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2012年10月

2012年10月31日 (水)

新曲は多いが、目玉はなし

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のヒットチャートは、新譜は多いものの、目玉となる新曲はない週となりました。「チャートの谷間」・・・というには、相変わらずの新曲ラッシュなのですが・・・。

そんなチャートの谷間を縫うように1位を獲得したのが、倖田來未「Go to the top」。テレビ東京系アニメ「トータル・イクリプス」主題歌。最近は、すっかり落ち目的な印象が強くなってしまいましたが、ベスト3入りは2010年の「好きで、好きで、好きで。」以来5作ぶり、1位獲得は2009年の「Alive」以来8作ぶりとなる1位獲得となりました。初動売上5万4千枚は、前作「Love Me Back」の3万3千枚から大幅アップ。タイアップ効果などが功を奏した形ですが、楽曲も、デジロック風のビートの強いインパクトのある印象に残る曲で、純粋に楽曲の効果もあるかも。

2位はavexのアイドルグループSUPER☆GiRLS「赤い情熱」がランクイン。2位は3作目のシングル「女子力←パラダイス」と並び自己タイですが初動売上5万3千枚は、前作「プリプリ SUMMERキッス」の7万1千枚から大幅ダウン。全15種類リリースという相変わらずのドーピンクっぷりが素敵ですが、さすがにドーピング効果も薄れてきたのか?楽曲は歌謡曲風のアイドルポップd、特に特色もない感じ・・・。

3位には鬼龍院翔 from ゴールデンボンバー「Life is SHOW TIME」が入ってきています。実際にあてぶりするだけのエアーバンド、ゴールデンボンバーのボーカリストによるソロシングル。テレビ朝日系「仮面ライダーウィザード」主題歌になっています。楽曲の雰囲気はゴールデンボンバーと同じで、「エアーバンド」という設定が売りのミュージシャンだったんだから、ソロデビューしたら、単なるビジュアル系と一緒で、何ら個性もなと思うんですが。初動売上4万5千枚は、ゴールデンボンバーとしての直近作「酔わせてモヒート」の5万1千枚は下回りましたが、十分健闘といった感じ。

続いて4位以下の初登場ですが、なぜか今週は、妙にアニメ関係の曲が目立ちます。以下、アニメ関係の曲は・・・

4位 「ひかりふる」Kalafina・・・映画「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[後編]永遠の物語」主題歌
5位 「娘々FIRE!!~突撃プラネットエクスプロージョン/ヴァージンストーリー」シェリル・ノーム starring May'n,ランカ・リー=中島愛,FIRE BOMBER/FIRE BOMBER・・・映画「マクロスFB7 銀河流魂 オレノウタヲキケ!」主題歌
7位 「happy ending」花澤香菜・・・TBS系アニメ「絶園のテンペスト」主題歌
8位 「Sparkling Daydream」ZAQ・・・アニメ「中二病でも恋がしたい!」主題歌

上位から。Kalafinaは梶浦由記プロデュースのボーカルユニット。初動3万8千枚は、11位に終わった前作「moonfesta~ムーンフェスタ」の7千枚から大きくアップ。3作ぶりのベスト10入りで、シングルでは自己最高位。タイアップにより売上が大きく変動しています。5位はマクロス登場人物によるキャラクターソング。初動1万3千枚。「マクロス」関連のシングルでは直近でランカ・リー=中島愛名義の「放課後オーバーフロウ」が初動1万4千枚を記録しておりほぼ横バイ。固定ファン層が根強い印象。花澤香菜は人気声優。初動1万1千枚は前作「初恋ノオト」の1万4千枚から若干ダウン。ZAQは「ニコニコ動画」で人気を博した女性ボーカリスト。本作がデビューシングル。最後、ClariSは女性2人組のアイドルユニット。

楽曲として印象に残ったのは、花澤香菜で、ちょっと渋谷系あたりの香りもするこじゃれた雰囲気のギターポップ。なにげに耳に残ります。また、「娘々FIRE!!~突撃プラネットエクスプロージョン」も、ベタな80年代のバンドブーム時代のハードロックテイストで、かなりベタベタな作風なのが、逆にインパクトがある感じ。

で、そんな中、孤軍奮闘なのが9位初登場。ロックバンド9mm Parabellum Bullet「ハートに火をつけて」。なんか、タイトルがベタな歌謡曲風なのですが、メロディーも完全に80年代の歌謡曲風。かなり耳障りのよいポップス仕様になっています。初動売上は1万1千枚で、前作「新しい光」の1万3千枚より若干のダウンです。

そんな訳で、意外に?しぶとく先週からベスト10をキープしたのが、VAMPS主催のライブイベントから誕生した企画ユニット、HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA「HALLOWEEN PARTY」が5位をキープ。ちょうど26日から28日まで幕張メッセで、このライブイベントが行われたので、その影響でしょう。ロングヒット、とはならなさそう。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に~。

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2012年10月30日 (火)

ちょっと疲れてしまいました・・・。

Title:CENTIPEDE HZ
Musician:ANIMAL COLLECTIVE

アメリカのインディーロックの代表的なミュージシャンとして、前作「Merriweather Post Pavilion」が高い評価を受けた、ANIMAL COLLECTIVEのニューアルバム。前作は、過剰な音に塗り固められた作品ながらも、美しい雰囲気に魅了された傑作でした。

今回も、基本的に、様々なアイディアのつまったアレンジが、次から次へと登場してきます。ユーモラスだったり、時には幻想的だったり、奇妙な雰囲気すらするアレンジの中、ポップなメロディーラインが流れるという展開。まあ、ある意味、いかにもインディーっぽいといった感じなのですが・・・。

ただ、前作では大ハマリした私でしたが、正直、今回の作品については、いまひとつピンと来ませんでした。ちょっとトライバル風なリズムを楽しめる作品もあって、耳を惹きましたが、全体的に、アレンジが過剰気味に感じてしまい、その割にメロディーのポピュラリティーは低く、いまひとつピンと来ず。最後の方は、聴いていて疲れてしまいました・・・。

前作が傑作だっただけに、本作も楽しみにしていたのですが、残念・・・。次回作に期待したい、というところでしょうか?

評価:★★★

ANIMAL COLLECTIVE 過去の作品
Merriweather Post Pavilion


ほかに聴いたアルバム

亀淵昭信のロックンロール伝~16歳の僕はドーナッツ盤に恋をした

亀淵昭信といえば、個人的には、例のホリエモンによるニッポン放送の敵対的TOB騒動の時に、ニッポン放送の社長として登場し、上場企業の社長なのに、そもそも上場するって意味を理解していないの?という言動に苦笑いしてしまった、ちょっと「痛い」社長というイメージがあるのですが(^^;;ただ、ある年代以上の方にとっては、「オールナイトニッポン」の人気DJというイメージが強いらしく・・・というよりも、一般的なイメージとしてはそちらで、今は社長業も退き、「ポピュラー音楽研究家」として活動されているそうです。

そんな彼が、フリーマガジン「熱風」で、「ドーナッツ盤に恋をして、私説ロックンロール黄金史」というエッセイを連載していたそうなのですが、そちらで紹介された楽曲をまとめたオムニバス盤がこちら。「ロック史」というと、どうしてもビートルズがスタートすることが多い中、こちらで紹介されているのはビートルズ以前のロックンロールが紹介されています。

それで一番おもしろいのは、同じ曲でも、原曲と、それをカバーしたロックンロールミュージシャンの曲を並べて紹介している点。それがもたらす効果として一番わかりやすいのが、「Hound Dog」。一般的にはエルヴィス・プレスリーの曲として有名なこの曲ですが、もともとは女性ブルースシンガー、ビッグ・ママ・ソーントンの曲。それをフレディ・ベル&ベルボーイズがカバーし、さらにエルヴィスがカバーしたのですが、この3曲を並べると、ブルースらしい迫力とグルーヴのあるソーントンの原曲に、それをあっさり風味に仕上げたフレディ・ベル、その聴きやすさを残しながらも、原曲のもつグルーヴ感も生かし、黒くカバーしたエルヴィスバージョンの対比がユニーク。ブルースが、いかにしてロックンロールへとつながっていったのかがよくわかります。

ロックンロールの源流について「お勉強」するには、最適かつ、非常におもしろい企画だったと思います。ロックの歴史、ひいてはロックンロールの歴史に興味を持った方には是非。興味深い、名企画盤だと思います。

評価:★★★★★

Revelator/Tedeschi Trucks Band

現代の3大ギタリストの一人といわれるデレク・トラックスと、その奥さんで、ブルーギタリストのスーザン・テデスキを中心とするバンド、デデスキ・トラックス・バンドのデビュー作。もともと、「世界一、ギターの上手い夫婦」といわれ、ギタリストとしての腕前には定評のある2人だけあって、そのギタープレイには文句のつけようがありません。ファンクを取り入れたり、シタールを使用した楽曲もあるのですが、基本的にブルースロックが主軸となっており、ブルージーなギターの音が、たまりません!ただ、楽曲の出来には文句のつけようがないものの、やはり全体的に新鮮味にはちょっと欠ける点も・・・。

評価:★★★★

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2012年10月29日 (月)

最後にもう1枚

Title:深夜枠
Musician:東京事変

今年2月、約8年半(・・・ってそんなにやっていたんだ・・・)の活動に幕を降ろした東京事変の、シングルのカップリング曲を網羅した企画盤。「深夜枠」というタイトルから想像できるように、アニメをモチーフとしたジャケットが印象的。ちなみに、この女の子の名前は「むてきちゃん」らしいです(笑)。

東京事変の活動を振り返ると、名曲も多くリリースされ、特に後期の作品については、徐々にバンドとしての形がなりたってきたアルバムは、十分傑作というにふさわしい内容だったと思います。ただ、正直なところ、椎名林檎がソロで発売した「無罪モラトリアム」から「加爾基 精液 栗ノ花」の3枚のアルバムは、残念ながら超えられなかった感じがします。

なんでこのアルバムの感想で、わざわざそんなことを書くか、といわれると、このアルバムの収録曲も、1曲1曲はいい曲なのは間違いないのですが、アルバム全体を通して聴くと、いまひとつインパクトが薄く感じられるから。それがどうも、東京事変の活動全体と重なってしまうんですよ・・・。

とにかくバラエティー豊富で、「BB.QUEEN」のような、ヘヴィーなギターサウンドを聴かせたり、「体」のようなフィリーなソウル風ポップスを聴かせてくれたり、「落日」のようなピアノバラードを聴かせたり、様々な作風の曲を聴かせてくれます。

1曲1曲については文句ない出来の曲ばかり。まあ、全体的にまとまりはないのは、カップリング集というアルバムの性質上、仕方ないのでしょうが、突き抜けたような、例えるならばリスナーを驚かせるような作品はありません。

まあ、椎名林檎はデビュー作以降が衝撃的でしたから、どうしても・・・なんて、いまさら過去にあまりにも拘る私もどうかとはおもうのですが・・・。また、いまだに椎名林檎を主軸に語る部分、東京事変のファンからは批判を浴びそうですが・・・。ただ、このカップリング集を聴いて、あらためて東京事変に感じる煮え切らなさを思いだしてしまった、そんな1枚でした。

評価:★★★★

東京事変 過去の作品
娯楽
スポーツ
大発見
color bars
東京コレクション


ほかに聴いた作品

WIRE TRAX 1999-2012/石野卓球

WIREといえば、石野卓球がオーガナイズする国内最大級の屋内レイヴ。また、毎年、WIRE参加者の楽曲を集めたコンピレーションアルバムもリリースされます。このアルバムは、石野卓球が、WIREのコンピレーションアルバムに提供した曲を網羅。かつ、WIREの広告で流れる曲や、配信限定でリリースした曲など、WIREに関連する曲を一堂に集めたアルバムです。

WIREのコンピレーションアルバムは、ほぼ毎年聴いているのですが、毎回、石野卓球の曲は、コンピの中でもお気に入りの1曲になります。それは、彼の楽曲は、メロディーがポップで耳なじみやすいから。また、音の使い方がどことなくユニークで、耳を惹かれます。ここらへんのポピュラリティーセンスとユーモアセンスは、彼独特のもの。また、その個性があるからこそ、テクノシーンで、世界的に注目されるようなミュージシャンになったのでしょう。そんな彼の実力をあらためて実感したアルバムでした。

評価:★★★★★

石野卓球 過去の作品
CRUISE

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2012年10月28日 (日)

全力疾走

Title:flowering
Musician:TK from 凛として時雨

最新アルバム「still a Sigure virgin?」でオリコンチャート1位を獲得し、名実ともに人気バンドとなった3ピースロックバンド凛として時雨のメインボーカルで、かつ、メインのライターでもあるTKによる初のソロアルバム。どうでもいいことですが、名義が「TK」ではなく、バンド名をつけているところ、単純な「TK」では小室哲哉を間違えられるからでしょうか?

そのTKのソロアルバムということで、大まかな方向性的には、凛として時雨と大きな違いはありません。ハイテンポなリズムと、印象に残るTKのファルセットボイス、そして時折出てくる、J-POP風な人なつっこいメロディー。まあ、ここらへん、基本的に凛として時雨の曲を手がけてきた彼のソロ作ということで仕方ないのかもしれません。

凛として時雨との大きな違いは、ソロであるために、3ピースに拘らない音づくりをしている点でしょうか。ピアノや打ち込み、ストリングスにアコギなどを縦横無尽に取り入れた曲調が特徴的。特に前半に関しては、爆音の中、少々暴走気味ともいえる曲づくりが耳につきます。

ただ、その少々過剰ともいえる音づくりをしている作品ながらも、次から次へと展開していく構成が実に魅力的。特に「Abnormal trick」は、爆音になったかと思えば、途中、ピアノやストリングスでふっと引かせて、かと思えば、4つ打ちのリズムが展開していったり、まさに、先の読めない展開が楽しめます。

そして終盤は一転、しんみりと聴かせるナンバーが続き、全力疾走だったアルバムの中で、まさにチルアウトという締めくくり。アルバム全体わずか40分程度の内容なのですが、特に前半、その展開で息切れしてしまっている私たちを見通すかのような見事な構成でした。

チャート1位を獲得した前作以降、新作のリリースのなかった凛として時雨ですが、11月には待望のニューシングルも発売され、当然、次の展開も期待されます。まさにその次の展開への期待が大きく膨らむような作品だったと思います。来るべく凛として時雨のニューアルバムも楽しみです!

