勝負の2枚目
Title:Come of Age
Musician:THE VACCINES
前作「WHAT DID YOU EXPECT FROM THE VACCINES?」リリース時は、期待の王道UKギターロックバンドとして、日本の雑誌でも大きく取り上げられ、イギリスのアルバムチャートでも最高位4位というヒットを記録した彼ら。ただ、この手のバンドは、毎年のように1組2組大きく取り上げられ、最初のアルバムはヒットするものの、その後は尻つぼみに消えていってしまう、というケースが少なくありません。
そんな訳でも、2枚目のアルバムというのは、その動向が大きく注目されるのですが、彼らの2作目となる本作は、なんとイギリスのアルバムチャートで、1位を獲得。前作を上回る記録に、少なくとも売上という側面では、ハイプという風評を吹き飛ばす結果を記録しています。
そして肝心のアルバムの中身の方ですが、まず1曲目「NO HOPE」から、王道ともいえるオルタナ系の軽快でギターロックからスタート。奇をてらわないサウンドと、ポップなメロディーが心地よいナンバーで、期待どおりの滑り出しといった感じ。続く「I ALWAYS KNEW」は、ちょっと切ないメロが日本人好みしそう?
メロディーは、全体的にちょっと70年代あたりのギターロックを思い出させそう。メロディーと歌詞主体のシンプルな構成に、キュートでポップ、かつどこか哀愁を感じさせるサウンドは、ノスタルジックな感情も感じます。「ALL IN VAIN」あたりは、ちょっとフォーキーな雰囲気さえ感じたりして。「I WISH I WAS A GIRL」あたりは、むしろ60年代、マージービートの頃のギターロックかも?
他にも、「AFTERSHAVE OCEAN」みたいにTEENAGE FANCLUBっぽいギタポナンバーがあったり、「BAD MOOD」みたいなガレージっぽいナンバーもあったり、それなりにバリエーションもあり、楽しめる展開に。わずか40分弱という長さも、ポップアルバムとしてはだれずに一気に、何度も聴ける内容なのが良し。ある意味、ギターロック好きには安心して薦められるアルバムだと思います。
ただ一方で、全体としては無難という印象も。メロディーは確かにポップで聴き応えあるものの、「美メロ」としてそれだけで売れるほどではないし、バンドサウンドも普通。よくも悪くも無難という印象があり、イギリスのロックシーンの次を切り開く、といった感じではないような。
もっとも、いいアルバムだとは思うので、UKロック好きはとりあえず聴いておきたい1枚。次回作も楽しみです。
評価:★★★★
さて、そんな彼らが、今年8月、カバー曲を収録したEPを無料ダウンロードでリリースして話題となりました。
Title:Please Please Do Not Disturb EP
Musician:THE VACCINES
ちなみに、ダウンロードはこちらのサイトから。まだ、ダウンロードは可能みたいなので、興味ある方は、お早めに。
評価:★★★★
THE VACCINES 過去の作品
WHAT DID YOU EXPECT FROM THE VACCINES?
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