あらためて残念に感じます・・・
Title:初恋に捧ぐ プラス
Musician:初恋の嵐
「初恋の嵐」というバンドをご存知でしょうか。2000年にアルバム「バラードコレクション」でインディーデビュー。積極的なライブ活動や、FM局によるプッシュなどもあり、徐々に音楽ファンの間で話題になっていきました。そして、2002年に待望のメジャーデビューが決定・・・した矢先、バンドのボーカル、ギター担当で、メインのソングライターだった西山達郎がわずか25歳の若さで急逝。結局、彼の死後リリースされたアルバム「初恋に捧ぐ」をメジャーからリリースし、活動休止となりました。
それから10年。このたび、その彼らのデビューアルバムにして、唯一のメジャーからの作品「初恋に捧ぐ」がリマスターされて、再発売されました。それも、未発表のスタジオライブ音源に、シングル「真夏の夜の夢」のカップリングに収録され、現在、入手困難になっている「涙の旅路」を収録したボーナスディスクをつけて。懐かしさも感じながら、もちろん聴いてみました!で、その感想なのですが・・・そのオリジナルアルバムのリリース直後の感想について、旧サイトに書いてましたが、基本的にその時と感じたことは同じだったので、そちらから引用させていただきます。
初恋の嵐というバンドは、私にとって、特別思いいれのあるバンド、というわけではありませんでした。初恋の嵐、というおもしろいバンドがいる、という話こそ、去年の夏から聞いていたのですが、音源を聴きたいなぁ、ライブを見てみたいなぁ、と、漠然と思いながら結局はじめて音源を聴いたのは、ボーカルであり作詞作曲を担当していた、西山達郎の突然の死を知った後。彼の生前に、結局ライブを見ることも、音源を聴くこともできませんでした。そして、彼の遺志を継ぐ形でリリースされた、彼らにとってメジャーデビューアルバムであり、同時に、ラストアルバムでもある今回のアルバム。メンバーの死というのは、アルバムの評価において、なんら左右すべき事象ではないでしょう。しかし、このアルバムは、よくできたアルバムではあるものの、まだまだ楽曲に未完成な部分が残るアルバムだった、という事実は、バンドにさほどの思い入れのなかった私にも、辛すぎる事実として重く感じさせざるを得ませんでした。 はっぴいえんどチルドレンとして称された彼らは、日本的なメロディアスなポップを書くバンドでした。暖かく、そして印象に残るメロディーに、とてもセンスを感じられ、また、音楽性の幅も広く、最近、数多く出てきたはっぴいえんどチルドレンの中では、1歩2歩ぬきんでた実力を持ったバンドだというのは間違いないでしょう。しかし、このアルバムの楽曲、まだまだ未熟さが多く残っていました。メロディーはとてもポップなのですが、どこかまだ垢抜けておらず、また、いまひとつ深みの足りないメロディーでした。が、その一方では、随所にメロディーメイカー、西山達郎のセンスが光っており、今後、アルバムを何枚かつくるうちに、とんでもない傑作が出来るのではないか・・・そう感じさせるアルバムでした。ある意味、スピッツの1stアルバムに似たものを感じられます。スピッツの1stも、未熟さは残るものの、随所に草野マサムネのセンスを感じられるいいアルバムでした。しかし・・・西山達郎は、スピッツの「空の飛び方」や「ハチミツ」のような傑作をつくるような実力がありながら、その機会すら与えられず、この世から去らなくてはいけませんでした。あまりにも残酷すぎる事実です。 はっきりいって、このまま埋もれさせてしまうにはあまりにも惜しいバンドであるし、アルバムであると思います。スピッツ、堂島孝平、はっぴいえんど、つじあやの、くるり・・・とにかくポップなナンバーが好きなら、是非とも聴いてほしいアルバムです。最後に・・・あらためて西山達郎氏の冥福をお祈りしたいと思います。 |
スピッツとの比較を出していますが、今回、このリマスターアルバムが発売されるきっかけのひとつが、スピッツが、アルバム「おるたな」で、彼らの「初恋に捧ぐ」をカバーしたことがきっかけだそうです。
あらためて聴いても、優れたポップバンドであることは疑う余地がないものの、諸手をあげて絶賛するには、まだ荒削りな部分もあります。ただ、それだけに、未来を嘱望されたバンドだったのですが・・・あらためて残念で仕方ありません。
アルバムがリリースされて10年。「このまま埋もれさせてしまうにはあまりにも惜しいバンド」と書いた彼らのアルバムが、あらためて注目されるというのは、やはりうれしい話。それと同時に、ここでもあらためて彼らのアルバムを紹介させていただきました。上にも書いたミュージシャンのファンの方(正直、今となると、この並びでくるりは、ちょっと違和感あるのですが・・・(^^;;)是非ともチェックしてほしいバンドです。
評価:★★★★
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