評価:★★★★★

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2012年10月27日 (土)

音数を絞ったスリリングなトラック

Title:Well Done 3
Musician:Tyga

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現在、22歳。アメリカはカリフォルニア州出身の若手男性ラッパーTygaが、8月にリリースしたミックステープ。今年2月、人気ラッパー、リル・ウェインのヤング・マネー・レコードからリリースしたアルバム「Careless World: Rise of the Last King」が全米4位の好セールスを記録し、一躍ブレイクしたラッパーです。

彼の楽曲は、今回のミックステープで、はじめて耳にしました。ミックステープということで、歌詞の内容については、よくわからないのはちょっと残念なのですが、耳を惹いたのは、やはりそのトラック。非常に音数を絞り込んだ空間を聴かせるようなトラックと、タイトなリズムが印象的。そのリズムにあわせるような、歯切れのよいラップも、強く印象に残りました。

基本的にミディアムテンポで、ゆっくり噛み締めるようなラップが多く、全体的にどこか不気味な雰囲気が続いています。ある意味、似たタイプといえば似たタイプのナンバーが多いものの、アルバム全体で45分程度の長さであるため、ダレる前に終わってしまう点。また、中盤、カナダ人の女性ラッパー、Honey Cocaineの力強い女性ラップが、ちょうどよいインパクトを与えています。また、後半には、THE GAMEも客演として参加。こちらもいい味を出していました。

音数を絞ったトラックにより、アルバム全体に緊張感があり、また、45分程度という、ラップのアルバムとしては短めの長さもあり、スリリングな中、あっという間に聴くことに出来るミックステープでした。ダウンロードはこちらのサイトから。一発で気に入りました。次はオリジナルアルバムも聴いてみたいです。

評価:★★★★★

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2012年10月26日 (金)

4年ぶりの復帰作

Title:FOUR
Musician:BLOC PARTY

2005年のデビューアルバム「Silent Alarm」がメディアなどでも絶賛され、同時に大ヒットを記録し、その後、アルバムは3作連続、全英チャートではベスト10入りを記録したイギリスのロックバンド、BLOC PARTY。2008年に事実上活動を停止したのですが、このたび、4年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

そのニューアルバムは、活動休止前最後となる「Intimacy」の全英8位を上回る3位を記録し、ファンにとっては待望の新作ということが良くわかります。

そんな待ちに待った新作ですが、いままでの彼らの路線からすると、微妙に変化していました。前作「Intimacy」では、テンポのよいエレクトロパンクのような路線が目立ったのですが、今回の作品は、もっとヘヴィーなギターを前面に出した、ギターロック路線になっていました。

メタルっぽさすら感じる「3×3」や、完全にヘヴィーロックな「Kettling」、ブルージーな出だしから、サビで一気にヘヴィーに展開する「Coliseum」あたりが典型的でしょうか?ただ、正直言って、ここらへんのヘヴィー路線の楽曲については、どれも平凡でいまひとつ。どこかで聴いたような感じは否めず、なぜBLOC PARTYが?という印象は否めませんでした。

逆に、いままでのBLOC PARTYっぽい、「Octopus」や、ダンスナンバーの「V.A.L.I.S.」あたりの出来が良く、それならば、いままでの路線を突っ走ったほうが良かったのでは?なんてことも思ったりして。もっとも、彼らとしては、いままでと同じマンネリ路線を安全に突き進むよりも、あらたな路線を模索したいのでしょうが・・・うーん・・・。

そんな訳で、随所で彼ららしさを感じる部分もあり、決して悪いアルバムではありません。ただ、新規路線は必ずしも成功しておらず、今後に関して、ちょっと不安の残るアルバムだったように思います。次回作はいかに、といった感じになるのでしょうが・・・。

評価:★★★

BLOC PARTY 過去の作品
Intimacy


WIRE 11 COMPILATION

おなじみ電気グルーヴ石野卓球オーガナイズによる、国内最大級の屋内レイヴイベント、WIREのコンピレーションアルバム。毎年、気持ちのよいテクノナンバーの連続に、圧倒的な安定感を覚えます。今回に関しては、石野卓球の「Five Fingers」は相変わらず鉄板だよなぁ、と思いつつ、他にはDopの「Ikarus」が、柔らかい音ながらもエッジが利いた感じがとても良く、印象に残りました。

評価:★★★★★

WIRE COMPILATION 過去の作品
WIRE 06 COMPILATION
WIRE 08 COMPILATION
WIRE 09 COMPILATION
WIRE 10 COMPILATION

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2012年10月25日 (木)

ベスト3はすべてベスト盤

今週のアルバムチャート

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シングルチャートでは、AKBとK-POPが1位2位でしたが、アルバムチャートは、もう1組のチャート上位常連、ジャニーズ系です。

今週1位は、関ジャニ∞初のベストアルバム「8EST」が獲得。初動売上は29万8千枚。直近のオリジナル「FIGHT」は25万3千枚だったので、若干のアップ。あまりアイドル系だと、ベスト盤だから買うような浮動層は少なそうですが、若干、浮動層を取り込んだ模様です。

2位は、相変わらず根強い人気。山下達郎のベスト盤「OPUS~ALL TIME BEST 1975-2012~」が先週1位からワンランクダウンで2位キープ。これで4週連続2位以内をキープしており、高い人気を見せ付ける結果となっています。

3位は、人気女性声優田村ゆかりのベスト盤「Everlasting Gift」がランクイン。初動売上2万7千枚は、直近のオリジナルアルバム「春待ちソレイユ」の2万1千枚からアップ。また、2007年にリリースしたベスト盤「Sincerely Dears...」の最高位11位、初動1万7千枚も大きく上回る結果となりました。またベスト3入りは、アルバムシングル通してはじめてとなります。

という訳で、今週、ベスト3は、すべてベスト盤というチャートになりました。これから冬のボーナスシーズンに向けて、ベスト盤が・・・ってのはちょっと気が早いか?以下、4位からの初登場盤ですが、まずは4位にASKA「SCRAMBLE」が入ってきています。カバーアルバムなどのリリースはありましたが、純然たるオリジナルとしては、なんと2005年の「SCENEIII」以来7年ぶり。チャゲアス活動休止以来、初となるオリジナルとなりました。4位という順位は「SCENEIII」の最高位6位を上回りましたが、初動1万8千枚は、「SCENEIII」の4万4千枚から大幅ダウン。直近のアルバムは、昨年リリースしたカバーアルバム「BOOKEND」だったのですが、そちらの初動1万枚は、さすがに大幅に上回りました。

5位には、ビジュアル系バンドJanne Da ArcのyasuによるソロプロジェクトAcid Black Cherryの初となるライブアルバム「Acid Black Cherry TOUR『2012』」が入ってきています。初動売上は1万7千枚で、直近のオリジナル「『2012』」の初動11万7千枚からは、さすがに大幅にダウンしています。

続く6位は「THE IDOLM@STER ANIM@TION MASTER 生っすかSPECIAL 04」で、TBS系アニメ「THE IDOLM@STER」のキャラクターによる歌やドラマを収録した企画盤の第4弾。初動売上は1万3千枚で、前作「03」とほぼ横バイ。完全に固定ファンのみが購入している感じ。

そして8位は横山だいすけ,三谷たくみ名義による「NHKおかあさんといっしょ 最新ベスト パンパパ・パン」が入ってきています。ご存知NHKの子供向け教育番組「おかあさんといっしょ」で使われた曲が収録されたベスト盤。毎年10月にリリースされているそうですが、昨年の「それがともだち」に引き続きベスト10入り。ただ、初動売上は9千枚で、前作の1万2千枚からはダウンしています。

初登場最後を締めくくるのは、9位、こちらもベスト盤、女性シンガーソングライター奥華子「奥華子BEST -My Letters-」がランクインです。初動売上は9千枚で、直近のオリジナル「good-bye」の8千枚からアップ・・・とはいえ、ベスト盤の数値としては、ちょっと寂しい感じも。アルバムのベスト10入りは、オリジナルとしては前々作「うたかた」の10位以来のベスト10ヒットとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2012年10月24日 (水)

AKBがらみvsK-POP

今週のシングルチャート
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先週は福山雅治が1位を獲得しましたが、今週は、またAKBがらみとK-POPが、1、2位を争うチャートになっています。

1位はAKB関係。HKT48の指原莉乃とAKB48のメンバーによるユニット、アンリレによる指原莉乃withアンリレ名義の「意気地なしのマスカレード」がランクイン。哀愁あるムーディーなナンバーは、いかにも一昔のアイドル歌謡曲みたいなナンバー。指原莉乃は、ソロ名義2作目にして初の1位獲得ですが、初動売上6万8千枚は、前作「それでも好きだよ」の12万4千枚から大きくダウン。彼女は、元ファンの男性と交際していたという報道がなされ、HKT48に事実上、左遷されたのですが、大幅減は、やはりその影響が大きい感も。

で、2位はK-POP。女性アイドルグループKARA「エレクトリックボーイ」がランクイン。エレクトロアレンジながら、いつも通り、歌謡曲色、アイドルポップ色が強いナンバー。初動売上5万7千枚は、前作「スピードアップ」の9万9千枚から大幅減。もっとも、こちらは、11月にリリースが予定されているニューアルバム「ガールズ フォーエバー」の先行シングルという影響。ただし、前々作「ウィンターマジック」もアルバム先行ながらも7万8千枚を売り上げていますから、少々厳しい結果にはなっています。

3位にはあまり聞きなれない名前のミュージシャンがいきなり入ってきています。HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA「HALLOWEEN PARTY」。こちら、L'Arc~en~CielのHYDE率いるVAMPS主宰ハロウィンライヴイベント「HALLOWEEN PARTY 2012」限定のユニットで、HYDEをはじめ、Acid Black Cherry、BREAKERZのDAIGO、Tommy february6、土屋アンナなど豪華なメンバーが参加しています。しかし、ハロウィーンって、そんなに日本に定着するようなイベントだろうか?

続いて4位以下初登場曲なのですが、まず4位にはベスト10新顔のアイドルが。って、またかよって感じなのですが、avexが手がけた女性アイドルグループ、東京女子流「ROAD TO BUDOKAN 2012 -Bad Flower-」がランクインです。タイトル通り、12月に日本武道館公演が予定されており、それにむけての新曲みたいです。いままで、最高位は昨年リリースした「Limited addiction」の11位でしたが、それを大きく上回る順位に。初動売上2万2千枚は、前作「追憶」の1万3千枚も上回っています。

5位には、きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」が入ってきました。もちろん本作も中田ヤスタカプロデュース。相変わらず一発で覚えられるようなタイトルとサビのメロになっています。初動売上2万1千枚は前作「CANDY CANDY」の9千枚から大きくアップ。デビューシングル「つけまつける」の1万3千枚よりもアップし、5位は自己最高位。一時期ほど大きな話題にならなくなったかと思いきや、なにげにいまだに人気上昇中の模様。

で、6位7位はまたもK-POP。6位には男性アイドルグループBEAST「Midnight -星を数える夜-」、7位には、男性アイドルグループ超新星のメンバー、ユナクによるユナク from 超新星「WAITING 4 U」がそれぞれランクインしています。どちらもメロディーはベタなJ-POP風。BEASTの初動2万枚は、前作「BAD GIRL」の4万2千枚から大幅ダウン。一方ユナクは同じく初動2万枚で、前作「Again」の1万8千枚から若干アップしています。

そして最後、10位にはゴスペラーズ「STEP!」がランクイン。爽やかな、タイトル通りの前向きなナンバー。初動売上は1万枚で、前作「It's Alright ~君といるだけで~」の1万1千枚からほぼ横バイ。5作前の「冬響」から、すべて初動1万~1万1千枚で推移しており、根強い人気を感じられるとともに、そろそろ、新たな展開がほしい感じもします。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日!

