90年代はよかった・・・ということもないですよ?
ある世代の人にとっては、驚きを感じるようなオムニバスアルバムがリリースされました。
Title:MILLION~BEST OF 90's J-POP~BLUE
Tilte:MILLION~BEST OF 90's J-POP~RED
なんと、90年代に一大ブームを作り出し、チャートを席巻したビーイング系とavex系のコラボによるコンピ。今の世代で言えば、ハロプロ系とAKB系が組んで、コンピをリリースするような感覚でしょうか?なんか、20年後くらいにそういうアルバムもリリースされそうですが・・・(^^;;
正直言うと、ビーイング系もavex系も音楽的には典型的な「商業音楽」で、音楽的な評価は決して高いわけではありません。個人的にも、特にビーイング系は、リアルタイムでは、似たような曲ばかりの陳腐なジャンルというイメージで、積極的には聴いていませんでした。ただ、それから20年近くが経ち、思い出補正も入り、今から聴いてみたら印象も違うかも?という期待もあり、懐かしさもあり聴いてみた訳ですが・・・
うーん、率直な感想、ビーイング系に関しては、予想していた以上に厳しかった(苦笑)。特に、ZYYGだのFIELD OF VIEWだのビーイング系ブームになってから、雨後の竹の子のようにデビューしてきた連中。とってつけたようなサビに、おまけのようなAメロ、Bメロ。「翼広げ過ぎ 瞳閉じすぎ」などと揶揄されるような、紋切り型の歌詞のさきがけになったような、主人公の顔が全く見えない歌詞。申し訳程度になっているだけのアレンジ。なぜあれだけ売れたのが、今から聴くと、不思議にすら感じてしまいます。
ただ、当時、ほとんど無視していたけど、今から聴くと意外と悪くなかったのが大黒摩季で、「ら・ら・ら」なんかは、ビーイング系では珍しく、顔の見える主人公をすえた、リアリティーを感じる歌詞で、メロもなかなか良いし、おや、意外と名曲かも、と思ってしまいました。
一方、もうひとつの主軸となっているのがavex系・・・というよりも、こちらも一世を風靡した小室系。こちらは、個人的にTMや渡辺美里のファンということもあり、甘い見方になってしまうのですが、やはり全盛期の曲は、勢いもあり、いいなぁ、と感じてしまいます(笑)。
特に、この時期の小室系に特徴的なのが、時代を先取りするような今風のサウンドを取り込んでいながら、非常にベタなポップにまとめている点。典型的なのがH Jungle with tの「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」でしょうか。ジャングルという、その当時、先端を行くようなクラブ系の音を取り入れながらも、それを人気コメディアンに歌わせ、かつ、大ヒットできるようなポップに落とし込んでいるのは見事。もっとも、こういう手法が、音楽ファンの反感を買ったのも事実ですが、J-POPの音楽の幅を広げたのもまた事実だと思います。
まあ、とはいうものの、このコンピ、全体的には、思い出補正が入っていないと、あまりお薦めできないアルバム。ここ最近、アイドルやK-POPに占拠されたチャートと比べて、90年代はよかった的な意見が少なくありませんが、90年代も、ヒットチャート王道系は、今と比べて、そんなによかったとは思いませんよ?確かに、ミリオン連発で、シーン全体にいろいろな意味で余裕があったのは事実ですが・・・。
評価:
BLUE ★★★
RED ★★★
ほかに聴いたアルバム
新造ライヴレーションズ/MONOBRIGHT
個人的な予想通り、10月からの国内ツアーを最後に、ヒダカトオルと「離婚」することになったMONOBRIGHTの最新アルバム。まあ、当初から「離婚」ありきの加入だとは思っていたのですが、それにしても、ちょっと早かったような・・・。
今回のアルバム、ひとつユニークな試みがあり、それは全編新曲のオリジナルアルバムでありながら、ファンを前にしたライブでの演奏を収録した「ライブアルバム」であるという点。そのため、観客の歓声も作品の一部となっています。
楽曲に関しては、「SHOUT TO THE TOP」などはちょっとヒダカトオルっぽいなぁ、と感じるものの、全体的にはあまりヒダカトオル色は強くありません。メンバーとして、いい感じでMONOBRIGHTの中に溶け込んだ感じでしょうか。ライブレコーディングならではの緊張感があり、特に序盤に関しては、文句のない出来になっています。ただ、その勢いが中盤以降ではちょっと失速。悪くはないけど、MONOBRIGHTとしての個性があまり感じられず、ちょっと物足りなさも感じる結末になってしまいました。ライブレコーディングが上手く作用はしているけど、惜しさも感じるアルバムでした。
評価:★★★★
MONOBRIGHT 過去の作品
monobright one
monobright two
adventure
淫ビテーションe.p.
ACME
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