く、いい意味でのポピュラリティーもちゃんと兼ね備えた傑作。ちょっと物足りなさの残った前作から一転、たむらぱんとしての実力を存分に感じることが出来る作品になっていました。

正直、売上的には、売りどころを若干逃してしまった感は否めず、一時期ほどクローズアップされる機会も少なくなってしまった感も否めません。ただ、アルバム的には、間違いなく、「ノウニウノウン」「ナクナイ」に類する傑作だと思います。これだけのミュージシャンが、なぜいまひとつ、ブレイクできないのかが不思議であると同時に、残念に感じます・・・。

ポップス好きはもちろんのこと、ロックリスナーにも聴いてほしいなぁ。Shing02が参加している、という意味では、HIP HOP好きも要チェックって感じだし。そんなわけで、みなさん聴いてください!(笑)たむらぱんを「天才」と称する理由も実感できる作品だと思います。

評価:★★★★★

たむらぱん 過去の作品
ブタベスト
ノウニウノウン
ナクナイ
mitaina


ほかに聴いたアルバム

BABY ACID BABY/ART-SCHOOL

メンバーの宇野剛史と鈴木浩之が脱退し、2人組となったART-SCHOOLのフルアルバムとしては、3年ぶりとなるニューアルバム。序盤はへヴィーなガレージロック、中盤以降は不気味な雰囲気の曲が展開し、バリエーションは増えた印象が。ただ、いまひとつ、これといった核になるような曲がなく、物足りなさも感じる内容に。

評価:★★★★

ART-SCHOOL 過去の作品
Ghosts&Angels
ILLMATIC BABY

14 SOULS
Anesthesia

hacanatzkina/cruyff in the bedroom

いまや数少なくなった正統派なシューゲイザー系の後継者的バンド。楽曲全体を覆い尽くすようなホワイトノイズが心地よく、そこにポップなメロが絡む・・・というのが、いかにもシューゲイザー系といった感じで壺。ただ、メロディーに関しては、以前からJ-POPっぽく、いい意味でも悪い意味でもベタな部分があったのですが、本作は、メロに平凡さを感じ、それがちょっと悪い部分で気になってしまったかなぁ。

評価:★★★★

cruyff in the bedroom 過去の作品
Ukiyogunjou

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2012年12月15日 (土)

さらに、さらに大きく成長!

Title:100年後
Musician:OGRE YOU ASSHOLE

大傑作「homely」を産み出し、さらなる成長を遂げたOGRE YOU ASSHOLEのニューアルバム。「homely」では、新たな彼らのサウンドを展開しました。さあ、次の「100年後」ではどのような作品になるのか?という時に、はじめて見た彼らのライブ。ノイジーなギターの轟音を響かせる、サイケデリックな雰囲気のステージに、次の作品は、サイケな雰囲気になるのかなぁ~と予想していたのですが・・・。

ところが、このニューアルバムに関しては、そのサイケ方面に振れるかなぁ、と思った予想を大きく裏切られました。タイプ的には、むしろ「homely」の延長といったイメージに近いかもしれません。

確かに、1曲目を飾る「これから」の歪んだギターの音は、サイケな雰囲気といっていいかもしれません。ただ、音的には、むしろ最小限。シンプルに絞り込んだ作風は、「音」というよりも、むしろ「空間」を聴かせる作風になっていました。

他にも「すべて大丈夫」あたりも、空間を聴かせるというイメージでしょうか?全体的に、音数は少なめ。比較的シンプルなサウンドとなっていながらも、逆にシンプルだからこそ、奥の深さを感じる作品になっていました。

前作の延長といえば、ヒットチャート王道系の、キャッチーなサウンドから程遠いのに、どこか人なつっこいメロディーラインというのも、前作と同様。タイトルナンバーの「100年後」にしても、ラストを飾る「泡になって」にしても、決してわかりやすいメロディーではないものの、どこか耳に残る、ポップなメロディーになっていました。

基本的に、この方向性は、いままでOGRE YOU ASSHOLEが進めてきた方向。その彼らの指し示す一歩を、さらに前進させた、そんなアルバムにも感じました。ただ、それと同時に、ライブでは、なんでこの世界を再現しなかったかなぁ・・・とも残念に思います。もちろん、先日見たライブの内容も素晴らしいものでした。そして、この「空間」を聴かせるアルバムをライブで再現するのは、非常に難しいものだと思います。ただ、この内容をライブで再現できれば、鳥肌モノの、とんでもないステージになると思うのですが・・・。そういう意味では、ちょっと残念です。

まあ、ライブはどうあれ、このアルバムが傑作という事実には間違いありません。前作に引き続き、とんでもない傑作をリリースしてきた彼ら。前作の感想で「さらに大きく成長!」とタイトルとつけたのですが、また一回り大きく成長した、と実感できた傑作でした。

評価:★★★★★

OGRE YOU ASSHOLE 過去の作品
しらないあいずしらせる子
フォグランプ
浮かれている人
homely


ほかに聴いたアルバム

Pop Tune/少年ナイフ

少年ナイフのニューアルバムは、一言でいえば相変わらず。いい意味で、大いなるマンネリって感じなんでしょうね。ただ、今回は、タイトルが「Pop Tune」であるが上に、やはりポップな作風の曲が多かった印象が。もっとも、だからといって、急にJ-POPばりのポップが増えた訳ではなく、基本的にいつも通りのギターロック路線なのですが。

評価:★★★★

少年ナイフ 過去の作品
スーパーグループ
フリータイム
大阪ラモーンズ

For My Parents/MONO

MONOのニューアルバムは、全編、ギターサウンドとオーケストラを融合させ、新たな世界を構築しようと試みた作品。今年のフジロックで、そのバンドサウンドとオーケストラを融合させたステージを見て、その美しい光景に感動しました。それだけにアルバムも期待していたのですが、正直、ライブに比べると、アルバムはいまひとつ。確かに1曲1曲に関しては素晴らしかったのですが、曲がすべて「バンドサウンドで静かに入る→中盤からオーケストラが入り、徐々に盛り上がる」というパターンばかりで、正直、ちょっとバリエーションに乏しかった感も。ライブは素晴らしかっただけに、ちょっと残念に感じた作品でした。

評価:★★★★

MONO 過去の作品
Hymn To The Immortal Wind

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2012年12月14日 (金)

楽曲の良さを再認識

今回は(ちょっと遅くなりましたが)8月と9月にリリースされたスキマスイッチ関係の2枚のアルバムをご紹介。

Title:DOUBLES BEST
Musician:スキマスイッチ

まずはスキマスイッチのセルフカバーアルバム。ファン投票により選曲された12曲について、2人だけの演奏により、再アレンジした作品になっています。2人だけの演奏というコンセプト色が強く、いわばスキマスイッチという2人組ユニットの原点回帰ともいえるアルバムになっています。

2人のみでの演奏というコンセプトもさることながら、発表から月日がたっている曲も多く、そのため、原曲からアレンジを明確に変えた曲も目立っています。「ふれて未来を」は、原曲より、よりメロウになり、「藍」ではピアノのみのバラードナンバーに。ここらへんは2人のみの演奏が際立った内容になっているのでしょうか。

ちょっと変わったところでは、「螺旋」が裏打ちのリズムでレゲエ風になっていたり、「ボクノート」がアカペラになっていたり、ここらへんは、明確に原曲から変わっていました。ただ、とはいうものの、再アレンジは、あくまでも原曲のイメージに沿ったもの。原曲からのイメージを大きく変えた曲はありません。

それだけに、「あ、この曲はこういう解釈もあったのか」といったような、新鮮味はありません。ただ、とはいっても、原曲のイメージを崩さなかっただけに、原曲の良さを再認識できる企画盤だったと思います。やはり、スキマスイッチはいい曲書くなぁ、と実感した作品でした。

評価:★★★★★

Title:TOUR 2012 "musium"
Musician:スキマスイッチ

これが3枚目となるライブ盤。あまりライブミュージシャンというイメージはないのですが、ライブ盤を3枚を出している点がちょっと意外な印象も。ただ、ライブでは、原曲に比べてライブ向けのアレンジがほどこしてあり、若干、楽曲が爽やかになっています。

選曲も、基本的に最新アルバム「musium」からの楽曲が多いものの、代表曲もカバーされており、ベスト盤的な要素も。観客とのやりとりもそのまま入っていて、ライブ会場の臨場感も味わえます。ライブ、楽しそうですね。以前、一度行ったことがあるのですが、また久しぶりに足を運んでみたいなぁ・・・そう思わせてくれるライブ盤でした。

評価:★★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium


ほかに聴いたアルバム

珍文完聞-Chin Bung Kan Bung-/The SALOVERS

これがメジャーデビュー作になる5人組ロックバンド。2010年にはFUJI ROCK FESTIVALの「ROOKIE A GOGO」に出演するなど話題を集めています。ちなみにボーカルがあの古舘伊知郎の長男ということでも話題に。CD屋で積極的に推されていて、試聴してみて、なかなか悪くなさげなので聴いてみたのですが、うーん、試聴した時の印象に比べると、ちょっと弱い感じが・・・。楽曲のタイトルにも歌詞にも、突飛なモノがあるのは、お父さん譲りなのでしょうか(笑)ひとつの個性としておもしろいのですが、楽曲自体は平凡なギターロックといった感じ。決して悪くはないのですが、メロも歌詞もアレンジも、特にずば抜けている感じもなく、中途半端といった印象も。これからの成長次第といった感じか?