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2012年10月23日 (火)

一時代を築いた名曲たち

以前、日本の戦前のジャズの曲をまとめた「ニッポン・モダンタイムス」という企画を紹介しました。その第2弾となるテーマが「シャンソン」。かつて日本でも一時代を築いたシャンソンの歌手たちのアルバムが11作、リリースされました。私は、その中でも、シャンソンの代表曲をまとめたオムニバスアルバム2作を聴いてみました。

Title:ベル・エポック~日本のシャンソン黄金時代 

Title:日本シャンソンの歴史 Histoire de la chanson au Japon

こういうのも何なのですが、個人的にはシャンソンにはほとんど興味もなく、このコンピも、どちらかというと「日本歌謡史のお勉強」みたいな感覚で聴いてみました。確かに、壺にはまったような曲はありませんでしたが、ムーディーに聴かせる曲には、惹きつけられ、しんみり聴き入ってしまったのは、やはり私もそれなりに歳を取ったからでしょうか??(^^;;

基本的に、戦前のジャズをまとめた前回のシリーズと異なり、今回のシリーズは、シャンソンの黄金期をメインとしていながらも、シャンソンの歴史を俯瞰したような内容。そのため、時代は戦前、戦後問わず。特に「日本シャンソンの歴史」には、森山良子や岩崎宏美のような、今の世代にもおなじみのシンガーも名前を連ねています。

楽曲は、フランスから直輸入したような、バタ臭いナンバーもある一方、シャンソンというよりもムード歌謡曲なのでは?と思うような曲もチラホラ。こうやって「シャンソン」という枠組みで並べると、歌謡曲がシャンソンから強い影響を受けたのが明らかに感じられます。

淡谷のり子だとかディック・ミネだとか、私でも知っているような実力派のボーカルは、感情豊かで、迫力もあり、さすがだなぁ、と思いつつ、個人的に一番聴き入ったのは、クミコの「わが麗しき恋物語」。ある一組の男女の、出会いから結婚、長い人生を寄り添い、最後は「死」という別れの模様まで1曲に凝縮した歌詞が泣けます。この曲に限らず、この手の人生を凝縮させたコンテンツって、反則的に泣けるんですけどね。

正直、「シャンソン」というジャンルは、今となっては一部のファンだけが聴くような、限られたようなジャンルになってしまいましたが、それでも日本の歌謡史に大きな痕跡と影響を残したジャンル。こういう企画を機に、ちょっとチェックしてみるのもいいかもしれないですね。

評価:
ベル・エポック ★★★★
日本シャンソンの歴史 ★★★★

ニッポン・モダンタイムス 過去の作品
ニッポン・スウィングタイム
Swing Time 1928-1941
SWING GIRLS 1935-1940
Sweet Voices~ニッポンのスウィング・エラ~KING&TAIHEI collection 1934-1942

私の青空~二村定一ジャズ・ソングス(二村定一)
Empire of Jazz(ディック・ミネ)
ジャズを歌う(藤山一郎)
La Tanguista(松島詩子)
唄の世の中~岸井明ジャズ・ソングス(岸井明)


ほかに聴いたアルバム

Chasing Hope/BONNIE PINK

ギターロックから、ソウル、レゲエ風、歌謡曲風な曲まで、あいかわらずバリエーション豊富なラインナップながらも、それなりにBONNIE PINKらしさでまとめあげているのが魅力的。ずば抜けて、これといった曲がない一方、安心して聴けるアルバムかと。

評価:★★★★

BONNIE PINK 過去の作品
CHAIN
ONE
Dear Diary
Back Home-BONNIE PINK Remakes-

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2012年10月22日 (月)

あらためて残念に感じます・・・

Title:初恋に捧ぐ プラス
Musician:初恋の嵐

「初恋の嵐」というバンドをご存知でしょうか。2000年にアルバム「バラードコレクション」でインディーデビュー。積極的なライブ活動や、FM局によるプッシュなどもあり、徐々に音楽ファンの間で話題になっていきました。そして、2002年に待望のメジャーデビューが決定・・・した矢先、バンドのボーカル、ギター担当で、メインのソングライターだった西山達郎がわずか25歳の若さで急逝。結局、彼の死後リリースされたアルバム「初恋に捧ぐ」をメジャーからリリースし、活動休止となりました。

それから10年。このたび、その彼らのデビューアルバムにして、唯一のメジャーからの作品「初恋に捧ぐ」がリマスターされて、再発売されました。それも、未発表のスタジオライブ音源に、シングル「真夏の夜の夢」のカップリングに収録され、現在、入手困難になっている「涙の旅路」を収録したボーナスディスクをつけて。懐かしさも感じながら、もちろん聴いてみました!で、その感想なのですが・・・そのオリジナルアルバムのリリース直後の感想について、旧サイトに書いてましたが、基本的にその時と感じたことは同じだったので、そちらから引用させていただきます。



初恋の嵐というバンドは、私にとって、特別思いいれのあるバンド、というわけではありませんでした。初恋の嵐、というおもしろいバンドがいる、という話こそ、去年の夏から聞いていたのですが、音源を聴きたいなぁ、ライブを見てみたいなぁ、と、漠然と思いながら結局はじめて音源を聴いたのは、ボーカルであり作詞作曲を担当していた、西山達郎の突然の死を知った後。彼の生前に、結局ライブを見ることも、音源を聴くこともできませんでした。そして、彼の遺志を継ぐ形でリリースされた、彼らにとってメジャーデビューアルバムであり、同時に、ラストアルバムでもある今回のアルバム。メンバーの死というのは、アルバムの評価において、なんら左右すべき事象ではないでしょう。しかし、このアルバムは、よくできたアルバムではあるものの、まだまだ楽曲に未完成な部分が残るアルバムだった、という事実は、バンドにさほどの思い入れのなかった私にも、辛すぎる事実として重く感じさせざるを得ませんでした。

 はっぴいえんどチルドレンとして称された彼らは、日本的なメロディアスなポップを書くバンドでした。暖かく、そして印象に残るメロディーに、とてもセンスを感じられ、また、音楽性の幅も広く、最近、数多く出てきたはっぴいえんどチルドレンの中では、1歩2歩ぬきんでた実力を持ったバンドだというのは間違いないでしょう。しかし、このアルバムの楽曲、まだまだ未熟さが多く残っていました。メロディーはとてもポップなのですが、どこかまだ垢抜けておらず、また、いまひとつ深みの足りないメロディーでした。が、その一方では、随所にメロディーメイカー、西山達郎のセンスが光っており、今後、アルバムを何枚かつくるうちに、とんでもない傑作が出来るのではないか・・・そう感じさせるアルバムでした。ある意味、スピッツの1stアルバムに似たものを感じられます。スピッツの1stも、未熟さは残るものの、随所に草野マサムネのセンスを感じられるいいアルバムでした。しかし・・・西山達郎は、スピッツの「空の飛び方」や「ハチミツ」のような傑作をつくるような実力がありながら、その機会すら与えられず、この世から去らなくてはいけませんでした。あまりにも残酷すぎる事実です。

 はっきりいって、このまま埋もれさせてしまうにはあまりにも惜しいバンドであるし、アルバムであると思います。スピッツ、堂島孝平、はっぴいえんど、つじあやの、くるり・・・とにかくポップなナンバーが好きなら、是非とも聴いてほしいアルバムです。最後に・・・あらためて西山達郎氏の冥福をお祈りしたいと思います。

スピッツとの比較を出していますが、今回、このリマスターアルバムが発売されるきっかけのひとつが、スピッツが、アルバム「おるたな」で、彼らの「初恋に捧ぐ」をカバーしたことがきっかけだそうです。

あらためて聴いても、優れたポップバンドであることは疑う余地がないものの、諸手をあげて絶賛するには、まだ荒削りな部分もあります。ただ、それだけに、未来を嘱望されたバンドだったのですが・・・あらためて残念で仕方ありません。

アルバムがリリースされて10年。「このまま埋もれさせてしまうにはあまりにも惜しいバンド」と書いた彼らのアルバムが、あらためて注目されるというのは、やはりうれしい話。それと同時に、ここでもあらためて彼らのアルバムを紹介させていただきました。上にも書いたミュージシャンのファンの方(正直、今となると、この並びでくるりは、ちょっと違和感あるのですが・・・(^^;;)是非ともチェックしてほしいバンドです。

評価:★★★★

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2012年10月21日 (日)

カミングアウトも大きな話題に

Title:channel ORANGE
Musician:FRANK OCEAN

FRANK OCEANは、ここのサイトでも何度か紹介しているHIP HOPグループ、オッド・フューチャーの一員であるR&Bシンガー。昨年リリースしたミックステープ「nostalgia,ULTRA」は、ミックステープとしては異例というほどの大きな評判を呼びました。そして、このたび、待望のデビューアルバムがリリースされました。

今回のアルバムで、ひとつ大きな話題となったのが、彼がバイセクシャルということをカミングアウトしたというニュース。もともと、このアルバムにも収録されている「FORREST GUMP」について、アルバムの試聴会で、あるジャーナリストが、「男から男へのラブソングだ」と看破したことがきっかけだったみたいです。

このニュースが大きな話題となったのは、もともとHIP HOPやR&Bといったブラック・カルチャーの世界では、マッチョイズム志向が強く、特に性的には保守的な志向が強い社会。そんな中で、あえてバイセクシャルであると公で認めること自体、大きなニュースとなりました。

そんな彼の性格は、このアルバムの歌詞に強く反映されていたように感じます。件の「FORREST GUMP」に限らず、HIP HOPにありがちな、マッチョイズムの観点はほとんど皆無。特に女性に関しての描写については、「俺についてこい」的な視点はほとんどなく、どこか対等な雰囲気すら感じられるところも。

また、全体的に内省的な歌詞が多く、辛い現状の中、もがくような姿は、どこか弱さすら感じられる歌詞が印象に残りました。

そして、一番印象に残ったのは、メロディーとトラック。トラックは、音数を絞ったタイトなトラック。柔らかい感じの音と、ちょっとジャジーな雰囲気は、最近はやりのDRAKEと似たような方向性で、最近流行りということになるのでしょうか?どこか、彼の歌詞の世界にもマッチした音が印象に残ります。

さらにまさに美メロと呼ぶにふさわしい、メロウで優しいメロディーラインが素晴らしい。ファルセットボイスを多用しながらも、優しく、時には悲しげに歌い上げるボーカルも心に響きます。全体的に、メロウなミディアムテンポの曲が多かったのですが、メロディーラインの美しさから、全17曲、まったくだれることがなく、最後まで耳が離せませんでした。

間違いなく、今年を代表する傑作だと思います。Odd Futureがちょっと苦手という方にもR&B好きなら是非とも聴いてほしい傑作です。

評価:★★★★★

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2012年10月20日 (土)

5年目の総括

いままでも、このサイトでは何度か取り上げてきた「初音ミク」を使用したボーカロイド楽曲。その「初音ミク」の発売から5年ということで、5周年のベスト盤がリリースされました。2009年にも、総括的なベスト盤がリリースされましたが、位置付け的には、それに続くベスト盤、ということになるでしょうか。2枚同時リリースで、サブタイトルも、その時と同様です。

Title:初音ミク 5thバースデーベスト ~impacts~

こちらはタイトル通り、インパクトのある曲を集めたベスト。そしてもう1枚が。メロディアスな曲を集めたベスト。

Title:初音ミク 5thバースデーベスト ~memories~

まず、前回のベストから3年が経って思ったこと、それは、初音ミクがらみの曲のクオリティーが、間違いなくあがっているという事実。前作では、supercellやlivetuneといった、既にメジャーでアルバムをリリースし、ヒットをあげていたミュージシャンの曲が、頭2つくらい出ていた印象があります。彼らも今回のベストで楽曲を提供していますが、それらの作品についても、前作よりグッとよくなっています。しかし、今回のアルバムの中で、彼らの作品は、全体の中では正直中程度。もっともっとおもしろいミュージシャンたちが、どんどん楽曲を提供しています。

楽曲のバリエーションも、以前よりグッと増えた印象が。あいかわらず、90年代J-POP風の曲や、エレクトロ系の作品は多いものの、アメリカインディーロック風、オルタナ系ギターロック、歌謡曲風、R&B風など、様々なタイプの曲が増えてきた印象を受けました。

以前のベスト盤では、「内輪受け」的な要素が目立ち、このままでは一時的なブームで終わるかも、ということを感想として書いたのですが、この「内輪受け」という要素もグッと減ったような印象を受けます。事実、その結果、以前もここで紹介した米津玄師のような、「初音ミク」コミュティーから抜け出して、評価を受けるミュージシャンも出ていてきます。(ちなみに、彼も、ハチ feat.初音ミク&GUMI名義で「マトリョシカ」という曲が収録されていますが、確かに楽曲は、米津玄師と同様の個性を感じます。)

ただ、その上でちょっと気になった部分も多く・・・まず、これはどうしようもないのかもしれませんが、やはり機械声は、長く聴いていると少々辛い・・・。初音ミクのボーカルを、あくまでも普通の人間のボーカルの代替としてしかつかっていない曲がほとんど。でも、例えば打ち込みのサウンドが、決して生音の代替ではなく、テクノやエレクトロのようにそれ独自のジャンルを作り出しているように、機械声でもまた、生音とは違うジャンルを作り出せるように思うんですが・・・外部からの生意気な意見で申し訳ないのですが・・・。

その「機械声」のためなのですが、歌詞が聴き取りにくいのもマイナス。歌詞に関しても、若い世代の鬱屈した感情が上手く表現されているユニークな歌詞が増えてきたような印象を受けます。ただ、初音ミクの声では、歌詞カードを見ないと、それが聴き取れない曲が多く・・・と思っていたのですが、付属のDVDのプロモを見て思ったのですが、もともと動画サイトからのムーブメントなだけに、歌詞が、映像の中で流れるんですね。だから、曲だけ聴いて歌詞がわからなくても問題ない、ということなんでしょうが・・・ただ、それって何か、ちょっと違うような・・・。

あと、シーン全体について最近感じるのですが、初音ミクというキャラクターに、ちょっと頼りすぎな部分があるような。そのため、外からシーンに入り込みにくかったり、キャラクターイメージが先行してしまったり、シーン全体の可能性を狭めているような気もしてしまいます。もっとも、これに関しても、以前に比べては初音ミクというキャラクターに頼らない曲も増えてきていますので、徐々に解消されるのかもしれませんが。

そんな訳で、やはりまだまだ気になる部分はあるものの、グッとおもしろくなったベスト盤。やはり機械声は万人にお勧めできる感じではないものの、興味ある方は、チェックしてみても損はないと思いますよ。今後も、このシーンから、新たなる才能が続々と出てくる予感も?

