ポップス職人の全キャリア集大成
Title:OPUS~ALL TIME BEST 1975-2012~
Musician:山下達郎
日本を代表するポップスミュージシャン、山下達郎の、全キャリアを通じての代表曲を網羅したベスト盤。デビュー○周年とかではないこのタイミングでのベスト盤発売は、CDというパッケージの市場がきちんと機能しているうちにリリースしようという意図だったという点が、なんとなく、彼らしいなぁ、ということを感じます。
今回のアルバムは全3枚組。さらには初回盤には、レア音源を収録したボーナスディスク付。ちょっとうれしいのは、ボーナスディスクまで含めて1曲1曲に、簡単ではあるものの、曲に対する山下達郎本人のコメントがついている点。これを読んでいるだけでなかなか楽しいのですが、印象的だったのが、おそらく彼の曲の中では一番有名であろう「クリスマス・イブ」に対するコメントが「すべての要素がバランスよく仕上がった数曲のうちのひとつ」とベタ褒め。この手の、ミュージシャンイメージからちょっと浮いた感のあるヒット曲って、本人が嫌がりそうなケースも多い中、この曲、結構好きなので、こういうコメントなのはちょっとうれしいかも。
そして内容は・・・と言われても、もう、わざわざコメントするのもおこがましいですよね?珠玉のポップソングが並んでいます、としかいいようがない傑作そろい。ただ、このアルバムで、彼のキャリアを通して聴いてちょっと感じたのが、初期の作品が、バタ臭さもある洋楽からの影響がストレートなポップスが多いのに対して、最近の曲になればなるほど、歌謡曲的というか、日本的なフレーズが増えてきているように感じた点。ちょっといじわるな見方かもしれませんが、やはり若い頃は、粋がって、あえて歌謡曲的なものを忌避していたのを、年齢を重ねて、そういう歌謡曲的なメロディーラインも素直に取り入れるようになってきた・・・ということでしょうか。
ちなみに本編ももちろん聴き所たくさんなのですが、やはり是非とも注目したいのが、ボーナスディスクに収録されている、Kinki Kidsに収録されている「硝子の少年」のデモ・ヴォーカルバージョン。あのアイドル歌謡曲を、山下達郎本人が歌うと、どんな風になるのか?と、興味半分で聴いたのですが、山下達郎が歌うと、上質なシティーポップに大変身していて、かなりビックリ。本人の解説には「ヴォーカルの出来映えの点で問題が多々ありますが」と書かれていますが、Kinki Kids本人のヴォーカルとの、表現力の差があまりにも大きくて、Kinki Kidsヴァージョンが頭の中から消えてしまいました。初回盤を購入するか否か迷っている方もいるかもしれませんが、この曲を聴くだけでも、初回盤が購入可能ならば、初回盤を買われることをお勧めします。
まあ、日本人なら聴いとけ・・・ってのは言いすぎかもしれませんが(^^;;そうも言いたくなるようなベスト盤。傑作です。言うまでもないかもしれませんが・・・。
評価:★★★★★
山下達郎 過去の作品
Ray of Hope
ほかに聴いたアルバム
VISION/The Birthday
ギターにフジイケンジが加入し、2作目となるThe Birthdayの新作。前半は、メンバー4人だけの混じりっ気のないガレージパンクソングが続くのですが、これが文句なしにカッコいい!やはりこの手のガレージパンクにチバのボーカルがピッタリマッチしていますし、なによりバンドとしての一体感を感じられ、新メンバー、フジイケンジがしっかりThe Birthdayの一員として溶け込んでいるんだなぁ、と感じます。ただ、後半のメロディアスな路線は、若干ダレてしまった部分は否めないのですが・・・。
評価:★★★★★
The Birthday 過去の作品
TEAR DROP
MOTEL RADIO SiXTY SiX
NIGHT ON FOOL
WATCH YOUR BLINDSIDE
I'M JUST A DOG
Monster in my head/THE PREDATORS
the pillowsの山中さわお、GLAYのJIRO、ELLEGARDENの高橋宏貴によるバンド。もともと、企画バンドみたいな側面が強かったのですが、アルバムとしてはこれで4枚目。すっかりその活動が定着してきました。タイトル曲「Monster in my head」の歌詞はthe pillowsっぽさを感じますし、基本的にthe pillowsと同じく、オルタナ系のギターロックなのですが、the pillowsに比べるとヘヴィーな感じ。ただ、the pillowsに比べると、いまひとつ特色がなくて、インパクトも薄めなのがマイナス要素・・・。
評価:★★★★
THE PREDATORS 過去の作品
牙をみせろ
THIS WORLD
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コメント
>「硝子の少年」
Kinki Kids自体、歌唱力は決して低くないはずなんですが、あのライナーノーツを読んだ後に曲聞いたら、出来の凄さにビビりました。何というか、次元が違いすぎる。僕はこのデモを聴いて練習をしたKinki Kidsの心中を思うと若干気の毒になります。
まぁ、ジャニーズのデビュー曲としては別格の出来で、今でもコンサートでは必ず歌うというのがよくわかります。
投稿: げどー | 2012年11月28日 (水) 01時48分
>げどーさん
そうそう、本当に次元が違いすぎます。確かに、練習の素材としてあのデモを聴かされたら、誰でもビビリそうですね・・・。曲としては文句なしに名曲だと思いますが。
投稿: ゆういち | 2012年12月 2日 (日) 21時57分