評価:★★★★

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2012年12月13日 (木)

まだこれからな感じなのに・・・。

Title:FLOWER
Musician:踊ってばかりの国

2010年にリリースした「グッバイ、ガールフレンド」が話題となり、注目の若手バンドとなった踊ってばかりの国。その後、「SEBULBA」「世界が見たい」と続けざまにアルバムをリリースしてきましたが、なんと、10月にベース、柴田有貴の脱退に伴い、活動休止。それも、新メンバーを探し、「今のバンド以上の化学反応を起さない場合は解散」という事態だそうで、非常に厳しい状況になっています。

この段階での活動休止が非常に残念に感じるのは、彼ら、まだまだ成長の途上のように感じられるから。「グッバイ、ガールフレンド」以降、浮遊感あるメロディーと、ちょっと不気味な雰囲気の歌詞が大きな特徴なのですが、どこか煮え切らない部分も感じられるバンドでした。

それも、順調に成長している、というよりは、「SEBULBA」では、一皮むけたか?と思いきや、続く「世界が見たい」では、ふたたびいまひとつに感じてしまったり・・・。一進一退といった感じ。

今回のアルバムは、全体的にすっきりしてポップにまとまった感じでしょうか?その中で、「coke」みたいな浮遊感たっぷりのサウンドや、「Hey-Yeah」「セシウム」みたいな、ちょっと不気味さも感じさせる歌詞に、彼らの個性も感じることが出来ます。また、「シャンソン歌手」みたいに、ホーンセッションを取り込んだアップテンポな曲もあったりして、新たな方向性も感じます。

ただ、手放しに絶賛できるほどの傑作か、と言われるとどうも微妙で、メロディーにしろサウンドにしろ、彼らだけが持っているような、一度聴いたら忘れられないような、惹き込まれるものがあるか、といわれるとちょっと微妙・・・。そういう意味で、どうにも煮え切れなさが残ってしまっています。

とはいえ、おもしろいバンドだと思うのも間違いなく、これで活動休止というのは本当に残念。評価は、是非、戻ってきてほしい、というエールを込めて。新たなメンバーを探して、また次の新作を、期待しています!

評価:★★★★★

踊ってばかりの国 過去の作品
グッバイ、ガールフレンド
世界が見たい
SEBULBA


ほかに聴いたアルバム

WAKE UP!!!/難波章浩-AKIHIRO NAMBA-

このたび、ハイスタとしての活動を復活させた難波章浩のソロアルバム。前作に引き続き、ハードでメロディアスなパンク路線が継続しており、ハイスタ時代からのファンにとっては、うれしい作品に?次はハイスタの新作か??・・・ってことは前作の時の感想にも書いたんだよなぁ(^^;;

評価:★★★★

難波章浩-AKIHIRO NAMBA- 過去の作品
THE WORLD iS YOUR!
PUNK ROCK THROUGH THE NIGHT

CLOUD CUTTER/PLAGUES

2002年に活動を休止するものの、2010年に活動を再開し、このたび、なんと11年ぶりとなる新作を発表したPLAGUES。サポートには、TRICERATOPSの林幸治に、堀江博久を迎えたことでも話題になっています。

もともと、1990年結成というベテランのギターロックバンドである彼ら。それだけに安定感は半端ありません。基本的にオルタナ系の骨太なギターロックサウンド。非常に完成度の高いロックサウンドを聴かせてくれます。ただ、その一方、安定感が高すぎて、隙がない感じ。安心して聴ける作品である一方、いい意味でも悪い意味でも、期待通りといった感じも否定できない点が・・・。

評価:★★★★

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2012年12月12日 (水)

アニメとEXILEが目立つチャート

先週に引き続き、アルバムの新譜が少なめだったので、今週もシングル、アルバム同時にアップです。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は、AKB48ご本人様たちのご登場です。

今週1位はAKB48「永遠プレッシャー」が1位獲得。初動売上は107万3千枚。前作「UZA」の112万8千枚より大きくダウン。ただし、今回は、じゃんけんで中央で歌う人を決める、いわゆる「じゃんけん選抜」だった影響が大きく、次回作は下げ止まりそう(?)。もっとも、昨年の「じゃんけん選抜」のシングル「上からマリコ」は119万8千枚を売り上げているため、それに比べても下落傾向なのは明確ですが。

2位初登場はEXILE ATSUSHI「MELROSE ~愛さない約束~」。見てわかるとおり、EXILEのメンバーによるソロ作。ソロシングルとしては3作目なのですが、前2作が、いずれもEXILEのシングルの両A面としてリリースされていたので、単独での発売はこれがはじめて。初動売上は9万2千枚は、EXILEとしての直近作「BOW&ARROWS」とほぼ同水準なので、十分健闘といったところ。ただ、自身の名前に「EXILE」とわざわざ冠しなければいけないあたり、ソロとしての先が見えているような・・・。

3位4位には、GLAYの2作同時リリースのシングルが並びました。3位は「JUSTICE[from]GUILTY」、4位は「運命論」。「JUSTICE~」はエッジの効いたギターサウンドのロックチューン、「運命論」は、バラードナンバー。どちらもいつものGLAYらしい作風だけど、バンドサウンド色が強くなった感じも?初動は前者が4万6千枚、後者が4万5千枚。前作「Bible」の初動4万9千枚よりは若干ダウンしてしまいました。

続いて、それ以下の初登場曲ですが、7位に韓国の男性アイドルグループ2AM「誰にも渡せないよ」がランクイン。前作に続き、王道のバラードナンバー。初動売上1万9千枚は、前作「For you~君のためにできること~」から横バイになっています。

で、表題の通り、今週はアニメがらみのナンバーが目立ったチャート。以下、4曲の初登場はいずれもアニメがらみ。

まず人気動画サイト、ニコニコ動画がらみの作品。6位にEGOIST「名前のない怪物」、9位に√5「新星Ω神話(ネクストジェネレーション)」がそれぞれランクイン。EGOISTは、初音ミクがらみの作品で人気を集めたsupercellプロデュースによる女性ミュージシャン。この曲は、フジテレビ系アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」エンディングテーマ。アニソンというよりも、YUIあたりのガールズロックを彷彿とさせるようなナンバー。初動2万1千枚は、前作「The Everlasting Guilty Crown」の3万1千枚よりダウン。

一方、√5は、人気動画サイト、ニコニコ動画で人気を博したシンガーたちによるユニット。テレビ朝日系アニメ「聖闘士星矢Ω」主題歌。一昔前の特撮モノの主題歌そのもののようなメロと、打ち込み主体のアレンジが非常にチープで、聴いていてちょっと厳しいものが・・・。初動売上1万2千枚は、前作「Love Doctor」の1万3千枚から若干ダウン。

そしてもう2曲は、いずれもアニメ「黒子のバスケ」のキャラクターソング。8位に青峰大輝(諏訪部順一) 「TVアニメ『黒子のバスケ』キャラクターソング SOLO SERIES Vol.9(UNSTOPPABLE)」、10位に笠松幸男(保志総一朗) 「TVアニメ『黒子のバスケ』キャラクターソング SOLO SERIES Vol.11(NEVER LOOK BACK)」がそれぞれランクインしています。初動売上は、それぞれ1万4千枚、1万1千枚。直近は、「Vol.6」~「Vol.8」が同時リリースされており、「Vol.6」の12位初動8千枚が最高だったので、それよりは大幅アップ。唯一ベスト10入りしている高尾和成「TVアニメ『黒子のバスケ』キャラクターソング SOLO SERIES Vol.5(F.O.V.)」の9千枚よりもアップしています。また、「黒子のバスケ」がらみのキャラソンとしては、直近が緑間真太郎(小野大輔),高尾和成(鈴木達央)「TVアニメ『黒子のバスケ』キャラクターソング DUET SERIES VOL.3(とある信者の果敢な毎日)」が初動2万4千枚なので、こちらからは大きくダウンしています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は、ベスト3がベスト盤で占めました。