評価:
Memories ★★★★
Impacts ★★★★

初音ミクベスト~Impact
初音ミクベスト~Memories


ほかに聴いたアルバム

jibun/tacica

北海道出身の3ピースバンドによる5曲入りのミニアルバム。2009年にシングル「人鳥哀歌e.p.」が、同じ年にアルバム「jacaranda」がベスト10ヒットを記録していますが、このアルバムは24位に留まっています。楽曲的は、典型的なオルタナ系ギターロック。ちょっと哀愁あるメロディーがインパクトあり、ポップなメロディーは聴かせるものはありますが、正直、「jacaranda」で感じたように、彼らだけが持っている個性が薄い感じが。終わった後、いまひとつ印象に残らないのが否めないのですが。

評価:★★★

tacica 過去の作品
jacaranda

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2012年10月19日 (金)

ちょっと三十路には辛いかも。

Title:ENTERTAINMENT
Musician:SEKAI NO OWARI

メジャーデビュー後、バンド名を「世界の終わり」から「SEKAI NO OWARI」とカタカナ表記にあらため、別の意味で、「イタタタ」度がましたバンドのメジャーデビューアルバム。「SEKAI NO OWARI」といえば、いかにも中高生あたりの妄想のような、中2病的な歌詞の世界と、ピアノの音色などを上手く取り入れた、美しいメロディーラインとサウンドが特徴的。メジャーデビュー作となる本作は、そんな彼らの特徴が、良くも悪くも、よくあらわれた作品になっていたように感じました。

中2病的な歌詞は今回も、これでもかというほど炸裂。例えば「illusion」では

「僕たちが見ている世界は加工、調整、再現、処理された世界
だから貴方が見ているその世界だけがすべてではないと
皆だってそう思わないかい?」

(「illusion」より 作詞 深瀬慧)

なんて感情、うんうん、中学生の頃、よく思ったよなぁ、なんておじさんとしては逆に懐かしく感じたりして(笑)。

ただ、私がこの「中2病」といっている歌詞の世界。ある種の真実を捉えていて、大人になっても、ある種納得感がある歌詞と、大人になると「それはちょっと世の中を捉え間違えているよ」とか「ちょっとそのきり方は浅いんじゃない?」と歌詞があると思うんですが、正直、SEAKI NO OWARIに関しては、少々後者の色合いが強いように思うんですよね・・・。

例えば「天使と悪魔」なんかは悪と善の二元論に疑問を唱えるような内容なんですが、テーマとしては良くありがちで、切り口は浅い感じですし、「Love the warz」なんかは、歌詞がひねくりすぎていて、若干意味不明。まあ、ちょっとこの歌詞の世界については、少々暴走気味に感じたのですが、このちょっと暴走気味な歌詞もまた、彼らの持ち味なのかなぁ。

メロディーに関しては、相変わらずシンプルながらもポップで、耳を惹くものが多くなっています。決して派手ではないものの、心にひっかかりのあるメロは、この手の「歌詞を売り」にしようとしているバンドとしては、ちょうどバランスが良いのではないでしょうか。「ロックバンド」としては、確かにバンドサウンドが弱く、チープな打ち込みも気になるのですが、あくまでもポップスとして捉えれば、問題ないように感じます。

そんな訳で、よくも悪くも彼ららしい特徴が出たアルバムに感じました。ちょっとさすがに30歳半ばの私にとっては、何度も聴くのは辛い内容なのですが(^^;;中高生の頃なら、文句なくはまっていたような気も。評価は★3つですが、もし10代の方なら、★1つ追加で。ただ、ちょっと気になるのは彼ら、てっきり20代前半の若手だと思っていたら、メンバーみんなもう、20代後半なんですね・・・正直、申し訳ないけど、そろそろこの歌詞の世界では辛いような気もしてしまいます・・・そういう意味では、このバンド、これから先の動向、いろいろな意味で気になってしまう・・・。

評価:★★★

SEKAI NO OWARI 過去の作品
EARTH


ほかに聴いたアルバム

ONOMIMONO/パスピエ

ここ最近、アニメやアイドル、あるいはおたく系カルチャーを前面に出しているようなミュージシャンが増えたような印象を受けます。アーバンギャルドやモーモールルギャバン、あるいは相対性理論あたりがそういう感じでしょうか?そして、ここ最近話題のパスピエも、そんなバンドの一組になるのでしょうか。チープなエレクトロポップに、かわいらしいちょっと舌ったらずな女性ボーカルの軽快なポップソング。彼女たちの音楽について言葉で説明すると、そういう感じになるでしょうか。

ただ・・・話題になっているバンドということで期待して聴いてみたのですが、このアルバムに関しては少々期待はずれでした。ポップなメロについては、少々80年代が入っているでしょうか?相対性理論あたりを意識した感が否めないものの、歌詞にしろメロディーにしろ、特にプラスアルファで惹かれるものは感じられませんでした。確かに、それなりに良く出来たメロディーとサウンドだとは思うのですが、おとなしくまとまってしまった感じで、もうちょっと突っ走ったところがほしかったかも。

評価:★★★

MASH UP THE WORLD/MAN WITH A MISSION

最新シングルが6位、このアルバムもチャート4位を記録。名実共に人気バンドとなった彼ら。狼の頭に人間の身体というスタイルもインパクトがあり、ある意味、一度見たら忘れられないバンドといった感じ。ただ、それだけ人気上昇中の彼らなのですが、正直、アルバムを聴く限りだと、その傾向には若干「?」がついてしまいます。パンキッシュなサウンドに、軽快なシンセは確かに魅力的でインパクトはあると思うのですが、よくも悪くも「普通のパンク」といった感じで、ずば抜けたものは感じません。もっとも、彼らはライブが大きな魅力ということで、ライブを見ると、その印象も変るのかもしれませんが・・・。

評価:★★★

MAN WITH A MISSION 過去の作品
Trick or Treat e.p.

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2012年10月18日 (木)

ベテラン返り咲き!

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

あのベテランミュージシャンのベスト盤が1位返り咲きです!

今週の1位は、山下達郎のオールタイムベスト「OPUS~ALL TIME BEST 1975-2012~」が、先週2位からワンランクアップし、1位に返り咲きです。アルバムの首位返り咲き記録では、奥さんの竹内まりやが持ってきた記録を抜かして、史上最高齢らしいのですが・・・この記録、今回はじめて「記録」されたんですよね?ちょっとマニアックすぎるんですが。

売上は4万6千枚。先週の売上が8万5千枚だったので、大幅減となりましたが、今週は、さほど大物のアルバムがなかったため、見事1位を獲得しています。

初登場最高位は2位チャットモンチー「変身」。ドラムスの高橋久美子が脱退し、2人組となって初となるアルバムです。2位は自己最高位タイですが、初動売上2万1千枚で、4位だったオリジナルとしては前作「YOU MORE」の2万4千枚からダウン。直近のベスト盤「チャットモンチーBEST~2005-2011~」の3万3千枚からもダウンしてしまいました。

3位初登場は、GRANRODEO「CRACK STAR FLASH」。KISHOWこと人気声優の谷山紀章と、アニメやゲームソングを多く手がけるe-ZUKAこと飯塚昌明の2人組ユニット。シングルでは何作がベスト10入りしていましたが、アルバムでのベスト10入りははじめて。初動売上は2万枚で、直近は企画盤「GRANRODEO B‐side Collection "W"」で初動4千枚から大きくアップ。また、オリジナルとしての前作「SUPERNOVA」の初動1万2千枚からも大きくアップしています。

続いて、ベスト4以下の初登場ですが、まず5位に、DAIGO率いる3人組バンドBREAKERZの初となるベスト「BREAKERZ BEST ~SINGLE COLLECTION~」がランクインしています。初動売上1万5千枚は、直近のオリジナルアルバム「GO」の1万7千枚よりダウン。ベスト盤で初動を落とすということは、浮動層へのファンの広がりがほとんどないということ・・・。

8位には、ジャムロックバンドSPECIAL OTHERS「Have a Nice Day」がランクイン。すっかりベスト10の常連になってきた彼ら。ただ、初動売上は1万枚で、前作「SPECIAL OTHERS」の1万4千枚からはダウンしてしまいました。

9位は、アメリカのメタルバンド、KISS「Monter」(邦題「モンスター~地獄の獣神」)が入ってきています。白塗りメイクが特徴的な70年代後半から日本でも絶大な人気を誇るバンドで、そのインパクトある風貌から、洋楽を聴かなくてもご存知の方も多いかと。前作「Sonic Boom」は日本盤の販売がなかったとか。チャートでベスト10入りできるくらいのミュージシャンが、日本盤販売なし、というのは非常に奇妙な話なのですが・・・。

最後、10位にランクインしてきたのがSNAKE ON THE BEACH「DEAR ROCKERS」。SNAKE ON THE BEACHはご存知、現在はThe Birthdayとして活躍している元ミッシェル・ガン・エレファントのボーカリスト、チバユウスケによるソロプロジェクト。初動売上は8千枚で、The Birthdayの直近の作品「VISION」の1万6千枚よりは大きくダウンしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2012年10月17日 (水)

ジャニ、AKB、K-POP以外は久しぶり

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

相変わらずジャニーズ系、AKBがらみ、K-POPの1位獲得が目立つ中、その3ジャンル以外から、久々の1位となりました。

今週1位は、福山雅治「Beautiful life」が1位獲得。ジャニーズ系、AKBがらみ、K-POP以外でのシングルチャート1位は、7月2日付チャート以来、約3ヶ月ぶりとなりました。初動売上は14万5千枚。前作「生きてる生きてく」の11万9千枚を上回る初動売上を記録しています。

2位はK-POP。男性アイドルグループSHINee「Dazzling Girl」が獲得です。初動売上9万7千枚は、前作「sherlock」の4万8千枚から大幅アップ。イベント応募特典の影響か?爽やかなエレクトロチューン。

3位はモーニング娘。「ワクテカTake a chance」。初動売上は8万1千枚で、イベント開催により、初動売上を伸ばした前作「One・Two・Three」の10万枚よりダウン。今回も、大量のイベント構成で仕掛けたみたいですが・・・。前作に続きエレクトロチューン。なんか、中途半端なPerfumeみたいな感じなんですが。

続いて、3位以下の初登場ですが・・・まず4位。女性2人組のアイドルデゥオで、アニソンを中心に歌っているClariS「ルミナス」がランクイン。映画「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前篇」主題歌。前作「Wake Up」は初動1万1千枚で最高位12位止まりでしたが、今回はタイアップ効果もあり、2作ぶりのベスト10入り。初動売上も3万8千枚と、3倍に伸ばしてきました。まだまだ固定ファンはついていない状況といった感じでしょうか。

で、注目なのは5位初登場。なんと2004年に解散したロックバンド、THE YELLOW MONKEY「Romantist Taste 2012」が入ってきました。このシングルは、1992年にリリースされた、彼らのデビューシングルを新たにリミックスしたもの。もともと、今年6月に、彼らのアルバムとPVの一斉配信が行われた時に、ボーカルの吉井和哉が「デビュー20年後の5月21日にリミックスとかいきなりリリースされたらどうなるのかな」とジョークで発した一言が実現した企画。ちなみにカップリングとして、彼らの代表曲のライブバージョンが12曲(!)収録されています。シングルとしては11年8ヶ月ぶりのリリース。初動売上2万6千枚は、前作「プライマル」の9万4千枚から大きくダウンしていますが、2001年という販売時期を考えると、この大幅ダウンは仕方ない結果。むしろ、いまなお続く根強い彼らの人気を感じさせます。

6位はGACKT「白露-HAKURO-」がランクイン。MBSドラマ「戦国 BASARA-MOONLIGHT PARTY-」エンディングテーマ。初動1万3千枚は、前作「UNTIL THE LAST DAY」の1万5千枚から若干ダウン。なんか、最近、脱税やら隠し子やら、なぜかネガティブな話題が続く彼。ダウンはその影響・・・・・・ではないとは思うのですが・・・。

8位はもう1組韓流。男性アイドルグループCODE-V「世界中が敵になってもきっと君を守りぬくから」がランクイン。今どきこんなタイトル?楽曲の方も、よくありがちなエレポップナンバーで、平凡な印象が。2枚目で初のベスト10入りで、前作「君がくれたもの」の6千枚から8千枚にアップ。とはいっても、低水準の初動売上で、低水準のチャートに助けられた感じも。

初登場最後は10位にJUJU「ありがとう」がランクイン。映画「ツナグ」主題歌のバラードで、なんか、いかにもなタイトル・・・。初動売上7千枚で、前作「ただいま」の1万2千枚からダウン。相変わらずタイアップの良し悪しで、変動が大きくなっています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に~。

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2012年10月16日 (火)

コロンビア版「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」

Title:ONDATROPICA
Musician:ONDATROPICA

今回紹介する「ONDATROPICA」というアルバム。このアルバムは、クァンティック名義でプロデューサー、あるいはミュージシャンとして活躍するイギリス人、ウィル・ホランドのプロジェクトです。このウィル・ホランド、クァンティックをはじめ、様々な名義でアルバムをリリースし、活躍。2007年には「Mi Swing Es Tropical」がiPodのCMソングにも起用されています。

そんな中、2006年に、ラテン音楽の魅力にとりつかれ、コロンビア第3の都市カリに移住。その後、現地から、コロンビア音楽の魅力を発信し続けていましたが、今回のアルバムは、その集大成ともいえるプロジェクト。1960年代から70年代に活躍した、コロンビアの伝説のミュージシャンたちや、また若手ミュージシャンたちを集めて録音された作品だそうです。2000年にライ・クーダーが、キューバに赴き、現地のベテランミュージシャンたちと「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」というアルバムを作り、その制作風景を描いたドキュメンタリー映画ともども日本でも大きな話題となりましたが、このアルバムは、まさにコロンビア版「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」という売り文句になっています。

コロンビアの音楽といえば、特に最近、クラブシーンを中心に話題となっているのがクンビア。このアルバムにも「CUMBIA ESPECIAL」という曲が収録されています。この曲を含め、どれも軽快なリズムと、ラテンらしい、哀愁のあるメロディーの楽曲が並んでいます。

このアルバムを聴いていて、特に惹き込まれたのは、その軽快なリズムでした。パーカッションを中心に奏でられるその軽快なリズムは、中南米らしく、レゲエやスカの雰囲気を加えながらも、無条件で身体が踊りだしてしまうような魅力がありました。

基本的に、60年代や70年代に活躍したミュージシャンたちが参加したアルバムなだけに、生音がメインとなる構成でしたが、そんな中、「PUNKERO SONIDERO」では、リズムの中に電子音が組み込まれていたり、「3 REYES DE LA TEREPIA」ではちょっとダビーなサウンドがあったり、「RAP MAYA」ではタイトル通り、ラップが織り込まれていたりと、今風の要素も入っており、このバランス感覚も絶妙。単純な懐古趣味でもなく、かといって、流行の音をただただ取り入れるだけでもない、ちょうどよいバランスの取れた内容に仕上がっていたと思います。

その楽しくも、なにげに様々な音で構成されているリズムに、ついついはまりこんでしまうアルバム。最初は楽しいリズムに身体を踊らせながら、でも、その音の世界に徐々にはまっていく、そんなアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Black and White America/Lenny Kravitz

