キネバラはやはり素晴らしい
先日の小室先生作品に続き、TM Networkを影で支えたバラード職人、木根尚登関連の作品が、ソロ活動20周年記念ということで、今年に入って3作発売されています。
Title:キネバラ
Musician:木根尚登
木根尚登といえば、おそらく一般的なイメージで言えばTM Networkの中で、小室哲哉と、ボーカルの宇都宮隆の影に隠れて、目立たない存在、ということになってしまうでしょう。(もっとも、既に「TM Network」と言われても、メンバーをイメージできるのは、30代後半以上になってしまいそうですが・・・。)ただ、TMのファンであれば、木根尚登といえば、「キネバラ」と呼ばれる、小室哲哉の書くメロディーとは異なる、フォークの影響を強く受けたバラードナンバーで、TM Networkの楽曲に幅と深みを与えてた、というイメージも強いのではないでしょうか。
このアルバムは、木根尚登作曲によるTM Networkの楽曲を、彼自身がセルフカバーした楽曲。最初、宇都宮隆の声で聴きなれた曲を、木根尚登ボーカルで聴くと、違和感があるのでは?と思ったのですが、これが不思議なほど違和感がありません。というよりも、なにげに実は声質が2人って似ているんですね。アレンジも、アコギメインのアレンジになっていて、こちらも打ち込み主体の原曲と比べて、違和感があるかな、と思いきや、全く違和感なし。むしろ、シンプルなアレンジで、木根尚登の書くメロディーの良さを再認識できました。
キネバラが好きだった人はもちろん、かつてのTM Networkファンも、是非ともチェックしてほしい1枚。ちょっと懐かしさもありますが、今なお光輝く、時代を超えた魅力も感じさせる名曲群です。
評価:★★★★★
Title:キネベス
Musician:木根尚登
こちらは、彼のソロ作品のうち、2001年から2010年の間に発表された曲をまとめたベスト盤。それなので、TM活動中のソロ作や、小室哲哉プロデュースで唯一のベスト10を記録した「REMEMbER ME?」は収録されていません。
2000年代といえば、TM Networkの活動停止からは時間が経ち(散発的に活動をしていましたが)、小室系ブームも終わった頃。それだけに、ソロ活動初期と比べると、木根尚登の知名度も、一般的には低くなってしまった頃。しかし、この頃の楽曲も、ソロ初期やTM時代の曲と比べると、全く衰えていません。
フォークからの影響を感じる曲は相変わらずながらも、エレクトロサウンドのイントロが、ちょっとTMっぽい「青空」や、パーカッションの音を前面に押し出して、怪しげな雰囲気をかもす「RUNNING ON」など、バラエティーがあり、なによりも派手さはない代わりに、圧倒的な安定感があります。
かつてキネバラが好きだったけど、最近はご無沙汰で・・・という方にこそお勧めしたい1枚。やはり彼はメロディーメイカーとして一流のものがあるなぁ、と再認識できるベストでした。
評価:★★★★★
Title:キネメロ
Musician:木根尚登
そして第3弾となるが、彼が他のミュージシャンに提供した楽曲を集め、セルフカバーした作品。で、冒頭からいきなり、渡辺美里に提供した「さくらの花の咲くころに」!!いやぁ、個人的に、渡辺美里に提供した曲といえば「kick off」とかも好きなんだけど、やはりこの曲だよねぇ~・・・と思いながら聴くと、やはり名曲!と思いきや、やや違和感が・・・(^^;;
で、正直、この微妙な違和感は、アルバム全体についてまわりました。やはり、女性ボーカルに提供した曲って、歌詞なども含めて、女性向けで、彼が自ら歌うと、少々違和感があるんですね。女性ボーカルの曲を、あえて男性が歌うというと、徳永英明のカバーがあるのですが、あれは、彼のボーカルが中性的だから成り立つんですね。木根尚登のボーカルは「男らしい」という感じではないのですが、やはりどこか違うなぁ、と思ってしまいました。
とはいえ、このアルバムでも、彼のメロディーがとても魅力的な事実は変りません。そういう意味では、要チェックな1枚、ではあるとは思うのですが・・・。上2枚を聴いて、気に入ったら、という感じかなぁ。
評価:★★★★
ちなみに、第4弾として、ソロの初期作品を、セルフカバーでリメイクした「キネソロ」も9月にリリースされていますが、こちらはまだ聴けていません。近いうちに聴く予定なのですが、こちらも楽しみです!
木根尚登 過去の作品
NEW TOWN STREET
中央線
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