まず1位はEXILEのベスト盤「EXILE BEST HITS -LOVE SIDE / SOUL SIDE-」がランクインしています。EXILEのメンバーが積極的にテレビに出ていたり、かなりプロモーションをかけているようですが、初動売上は38万2千枚。オリジナルとしての直近「EXILE JAPAN」の35万枚よりはアップしていますが、ベスト盤としてはかなり微妙な数字。ベスト盤を乱発している影響も強いみたいで、ベスト盤として直近のバラードベスト「EXILE BALLAD BEST」の初動94万枚から大幅減という厳しい結果になっています。

2位3位は年末の紅白を最後に活動休止を宣言したYUIのベスト盤が並んでランクイン。「GREEN GARDEN POP」が2位、「ORANGE GARDEN POP」が3位に入ってきています。初動売上はそれぞれ11万6千枚、11万5千枚。直近のオリジナル「HOW CRAZY YOUR LOVE」が初動13万3千枚なので、ベスト盤にも関わらずオリジナルよりもダウンというちょっと厳しい結果に。

続いて、4位以下の初登場ですが、まずは6位。韓国の男性アイドルグループBIGBANGの、日本のドームツアーを記念してリリースされた企画盤「SPECIAL FINAL IN DOME MEMORIAL COLLECTION」がランクイン。初動売上4万5千枚は、直近のオリジナル「ALIVE」の5万2千枚よりダウンとはいうものの、企画盤という内容ではかなりの健闘。もう、ここらへん、固定ファンで売上が固められている感じか?

7位には、浜崎あゆみのミニアルバム「again」がランクインです。デビュー15周年の5ヶ月連続リリースの第2弾。初動売上は3万4千枚で、第1弾「LOVE」の6万4千枚よりダウン。もっとも、発売日が12月8日の土曜日で、集計対象期間が短かった影響も大きいのでしょうが。

最後、沖縄出身のバンド、HY「Route29」が9位に入ってきています。NHK連続テレビ小説「純と愛」の主題歌「いちばん近くに」を歌った影響か、紅白初出場2度目の紅白出場を決めた彼ら。(すいません、当初は「初出場」と書いたのですが、今回、2度目の出場みたいです)その「いちばん近くに」も収録されたアルバムです。ただ、売上は、初動売上が急減した前作「PARADE」の2万4千枚からさらにダウンの1万8千枚。かなり厳しい状況になってきました。紅白出場で、起死回生なるか?

そんな訳で、チャート評は以上。また来週は水曜日にシングルチャート評の予定!

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2012年12月11日 (火)

変身するぞ

Title:変身
Musician:チャットモンチー

昨年9月、ドラムの高橋久美子が突然脱退し驚かせたチャットモンチー。しかし、もっと驚いたのはむしろその直後。新生チャットモンチーは、なんと、新メンバーも入れず、かつ基本的にサポートもいれず、いままでベースだった福岡晃子がドラムにまわり、ギター+ドラムという2ピースバンドとして活動を再開しました。

タイトルそのまま「変身」と名づけられた今回のアルバム。1曲目を飾るタイトルチューン「変身」は、まさに新生チャットモンチーを高らかに宣言する曲でした。

「変身するぞ
裏切りのサプライズ踊って
変身するぞ
どうせ嫌いになんてなれないだろ?」

(「変身」より 作詞 橋本絵莉子)

と歌い上げるこの曲には、2ピースバンドになったチャットモンチーとしての決意と、ある種の自信を感じさせます。

そんな自信を裏付けるかのように、バンドとしての力強さをより感じさせるアルバムになっていました。ベースレスとなり、最小限の音でつくられた楽曲ゆえに、音はよりタイトに、緊張感あるサウンドになっています。イメージとしては、WHITE STRIPESに近い感じの音・・・まあ、彼らも同じくベースレスの2ピースバンドなので、どうしても似たようになってしまうのかもしれませんが・・・特に、序盤に関しては、より迫力あるバンドサウンドが前面に出ている楽曲が並んでいて、ゾクゾクと鳥肌が立つような音を聴かせてくれています。2ピースバンドとなり、バンドとしてもさらなる成長を遂げたようにも感じます。

ただ、一方では、2ピースになったという点以外は、基本的にはいままでのチャットモンチー。ヘヴィーなバンドサウンドと対照的なほっこりした歌詞が特徴的な「テルマエ・ロマン」といい、コンビニへのプチ・デートの模様を描写した「コンビニエンスハネムーン」といい、等身大の歌詞が、相変わらず彼女たちらしく、また、どこかかわいらしさも感じさせます。

個人的には、チャットモンチーの最高傑作?ともいえるくらいの内容だったと思います。ただ、ちょっと残念だったのは、メロディーに関しては、ちょっとインパクト薄めだったかなぁ、という点。文句なしの傑作だったのですが、その点だけは、ちょっとマイナスだったかも。ただ、それをおぎなってあまりある傑作アルバムだったと思います。2ピースバンドとなった彼女たちのこれからも大変楽しみです。

評価:★★★★★

チャットモンチー 過去の作品
生命力
告白
表情
Awa Come
YOU MORE
チャットモンチーBEST~2005-2011~


ほかに聴いたアルバム

thread/10-FEET

ヘヴィーなギターロックをベースに、レゲエやスカの要素を入れたバラエティー性。一方ではメロディーは至ってポップで、メロディアス。しっかりとインパクトもあり、確かに、この手のメロコア系バンドの中での人気の高さはうなずけるところが。安定感があり、ある種安心して聴ける、という点も人気の大きなポイントか?ちょっと目新しさに欠ける点もあるけど・・・。

評価:★★★★

10-FEET 過去の作品
VANDALIZE
Life is sweet

White/大橋トリオ

大橋トリオのニューアルバムは、数々のミュージシャンたちとコラボした作品。ただ、ちょっと残念だったのは、様々なミュージシャンとのコラボに関わらず、基本的な路線はいつもの大橋トリオと同じく、ジャジーなポップという点。いつも通り、良質なポップだったのですが、コラボだからこそ生まれたような、新しい「大橋トリオ」があまり見れなかったのはちょっと残念だったかも。ただ、そのような中でも、平井堅と矢野顕子のボーカルはやはり迫力があり、耳を惹きつけるものがありました。さすが。

評価:★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III

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2012年12月10日 (月)

原点復帰の3部作

ここ最近、「American Idiot」や「21st Century Breakdown」など、社会派的な作品を続けてリリースし、パンクバンドというイメージを超えた評価を得てきたGREEN DAY。そんな中、前作から3年ぶりにリリースされた新譜は、なんと3作連続リリース!9月に第1弾が、11月に第2弾がリリースされ、さらに来年1月(⇒すいません、12月リリースでした)には第3弾のリリースが予定されています。今回紹介するのは、その第1弾と第2弾。

Title:UNO!
Musican:GREEN DAY

スペイン語で「1」を意味する「UNO」と名づけられた第1弾アルバムは、社会派指向となったここ最近の作品から一変、初期の彼らに戻ったような作風が大きな特徴となっていました。

まず1曲目に登場する「NUCLEAR FAMILY」からして、以前の彼らのような、メロディアスでパンキッシュなナンバー。これぞ、GREEN DAY!とうれしくなってくるようなスタート。その後も、彼ららしい、シンプルでメロディアスなナンバーが続き、難しいこと抜きで楽しめるアルバムに仕上がっています。

「LET YOURSELF GO」「LOSS OF CONTROL」とか「ANGEL BLUE」あたりも、まさに彼らの本領発揮ともいえるアップテンポなパンクチューン。ほぼ全曲、最後まで陽気なアップテンポナンバーの連続で、ほとんどギアを緩めることなく、最後まで突っ走るアルバムになっていました。3作連続リリースでありながら、いきなりハイテンションでのスタートです。

評価:★★★★★

Title:DOS!
Musician:GREEN DAY

で、スペイン語で「2」を意味する第2弾。こちらも「UNO!」同様、シンプルでパンキッシュなナンバーが並ぶ作品になっています。

ただ、「UNO!」と比べると、突き抜けるような陽性パンクナンバーは少なめ。そういう意味では、インパクトも少々薄めで、「UNO!」に比べると、物足りなさを感じる方もいるかもしれません。