ロックンロールを軸に、ハードロックやソウル、ファンクなどの要素を上手く取り込んで、ちゃんとポピュラリティーある内容にまとめあげているのは、さすがLennyらしい作品といった感じ。全70分近いボリュームは、勢いのある証拠か?バラエティーある内容に、最後まで飽きずに聴くことが出来ます。ただ、一方では、ちょっと器用すぎて、ひとつこれといったキラーチューンがないような印象もあるのですが・・・。

評価:★★★★

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2012年10月15日 (月)

彼らにしか出せない音

Title:The Sweet Passion
Musician:ズボンズ

この人たちにしか出来ない音楽。こういう風に、音楽の感想を書いていると、一番簡単なのが、音楽のひとつのジャンルに、単純に当てはまるようなタイプのミュージシャンです。逆に、「この人たちにしか出来ない音楽」というのは、言葉で説明するのがとても難しい。とりあえず、まずはアルバムを聴いて欲しい、結局はそういう結論になってしまいます。

ただ、こういう「この人たちにしか出来ない音楽」をやっているバンドこそ、本当の意味での「実力派」。そんなバンドは、もちろん日本にもいます。そして、彼らズボンズは、そんなバンドの一組。彼らもまた、あらゆるジャンルを縦横無尽に取り入れながらも、ズボンズにしか出来ない音を作り上げています。

オリジナルフルアルバムとしては、2006年の「B★B★B」以来となるニューアルバム。今回のアルバムでも、彼らのオリジナリティーが随所に感じられます。「Big Picture」「Come With Us」はサイケっぽく、「We're Gonna Get Down」は、ラップ風のボーカルがリズミカルなミクスチャーロック風、「Bored Kid」は、ブルースですね。

さらには「Amazing Grace」をギターでカバーしたり、「New They,New We,New You,New Me」はブギウギ風の軽快なナンバーなのですが、どこか和風の祭りばやしの雰囲気を感じたり。ズボンズといえば、「ミクスチャーロックバンド」として紹介されることが多いのですが、まさにその言葉の通り、様々なジャンルの音楽を貪欲に取り組んでいます。

しかし、これだけ多くのジャンルを取り入れているにも関わらず、バンドサウンドには一種独特な雰囲気があります。必要な音だけを鳴らしている印象があり、そのため、音が非常にタイトで、かつ空間を聴かせているような印象が。ズボンズだけが出せるようなグルーヴのため、アルバム全体にしっかりと統一感があります。

もっともっと、人気が出てもいいバンドだとは思うんですけどね。確かに、癖のあるドン・マツオのボーカルや、決してポップといえないメロディーラインといい、とっつき難い部分は多いのは事実だと思うのですが。

評価:★★★★★

ズボンズ 過去の作品
Nightfriend of ZOOBOMBS


ほかに聴いたアルバム

ロックンロール イズ ノット デッド/サンボマスター

まあ、「ロックは死んだ」というのは、ある種の常套句になっている感があるのですが、それに対抗して、「ロックは死んでいない」というのも、ちょっとありふれつつある・・・のですが、確かに、サンボマスターのパワフルでパンキッシュな作品を聴いていると、このタイトルには納得感があります。ただ、単に屈折した青春をパンクにのせて叫ぶ、という単純なロックではなく、ソウルやファンクなどの要素を入れて、あいかわらず「偏差値の高い」ロックをやっているのはさすが。

評価:★★★★★

サンボマスター 過去の作品
音楽の子供はみな歌う
きみのためにつよくなりたい
サンボマスター究極ベスト

初恋/Base Ball Bear

今回のアルバムは、4曲入りのミニアルバム。とはいっても、4曲目はライブの模様を60分間ノンストップで入れたライブ音源で、内容的にはフルアルバムのボリュームがあります。表題曲「初恋」は、彼ららしい王道ナンバーといった感じですが、他2曲の新曲に注目。どちらも他のミュージシャンとのコラボ作で、「ぼくらのfrai awei」は、最近、話題のヒャダインこと前山田健一と、「君はノンフィクション」は、岡村靖幸とのコラボ作になっています。

「ぼくらのfrai awei」は、意表をついたような展開をみせながらもポップにおさめているところ、前山田健一らしい曲調になっています。「君はノンフィクション」は、岡村ちゃんプロデュースなのですが、軽快なシンセのサウンドが、彼らしい雰囲気に。

なにげに個性的でバラエティーのある3曲に、ライブ音源というボリュームある内容は、ファンではなくても楽しめるアルバムかと。新曲わずか3曲ということで回避するには、ちょっともったいないミニアルバムでした。

評価:★★★★★

Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS

新呼吸

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2012年10月14日 (日)

変り続ける

Title:Strange Utopia Crazy Kitchen
Musician:MO'SOME TONEBENDER

モーサムの前作「STRUGGLE」は、久々にこれは!と感じられる傑作に仕上がっていました。ここ数年の彼らは、シングル曲では傑作を産み続けたものの、アルバム単位になると、どうもしっくり来ない作品が多く、不完全燃焼の感がありました。しかし、前作「STRUGGLE」は、その時点でのモーサムの集大成ともいうべき、ヘヴィーなガレージロックが炸裂する、モーサムの魅力がたっぷりとつまった傑作になっていました。

そして、ベスト盤を挟んで、それに続くニューアルバム。当然、「STRUGGLE」の路線を続ければ、さらなる傑作が生み出されるはず。そう期待して、アルバムを聴いたのですが・・・見事に裏切られました(笑)。

イントロ的な「Door」に続く「Shining」は、百々和宏のボーカルがなんとも爽やかな、ポップス路線になっていますし、ハードコア風のギターが目立つ「communication」にしても、続くアップテンポなダンスナンバー風の「happy new year」にしても、アレンジはともかく、メロディーは至ってポップな作品になっています。

また、アレンジにしても、ノイジーでエッジの効いたガレージサウンドはあまりなく、もうちょっとパンキッシュだったり、「farewell party」ではハードロック風だったり、「bone head dandy」では、エレポップ風だったり、「ElectBoys」では今風のエレクトロダンスチューンだったり。まあ、確かに、いままでも打ち込みを取り入れた曲も多かったのですが、このアルバムでは、いつも以上に楽曲のバリエーションが多かったような印象を受けました。

正直、アルバムの出来としては、全体的にバラバラな感はいなめず、これといったキラーチューンも少なく、「傑作」という内容ではありませんでした。ただ、このアルバムで重要なのは、傑作をリリースしても、その音楽に固執することなく、あらたな方向を模索し変化し続ける、彼らのスピリットではないでしょうか。もともと、アルバム毎に、新たな方向の模索を続けた彼らのスピリットは、このアルバムでも健在でした。

また、このスピリットの下、アルバムを作り続ければ、あらたな傑作を生み出しそう、そんな予感のしたアルバムでした。

評価:★★★★

MO'SOME TONEBENDER 過去の作品
C.O.W.
SING!
youth
STRUGGLE

BEST OF WORST


ほかに聴いたアルバム

BLUE HEART/カジヒデキ

上のモーサムは、アルバム毎に変り続けるということが大きな特徴でしたが、カジヒデキに関しては全く逆。全く変らないなぁ(笑)。このアルバムのジャケットにしてもそう。彼、もう45歳になるんですが、いまだにこの短パン姿なんですよ。楽曲にしても、いつも通りの王道ネオアコ路線。自分はこれしか出来ないんだ、というある種の潔ささえ感じます。これはこれで、ひとつの覚悟として、すごいなぁ、と思います。

評価:★★★★

カジヒデキ 過去の作品
LOLIPOP
STRAWBERRIES AND CREAM
TEENS FILM(カジヒデキとリディムサウンター)

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2012年10月13日 (土)

「愉快な仲間たち」と

Title:THE FLAMING LIPS AND HEADY FWENDS(邦題:ザ・フレーミング・リップスと愉快な仲間たち)
Musician:THE FLAMING LIPS

THE FLAMING LIPSは、ここ最近、精力的な活動を続けています。ピンク・フロイドの「The Dark Side Of The Moon」をそのままアルバム毎カバーしたアルバムをリリースしたかと思えば、髑髏型の食用グミに新曲入りのUSBを埋め込み販売したり、さらには24時間にも及ぶ新曲(!)を、人間の頭蓋骨にUSBをパッケージして販売したり。精力的に活動を続けているのですが、「普通」のニューアルバムが、なかなかリリースしてくれません・・・。

今回のニューアルバムも、「普通」のニューアルバムではなく、タイトル通り、様々なミュージシャンたちとコラボした企画盤。もともと、今年4月に、アナログ盤限定でリリースしたアルバムを、CDで再発売した形態のようです。

そこに参加しているミュージシャンたちもなかなか豪華。Bon IverにPrefuse 73みたいなインディー系のミュージシャンから、なんとKe$haやErykah Badu、さらにご存知小野洋子も参加しています。

で、楽曲の方も、THE FLAMING LIPSらしい、サイケなギターサウンドに、キュートでポップなメロディー・・・・・・なんですが、このサイケなギターサウンドが前面に出ていて、もうひとつの持ち味「キュートでポップなメロディー」は確かに鳴っているのですが、ちょっと後ろに下がってしまったような印象を受けました。

それ以上に残念に感じたのは、様々なミュージシャンが参加しているのですが、それが、アルバム全体として、さほど特徴的に感じられなかったこと。小野洋子参加の「Do It!」は、彼女らしいアバンギャルドなポップスだったのですが、全体的にTHE FLAMING LIPS色に塗り固められた感じで、コラボとしての色合いがちょっと薄かったように感じます。

THE FLAMING LIPSのファンなら気に入るアルバムだとは思うのですが、コラボ作という特徴をあまり感じられず、ちょっと残念な印象を受けました。正直、そろそろ普通のニューアルバムを聴きたい・・・最近の精力的な活動から、決してスランプではないと思うのですが・・・。

評価:★★★

THE FLAMING LIPS 過去の作品
EMBRYONIC
The Dark Side Of The Moon

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2012年10月12日 (金)

個性の強い3組

猛烈ロックンロール教室・文化祭~思秋期のころ~

ドレスコーズ/レキシ/サイプレス上野とロベルト吉野

会場 名古屋CLUB QUATTRO 日時 2012年10月1日(月)19:00~

今回足を運んだライブは、かなり個性的な面子が3組揃ったイベントライブ。お目当てはもちろんレキシなのですが、はじめて見るほかの2組も、非常に楽しみにしてライブ会場に足を運びました。

サイプレス上野とロベルト吉野

まず一組目は、HIP HOPユニット、サイプレス上野とロベルト吉野。なぜかDJのロベルト吉野は、上半身裸にマスクをかぶってという、とても怪しいスタイルで登場しました(笑)。

ステージは、その通称、サ上とロ吉の2人のみでのステージ。もともと、ポップでテンポのよいHIP HOPが特徴的な彼らなのですが、さすが冒頭から盛り上げる盛り上げる。冒頭から、序盤はどちらかというとフリースタイル的に「よっしゃっしゃす〆」を交えながら自己紹介。かなりユーモラスなMCを繰り広げ、いきなり会場を沸かせます。

その後は、後藤まりこをフューチャーした「ちゅうぶらりん」。「もちろん後藤まりこはきません」というMCで笑いを取りつつも、しっかりと聴かせます。新曲「素敵な仲間」も披露。子供向けのアニメソングのようなトラックながら「マザーファッカー」などのトラックに似ても似つかない言葉を入れてきたりして、妙なユーモラスな曲でした。

さらに「ヤサの詩」(では、おそらく実際の住所をラップしていました(笑))や「MUSIC EXPRES$」など最近のナンバーをしっかり聴かせつつ、最後は再び、「よっしゃっしゃす〆」を軸に会場を盛り上げて、ライブは終了しました。

アップテンポでポップな楽曲は、会場を沸かせ、私も知らず知らずのうちにのっていました。途中のトークも非常にユーモラスで、ロベルト吉野との絡みも、ちょっとしたコントみたいにユーモラスなもの。ただその一方で聴かせる曲ではしっかりと聴かせ、ロベルト吉野も、華麗なDJテクニックを披露するなど、コミカルな部分と実力派の部分を両立させ、かつ、エンタテイメント性あふれるステージに仕上げた、とても素晴らしいステージでした。これは本当に楽しかった~。後半のコールアンドレスポンズでは私も思わず大声を出していましたし、万人が楽しめるステージだと思います。また、是非ステージを見てみたいです!

