暖かい人柄を感じさせるアルバム
Title:NEW FACE
Musician:トータス松本
トータス松本のニューアルバムは、なんと豪華2枚組というボリューム。2枚のアルバムは、それぞれDISC1がTORTOISE SIDE、DISC2がATSUSHI SIDEと名づけられており、それぞれがトータス松本というミュージシャンの異なる側面を映し出した内容になっています。
TORTOISE SIDEは、タイトルからして楽しくなってくる「笑ってみ」や、なれなれしいけどどこか憎めない、大阪のオッサンの会話をそのまま歌にした「大阪のオッサンブギ」(楽曲的には、完全に「河内のオッサンの歌」なんですが)など、聴いているだけで楽しくなってくるようなエンターテイメント性あふれるナンバーがつまっています。
一方、ATSUSHI SIDEは、彼の本名松本敦の名前を名乗るとおり、身近なテーマを歌い上げたり、リスナーの背中を押してくれるような、そんな曲が多く、トータス松本本人のパーソナリティーが前に出ているような曲がつまっています。
ただ、どちらの曲にも共通するのが、その歌詞には、どこか暖かさと優しさがつまっているという点。またベタな片想いな描写が胸をうつ「好きだと言え」だったり、ドラマ主題歌にもなった「ブランコ」だったり、切ないラブソングが多く、印象に残りました。特に「ATSUSHI SIDE」が、彼本人の個性を反映したものではあるのですが、「TORTOISE SIDE」にも共通して、アルバム全体、トータス松本の暖かい人柄が感じられました。
トータス松本の人柄、といえば、楽曲の面でもそれを強く感じます。今年2月、アメリカのソウルシンガー、サム・クックの名盤「TWISTIN' THE NIGHT AWAY」をそのままカバーして、サム・クックへの深い愛情を感じさせてくれましたが、このアルバムでもソウルやロックンロールへの愛情を深く感じる曲が並んでいます。
「チェンジ」みたいなロックンロールナンバーや、「バババーン」みたいな、ユーモラスだけどソウルフルなナンバー、他にも「知りたーい」にしろ「ひとりになればわかること」にしろ、特にソウルミュージックへの愛情あふれるナンバーが並んでいます。他にも、「あっというまっ!」は、大滝詠一直系のシティポップなんかもあったりして。
そんなルーツ志向な、音楽への愛情がいっぱいつまったアルバムに仕上がっていたアルバム。2枚組というボリュームながらも、バラティーある楽曲に、聴かせる歌詞、そして、楽曲から伝わってくるトータス松本というミュージシャンの人柄から、アルバムに聴きほれてしまい、あっという間に聴けてしまう傑作でした。
評価:★★★★★
トータス松本 過去の作品
FIRST
マイウェイ ハイウェイ
TWISTIN' THE NIGHT AWAY
ほかに聴いたアルバム
LOUD&PEACE/Dragon Ash
Dragon Ashのベスト盤は、彼らの楽曲を、ヘヴィーな楽曲とメロウな楽曲にわけ、「LOUD DISC」と「PEACE DISC」の2枚のCDにおさめたアルバム。そのため、企画盤的な要素も強く、初心者向けという感じは薄いかも。
で、あらためて彼らの代表曲を聴いてみると、パンクからはじまりHIP HOP、ラップメタル、さらに最近のラテンまで、様々なジャンルに手を広げつつも、正直、どれも中途半端な感も否めません。ただ、どんなジャンルの曲も、その要素を上手く取り入れて、ポップにまとめあげているという点、才能を感じさせます。彼らは、全く新しい音を作り出す独創的な「アーティスト」というよりも、世の中にある「音」を上手く広い層に理解できるように解釈する、解釈者みたいな側面が強いのかも。
評価:★★★★★
Dragon Ash 過去の作品
The Best of Dragon Ash with Changes Vol.1
The Best of Dragon Ash with Changes Vol.2
FREEDOM
MIXTURE
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コメント
>他にも、「あっというまっ!」は、大滝詠一直系のシティポップなんかもあったりして。
えっ、この曲いわゆるシティポップなんですか。どうも、そう言うジャンル訳は疎くて。ちなみにこの曲はEテレ「みいつけた!」のエンディングで使われている曲です。「みいつけた!」はスキマが、曲提供したり、結構シブいところを突いてくるんだなぁ。
投稿: | 2012年11月17日 (土) 23時24分
こんにちは。書き込みありがとうございます。書き込みは、ハンドルネームも記載していただければと思います。
>Eテレ「みいつけた!」
子供むき番組なのに、トータスにスキマスイッチとはなかなか渋いですね~。ただ、NHKって、「みんなのうた」とか、たまにいい意味で「えっ?」思う人選があったりするんですよね~。
投稿: ゆういち | 2012年11月24日 (土) 22時42分
上のコメントは僕です。名前が抜けていたようで申しわけありません。NHKの教育番組は子ども向けの中に明らかにその後ろにいる親を対象にしたネタをしこんでいることがあります。
投稿: げどー | 2012年11月26日 (月) 10時26分
>げどーさん
おや、げどーさんの書き込みでしたか。書き込みありがとうございます。
確かに、NHK教育って、子ども向けながらも、なかなかおもしろいミュージシャンを使っていたりするんですよね。「みんなのうた」でもおもしろい曲があったり、「ピタゴラスイッチ」も栗コーダーカルテットだったり・・・。
投稿: ゆういち | 2012年12月 2日 (日) 21時55分