ライナーツノートに書かれた情報によると、この3部作のテーマは、「UNO!」が「青春時代」、「DOS!」は「セックス、ドラッグ、ロックンロール」、そして来年1月に予定されている「TRE!」は「パーティーの翌朝の自己反省」だそうで、そういう意味では、向こう見ずな明るさのあった「青春時代」と比べて、「セックス、ドラッグ、ロックンロール」の狂乱に溺れながらも、どこか憂いを感じるアルバム、ということでしょうか?今回のアルバムでは、前作に比べて、楽曲のバリエーションが増えているように感じました。

「MAKEOUT PARTY」のようなハードロックナンバーは、まさに「ロックンロール」ですし、女性ボーカルを入れてきた「NIGHTLIFE」は、まさに「セックス」といった感じ??「Amy」はタイトルそのもの昨年夭折した女性シンガーAmy Winehouseに捧げるソウル風のバラードナンバー。「UNO!」のような、「青春時代」の明るさとは異なる、「セックス、ドラッグ、ロックンロール」らしい狂乱さはありながらも、ちょっと大人の雰囲気も感じるそんなアルバムということでしょうか?パンクバンドGREEN DAYの「深み」の部分を感じるアルバムでした。

評価:★★★★★

GREEN DAY 過去の作品
STOP DROP AND FALL!!!(FOXBORO HOTTUBS)
21st Century Breakdown
AWESOME AS F**K(邦題:最強ライヴ!)


ほかに聴いたアルバム

TKOL RMX 1234567/RADIOHEAD

「The King Of Limbs」のリミックスアルバム。ダブステップや、エレクトロニカ、テクノなど、現在の最先端を行くミュージシャンにリミックスを依頼して完成したアルバムで、アルバムのリミックスというよりは、今の最先端のシーンを俯瞰できるようなオムニバスという色合いの濃いアルバム。

先日、シンコーミュージックからリリースされた「ベース/ビート・ミュージック・ブック」に、このリミックス盤に参加しているミュージシャンについての情報が詳しく記載されているので、こちらを片手に聴くと、ミュージシャンのことがよくわかって良いかも。個人的には、トライバルビートが心地よかったBlawanリミックスによる「Bloom」や、リズムがテンポよく心地よい、Modeselektorリミックスによる「Good Evening Mrs Magpie」が良かったなぁ。

評価:★★★★

RADIOHEAD 過去の作品
In Rainbows
The Best Of
ROCKS:Live In Germ
THE KING OF LIMBS

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2012年12月 9日 (日)

ブレイク後の彼ら

Title:BOUGER LE MONDE!(邦題:世界を動かせ!)
Musician:STAFF BENDA BILILI

アフリカは、コンゴ民主共和国出身のバンド。メンバーは、ポリオによる障害者やストリートチルドレン。路上生活の中、バンド活動を行い、前作「屈強のコンゴ魂」も野外で録音されました。しかし、そんな前作が、彼らの境遇という面だけではなく、音楽的にも大きな話題になり、スマッシュ・ヒットを記録。彼らについてのドキュメンタリー映画も作成され、さらには来日公演も果たしました。

まさにコンゴの路上から誕生したバンドが大成功を収めた訳で、そんな彼らの2作目。まず、ジャケットからして、デビューアルバムと異なり、一気に派手なお金をかけたような内容に。なにより着ている服が一気に垢抜けています。また、野外レコーディングだった前作から一変、今回はちゃんと(?)スタジオをつかって録音された内容になっています。

文字通りの成功者となった彼ら。ハングリー精神旺盛だった彼らの音楽性も、すっかりおとなしくなってしまって・・・・・・とはなっていないので、前作で彼らを気に入った方はどうかご安心を。むしろ、2作目になり、パワーアップした出来に仕上がっていました。

ファンクやソウルにレゲエなどの要素を混ぜたような独特の音楽性は相変わらず。今回の作品は、よりライブを意識したような出来になっていました。前回、来日した時に彼らのライブにも参加したのですが、そのアグレッシブなステージは、CD録音とは大きく異なっていてビックリした記憶があります。今回のアルバムは、彼らのライブでみせてくれたアグレッシブな側面がより前面に出ていて、ライブで感じたワクワク感が、CDでも感じることが出来ました。

「Osali Mabe」「Bilanga」あたりもアップテンポな内容が、ライブで盛り上がりそうなのですが、特にインパクトを感じたのが「Libala Ya Mungwa」で、ハイテンポなリズムに、彼らの音楽の大きな特徴となっている、サントゲという、空き缶に弦を貼っただけの楽器が奏でる独特な音色が印象的な作品。ちなみに、これに続く「Souci」は、この間の来日ライブでも演奏されていたなぁ、と懐かしく感じたり・・・。

いい意味で垢抜けた内容に仕上がっていて、前作で気に入った方ももちろん、アフリカ音楽をあまり聴いたことない方でもお薦めできそうな内容になっていました。この音源を、ライブで聴けたら、すごく楽しそうだなぁ。また、来日してくれないかな?また、彼らのライブに駆けつけたくなってくる、そんなアルバムでした。

評価:★★★★★

STAFF BENDA BILILI 過去の作品
TRES TRES TRES(邦題:屈強のコンゴ魂)


ほかに聴いたアルバム

Junk of the Heart/THE KOOKS

イギリスで人気の4人組ロックバンドによる3年ぶりのニューアルバム。シンプルでメロディアスなギターロックは、いかにもイギリスのバンドといった印象。オーケストラアレンジの曲があったり、打ち込みを取り入れたりと、バリエーションもあり、素直なポップのアルバムとして楽しめる感じになっています。

評価:★★★★

THE KOOKS 過去の作品
Konk

Making Mirrors/Gotye

このアルバムが、世界的なヒットを記録したオーストリアのシンガーソングライター。様々な音を詰め込んだポップソングは、日本でいえば、宅録系といった印象。バリエーションの富んだ作風で、インパクトあるポップソングもあるが、いい意味でも悪い意味でもつかみどころがない感じ。

評価:★★★★

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2012年12月 8日 (土)

基本的には以前と変らず。

Title:so_mania
Musician:SOUL'd OUT

2008年にリリースされたアルバムを最後に、事実上、活動を中止。各自ソロ活動をスタートさせていたSOUL'd OUTですが、ついに復活!2010年から、ライブ活動から徐々に活動を再開していたのですが、昨年リリースしたシングルに続き、約4年半ぶりとなるまさに待望のニューアルバムがリリースされました。

この4年半というインターバルとソロ活動の後のアルバム。いわば新生SOUL'd OUTの1作目で特徴的に感じたのが、以前よりもトランスの要素を強く入れてきているという点でした。注目すべき1曲目「Kopernik」からしてバリバリのトランスナンバーですし、「Stay Gold」などもトランスチューン。他にもエレクトロ色の強い「Singin'My Lu」などもあり、トランスが、このアルバムのひとつのベクトルとしてありました。

ただし、基本的にこのアルバムの底流となるものは、以前から全く変っていません。

とことん楽しいポップなリズムと、ある種「ベタ」さをつきつつ、聴いていて心地よいサウンドメイキング。テンポのよいラップといい、聴いていてウキウキするようなポップソングの連続は相変わらずです。

「カーテン・コール」のJ-POP風のメロなどは、ベタベタながらも、聴いていて素直に楽しくなりますし、「VELVET ROMANCE」のような、「歌謡ラップ」ともいえそうな、歌謡曲風に哀愁あるメロディーラインも、彼らならでは。いい意味でリスナーの期待を全く裏切らない、壺をついたような楽曲の連続は、ラップリスナーよりも、ポップスリスナーの方がはまり。

ロックやジャズ、ファンクなどの要素もごった煮にした、節操のないサウンドも相変わらずで、詰め込んだ音は、こってり風味。ある意味、期待した場所に、期待したような音が入っていて、とても気持ちよいものの、これ以上聴き続けたら、飽きてきそうな感じも(笑)。ただ、1時間強という時間は、飽きずに聴けるギリギリのラインかも。そういう意味でも、バランスが取れていました。

4年以上のインターバルが開いてしまったため、残念ながら売上的には、活動休止前に比べて落ち込んでしまったのですが、その魅力は以前と変わりありません。聴いていて、頭を空っぽにして、心の底から楽しめる、そんな作品でした。