ドレスコーズ

次に登場してきたのが、2011年に解散した毛皮のマリーズのボーカリスト、志摩遼平が率いる新バンド、ドレスコーズ。一応、シングルは発売されているのですが、私は、この段階まで、名前は知っているのですが、音は一切聴かないまま、ライブに臨みました。

ライブを見る前は、後期毛皮のマリーズのような、レトロポップを主軸とした、ポップ色の強いバンドなのかな、と予想していたのですが、予想は大ハズレ。確かに、後期毛皮のマリーズのような、レトロな歌謡曲のような、甘いメロディーラインの曲もあったり、ほとんどの曲は、志摩遼平らしいポップなメロディーが流れていたのですが、それにのっていたのは、ヘヴィーなガレージロック。あれ?結局、こういうロックがやりたかったの??とちょっと意外に感じました。

はじめて見る志摩遼平は、長髪で細身。ナヨナヨとした感じで、顔は化粧をしていたんでしょうか?真ん中でたっているだけで、かなり異質な雰囲気がある、非常に個性的なボーカリストでした。他のメンバーも、基本的に全員長髪で、70年代あたりのアングラバンドみたいな、ちょっと異様な雰囲気が特徴的でした。

ただ、残念ながら、音がやたら大きく、かつ音が悪かったので、途中、かなり不快なノイズがまざり、おもわず耳をふさいでしまったり、ちょっと楽しめない部分も。ドラムスが、特に迫力があり印象的で、全体的に力強いバンドサウンドだったのは間違いないのですが、バンド全体としてのまとまりは、ちょっと欠いていた感も。結成したばかりなので、まだまだこれから、という感じなのでしょうか。ちょっと残念な部分も感じてしまったステージでした。

レキシ

そして最後は、元SUPER BUTTER DOGの池田貴史によるソロユニット、レキシ。そのミュージシャン名通り、歴史をテーマとしたノベルティソングをファンクやソウルのメロディーに載せて歌うという非常にユニークなミュージシャン。この日、私のお目当ては、彼でした。

メンバーは、全員、裃をプリントしたTシャツを着用。これだけでかなりユニーク。そして最初は「きらきら武士」からスタート。いきなりハイテンポなナンバーでほとんどつかみもなく、会場を盛り上げます。さらに「妹子なぅ」と続き、テンションはどんどんあがります。

非常にユーモラスな歌詞なのに、楽曲は、正統派のソウルやファンク。これがまた楽しく、会場は否応無く盛り上がっていました。途中のMCや曲の途中などで、バックメンバーや、観客との軽い漫才のような掛け合いを挟みつつ進むステージは、楽曲と同様、非常にユニーク。

後半では、12月にリリースが予定されているニューアルバムから「姫君Shake!」(おそらく)を披露。こちらは、ソウルというよりもロックンロールなナンバーで、新曲なのに、その場で盛り上がれる、即効性のあるナンバーでした。そして本編ラストは「狩りから稲作へ」。メロウに聴かせるナンバーながらも、途中、客席いじりで延々とファンを盛り上げ(手を上にあげさせ「稲穂~♪」だとか、手をおでこのところにあてさせて「高床式~♪ねずみ返し~♪」など、メロディーはメロウなのに、歴史にからんだコミカルなメロと歌詞で盛り上げていました)、会場のテンションは最高潮のまま本編は終了します。

で、アンコールなのですが、時間がなかったのか、アンコールが起こると即登場(笑)。ラストは「LOVEレキシ」で締めくくり。こちらはパワフルなボーカルをしっかりと聴かせてくれていました。最後まで、会場は大盛り上がりの中、ライブは終了しました。

そんな訳で、全3組3時間に及ぶライブ。期待していたのですが、期待以上に、非常に楽しいステージでした。レキシもとても楽しく、ワンマンライブにも行きたくなりましたが、それ以上によかったのが、サイプレス上野とロベルト吉野。エンタテイメント性もありつつ、実力もしっかり感じさせられるライブで、最初はおとなしく見ていたのですが、最後はファンと一緒に盛り上がっていました。

ドレスコーズはちょっと残念だったのですが・・・レキシと、サ上とロ吉は、また是非ともライブみたいなぁ。盛り上がって、そして笑える、とても楽しいステージで、満足しながら会場を後にしました。

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2012年10月11日 (木)

あの曲がない!

Title:DINOSOUL -BEST OF TRICERATOPS-
Musician:TRICERATOPS

TRICERATOPSの今回のベスト盤は、なんでも選曲は、メンバー3人がお気に入りの曲を持ち寄って決めたということ。で、ちょっとでもTRICERATOPSを知っている方なら、収録曲を見て、「おや?」と気付くかもしれません。それは

彼らのデビュー曲「Raspberry」が収録されていない、ということ。(付属のPV集には収録されています)

「Raspberry」といえば、初期TRICERATOPSを代表する名曲。一般的にも「GOING TO THE MOON」と並んで、知名度も高いナンバー。なおかつ、完成度の高い曲ゆえ、初期の彼らにとっては、常に新曲と比べられる対象でもありました。

今回、あえてこの曲を入れなかった理由について、特にインタビューなどで語ってはいないようです。そのため、そこに大きな意味があるのかはわかりません。ひょっとしたら、深い理由はなく、本人たちは、この曲を代表曲と思っていないだけかもしれませんし、「Raspberry」に頼らなくとも、もう、TRICERATOPSらしさは表現できる、という自信の現れかもしれません。

ただ、今回のベスト盤で、彼らの代表曲を聴いてあらためて思うのは、やはり「Raspberry」という曲は、TRICERATOPSらしさの要素が、既にデビューシングルの段階で完成された形でつまった曲だったんだなぁ、ということでした。

シンプルなスリーピースロックのサウンドに、ポップでキュートなメロディーライン。そして、踊れるテンポのよいリズム。彼らの曲の多くは、このタイプの曲、もしくは「if」に代表されるような、メロウなバラードナンバー、どちらかです。

彼らの曲のバリエーションは決して多くはありません。実際、このベスト盤に収録されている曲にしても、似たタイプの曲は少なくありません。ただ、だからそれがトライセラの魅力を削ぐことになっているか、と言われると、それは大きな間違いのように感じます。例えば昔のロックンロールミュージシャンたちや、あるいはブルースシンガーの曲にしても、決してバリエーションは多くありません。むしろ似たような曲を何曲もつくっていたシンガーも少なくありません。それでも彼らが魅力的なのは、単純でシンプルなメロディーだからこそ、そのメロディーや歌、あるいはバンドやギターの音の魅力を最大限味わうことができるから。そして、TRICERATOPSもまた、そんなバンドの一組のように思います。

ただ、そういう往年のロックンロールシンガーやブルースシンガーが、曲を聴いただけで、この人の曲、とわかるような独特のフレーズやギターリフ、リズムを持っていたのに対して、正直なところ、TRICERATOPSは、ひとつのフレーズ、リズムなどで「トライセラだ!」とわかるような要素が、いまひとつ少ないような気がします。数多くの魅力的なポップを生み出しながら、いまひとつ大きくブレイクできない理由は、そんなところにあるような気もしました。

とはいえ、魅力的な名曲揃いのベスト盤であることは間違いありません。確かに、代表曲で抜けている曲はあるかもしれませんが、そこはメンバー選曲によるベスト、しっかりTRICERATOPSの魅力を出していた内容だったと思います。PV集もついていますし、なかなかお得なベスト盤です。

評価:★★★★★

TRICERATOPS 過去の作品
SHAKE YOUR HIP!!!
MADE IN LOVE
WE ARE THE ONE
WE ARE ONE-CERTIFICATE-
LOVE IS LIVE


ほかに聴いたアルバム

BLUE/アンジェラ・アキ

「WHITE」に続くアンジェラ・アキのニューアルバムは、「青色」に統一したジャケット写真が印象的。タイトル通り、恋の駆け引きをユーモラスに歌った「恋の駆け引き」や、「恋の病」というたとえを、本当に病気かのようにユニークに歌った「心の天気予報」など、曲のユーモラスさはいままで以上。ゴスペル風の曲やロックな曲、ウクレレを取り入れた曲などバリエーションもあり、いい意味で肩の力の抜けた、余裕を感じさせるアルバム。一皮むけたような印象すらあります。

評価:★★★★

アンジェラ・アキ 過去の作品
ANSWER
LIFE
WHITE
SONGBOOK

翼なき夢どもへ/ヨシケン

本当に久しぶりに聴いたニューアルバム。以前の通り、「悩める少年少女たちの良きアニキ」というスタイルは相変わらずで、ああ、変らないなぁ、と安心しました。90年代のポップスロックの正統な後継者という感じの、ストレートなパンクロックチューンが印象的なアルバムです。

評価:★★★★

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2012年10月10日 (水)

低水準のチャート

今週は、アルバム初登場が少なめということで、シングル・アルバムチャート評を、同日にお届けします。まずはシングルチャート。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

シングルチャート1位はジャニーズ系、Sexy Zone「Sexy Summerに雪が降る」がランクイン。この時期にクリスマスソング?なかなり意味不明な曲なのですが、四季関係なく、君を愛したいというテーマだそうなのですが・・・そのテーマがわかっても、かな~り意味不明です。結果、初動売上はわずか9万5千枚と、大物が不在の週だっただけに、1位を獲得したものの、かなりの不調。前作「Lady ダイヤモンド」の11万5千枚からもダウン。デビュー以来、17万2千枚→11万5千枚→9万5千枚と急落傾向が止まりません。

で、2位から4位も初登場なのですが、いずれも女性アイドル系。2位はE-Girls「Follow Me」。EXILEの事務所、LDH所属のアイドルユニットDream、Happiness、FLOWERの3組の合体ユニットによる第2作。前作同様、K-POPを意識したようなアイドルソングという感じで、いかにも中途半端。いまひとつターゲットも不明なのですが・・・やはり少女時代とかKARAあたりを聴いている層なのかなぁ。初動売上3万枚で、12位に終わった前作「One Two Three」の1万8千枚から大幅アップ。2作ぶりのベスト10となりました。

逆に、こちらはターゲットがわかりすぎる元AKB48小野恵令奈のニューシングル「えれにゃん」が3位初登場。アレンジは今風のエレクトロポップながらもメロディーや歌詞は王道のアイドルソングといった感じ。前作「えれぴょん」と同じく3位初登場ながら初動売上1万枚で、前作の2万6千枚を大きく下回っています。

4位は10人組女性アイドルグループぱすぽ☆「WING」がランクイン。ハードロックテイストのナンバー。初動売上は9千枚で、17位に終わった前作「夏空HANABI」の7千枚から若干アップし、「ViVi夏」以来、4作ぶりのベスト10入り。ただ、今回もかなりの種類のCDが発売されているようで、それで1万枚弱というのは、人気があるのかないのか・・・。

で、初登場はあと2曲。いずれも男性ボーカリストによる非アイドルソングです。

まず7位。最近、徐々に話題になってきている4人組ロックバンド、クリープハイプ「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」が、ランクイン。メジャー1stシングルながらも、シングルアルバム通して初のベスト10入り。ちょっと切なく、メロディアスなギターロック。今後、まだまだ人気は上昇してきそう。

そして初登場最後は8位、現在活動休止中のCHEMISTRY、川畑要のソロデビューシングル「TOKYO GIRL」。エレクトロな今風R&Bチューン。ただ、初動売上はわずか5千枚。CHEMISTRYの、現時点での最新シングル「eternal smile」は最高位19位、初動6千枚で、それに比べると、ソロとしては健闘した方ですが、ベスト10ヒットとしてはかなり寂しい枚数に。

今週は、このように、大物不在のため、かなり低水準で寂しいチャートになっています。また、その中に返り咲きも1曲。10位にAKB48「ギンガムチェック」が、先週の12位からランクアップし、2週ぶりのベスト10返り咲き。もっとも、売上枚数は、6千枚から4千枚にダウン・・・って、わずか4千枚でベスト10入りですか・・・うーん・・・。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

冒頭にも書いた通り、アルバムチャートも今週は初登場少なめです。

で、こちらも1位はジャニーズ系。堂本光一「Gravity」が1位獲得です。1stアルバム「mirror」に続くアルバムでは2作目の1位獲得。ただ、初動売上は10万枚で、前作「BPM」の14万枚から大きくダウンしてしまいました。

2位は先週1位の山下達郎「OPUS~ALL TIME BEST 1975-2012~」が、3位は先週5位のコブクロ「ALL SINGLES BEST 2」が、それぞれランクイン。いずれもベスト盤で、ここらへんは相変わらずの根強さといった感じです。

で、4位以下で今週初登場は3枚。まずは5位にイギリスの人気ロックバンドMUSE「The 2nd Law」(邦題 ザ・セカンド・ロウ〜熱力学第二法則)がランクインしています。前作「The Resistance」はグラミー賞の最優秀ロックアルバム賞を受賞し、このアルバムを含め、イギリスではアルバムが4作連続1位を獲得するなど、絶大な支持を得ているものの、日本では人気はいまひとつで、いままで、最高位11位でしたが、このアルバムで、ついに初となるベスト10入りです。ただ、初動売上1万6千枚は、その11位を獲得した前作「The Resistance」からほぼ横バイ。どちらかというと、低水準のチャートに助けられた模様。

初登場でのベスト10入り続いては、6位に、東方神起「Catch Me」がランクイン。韓国でリリースされたアルバムが輸入盤でランクインしています。そのため、先週の14位から、2週目にしてのベスト10入りとなっています。

最後、10位には、AKB48のメンバー松井咲子「呼吸するピアノ」が入ってきています。東京音楽大学のピアノ科に所属しているそうで、そのため、ピアノのインストアルバムだとか。初動売上は1万枚とAKBがらみでは寂しい数値ですが、こんなもんなんでしょうか?

