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2012年10月28日 (日)

全力疾走

Title:flowering
Musician:TK from 凛として時雨

最新アルバム「still a Sigure virgin?」でオリコンチャート1位を獲得し、名実ともに人気バンドとなった3ピースロックバンド凛として時雨のメインボーカルで、かつ、メインのライターでもあるTKによる初のソロアルバム。どうでもいいことですが、名義が「TK」ではなく、バンド名をつけているところ、単純な「TK」では小室哲哉を間違えられるからでしょうか?

そのTKのソロアルバムということで、大まかな方向性的には、凛として時雨と大きな違いはありません。ハイテンポなリズムと、印象に残るTKのファルセットボイス、そして時折出てくる、J-POP風な人なつっこいメロディー。まあ、ここらへん、基本的に凛として時雨の曲を手がけてきた彼のソロ作ということで仕方ないのかもしれません。

凛として時雨との大きな違いは、ソロであるために、3ピースに拘らない音づくりをしている点でしょうか。ピアノや打ち込み、ストリングスにアコギなどを縦横無尽に取り入れた曲調が特徴的。特に前半に関しては、爆音の中、少々暴走気味ともいえる曲づくりが耳につきます。

ただ、その少々過剰ともいえる音づくりをしている作品ながらも、次から次へと展開していく構成が実に魅力的。特に「Abnormal trick」は、爆音になったかと思えば、途中、ピアノやストリングスでふっと引かせて、かと思えば、4つ打ちのリズムが展開していったり、まさに、先の読めない展開が楽しめます。

そして終盤は一転、しんみりと聴かせるナンバーが続き、全力疾走だったアルバムの中で、まさにチルアウトという締めくくり。アルバム全体わずか40分程度の内容なのですが、特に前半、その展開で息切れしてしまっている私たちを見通すかのような見事な構成でした。

チャート1位を獲得した前作以降、新作のリリースのなかった凛として時雨ですが、11月には待望のニューシングルも発売され、当然、次の展開も期待されます。まさにその次の展開への期待が大きく膨らむような作品だったと思います。来るべく凛として時雨のニューアルバムも楽しみです!

評価:★★★★★

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