一時代を築いた名曲たち
以前、日本の戦前のジャズの曲をまとめた「ニッポン・モダンタイムス」という企画を紹介しました。その第2弾となるテーマが「シャンソン」。かつて日本でも一時代を築いたシャンソンの歌手たちのアルバムが11作、リリースされました。私は、その中でも、シャンソンの代表曲をまとめたオムニバスアルバム2作を聴いてみました。
Title:ベル・エポック~日本のシャンソン黄金時代
Title:日本シャンソンの歴史 Histoire de la chanson au Japon
こういうのも何なのですが、個人的にはシャンソンにはほとんど興味もなく、このコンピも、どちらかというと「日本歌謡史のお勉強」みたいな感覚で聴いてみました。確かに、壺にはまったような曲はありませんでしたが、ムーディーに聴かせる曲には、惹きつけられ、しんみり聴き入ってしまったのは、やはり私もそれなりに歳を取ったからでしょうか??(^^;;
基本的に、戦前のジャズをまとめた前回のシリーズと異なり、今回のシリーズは、シャンソンの黄金期をメインとしていながらも、シャンソンの歴史を俯瞰したような内容。そのため、時代は戦前、戦後問わず。特に「日本シャンソンの歴史」には、森山良子や岩崎宏美のような、今の世代にもおなじみのシンガーも名前を連ねています。
楽曲は、フランスから直輸入したような、バタ臭いナンバーもある一方、シャンソンというよりもムード歌謡曲なのでは?と思うような曲もチラホラ。こうやって「シャンソン」という枠組みで並べると、歌謡曲がシャンソンから強い影響を受けたのが明らかに感じられます。
淡谷のり子だとかディック・ミネだとか、私でも知っているような実力派のボーカルは、感情豊かで、迫力もあり、さすがだなぁ、と思いつつ、個人的に一番聴き入ったのは、クミコの「わが麗しき恋物語」。ある一組の男女の、出会いから結婚、長い人生を寄り添い、最後は「死」という別れの模様まで1曲に凝縮した歌詞が泣けます。この曲に限らず、この手の人生を凝縮させたコンテンツって、反則的に泣けるんですけどね。
正直、「シャンソン」というジャンルは、今となっては一部のファンだけが聴くような、限られたようなジャンルになってしまいましたが、それでも日本の歌謡史に大きな痕跡と影響を残したジャンル。こういう企画を機に、ちょっとチェックしてみるのもいいかもしれないですね。
評価:
ベル・エポック ★★★★
日本シャンソンの歴史 ★★★★
ニッポン・モダンタイムス 過去の作品
ニッポン・スウィングタイム
Swing Time 1928-1941
SWING GIRLS 1935-1940
Sweet Voices~ニッポンのスウィング・エラ~KING&TAIHEI collection 1934-1942
私の青空~二村定一ジャズ・ソングス(二村定一)
Empire of Jazz(ディック・ミネ)
ジャズを歌う(藤山一郎)
La Tanguista(松島詩子)
唄の世の中~岸井明ジャズ・ソングス(岸井明)
ほかに聴いたアルバム
Chasing Hope/BONNIE PINK
ギターロックから、ソウル、レゲエ風、歌謡曲風な曲まで、あいかわらずバリエーション豊富なラインナップながらも、それなりにBONNIE PINKらしさでまとめあげているのが魅力的。ずば抜けて、これといった曲がない一方、安心して聴けるアルバムかと。
評価:★★★★
BONNIE PINK 過去の作品
CHAIN
ONE
Dear Diary
Back Home-BONNIE PINK Remakes-
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