そんな訳で、今週はシングル、アルバム同時に。来週も、また水曜日に~。

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2012年10月 9日 (火)

アラフォーのHIP HOP

Title:Life Is Good
Musician:NAS

アメリカの人気ラッパー、NASのニューアルバムは、まずジャケット写真が印象的。NASの膝に乗っている、薄い緑のドレスは、離婚した元妻のR&Bシンガー、ケリスが、2005年の結婚披露宴で着用したウェディングドレスで、自分の持ち物をまとめて家を出て行ったケリスが、唯一、家の残していったものだとか。結婚の思い出を、未練なく手放す女性と、いつまでも未練がましく自分のアルバムのジャケットにまで使用する男性という、男女の差は、お国柄、人種を超えて共通なんだなぁ・・・と、ちょっと苦笑いしながらも思ってしまいます(^^;;

このアルバムでは、そんな元妻に対する「最後のメッセージ」ともいえる「BYE BABY」も、アルバムの最後(国内盤では、その後にボーナストラックが続きますが)に収録。元妻に対して、精一杯強がっていながらも、歌詞の隅々から未練みたいなものを感じる歌詞には、同じ男性としては、(離婚経験はありませんが)どこか共感する部分があり、こちらも苦笑い(笑)。

他にも、かつての恋人との間に出来た愛娘に対して歌う「Daughters」も、成長して恋をするようになった父親の心境をラップしていますが、こちらも同じ男性としては痛いほど、その気持ちは伝わってきます。

今回のアルバムは、39歳という、「大人の男性」であるNASが、その心境を綴ったり、その39年の人生を、あらためて振り返るようなリリックを、多く綴っていました。ある意味、アラフォーらしいアルバムと言えるでしょうし、同じ30代後半の世代としては、その心境に共感できる部分も。

トラックも、ピアノの音色が美しい「NO INTRODUCTION」からはじまり、オーケストレーションでスケール感あるトラックにまとめた「WORLD'S AN ADDICTION」や、アフロビートが心地よい「THE DON」、ジャジーな「STAY」など、バラエティーがあります。かつタイトで、ほどよく音数を絞ったトラックが印象的です。

そして、そんなアルバムの中で、前述の「BYE BABY」の前を飾る「CHERRY WINE」が特に印象に残りました。この曲は、昨年、27歳で夭折した女性シンガーAmy Winehouseをフューチャー。そんな彼女の歌声をバックに、「Life is good no matter what, life is good」(何であっても人生は素晴らしい。人生は素晴らしい)とラップする彼。「Life is good」という言葉自体は陳腐であっても、このアルバムの中で、かつ、Amy Winehouseという、悲劇の歌姫のボーカルをバックで歌われと、やはり感動するものがあります。

NASの相変わらずの実力を感じさせる傑作アルバム。情けない部分も含めて、実によく本音が出ているようなアルバムに感じました。男としては、ちょっとイタタタな部分も含めて(笑)、実に魅力的な1枚でした。

評価:★★★★★

NAS 過去の作品
Untitled
Distant Relatives(Nas&Damian Marley)

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2012年10月 8日 (月)

久々の全英語詞ミニアルバム

Title:B'z-EP
Musician:B'z

Bz

B'zの今回の新作は、全5曲入りのミニアルバム。それも、既存の作品を、英語詞にして、リ・レコーディングした、企画盤的アルバム。また、ダウンロードでのみの販売になっています。

で、B'zについては、毎度、いろんな文句(?)を言っていたりするんですが、この5曲入りのミニアルバムに関しては、文句なしにカッコいいです、はい(笑)。もちろん、シングル曲が並んだベスト盤的な内容ということもあるのですが、本格的なハードロック志向の曲を選んだだけあって、英語詞にもピッタリマッチして、かつ、なにげにヘヴィーなギターリフがカッコいい仕上がりになっています。

B'zというと、ぶっちゃけかつての「産業ロック」バンド的なイメージも強いのですが、それでもこれだけ人気を持続しているのは、B'zというイメージを崩さない範囲で、今風の音を入れてきたりしているからだと思っています。で、このアルバムに関しては、そんなスタンスが、上手いこと作用したアルバムになっていて、ハードロックテイストながらも、打ち込みなどを多用したり、ギターサウンドに関しても、今風なヘヴィーロック風になっていたり、B'zのイメージは保ちつつ、さりげなく今風にアップデートされているバランス感覚はさすがだなぁ、と思いました。

まあ、ある意味、セルフタイトル通り、とてもB'zらしい作品だと思うので、これを聴いて気に入れば、おそらく他のB'zのアルバムも楽しめそうですし、これがダメなら、もう何を聴いてもダメだと思います・・・。

評価:★★★★★

B'z 過去の作品
ACTION
B'z The Best "ULTRA Pleasure"
B'z The Best "ULTRA Treasure"
MAGIC
C'mon

で、もう1枚。ご存知B'zのギタリストによるソロアルバム

Title:Strings Of My Soul
Musician:TAK MATSUMOTO

Larry Carltonとコラボした前作「TAKE YOUR PICK」がグラミー賞を授賞して話題となった松本孝弘のソロアルバム。そんな前作を意識してか、全体的に和風のテイストが強くなった新作・・・・・・だったのですが、普通のフュージョンのアルバムといった感じで、あまりおもしろくない・・・(苦笑)。唯一、良いなぁ、と思ったのが、「上を向いて歩こう」のカバー「SUKIYAKI」だったのですが、これ、Larry Carltonとのコラボ作なんですね。なんか、やはり前作の出来は、Larryの力だったのかなぁ、なんてことすら思ってしまいました。ちょっと残念。

評価:★★★

TAK MATSUMOTO 過去の作品
TAKE YOUR PICK(Larry Carlton&Tak Matsumoto)

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2012年10月 7日 (日)

「中2病」的世界観にもどこか共感

Title:ラブソング
Musician:amazarashi

昨年11月にリリースされ、話題となった「千年幸福論」以来、フルアルバムでは2枚目となるamazarashiのニューアルバム。メンバー自体は、人前に一切姿を見せない、「謎のバンド」として話題になっています(・・・といっても、メディアなどのインタビューなどには、それなりに応えているみたいなのですが)

で、前作「千年幸福論」の感想でも書いたのですが、いわゆる「中2病」的なスタンスは、本作でも健在。世の中を斜めから見ているというか、虚無主義的なものを感じます。

ただ、自分も「学生時代だったらもっとはまっていただろうなぁ」なんてことを思いつつも、なんだかんだいって、それなりに聴いてしまうのは、なんだかんだいっても、歌詞のふとした部分に、アラフォーのおっさんの私でも共感できるような部分があるから。

タイトルとなった「ラブソング」は、「愛こそ全て」という落としどころこそ、少々陳腐ですが、消費社会への強烈な皮肉に、ユーモラスを感じることが出来ますし、「アポロジー」

「約束なんて何一つ守れなかった僕らのアポロジー
世界に文句ばっか言ってたら 誰も愛しちゃくれねぇよ
ごめんなさい ちゃんといえるかな?
ごめんなさい ちゃんといえるかな?」

(「アポロジー」より 作詞 秋田ひろむ)

という歌詞にしても、なんだかんだいっても、それなりに年齢重ねたからこそ、グッと来るような部分もあります。

虚無主義的な世界観を作り上げながらも、よくありがちなファンタジックな方面に走らず、歌詞にしても、いい意味で平易でわかりやすい。サウンドは、正統派のオルタナ系ギターロックで、シンプル。彼らの曲を聴いていると、すんなり歌詞の世界が耳に入り、とてもわかりやすい。歌詞を売りとしているバンドは多いのですが、決して押し付けがましくないのに、歌詞がしっかりと頭に残るバンドは少ないように感じます。「中2病的」と書いたのですが、なにげに歌詞をアピールする観点からは、しっかりと考えられてるように感じます。

ただ、それだけわかりやすい曲を作れるんだったら、「セビロニハナ」をはじめとして、「語り」がメインの曲はいらないような気がする。「語り」をメインにされると、ちょっと押し付けがましくなってしまって、「中2病」度も増すような気がするし・・・。

で、その上で、前作もそうだったのですが、最後には、その向こうの「希望」をきちんと歌っているのもうれしいところ。ラストに収録されている「祈り」は、東日本大震災を受けてつくった曲だそうで、被災者へ向けての思いがつづられているのですが、最後を締めるのが

「「僕らは無力だ」と暗闇に祈るのが
本当に無力とは信じないぜ」

(「祈り」より 作詞 秋田ひろむ)

という締めくくりが、決して悲観しているだけではない、力強さを感じます。

前作も前々作も、チャートでベスト20には入っているのですが、なかなかブレイクしきれない感のある彼ら。確かに、メロディーはちょっと地味で、派手さはないのは事実なのですが・・・。もうちょっと売れてもいいバンドとは思うんですけどね。次回作こそ。

評価:★★★★★

amazarashi 過去の作品
千年幸福論


ほかに聴いたアルバム

嘘憑キズム/小南泰葉

フジロックへの出演し、話題となった女性シンガーソングライターのメジャーデビュー作。というわけで、このアルバムではじめて聴いたのですが・・・うーん、歌い方が完全に椎名林檎・・・。歌詞の世界は、椎名林檎よりも、もうちょっと幻想的な感じがして、丸っきりパクリといった感じではないのですが、でも、椎名林檎のブレイク以降、ありふれちゃったよなぁ、こういうシンガー(苦笑)。

評価:★★★

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2012年10月 6日 (土)

復活!

Title:THE REBIRTH BEST~再会~
Musician:プリンセス・プリンセス

今年、東日本大震災へのチャリティーという目的で、1年限定で復活した、90年代を代表するガールズ・バンド、プリンセス・プリンセス。その再結成を機に、過去の代表曲をリマスターしてまとめたベスト盤が発売されました。プリプリのベストといえば、2006年頃から2008年頃にかけて、おそらく社会的にそれなりに地位になったであろうかつてのファンに向けてか、いくつかのベスト盤が発売されましたが、「プリプリ再ブーム」は不発。しかし、再結成を記念しての今回のアルバムは、見事オリコン5位にランクイン。うーん、やはり「再結成」という話題は大きいですね。当たり前ですが(^^;;

以前にも書いたのですが、プリプリといえば、ギャルバンの代表的なバンド、と評されることも多いのですが、ただ日本のポピュラーミュージック史の中で、プリプリというバンドが切り開いたはずのギャルバンという流れは、その後、ほとんど繋がりませんでした。WhiteberryやZONEみたいなバンドもいたものの、どちらかというとアイドル色が強く(まあ、プリプリも、もともとはそうでしたが)ようやくここ最近、チャットモンチーやねごとなど、女性だけのバンドがブレイクしてきましたが、残念ながら彼女たちからはプリプリからの影響は感じさせません。

ただ、プリプリの代表曲を聴くと、やはり名曲が多いなぁ、とあらためて思ってしまいます。特に絶妙なのが、歌詞における彼女たちの位置付け。男社会の「ロックバンド」の中、決して男性陣の向こうを張ったような、肩肘はった歌詞にするのではなく、あくまでも女の子の本音を、時にはかわいらしく描いています。でも、かわいらしいといっても、決して男性に媚びているわけではなく、一本、筋の通った自立した女性像もしっかりと描いています。ここらへんのバランス感覚、実はチャットモンチーの歌詞にも似たようなものを感じるんですよね。プリプリとチャットモンチー、音楽的にはおそらく影響はないのでしょうが、やはり女性バンドで、なおかつ売れるバンドというのは、どこか繋がる部分があるのでしょう。

まだ、メロディーも、メロディアスで、そして切ない雰囲気が絶妙!もちろんおなじみの「Diamonds」「M」「ジュリアン」なども良いのですが、個人的に、今回のベスト盤にも収録されている「HIGHWAY STAR」「ONE」がなんといってもメロディーが絶妙な名曲。1990年にリリースしたアルバム「PRINCESS PRINCESS」にこの2曲が並んでいるのですが、さすが脂ののりまくった時期のアルバムは違う!こんな名曲が惜しげもなく並んで、アルバムに収録されているなんて・・・。全盛期の彼女たちの勢いを感じさせます。

再結成ということで、出来れば新曲なんかも聴きたかったかも・・・とも思うのですが、チャリティーのためのライブ活動を優先させた結果でしょうか?リアルタイムでファンだった方はもちろん、ここ最近の再結成の話題で気に入った方も、チェックしてほしいベスト盤です。

評価:★★★★★

プリンセス・プリンセス 過去の作品
プリプリ・フユソン


ほかに聴いたアルバム

VIVID/Crystal Kay

Crystal Kayの新作は、全編、今風のエレクトロサウンドなのが特徴的。軽快なサウンドが、爽やかで、とても聴きやすいポップソングが並んでいます。ただ、エレクトロサウンドが前面に出た結果、彼女の持ち味である「歌」の部分が後ろに下がってしまい、彼女の魅力がちょっと引っ込んでしまった感じも・・・。

評価:★★★★

Crystal Kay 過去の作品
Shining
Color Change!
BEST of CRYSTAL KAY
THE BEST REMIXES of CK
FLASH
Spin The Music
LOVE SONG BEST

一青十色/一青窈

「ひとといろ」と読む一青窈の最新作は非常にユニーク。タイトル通り、様々なミュージシャンの曲を歌っているアルバムで、「Lesson」では岡村靖幸、「dots and lines」ではRHYMESTERのMummy-D、「マフラー」ではキリンジの堀込泰行(アレンジは冨田恵一)が曲を提供。また「パラソル哀歌」では、阿久悠が書いた未発表の歌詞に、キノコホテルのマリアンヌ東雲が曲をつけるという異色作。ほかにもつんく♂に渡辺真知子の曲も。それだけに、いままでにないバラエティーあふれる作風で、一青窈の新たな挑戦という印象も受けました。

その試み自体は非常におもしろいと思うのですが・・・ただ、残念ながら、曲によってはボーカルが弱く、インパクトが薄くなってしまうという弱点も露呈してしまいました。特に岡村靖幸の曲やMummy-Dの曲あたりに、それが顕著に出てしまった感じも。そういう意味ではちょっと残念なアルバム。もうちょっと自分のボーカルに合った曲を選んだほうがよかったのかも。

評価:★★★★

一青窈 過去の作品
key
花蓮街
歌窈曲

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2012年10月 5日 (金)

ラスト・ソウルマン、久々の新作

Title:Bravest Man in the Universe
Musician:Bobby Womack

60年代から活動を続ける、代表的なソウルシンガー、ボビー・ウーマック。ラスト・ソウルマンという愛称でも親しまれ、また、最近では、あのGorillazのアルバムにゲストで参加したことでも、その名前を知った方も少なくないのではないでしょうか。

そんな彼が、なんと1994年の「Resurrection」以来、オリジナルアルバムとしては18年ぶりとなる新作をリリース。さらに、そのプロデュースを手がけているのが、AdeleやRADIOHEADもCDをリリースしたイギリスのインディーレーベル、XLレコーディングスの代表責任者リチャード・ラッセルと、あのblurのデーモン・アルバーンがプロデュースを手がけたということで大きな話題となっています。

確かに、Gorillazのアルバムに、ボビーが参加しており、デーモンとの交流は以前からあったものの、この組み合わせは非常にビックリ。御年68歳の超ベテランでありながら、いまだに若手ミュージシャンとのコラボを行おうという姿勢には、ただただ頭が下がるばかりです。

で、その成果なのですが、メロと彼のボーカルについては言うまでもありません。というか、18年というブランクを感じさせない現役感。メロウに聴かせるメロディーラインに、いまだ衰えないパワフルなボーカル。ちょっとしゃがれた渋い声も、またなんとも言えない味があります。

ただ・・・その一方で、肝心のトラックの方が、いまひとつ期待はずれというか、ボビーの声とメロディーに対して、少々チグハグな印象がありました。いわゆる今風な、ポストロック志向なアレンジなのですが、曲によっては、少々音が過剰に感じたり、ボーカルに比べて、変にインパクトがあるだけに、前に出すぎているように感じたり。正直、ちょっといまひとつに感じました。