評価:★★★★★

SOUL'd OUT 過去の作品
ATITUDE
Flip Side Collection


ほかに聴いたアルバム

ALL SINGLES BEST2/コブクロ

300万枚以上を売り上げた大ヒットアルバムとなったベスト盤「ALL SINGLES BEST」に続く第2弾。14thシングル「蕾」から、現時点での最新シングル「あの太陽が、この世界を照らし続けるように。」までのシングルに、絢香とのコラボ作「WINDING ROAD」に、今井美樹×小渕健太郎 with 布袋寅泰+黒田俊介名義でリリースしたシングル「太陽のメロディー」も収録。さらに新曲や配信限定シングルも収録されています。

楽曲については、いつものコブクロ。シングル集なので当たり前ですが、「ALL SINGLES BEST」の頃から、基本路線は変わりません。J-POPの正統な後継者のような、耳なじみのよいメロディーラインに、やたらめったら仰々しい、アレンジや歌詞。必要以上にドラマチックな楽曲は、彼らの持ち味でしょうか。同じストリート出身で大ブレイクしたゆずが、いまだにストリート時代を彷彿とさせるアコースティックメインの路線(とはいえ「栄光の架橋」のようなドラマチックな曲もありますが)がメインなのとは、ある意味対照的。シングルにはぶれない安定感があり、良くも悪くも安心して聴ける内容に。ここらへんが高い人気を持続している理由であると同時に、ここ最近、ちょっと人気が頭うち状態の理由か???

評価:★★★★

コブクロ 過去の作品
5296
CALLING
ALL COVERS BEST

恋ロマンティック!!/ロケットマン

お笑い芸人ふかわりょうによる音楽プロジェクト、ロケットマンのニューアルバム。まあ、ロケットマン=ふかわりょうということは、いまさら誰もが知っているものの、顔写真をジャケット写真にするところ、ふかわりょうということを前面に出しても、既にロケットマンが、「お笑い芸人のユニット」ではなく、実力派ミュージシャンによるユニットという評価を得られるという自信のあらわれか?実際、センスのよい爽やかなエレクトロポップは、相変わらず、その実力のほどを感じますし、ボーカロイド初音ミクを取り入れるなど、最近の流れもさりげなく入れてくるあたり、ミュージシャンとしてのセンスの良さも感じます。ただ、全体的にはポピュラリティーはあるものの、エレクトロポップとしてはありふれている感も否めず・・・。「無難」という印象も抱いてしまいました。

評価:★★★★

ロケットマン 過去の作品
thank you for the music!

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2012年12月 7日 (金)

Superfly流ロックを確立?

Title:Force
Musician:Superfly

これは文句なしの傑作!

Superflyの前作「Mind Travel」は、まさに脂の乗り切った、という表現にふさわしい、リスナーをグイグイと引きずり込むような魅力あふれた傑作に仕上がっていました。その次の作品ということで、期待半分、不安半分だったのですが、ビックリしたことに、前作を上回る傑作をリリースしてきました。

Superflyといえば、デビュー当初からいまひとつピンと来なかった要素のひとつが、明らかな洋楽指向のロックを奏でていながらも、メロディーはベタなJ-POP風という路線。前作「Mind Travel」は、それを超える勢いを感じました。今回の作品にも、前作同様の勢いを感じます。ただ、それにプラスアルファして、J-POP風のメロと、ロックのサウンドを、絶妙に融合してきたように感じます。

J-POP風のなじみやすいメロディーに、ロックの、例えばタイトル曲の「Force」みたいなハードロック風のゴリゴリのギターリフをぶつけてきて、ある種のわかりやすい「ベタさ」を強調することにより、J-POPのおいしい部分もロックのおいしい部分もちゃっかり頂戴しているように感じます。

また、デビュー当初の作品のように、必要以上な洋楽指向という縛りもなくなったのではないでしょうか。それ以上に、気持ちのよい音楽を気持ちよいサウンドにのせて、気持ちよく歌い上げる。理屈抜きの楽しさを追及した結果、Superfly風ロックンロールが出来上がった、そういう風にも感じました。

もちろん、ここ最近、急激に成長してきた越智志帆のボーカルもまた、本作でも冴えまくっています。パワフルなボーカルは以前からですが、「Nitty Gritty」のような、強弱をつけたボーカルもとても魅力的。表現の幅も広がっているように感じます。

今回のSuperflyのアルバムを聴いて、ちょっと全盛期のB'zを思い出しました。全盛期のB'zもまた、ハードロックのおいしい部分とJ-POPのおいしい部分をちゃっかり頂戴し、彼らだけが持つ勢いを加味して、誰も追いつけないようなパワフルなアルバムをつくっていました。どこか今のSuperflyにも似たようなものを感じます。ロック志向なのに、妙にJ-POP的な部分も含め。また、アルバムの最後に、ライブ向けのみんなで歌えるような曲を入れてきている構成もB'zっぽいですし(笑)。

ちなみにライブを前提とした曲作りをしたアルバムであるため、初回限定盤には、このアルバムの曲のライブ盤を収録。このライブ盤が、オリジナル以上に素晴らしい。なにより迫力が、オリジナルより段違い。こちらを「オリジナルアルバム」として売り出してもよかったのでは?MC5の「Kick Out The Jams」みたいに。先日もmonobrightが新曲ばかりのライブ盤をオリジナルとして売り出していましたし。初回盤のみというのは、あまりにももったいない・・・。

正直、今年を代表する傑作だと思います。ロックファンからJ-POPリスナーまで、幅広く楽しめそうな1枚です。もし初回盤が聴けるのなら、今のうちに、是非、ライブ盤も。

評価:★★★★★

Superfly 過去の作品
Superfly
Box Emotions
Wildflower&Cover Songs:Complete Best 'TRACK3'
Mind Travel


ほかに聴いたアルバム

素敵なこと/PES

RIP SLYMEのMC、PESのソロデビューアルバム。全編ラップのアルバム・・・ではなく、シティーポップあり、スカっぽい曲あり、エレクトロあり、カントリー風の曲あり、さらにはブルージーなギターが入ったり、もちろんラップも。とにかく、様々なジャンルを詰め込みながらもポップにまとめあげた1枚。彼の音楽的嗜好の広さを感じますし、なによりも楽しそうに演っているのが好感が持てます。ただ、全体的にちょっとボーカリストとしてはインパクトの薄さを感じてしまい、また、メロも悪くはないけども印象薄。好感が持てる作品ですが、後にちょっと残らなかったような感じが。

評価:★★★

299792458/後藤まりこ

過激でパンキッシュな楽曲で評判を呼んだパンクバンド、ミドリ。2010年に残念ながら解散してしまいましたが、そのボーカル後藤まりこがソロデビュー。タイトルの数字の羅列は、これで「ごとうまりこ」と読むそうです。

その待望のソロデビュー作は、パンクバンド、ミドリのイメージからすると意外に感じる、ポップなギターロックがメイン。舌ったらずな、ロリボイスの後藤まりこのボーカルは相変わらずながらも、ちょっとミドリのイメージとは異なります。ただ、ところどころ、パンキッシュな部分もあり、ミドリで感じた「狂気」の部分も、ちらりと顔をのぞかせる感じも?ポップな側面を強く出したのは、まずデビュー作としてご挨拶かわりということ?次回作以降の展開が気になるデビューアルバムでした。

評価:★★★★

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2012年12月 6日 (木)

アットホームな3時間

中川敬×リクオ ~中川敬セカンド・ソロ・アルバム『銀河のほとり、路上の花』発売記念ツアー~

GUEST:Dr.Kyon

会場 得三 日時 2012年11月21日(水) 19:00~

Nakagawa_live

昨年リリースされた、ソウルフラワーユニオン中川敬のソロアルバム「街道筋の着地しないブルース」は文句なしの傑作で、個人的には、昨年No.1のアルバムでした。そして、今年、ついにソロツアーを開催。毎年恒例12月のソウルフラワーユニオンのライブに今年は行けないので、それでは、ということでライブに足を運んできました。

会場は名古屋・今池の得三というライブハウス。結構知名度の高いミュージシャンのライブも行われているのですが、足を運ぶのはこの日がはじめて。おそらく満員で200名くらいの小さなライブハウスで、この日は机と椅子が出されていました。椅子に座り、ビールとおつまみを注文して、ライブのスタートを待ちます。

7時10分過ぎくらいに、ライブがスタート。まずは中川敬と、共演のシンガーソングライターでピアニストのリクオの2人がステージに登場しました。まずは2人で、中川敬の最新アルバムから「世界はお前を待っている」からスタートします。

