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2012年9月23日 (日)

幻のミュージシャン

Title:街の灯
Musician:エド

今回紹介するミュージシャンは、おそらく、名前も全くご存じない方が多いでしょう。かくいう私も、彼について知ったのは、某レコードコレクター誌のこのアルバムの紹介記事が最初でした。

エドこと藤田利秋は、1950年静岡県浜松市生まれ。1970年初頭に名古屋でライブ活動をスタートし、その後、拠点を東京に移します。その後、自らのバンド、エドズ・バムや、エド&ジャミンを率いて、1970年代後半から1980年代にかけて、ライブ活動を続けますが、1990年代あたりに、その名前を聞かなくなります。そして2000年5月、生まれ故郷の浜松の駅前のベンチで、冷たくなっている姿を発見され、わずか50年の生涯に幕を降ろします。

生前残した音源は、1981年にリリースされたオムニバスアルバム「THE VOCALISTS」へ参加した楽曲だけとのこと。ただ、R&Bとレゲエの影響を強く受けた楽曲は、そのライブを見るものに強いインパクトを与え、まさに「伝説のミュージシャン」となったそうです。

このプロフィールが強烈にインパクトを覚え、今回、この伝説のミュージシャン、エドの音源を集めた初のアルバムを聴いてみました。生前に音源をほとんどリリースされなかった幻のミュージシャン、ということで、その楽曲は、今聴いても、身じろぎするような、強烈なアングラ臭が漂ってくるのではないか、と想像し、アルバムを聴いたのですが・・・

結論としては、楽曲は思った以上にポップで聴きやすい内容でした。

正直言ってしまうと、「時代を超えた」という感覚はなく、むしろ歌謡曲テイストやフォークあたりの影響も感じるのメロに、やはりどこか70年代あたりの匂いは感じてしまいましたし、歌詞に関しては、正直なところ、やはり70年代テイストを感じます。

ただ、そのサウンドに流れるグルーヴに関しては、時代を超えた強烈なインパクトを感じます。R&Bとレゲエの影響を受けたその横ノリのうねるようなリズムは、強烈。時折かさなるブルージーなギターもまた、独特の哀愁を楽曲に与えていて、思わず聴きほれてしまいます。

この手の音は、CD音源以上で、ライブで聴いたら、もっと強烈だっただろうなぁ・・・そう感じる瞬間が、いくつもこの音源にはおさめられています。それだけ、リアルタイムで彼を見た人たちに強力なインパクトを与えた理由も、理解できるような気がしました。

曲によっては、ライブ音源そのままのためか、音も決して良くなく、メロディーと歌詞がちょっと時代を感じさせるところから、興味のある方は・・・になってしまいますが、この伝説のミュージシャン、気になった方は、是非チェックを。強烈なグルーヴは、今聴いてもやられちゃうと思いますよ。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

9 Gates For Bipolar/Oblivion Dust

復活後第2弾。約4年ぶりとなるオブリのニューアルバム。復活後第1弾となった前作から、打ち込みの要素を強く感じるようになったのですが、今回の作品では、その要素がさらに前面に。ポップでメロディアスなメロディーは相変わらずなのですが、サウンドが以前より軽くなった印象も。相変わらずの疾走感ある楽曲に、ケン・ロイドのボーカルは文句なしにカッコいいのですが、以前のようなオブリらしいダイナミズムは薄くなってしまったかなぁ。

評価:★★★★

Oblivion Dust 過去の作品
OBLIVION DUST

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