カップリングを含めたシングル集、なのですが・・・
Title:TM NETWORK ORIGINAL SINGLES 1984-1999
Musician:TM NETWORK
前々回は小室先生、前回は木根尚登の、それぞれソロアルバムを紹介しましたが、ついにご本家登場です(笑)。といっても、ファンからは、「またかよ」の苦笑いが漏れそうな、ベスト盤です。
で、今回のベスト盤は、シングルを集めたシングルコレクション・・・といっても、これも2008年と2009年に「TM NETWORK THE SINGLES 1」「2」がリリースされているので、またかよ、といった感じは否めません。
ただ、今回のアルバム、それでもわざわざ聴いたのは、カップリング曲を含めてのベスト盤だったから。カップリングを含めてのベスト盤ははじめてで、そういう意味では、貴重な内容、と言えるかもしれません。また、この手のベスト盤にしては珍しく、半分「なかったこと」のようになっている、「Nights of The Knife」以降の作品が収められているのも特徴的。あらためて、チェックしてみるのも悪くないかも。
このアルバム、シングルベストでありながら、曲順が、発売順ではありません。なんでも、発売順ではなく、「作成順」に並べたから、ということ。これに関しては、ある意味、ユニークな試みで、TM Networkの歩みが、より明確になっています。Disc1の頃の作品に関しては、サウンドがあきらかにチープで、時代を感じられたり、逆に、「Kiss You」の段階で、ラップを取り入れているあたり、時代の半歩先を行って、先駆的な音楽をポップに取り入れる小室哲哉らしい感覚の鋭さを感じられたり、あらためて、曲順に聴くと、いまさらながら気がつくことがあったりするのもおもしろいところ。
ただ、一番残念なのは、カップリングを含めたベストにも関わらず、未収録になっている曲がある、という点。そのことについては、不確実な情報ですが、Amazonのレビューに、レコード会社に問い合わせた方がいるみたいで、その返答として、選曲は「オリジナル」という基準で選曲され、別バージョンやライブバージョンは収録しなかった、ということ。え~!でも、この手のシングルベストは、カップリングでよくありがちな、アルバムに収録されない、リミックスバージョンやライブ音源などのレア音源を、聴けるのが大きな売りなのでは??
これだけベスト盤を発売していながら、いまだに「オリジナル」のみの収録に拘る方向性が不明なのですが・・・。TM NETWORKなんて、所詮時代の徒花のポップミュージシャンで、いまさらレア音源なんか、何の価値もない、なんてことを思っているんじゃないか??なあんか、乱立されるベスト盤といい、なんか、ミュージシャンに対するレコード会社からの「愛情」が薄いように感じてしまうんだよなぁ。
そんな訳で、どうもファンにとっては煮え切らないベスト盤。カップリングを含めた、パーフェクトなシングルコレクションなら、これだけベスト盤が乱立した今でも、ファンにとっては十分聴く価値がありそうなのですが・・・。
評価:★★★
TM NETWORK 過去の作品
SPEEDWAY
TM NETWORK THE SINGLES 1
TM NETWORK THE SINGLES 2
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コメント
お久しぶりです。もしかしたら2009年の「THE SINGLES2」以来のような気もするのですが・・・・・。
本アルバムのリリースの情報を聞いたときは、本当に「またかよ」という気分でしたが、SASA様のブログである「一進一退days-J-POP Archives」
http://blog.livedoor.jp/sasa0053/
で本アルバムの大型特集を読んだりした上で聴くに至りました(ちなみにSASA様のブログではTMの歴代ベストアルバムの特集もされていてこちらも参考になりました)。2年後の2014年でTMはデビュー30周年(!)となりますが、デビュー28年目という中途半端としか言い様のない年にリリースされたのは春頃の一連の活動再開に際してという事なのでしょうか。
聴いてみた感想としては、Blu-Spec CDだけに音質に関しては過去にリリースしたアルバムに比べればクオリティが高く感じられましたが、私も不完全な印象が否めなかったりしました(ちなみに1999年の復活後に出したシングルは1994年の「終了」以前の楽曲とのかけ離れていた感じがあってあまり好みではなかったりします)。
未収録の楽曲だけでも「RHYTHM RED BEAT BLACK Ver.2.0」(「TIME CAPSULE」ではCDの収録時間の関係上イントロが短縮されたバージョンだった)や「GET WILD'89」等の「FANKS!!'89」期のリプロダクションシングルのカップリング(アルバム「DRESS」未収録)等が挙げられますが(ちなみにこれらの楽曲は「Welcome to the FANKS!!」や「THE SINGLES2」の歴代ベストアルバムにも収録されていますね)、オールシングルコンプリートといかなかったのには腑に落ちない限りだったりします。個人的には過去に出されたベストアルバム「TIME CAPSULE」の拡張版的なものであればそれこそ決定的ベスト盤になったかもしれませんが、そう世の中上手くはいきませんね・・・・・・。他にも変に全盛期のオリジナル曲にボーナストラックとしてレア音源やら映像を抱き合わせで出すくらいなら、レア音源や映像を集めたものをリリースして貰いたい所だったりします。
上記のsasa様のブログにおいて本アルバムは入門編としてはいい線をいっているとあってそれには私も同意してはいますが、最近ではこの手のベスト盤はどのあたりの世代を対象としているのかが不明確に思えてならなかったりします。TMの最盛期をリアルタイムで知っている今それなりにお金を持っている30代半ば以上の世代を対象としているのか、はたまたその最盛期をリアルタイムで知らない若い世代を対象としているのか。
TM NETWORKが時代の徒花的ミュージシャンなのかについては、今も好きである身からすればそう思いたくはないのですが、全盛期にはレコード会社のみならず系列のソニー・マガジンズの音楽雑誌等でもあれだけプッシュされていたのに今の扱いを見ると本当にリスペクトしているのか?と思えてならなかったりします。日本の音楽シーンに一時代を築いたと言ってもて囃されていたのも全盛期の名残があった1990年代限定の話だったのかとも思ったりもします。
最後になりますが、以前私はTMのベストで最適なものとして「BLACK」、「RED」、「BLUE」に「TIME CAPSULE」の4枚を挙げましたが、追加としては1987年にTMがブレイクした年にリリースされた初期ベストの「Gift for Fanks」と「Welcome to the FANKS!!」の3枚目も入れてもいいのではないかと考えています。
投稿: MoTo | 2012年10月 7日 (日) 16時38分
>MoToさん
お久しぶりです。詳しい感想、ありがとうございます。やはり、このベスト盤には、ファンならば一言ありますよね・・・。確かに、音的にはよかったものの、ターゲットがいまひとつ不明確な感じは否めません。コアなファン向けとしては中途半端ですし、初心者向けとしてもいまひとつ。
ベスト盤としては、「BLACK」、「RED」、「BLUE」、「TIME CAPSULE」というのは私も同感です。やはり一番最初の方に出したベスト盤の方が、選曲もよかったりするんでしょうね。
私も、中途半端なベストを連発するよりも、レア音源とか、まとめて出してほしいと思うんですけどね・・・。
投稿: ゆういち | 2012年10月10日 (水) 23時56分