その後は一度リクオは退出し、中川敬のソロでのステージ。「それでも私は海が好き」や、二階堂和美のカバー「女はつらいよ」、また前作に収録されていた「少年」や、ニューエストモデルの曲など、最新アルバムからの曲を中心に何曲か披露。合間合間にMCをはさみながらの、のんびりとした雰囲気のライブで、「今日はいろいろな曲をやります」というMCと共に、山口百恵の曲をワンフレーズだけ演ったりと、いつものソウルフラワーのライブともちょっと異なるアットホームな雰囲気でライブは進んでいきます。

そして、中川敬のソロに続いては、ゲストである、元BO GUMBOSのキーボーディスト、Dr.Kyonが登場。中川敬とDr.Kyonの2人で1曲披露。ニューオリンズ風のピアノが軽快なナンバーで、会場は盛り上がります。

その後は中川敬がバックに下がり、Dr.Kyonのソロステージ。彼の曲は、ニューオリンズ風のピアノがとても楽しいナンバーで、1曲、パンキッシュで激しいニューオリンズナンバーのカバーがあり、とてもワクワクするような演奏を聴かせてくれました。

さらにリクオが加わり、ピアニスト2人の共演。どちらも爽やかで軽快、それでいてロッキンなピアノが魅力的で、そんな2人によるピアノの共演は、とても楽しく、同時にとても激しいセッション。踊れて、そして2人のプレイにはまり込んでしまいました。

で、Dr.Kyonが下がり、リクオのソロステージのコーナー。生ビールのジョッキ片手に、のんびりした雰囲気でのステージで、彼の曲も、ソウル風の聴かせるミディアムテンポなナンバーが多く、しばしまったりした雰囲気でのライブになりました。ウルフルズのウルフルケイスケらとバンド、マジカル・チェイン・クラブ・バンドを組んだそうで、そのバンドからの曲も数曲。「アリガトウ サヨナラ 原子力発電所」なんてそのまんまの社会派の曲もあったり、最後は、そのバンドのナンバー「Happy & Sad Song」で楽しい雰囲気でステージは終わりました。

ここで中川敬が再度登場。ソウルフラワーユニオンの「死ぬまで生きろ」をアコギと、リクオのピアノで披露し、会場は盛り上がります。さらに、Dr.Kyonも登場し、3人でのセッション。ここでBO GUMBOSの「あこがれの地へ」、さらに「魚ごっこ」と、BO GUMBOSのナンバーが続きます。正直、この2曲がこの日一番盛り上がっていました(^^;;Dr.Kyonはアコーディオンを奏でて、3人で楽しく盛り上がります。

その後はアンコールへ。やがて3人が再度登場し、ここで、ソウルフラワーユニオンのおなじみのナンバー「満月の夕」へ。アコギとピアノでしんみりと聴かせます。その後は、おそらくリクオの曲で、アップテンポなナンバーをもう1曲演り、アンコールは一度終了します。

さらに、アンコールがわきおこり、ダブルアンコールへ。2度目のアンコールでは、再びBO GUMBOSのナンバーで「ポケットの中」。会場はまたもや沸きあがります。最後にライブは最高潮となり、ライブは幕を降ろしました。

全3時間弱。長丁場のステージでしたが、非常に楽しく、気がついたら3時間たっていた、そんなステージでした。特に、会場が狭かったせいもあるのですが、曲の間にMCが入り、客とのやり取りなどもあり、とても暖かい雰囲気のアットホームなステージでした。

中川敬のソロアルバムリリース記念ツアーだったのですが、中川敬の曲は思ったより少なく、リクオ、Dr.Kyon3人がほぼ対等に、それぞれの歌を歌うステージ。中川敬の、特に1stアルバムからの曲がほとんどなかったのはちょっと残念でしたけど、BO GUMBOSのナンバーは、私も大好きですし、リクオの曲も、ピアノの音色がとても軽快で、ソウル風のポップナンバーが、壺にはまり、とても楽しく聴くことが出来ました。3人とも、音楽的な根っこは似ているような感じなので、ステージでの3人の息もピッタリ。BO GUMBOSのカバーでは、BO GUMBOSのステージは残念ながら見ることはもう出来ないのですが、そのステージがどんなけ楽しかったのか、ちょっとだけ垣間見れたような気もするステージでした。

そしてやはり、中川敬のステージは最高ですね。次のソウルフラワーのステージは、残念がらいけないのですが・・・また、その次のソウルフラワーのライブには、是非とも足を運ばなくては。文句なしに、とても楽しいステージでした。

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2012年12月 5日 (水)

上位はドラマ主題歌&やはり強いミスチル

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週1位は、ちょっとわかりにくいのですが、これ、ジャニーズ系です。

1位は、The MONSTERS「MONSTERS」。こちら、TBS系ドラマ「MONSTERS」の主題歌で、The MONSTERSは、このドラマで共演している香取慎吾と山下智久によるユニット。初動売上は16万枚を記録。この楽曲、もともとはSMAPのアルバム「GIFT of SMAP」に収録されていた曲だそうですが、それにも関わらず、SMAPの直近作「Moment」の初動13万7千枚、山下智久の直近作「LOVE CHASE」の11万9千枚を上回る結果になっています。ちょっと大人の雰囲気のエレクトロダンスナンバーで、5形態というシングルの売上形態の数の影響もありそうですが、ドラマからの浮動層も取り込んだヒットになったのでしょう。

2位もドラマ主題歌。フジテレビ系ドラマ「結婚しない」の主題歌、コブクロ「紙飛行機」が入ってきています。こちらは、1位の曲とはうってかわって、爽やかなポップチューン。ただ、ドラマ主題歌という好タイアップにも関わらず、初動売上4万枚は、前作「あの太陽が、この世界を照らし続けるように。」の4万8千枚からダウン。下落傾向が続いているのが気になるところです。

3位4位は、韓流。3位は男性アイドルグループBOYFRIEND「キミとDance Dance Dance」、4位はポップスバンドFTISLAND「Polar Star」がそれぞれランクイン。BOYFRIENDは、所属がビーイングということでも話題に。軽快な正統派アイドルポップス。初動3万7千枚は、デビュー作だった前作「Be my shine~君を離さない~」の5万4千枚からダウン。FTISLANDは、90年代の正統派J-POPという感じのポップスロック路線。初動は前作「TOP SECRET」の3万4千枚から3万7千枚にアップ。ここ数作、3万9千枚→2万8千枚→3万4千枚→3万7千枚と推移しており、このあたりの水準に落ち着いた感じか?

以下、初登場曲が続きます。5位は、SAKEROCKとしての活動や、俳優としても活躍している星野源「知らない」が入ってきました。暖かい雰囲気のバラードナンバー。初動売上は2万6千枚で、前作「夢の外へ」の2万5千枚から若干アップ。

6位はハロプロ系アイドルグループ、スマイレージ「寒いね。」がランクイン。マイナーコード主体の昔ながらのアイドルソングにエレクトロなアレンジは、前作に引き続き。初動売上1万9千枚は、前作「好きよ、純情反抗期」の2万2千枚よりダウン。前々作「ドットビキニ」の初動2万枚の水準に戻りました。

7位は、ファッションモデルなどで活躍する春奈るな「Overfly」がランクイン。これがデビュー2作目で、初のベスト10ヒット。初動売上1万8千枚は、13位だった前作「空は高く風は歌う」の1万枚からアップ。爽快感とスケール感のあるポップソングになっています。

最後10位には、EXILEの事務所からデビューした女性グループFLOWER「恋人がサンタクロース」がランクイン。ご存知、ユーミンのヒット曲のカバー。カラオケレベルの平凡なカバー・・・。初動売上は1万3千枚で、13位だった前作「forget-me-not~ワスレナグサ~」の1万枚よりアップ。デビューシングル「Still」以来のベスト10ヒットとなりました。


今週は、アルバム初登場が少なめだったので、アルバムチャートも同時に。

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

 

今週1位は、やはり圧倒的な強さです。

今週1位は、Mr.Childrenのニューアルバム「[(an imitation) blood orange]」が獲得。今年は既に2枚のベスト盤をリリースし、大ヒットを記録した彼らですが、それに続いて、なんとオリジナルまで発売。ファンにとってはうれしい1年になりました。初動売上は53万枚で、前作「SENSE」の50万1千枚よりもアップ。直近のベスト盤「2005-2010<macro>」の73万1千枚からは大きく下回りましたが、それは仕方ないでしょう。ただ、前々作「SUPERMARKET FANTASY」の初動70万1千枚を考えると、もうちょっとがんばってほしかった気もしますが・・・。

