変り続ける
Title:Strange Utopia Crazy Kitchen
Musician:MO'SOME TONEBENDER
モーサムの前作「STRUGGLE」は、久々にこれは!と感じられる傑作に仕上がっていました。ここ数年の彼らは、シングル曲では傑作を産み続けたものの、アルバム単位になると、どうもしっくり来ない作品が多く、不完全燃焼の感がありました。しかし、前作「STRUGGLE」は、その時点でのモーサムの集大成ともいうべき、ヘヴィーなガレージロックが炸裂する、モーサムの魅力がたっぷりとつまった傑作になっていました。
そして、ベスト盤を挟んで、それに続くニューアルバム。当然、「STRUGGLE」の路線を続ければ、さらなる傑作が生み出されるはず。そう期待して、アルバムを聴いたのですが・・・見事に裏切られました(笑)。
イントロ的な「Door」に続く「Shining」は、百々和宏のボーカルがなんとも爽やかな、ポップス路線になっていますし、ハードコア風のギターが目立つ「communication」にしても、続くアップテンポなダンスナンバー風の「happy new year」にしても、アレンジはともかく、メロディーは至ってポップな作品になっています。
また、アレンジにしても、ノイジーでエッジの効いたガレージサウンドはあまりなく、もうちょっとパンキッシュだったり、「farewell party」ではハードロック風だったり、「bone head dandy」では、エレポップ風だったり、「ElectBoys」では今風のエレクトロダンスチューンだったり。まあ、確かに、いままでも打ち込みを取り入れた曲も多かったのですが、このアルバムでは、いつも以上に楽曲のバリエーションが多かったような印象を受けました。
正直、アルバムの出来としては、全体的にバラバラな感はいなめず、これといったキラーチューンも少なく、「傑作」という内容ではありませんでした。ただ、このアルバムで重要なのは、傑作をリリースしても、その音楽に固執することなく、あらたな方向を模索し変化し続ける、彼らのスピリットではないでしょうか。もともと、アルバム毎に、新たな方向の模索を続けた彼らのスピリットは、このアルバムでも健在でした。
また、このスピリットの下、アルバムを作り続ければ、あらたな傑作を生み出しそう、そんな予感のしたアルバムでした。
評価:★★★★
MO'SOME TONEBENDER 過去の作品
C.O.W.
SING!
youth
STRUGGLE
BEST OF WORST
ほかに聴いたアルバム
BLUE HEART/カジヒデキ
上のモーサムは、アルバム毎に変り続けるということが大きな特徴でしたが、カジヒデキに関しては全く逆。全く変らないなぁ(笑)。このアルバムのジャケットにしてもそう。彼、もう45歳になるんですが、いまだにこの短パン姿なんですよ。楽曲にしても、いつも通りの王道ネオアコ路線。自分はこれしか出来ないんだ、というある種の潔ささえ感じます。これはこれで、ひとつの覚悟として、すごいなぁ、と思います。
評価:★★★★
カジヒデキ 過去の作品
LOLIPOP
STRAWBERRIES AND CREAM
TEENS FILM(カジヒデキとリディムサウンター)
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