ちょっと気になってしまうのですが、最近のデーモンの仕事ぶりが、例えば自身のソロ作にしても、Rocketjuice and The Moonとしての活動としても、ちょっと不調気味に感じてしまいます。やけに凝った音づくりをしているのですが、以前のようなポピュラリティーを感じられず、なんか、微妙に中途半端に感じてしまう・・・。このアルバムも、そんな印象が否めず、惜しい感じがしてしまうアルバムになっていました。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

GOLD COBRA/LIMP BIZKIT

ギターのウェス・ボーランドが復帰し、約6年ぶりとなったLIMP BIZKITの新作。一言で言えば、王道のラップメタル路線が相変わらずといった感じで、ファンにとっては安心して聴ける感じでしょうか。

評価:★★★★

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2012年10月 4日 (木)

たまには「大人」のヒット曲

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

ここ2週、アルバムチャートは1位2位がデッドヒートを繰り広げていましたが、今週は1位、圧勝です。

今週の1位は、山下達郎のオールタイムベスト「OPUS~ALL TIME BEST 1975-2012~」。初動売上は27万5千枚で、2位以下を引き離しての1位獲得。強さを見せ付けました。直近のオリジナル「Ray Of Hope」は初動10万4千枚だったので、普段、オリジナルまでは買わないようなライトリスナー層が多く購入した模様。ちなみに、ベスト盤としては2002年の「RARITIES」以来。こちらは初動売上14万枚だったわけで、この初動売上も上回るヒットとなっています。(まあ、もっとも「RARITIES」はどちらかというとレア音源集だったのですが)アイドル系が席巻している今のヒットシーンの中では珍しい「大人向け」のヒットなわけで、こういう30代40代向けのヒット曲も、もっと売り出してほしい、と思ってしまうわけですが。あ、だからといって、氷川きよしみたいな演歌じゃなくて・・・。

2位は、先週1位だったSuperfly「Force」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。3位には、アメリカのパンクロックバンドGREEN DAY¡Uno!」がランクインしてきています。

GREEN DAYは、11月に「¡Dos!」、来年1月に「¡Tré!」というアルバムのリリースも予定しており、3部作の第1弾となるアルバム。タイトルは、スペイン語で「1」「2」「3」の意味。最近、「アメリカン・イディオット」や「21世紀のブレイクダウン」のヒットで、社会派というイメージもついてきた彼らですが、本作は、初期GREEN DAYにもどったかのような、底抜けにポップなパンクアルバムになっています。初動売上は2万6千枚。前作「21世紀のブレイクダウン」は初動6万枚だったので、残念ながら、こちらからは大幅減になってしまいました。

続いて4位以下の初登場アルバム。まず4位にSCANDAL「Queens are trumps-切り札はクイーン-」がランクイン。初動売上は3万5千枚で、前作「BABY ACTION」の3万7千枚よりダウン。ここ3作、3万5千枚前後でウロウロしている感じ。

7位には、絢香「ayaka's BEST-Ballad Collection-」が入ってきています。タイトル通り、バラードナンバーを集めたベスト盤。企画盤的な要素が強かったためか、初動売上はわずか1万8千枚。直近のオリジナル「The Beginning」の10万8千枚から大幅ダウンとなっています。

最後10位には「THE IDOLM@STER ANIM@TION MASTER 生っすかSPECIAL 03」。TBS系アニメ「THE IDOLM@STER」のキャラクターによる歌やドラマを収録した企画盤の第3弾。初動売上は1万3千枚と、第2弾から横バイ。ここらへん、おそらく全く同じ人が3枚、買っているんだろうなぁ。

アルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に。

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2012年10月 3日 (水)

K-POPブームはどうなる?

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

ここ最近、K-POPブームの行方について、気になるところなのですが・・・

今週1位は、韓国の女性アイドルグループ少女時代「Oh!」がランクイン。今風のエレクトロチューンと、アイドルポップらしいかわいらしさを上手くミックスさせた曲は、やはりよく出来ているなぁ、と思います。ただ、初動売上は6万6千枚と、前作「PAPARAZZI」の9万5千枚より大きくダウンしています。

例の竹島をまぐる騒動の後、K-POPに対する風当たりが日本でも強くなっています。ただ、韓流アイドルに関して、チャートの動向でいえば、そう大きな動きはありません。もっとも、K-POPブームとはいえ、数万以上の初動売上を記録しているのは、東方神起やKARAくらいで、他は、精々、2、3万程度。CD売上不況の影響で、それなりに上位に食い込んできますが、AKBやジャニーズ系に比べると、ブームとしては決して大きくありません。また、この2、3万の熱烈な韓流ファンは、おそらく日本が韓国と戦争をはじめても、韓流を買い続けそう・・・。そう考えると、竹島問題が出ても、急速にチャート上からK-POPが消えるということはなさそうです。

とはいえ、2枚前の「MR.TAXI」では初動10万枚を記録していた少女時代が、売上形態の影響もありそうですが、大きく数値を落としており、ここらへんはやはり竹島問題の影響も否定できなさそうな気もします。

2位は、先週1位のSKE48「キスだって左利き」が、ワンランクダウンながらも、2週連続ベスト3をキープです。

さて、続いて3位ですが、今週は3位4位といわゆるキャラクターソングが並んでランクインしています。それも、別の媒体の。3位はアニメ「黒子のバスケ」のキャラソン、緑間真太郎(小野大輔),高尾和成(鈴木達央)名義による「TVアニメ『黒子のバスケ』キャラクターソング DUET SERIES VOL.3(とある信者の果敢な毎日)」、4位には、PSP用ゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪ All Star」の挿入歌、寿嶺二(森久保祥太郎),黒崎蘭丸(鈴木達央),美風藍(蒼井翔太),カミュ(前野智昭)名義「うたの☆プリンスさまっ♪ デュエットCD 嶺二&蘭丸/藍&カミュ(RISE AGAIN/月明かりのDEAREST)」がそれぞれランクインしています。

ミュージシャン名とタイトルが長すぎて、なにがなんだかわからなくなってきているんですが(苦笑)。

どちらも、タイトルチューンを聴いてみましたが、男性のキャラクター性を前面に出そうとしているナルシスト感たっぷりの楽曲で、正直、女性のキャラソン以上にファン以外が聴くのは辛いかも・・・。ちなみに「黒子のバスケ」キャラソンは、直近の「DUET SERIES Vol.2」が初動1万6千枚だったのに対して2万4千枚とアップし、初のベスト3入り。「うたの☆プリンスさまっ♪」は直近の蘭丸&カミュ名義のシングルが初動1万4千枚から1万7千枚にアップしています。

ちなみに、「黒子のバスケ」のキャラソンで、緑間真太郎を演じている声優、小野大輔の本人名義のシングル「Lunar Maria」も今週ベスト10入り。9位に入ってきています。こちらもナルシスティックなビジュアル系風なポップスで、ファン以外が聴くのはちょっとキツイかも。前々作「熱烈ANSWER」以来のベスト10ヒット。ただし、初動売上9千枚は、12位に終わった前作「DELIGHT」の1万3千枚よりダウン。

さて、その他のニューシングルは・・・6位に氷室京介「WARRIORS」がランクイン。初動売上1万6千枚で、前作「IF YOU WANT」の2万1千枚よりもダウン。ちょっと厳しい初動売上に。

7位には、女性アイドルグループももいろクローバー「行くぜっ!怪盗少女 ~Special Edition~」が入ってきています。もともと2010年にリリースされたメジャーデビューシングル。楽曲が次々と変化し展開していくのは、前山田健一らしい感じ。初動売上1万枚は、直近の桃黒亭一門名義でリリースした「ニッポン笑顔百景」の3万4千枚よりダウン。まあ、再発盤なので、このダウンは仕方ないところ。ちなみにオリジナルは、最高位3位、初動売上2万3千枚を記録しています。

最後10位には、GARNET CROW「Nostlgia」がランクインです。今回は名探偵コナンタイアップはついていません。いつまでも変らない90年代風J-POP路線は、ある意味、孤高の存在?初動売上はわずか7千枚で、「名探偵コナン」タイアップがついた前作「Misty Mystery」の1万1千枚より大幅ダウン。ただ、わずか7千枚でベスト10ヒットですか・・・うーん・・・。

そんな訳で、全体的にはちょっと低調だった今週のシングルチャート。アルバムチャートは、また明日に!

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2012年10月 2日 (火)

メロディーにまずはまりました。

Title:SWING LO MAGELLAN
Musician:DIRTY PROJECTORS

前作「Bitte Orca」が大きな評判となった、アメリカ・ニューヨークはブルックリン・シーンを代表するバンドによる最新作。いや、実はその評判になった前作「Bitte Orca」は全く聴いていなくて、彼らの楽曲をきちんと聴くのはこれがはじめて。このアルバムも、評判がいいみたいなので聴いてみました。

が、正直言うと、最初聴いた時は、いまひとつはまれず、評判の良さに大きな「?」がついてしまったのは事実。ポストロック風の、ちょっと言い方を悪くすれば、取っちらかしたようなサウンドが、どうもはまれませんでした。

ただ、2度3度聴いていくうちに、はまっていったのがそのメロディーライン。最初聴いた時は、サウンドにばかり耳が行ってしまったのですが、例えば哀愁を感じさせるソウル風のメロが魅力な「SWING LO MAGGELAN」、暖かさを感じるメロディアスな「IMPREGNABLE QUESTION」、楽しげなポップナンバーの「UNTO CAESAR」など、決して派手さはないため、1度目に聴いた時には気がつかなかった、魅力的なメロディーラインに、まずはまりました。

そうすると、徐々に魅力が出てくるのがこのアルバム。最初、取っちらかしている、という印象すら受けたアレンジも、徐々に頭の中でつながりだし、取っちらかしているどころか、シンプルなサウンドが、あるべき場所でちゃんと鳴っている、そう印象に変ってきました。

ポストロック風のシンプルながらもユニークなリズムが楽しいトラックから、アコースティックなサウンドまで、バリエーションもあり、単純に「ポストロック」の一言では捕らえられない個性を感じるこのアルバム。聴けば聴くほど、はまっていきそうな予感も。前作は、まだ聴いたことなかったのですが、これを機に、聴いてみようなぁ。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Destroyed/MOBY

ポップでメロウなアンビエントチューンが主軸となるMOBYの新作・・・まあ、要するに、以前から変らない、王道のMOBYチューンといった感じ。美しいメロディーも安定感があって、少なくとも、以前からのファンなら、期待通りの作品といった感じ。ただ、期待通りであって、期待以上でないのが、残念なのですが・・・。

評価:★★★★

MOBY 過去の作品
Go:The Very Best Of Moby

Last Night
Wait for me

Sorry for Party Rocking/LMFAO

モータウン創始者の、あのベリー・ゴーディーJrの息子と孫という、サラブレッドによるユニット。全米12位、全英では8位を記録しています。今風なロッキンエレクトロに、テンポよいラップが乗るという、飛びぬけて楽しいパーティーチューン。難しいこと抜きにして楽しみえる楽曲になっています。この「理屈はとりあえず抜き。まずは万人が楽しめるポップソング」という点では、モータウンの方向性に通じるものがあるのでしょうか??

評価:★★★★

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2012年10月 1日 (月)

お勧めなのは、わざわざ言わなくても・・・

Title:I LOVE YOU-now&forever-
Musician:桑田佳祐

1987年以降の、ソロ活動を集大成的にまとめたベストアルバム。通常盤で2枚組、さらに初回限定盤では3枚組となるフルボリュームな内容で、桑田佳祐ソロ名義でリリースされたシングルやアルバム収録の代表曲が収録されています。

・・・まあ、正直言って、桑田佳祐についてなんて、誰もがその実力を認めるところですし、サザンを含め、その楽曲については、多くの音楽評論家が、既に語っているところなんで、ベスト盤について、私がわざわざ偉そうに語ることないかなぁ~なんて思っているんですが(^^;;

ただ、ベスト盤を聴いて、ひとつ思ったこと。彼の楽曲って、歌謡曲にも繋がるような、日本人の心の琴線に触れるような美メロを書きながらも、洋楽のテイストも上手く取り入れ、歌謡曲っぽい泥臭さを見事に抑えた楽曲を書いています。これって、本当に類まれなる才能だよなぁ。

今回のアルバムでは、松任谷由実との共演で話題を呼びながらも、いままで、レコードを含め、一切一般発売されていなかった「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない)」が収録されたことで話題を呼んだほか、初回限定盤についてくるボーナスディスクでは、他のミュージシャンたちと共演したレア音源がついてきています。

ちなみに、そのレア音源集の中に、1987年に、Real Fish featuring 桑田佳祐・いとうせいこう名義で発表された「ジャンクビート東京」という曲があり、まだラップが日本で全く市民権を得ていない時代に、桑田佳祐がラップに挑戦しています。この時代からラップに注目するなんて、さすが・・・と思っていたら、Wikipediaによると、彼自身、この曲について何も覚えていなかったみたいですし、完全に、単なる客演みたいですね。でも、いまから考えれば、非常に貴重な音源です。

まあ、そんな訳で、いまさら言うまでもないかもしれませんが、名曲や珍曲がたくさんつまった、聴きどころたくさんのベスト盤。人を選ばずお勧めなのは、いうことありません。

評価:★★★★★

桑田佳祐 過去の作品
MUSICMAN


ほかに聴いたアルバム

としみはとしみ/渡辺俊美

いままで、THE ZOOT16としての活動はあったものの、自らのソロ名義では初となるTOKYO No.1 SOUL SET渡辺俊美によるソロアルバム。

THE ZOOT 16は、ちょっと一本調子な印象があったのですが、こちらのソロ名義では、お得意のレゲエチューンもあるのですが、ジャジーなナンバーから歌謡曲風なナンバー、さらには、もともとはボーカロイド曲としてニコニコ動画で人気を得た「rain stops,good-bye」のカバーなどもあり、バラエティーは豊富。やはり個人名義のアルバムなだけに、アット・ホームな雰囲気のアルバムに感じました。

評価:★★★★

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