2位は、先週1位だった松任谷由実「日本の恋と、ユーミンと。」がワンランクダウンながらも2位をキープしています。

3位は初登場。韓国の女性アイドルグループ少女時代「GIRL'S GENERATIONII~Girls&Peace~」が入ってきています。シングルでは苦戦気味の彼女たち。アルバムも、初動11万6千枚で、まだまだ韓流の中では強い方とはいえ、前作「GIRL'S GENERATION」の23万2千枚から半減以下という厳しい結果に。先週も書いた通り、浮動層を取り込んだK-POPのミュージシャンの人気が急激に落ち込んでいる模様。

続いて4位以下の初登場ですが、まず4位にUVERworld「THE ONE」がランクインです。初動売上9万5千枚は、前作「LIFE 6 SENSE」から横バイ。安定した人気を保っていますが、高水準となったチャートの影響で、デビューアルバム「Timeless」以来6作ぶりのベスト3落ちとなってしまいました。

5位には男性R&Bシンガー清水翔太「MELODY」が入ってきました。初動売上2万8千枚は、前作「Naturally」の1万8千枚からアップ。ここ最近、急減傾向が続いていましたが、下げ止まったばかりか、大幅に回復し、人気のほどを見せつけています。

初登場最後は8位。鷺巣詩郎「Shiro SAGISU Music from“EVABGELION 3.0”YOU CAN(NOT)REDO.」がランクイン。こちら、タイトル通り、映画「エヴァンゲリヲン新劇場版:Q」で使用されている楽曲を収録したアルバム。ただ、残念ながら主題歌宇多田ヒカルの「桜流し」は収録されていませんが。アニメ系のベスト10入りは珍しくなくなった昨今ですが、お茶の間レベルまで少なくとも名前は知られているようなエヴァンゲリヲンのサントラ盤の割りには、思ったほど伸びなかった感じも。

そんな訳で、今週のチャート評は以上。来週はまた、シングルは水曜日、アルバムは木曜日に更新予定です。

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2012年12月 4日 (火)

イギリスの国民的バンド

Title:The 2nd Law(邦題 ザ・セカンド・ロウ~熱力学第二法則)
Musician:MUSE

すっかりイギリスを代表する大物バンドの一員となったMUSEの最新作。今回も、当然のようにイギリスのアルバムチャートで1位を獲得し、4作連続の1位。アメリカビルボードでも2位という、好セールスを記録しています。

また、先日行われたロンドンオリンピックでは、メンバーも聖火ランナーとして参加。このアルバムにも収録されている「SURVIVAL」はロンドンオリンピック公式テーマソングにも採用されたとか。まさに名実共に、イギリスの国民的バンドとなっています。

MUSEといえば、ストリングスなども大胆に導入し、ダイナミックなサウンドを展開するのが大きな特徴。今回のアルバムも、1曲目「SUPREMACY」では、ヘヴィーでドラマチックなギターサウンドからスタート。まさにMUSEらしい出だしとなっています。

この曲に限らず、そのロンドン五輪テーマソングの「SURVIVAL」といい、ストリングスを導入した「EXPLORERS」といい、彼ららしいダイナミックなサウンドの楽曲が多く収録されており、ファンとしては、満足のいく構成だったのではないでしょうか。

ただ、その一方で、様々なジャンルの曲にも挑戦していたのが今回のアルバムのひとつの特徴。例えば「MADNESS」はダブステップの要素を導入し、ファンを驚かせたりもしていますし、「PANIC STATION」ではファンキーなリズムが展開。「THE 2ND LAW:UNSUSTAINABLE」は、彼ららしいドラマチックな曲といえ、今風のエレクトロサウンドを入れていたりして、新たな方向性の模索も感じられます。

ま、とはいえ、全体的には、いつものMUSEのイメージの枠組みを越えることはなく、ファンならば満足のいく内容だったのではないでしょうか。もっとも、個人的には、やはりこのいろいろな音を詰め込んだ、プログレを彷彿させるようなドラマチックなアレンジは、少々苦手かも・・・。

評価:★★★★

MUSE 過去の作品
The Resistance

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2012年12月 3日 (月)

郷愁感誘う

Title:LA BELLE EPOQUE VOLUME2(邦題 ラ・ベル・エポック 第2集)
Musician:ORCHESTRA BAOBAB

さて、今回紹介するのは、アフリカはセネガルの代表的なミュージシャン、オーケストラ・バオバブです。

オーケストラ・バオバブは、1970年、セネガルで活躍していた老舗バンド「スター・バンド・ド・ダガール」を脱退したメンバーによって結成されたバンド。「バオバブ」という、いかにもアフリカ的な名前は、その時、メンバーが在籍していた専属クラブの名前から取られたそうです。

60年代のセネガルの音楽シーンは、ラテン音楽一色。彼らが以前所属していた「スター・バンド」もそんなラテン音楽のバンドだったそうです。彼らもそんなラテン音楽やキューバ音楽の影響を強く受けながらも、西アフリカの伝統音楽の要素を加えて、独自の音楽性を確立していきます。その音楽性は、後にアフリカを代表する人気ミュージシャンとなるユッスー・ンドゥールにも大きな影響を与えたそうです。(ユッス・ンドゥールは、日本でも坂本龍一やドリカムの曲に参加したことがあり、また、ホンダ「Step Wagon」のCMで、ビートルズの「オブラディ・オブラダ」のカバーを歌っていたこともあります。)

70年代に一世を風靡した彼らですが、80年代になると新しい音楽であるンバラの台頭などもあり、徐々に人気を低迷。最後は、ンバラを取り入れようとするメンバーと、あくまでもラテンにこだわるメンバーが対立し、87年に解散してしまいます。しかし、99年ころから再結成に向けて動き出し、2002年には久々のアルバムをリリース。2007年にはもう1枚アルバムをリリースし、現在に至っています。(ちなみに彼ら、再結成後の2003年に、今年、私も足を運んだ、富山・南砺市のワールド・ミュージックのイベント「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」にも参加しています)

このアルバムは、そんな彼らの初期作品集とも言える作品。「ラ・ベル・エポック」というのは、「黄金時代」という意味なのですが、彼らの黄金時代ともいえる、70年代の録音が収録されています。ただ、「初期作品集」とはいえ、結成の段階で、既にプロの集団だった彼ら。既に、半ば完成された彼らの世界を聴くことが出来ます。

上にも書いた通り、基本的にはラテン音楽をそのスタート地点としている彼らの音楽。そのため、このアルバムに収録されている曲も、ラテンの色合いが濃く、とても哀愁あふれるナンバーが並んでいます。特に1枚目に収録されている「サマ・ホル・ブル・デム」などは、垢抜けたサウンドとメロディーは、アフリカ音楽に縁がない方でもなじみやすいかも。どこか郷愁を誘うメロディーは意外と日本人好みのような感じもします。この曲に限らず、例えば2枚目の冒頭を飾る「ンジャイ」などもそうでしたが、どこか憂いをひめたナンバーは、日本人にとっても懐かしさを感じるかもしれません。

また、「カブラル」などは、アフリカ音楽というよりも、南洋の楽園で流れてきそうなナンバー。結構垢抜けた雰囲気の曲も多く、アフリカ音楽のイメージとは異なる印象を受ける方も少なくないかもしれません。

ただ、それだけで、単なる「ラテン系バンド」として終わってしまわないところが大きな魅力。典型的なのは2枚目に収録されていた「ケレン・カティ・レーン」まさにジェイムズ・ブラウン風のファンキーなリズムに、これぞブラックパワー!と心ウキウキ躍りだしたくなるナンバーになっています。他にも最後を飾る「リマレ・ンジャイ」など、アフリカの空気を感じられる曲があちらこちらに。そういう意味では、彼らの大きな特徴である、ラテン音楽と西アフリカの伝統音楽の融合が、このアルバムでも強く感じられますし、この独自性こそが、大きな魅力に感じられます。

70年代の初期作品集とはいえ、決してマニア向けの初期ベストという訳ではなく、むしろ「黄金時代」というタイトルにふわさしいベスト的な内容だったと思います。郷愁感誘うメロディーは、「ワールドミュージック」という枠組みを超えて意外と聴きやすいかも?ちなみに、一般的には82年のセッションの模様を収めた「PIRATES CHIOCE」というアルバムが、名盤としてよく紹介されているので、興味ある方はそちらから入るのがお薦めかも?

