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2012年11月16日 (金)

勝負の2枚目

Title:Come of Age
Musician:THE VACCINES

前作「WHAT DID YOU EXPECT FROM THE VACCINES?」リリース時は、期待の王道UKギターロックバンドとして、日本の雑誌でも大きく取り上げられ、イギリスのアルバムチャートでも最高位4位というヒットを記録した彼ら。ただ、この手のバンドは、毎年のように1組2組大きく取り上げられ、最初のアルバムはヒットするものの、その後は尻つぼみに消えていってしまう、というケースが少なくありません。

そんな訳でも、2枚目のアルバムというのは、その動向が大きく注目されるのですが、彼らの2作目となる本作は、なんとイギリスのアルバムチャートで、1位を獲得。前作を上回る記録に、少なくとも売上という側面では、ハイプという風評を吹き飛ばす結果を記録しています。

そして肝心のアルバムの中身の方ですが、まず1曲目「NO HOPE」から、王道ともいえるオルタナ系の軽快でギターロックからスタート。奇をてらわないサウンドと、ポップなメロディーが心地よいナンバーで、期待どおりの滑り出しといった感じ。続く「I ALWAYS KNEW」は、ちょっと切ないメロが日本人好みしそう?

メロディーは、全体的にちょっと70年代あたりのギターロックを思い出させそう。メロディーと歌詞主体のシンプルな構成に、キュートでポップ、かつどこか哀愁を感じさせるサウンドは、ノスタルジックな感情も感じます。「ALL IN VAIN」あたりは、ちょっとフォーキーな雰囲気さえ感じたりして。「I WISH I WAS A GIRL」あたりは、むしろ60年代、マージービートの頃のギターロックかも?

他にも、「AFTERSHAVE OCEAN」みたいにTEENAGE FANCLUBっぽいギタポナンバーがあったり、「BAD MOOD」みたいなガレージっぽいナンバーもあったり、それなりにバリエーションもあり、楽しめる展開に。わずか40分弱という長さも、ポップアルバムとしてはだれずに一気に、何度も聴ける内容なのが良し。ある意味、ギターロック好きには安心して薦められるアルバムだと思います。

ただ一方で、全体としては無難という印象も。メロディーは確かにポップで聴き応えあるものの、「美メロ」としてそれだけで売れるほどではないし、バンドサウンドも普通。よくも悪くも無難という印象があり、イギリスのロックシーンの次を切り開く、といった感じではないような。

もっとも、いいアルバムだとは思うので、UKロック好きはとりあえず聴いておきたい1枚。次回作も楽しみです。

評価:★★★★

さて、そんな彼らが、今年8月、カバー曲を収録したEPを無料ダウンロードでリリースして話題となりました。

Title:Please Please Do Not Disturb EP
Musician:THE VACCINES

Ppdnd

全4曲入りで、カバーしているのはNick Lowe、WIRE、ABBA、Jonathan Richmanの4組。いずれもアコースティックギターのみの演奏で、しんみりと聴かせるカバーに。彼らのルーツを感じる内容になっているのですが、ロック勢に混じって、ABBAがカバーされているあたり、あのポップなメロディーの源泉はここなんだなぁ、と感じてしまいます。

ちなみに、ダウンロードはこちらのサイトから。まだ、ダウンロードは可能みたいなので、興味ある方は、お早めに。

評価:★★★★

THE VACCINES 過去の作品
WHAT DID YOU EXPECT FROM THE VACCINES?

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