評価:★★★★★

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2012年12月 2日 (日)

でっかい でっかい 夢を見よう!!!

Title:24HOURS DREAMERS ONLY!
Musician:N'夙川BOYS

いやぁ、完全にはまりました!N'夙川BOYSの最新作、楽しすぎます!!

もともと、「モテキ的音楽のススメ映画盤」ではじめて聴いた音源「物語はちと?不安定 」がはまり、その後、アルバム「PLANET MAGIC」を聴いて、その時もはまりました。その後リリースされた最新アルバム。「PLANET MAGIC」があれだけ良かったアルバムだったので、それに比べると、はたしてどうなんだろう・・・という不安半分、期待半分で聴いてみたのですが・・・これが、期待を大きく上回る傑作でした!

彼らの作品の大きなポイントは、無条件で聴いていて楽しい!という点。軽快なバンドサウンドに、飛びぬけてキュートでポップなメロディーラインはインパクト大。特にメロディーラインに関しては、キャッチーなフレーズが印象に残るのですが、「路地裏BE-POP」みたいに、ちょっと90年代的な要素が入っていたりして、どこか懐かしさという要素も入ってるようにも感じました。

また、紅一点リンダdadaのキュートな歌声も彼らの曲がポップである大きな要素。一方では、もうひとりのボーカリスト、マーヤLOVEなロッキンなボーカルとの掛け合いのバランスが非常におもしろいものとなっています。

この2人の掛け合いが、時として、デゥエットソングみたいな「男女の掛け合い」というポピュラリティーを与えているだけではなく、例えば「24hour」では、2人同時に全く違うフレーズの全く違う歌詞のパートを歌うといった、スリリングな展開があったりして、単なる計算されたポップソングとは異なる、ロックンロールらしい緊張感を生み出したりもしています。

ロックンロールらしい緊張感といえば、そのバンドサウンドもそう。ベースが入ったり、シンセが入ったりする曲もありますが、基本的に、ギター×2+ドラムスという、ベースレスな編成。ベースレスというと、メンバーが所属しているKING BROTHERSのかつての編成や、WHITE STRIPES、今のチャットモンチーと同じですが、それらのバンドと同様、ギターとドラムだけというシンプルなサウンドだからこそ生まれる緊張感が、これまた曲をロックなものとして仕上げています。

つまり、ロックンロールの迫力と、ポップスとしてのワクワク感を同時に詰め込んでいる彼ら。ただ、もともとロックンロールというのは、リスナーを楽しませ、踊らせるための音楽で、そういう意味では、ロックンロールの本質に立ち返ったようなバンド、ともいえるかもしれません。14曲入りながらも、わずか45分という長さも、ちょうどよい!いやぁ、かなりはまってしまいました。前作に引き続きの大傑作です。

評価:★★★★★

N'夙川BOYS 過去の作品
PLANET MAGIC


ほかに聴いたアルバム

STRIPE PANTHER/SHERBETS

ベンジー率いるSHERBETSの新作。正直、ここ最近、ほとんど期待していなくて、それでも一応聴いてしまうのですが・・・やはり予想通り(?)いまひとつな出来。バンド色は薄めですが、かといってアレンジがユニークな訳でもなく、メロも良いわけではなく、似たような雰囲気の曲が並んでいます。ベンジーって、結局、こういうタイプの曲しか出来ないんだよなぁ・・・ならば、たとえ駄作で終わっても、ガラリと雰囲気が異なる曲を作ったほうがおもしろいと思うんだけどなぁ・・・。

評価:★★★

SHERBETS 過去の作品
MIRACLE
GOD
MAD DISCO
FREE

ランドマーク/ASIAN KUNG-FU GENERATION

アジカンの2年ぶりとなる新作は、全体的にミディアムテンポな曲が目立つ作品に。特に前半に関しては、ちょっとアジカンっぽさの薄いアレンジの曲もあったりするのですが、後半に行くと、アジカンらしい分厚いバンドサウンドのパワーポップが並びます。安定感があり、安心して聴けるアルバムになっている一方、かつての勢いがちょっと薄れ気味?

評価:★★★★

ASIAN KUNG-FU GENERATION 過去の作品
ワールドワールドワールド
未だ見ぬ明日に
サーフ ブンガク カマクラ
マジックディスク
BEST HIT AKG

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2012年12月 1日 (土)

大傑作「圏内の歌」収録の新作

Title:リトルメロディ
Musician:七尾旅人

「天才」。いままでの七尾旅人に、メディアなどで多く用いられてきた枕詞です。確かに、類まれなるメロディーラインを書く反面、アレンジは実験性の高い作風の曲が多く、ポップスシンガーとして孤高の存在、というイメージも強いシンガーでした。まあ、口悪く言ってしまえば、いい意味でも悪い意味でも、「評論家受け」しそうなシンガー、ともいえるのですが・・・。

ただ、デビュー当初から彼の作品を聴いているのですが、確かに高い評価を受ける理由は納得がいくものの、彼のアルバムに関しては、はまることはありませんでした。

あまりに実験性の高い楽曲は、ある種「暴走」すらしているように感じられ、ところどころ感じられる、彼のメロディーセンスの良さに、それなりに楽しめるものの、実験性の高い楽曲に関しては、聴いていて辛くなってくるような曲もチラホラ。アルバム単位では、どうも首をかしげたくなるような作品が続いていました。

ただ、そのイメージが大きく変ったのは、昨年足を運んだライブ、「Our Favorite Things」での彼のステージ。前作「billion voices」でも、実験的な作風よりもポップな曲が増えてきた印象があったのですが、ライブでは、基本的にメロディーと歌詞を聴かせる歌モノがメインのステージで、その天才的なメロディーセンスに、あらためて彼の実力を再認識しました。また、「孤高の存在」というイメージからかけはなれた、ユーモラスなMCもまた、彼に対する見方を大きく変えた要因だったのですが(笑)。

で、その時に非常に印象に残ったのが、「圏内の歌」という曲。福島原発事故について歌った曲なのですが、

「離れられない 愛する町」

と歌いながらも、一方では

「子供たちだけでも どこか遠くへ 逃したい」
(斜字は「圏内の歌」より 作詞 七尾旅人)

と切実に歌うこの曲は、まさに被災者の心境をあまりにもストレートに歌った曲で、非常に心うたれました。

そしてその「圏内の歌」が収録されている今回のアルバム。それだけに期待半分不安半分で聴いてみたアルバムなのですが、いままでの七尾旅人のアルバムの中で、はじめてはまったアルバムになりました!

今回のアルバムは、「リトルメロディ」というタイトルの通り、シンプルなメロディーラインを前面に押し出したような曲がメイン。アコースティックなアレンジに、彼のメロディーセンスの良さが光る作品がズラリと並んでいました。

そのシンプルなメロディーの曲も、例えば「サーカスナイト」のような、ソウルの影響を強く感じるような作風が多く、これがまた、彼のちょっとしゃがれたようなボーカルにピッタリマッチ。個人的には、かなり壺にはまる曲が多かったように思います。

また、難解そうなアレンジの曲でも「アブラカダブラ」のようにメロディーがあくまでも主軸になっている曲が多く、タブラをつかった独特のリズムという、「実験的な要素」も含め、ポップに楽しめる曲が多く収録されていました

いままでの七尾旅人のマイナス面が全面的に払拭され、プラス面だけが強調されたような作品で、非常に素晴らしい作品。今年を代表する傑作の1枚だと思います。いままで、難解さから、彼を少々敬遠していた方にも是非ともお薦めしたいポップスアルバムの傑作だと思います。

評価:★★★★★

七尾旅人 過去の作品
billion voices


ほかに聴いたアルバム

荒野の呼び声-東京録音-/矢野顕子

矢野顕子のライブベスト。本人の曲はもちろん、カバー曲も多く収録されているのですが、それがまた「すばらしい日々」のようなユニコーンの曲からツェッペリンの「Whole Lotta Love」やら、「ウナ・セラ・ディ東京」やら、まさにバラバラな作風ながらも、フェイクをいかしつつ、ジャジーに仕上げるアレンジもあり、全曲、完全に矢野顕子色に染め上げているのはさすが。楽曲自体の魅力以上に、矢野顕子というボーカリストの魅力に圧倒されるライブ盤。さすがです。

評価:★★★★★

矢野顕子 過去の作品
akiko
音楽堂

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