女王として、勢いは続く
Title:Uncontrolled
Musician:安室奈美恵
前作「Checkmate!」は、一種の企画盤的な内容だったので、純然たるオリジナルとしては、「Past<Future」以来となります。「Past<Future」の頃の「第二次安室奈美恵ブーム」的な盛り上がりと比べると、ちょっと一段落した感はあるのですが、安室ちゃん人気は相変わらず。「Checkmate!」でも感じたのですが、ここに来て、流行に左右されない人気を確保した、女王としての貫禄を、このアルバムでも感じました。
特に、1曲目「In The Spotlight(TOKYO)」に、2曲目の「NAKED」。ある意味、このアルバムの「つかみ」ともいえる、この2曲にまずゾクゾク。ここ最近の彼女らしい、ダンサナブルなエレクトロナンバーなのですが、彼女のボーカルはもちろん、そのタイトなトラックを含めて、アルバムの幕開けを飾るにふさわしい、とんでもないカッコいいナンバーで、グッと惹きつけられました。
今回のアルバムも、基本的に「Past<Future」と同じ路線の、今風のエレクトロなR&Bナンバーがメイン。まさに、今、流行のサウンドといった感じなのですが、特に、リズムにエッジを効かせたロッキンなサウンドに、安室奈美恵の歌唱力のためか、あまりベタさは感じません。
今時、こういう言い方はまだ有効なのか疑問なのですが、洋楽テイストが強いのは、前作から引き続いて。ただ、今回のアルバムは、「Past<Future」に比べると、J-POP路線に少々シフトしたように感じました。バラードナンバーの「GetMyselfBack」や「Love Story」あたりは、少々歌謡曲っぽさもありますし、「Fight Together」は、前向き応援歌的な歌詞も含めて、少々「ベタ」なJ-POP。そこらへんの路線は賛否ありそう・・・。ただ、ラストを飾る「Tempest」は、壮大な雰囲気のバラードなのですが、いかにも日本風という感じのナンバーで、こちらには、逆に、日本の歌姫として、彼女だからこそ歌える曲のようにも感じました。
前作の感想に引き続き、これだけの歌唱力の持ち主だったら、もっと、ソウル風なナンバーとかも歌って欲しいなぁ、と思ってしまうのは、単純な私の好みの問題なのですが(笑)、少々J-POP路線にシフトした点を差し引いても、本作も文句なしの傑作だったと思います。
AKBがらみやらアイドルやらK-POPやら、いろいろ言われる今の日本の音楽シーンですが、それでも彼女みたいなシンガーが、ちゃんと売れているという事実は、やはりまだまだ捨てたものじゃない、と思ってしまいます。日本を代表する歌姫として、ますます大きな存在となっていく彼女。これからの活躍も楽しみです!
評価:★★★★★
安室奈美恵 過去の作品
BEST FICTION
Past<Future
Checkmate!
ほかに聴いたアルバム
キーゼルバッファ/bomi
今年7月に行われた、「SAKAE SP-RING」で偶然見て、その楽しいポップサウンドに、一気に気に入った女性シンガーbomiの、デビューミニアルバム。オルタナ系ロックっぽいサウンドに、キュートなメロで、かわいらしいルックスということで、イメージとしては木村カエラっぽい感じ?
このアルバムも、ポップでキュートなメロが魅力的だったのですが、正直なところ、「SAKAE SP-RING」で感じたほどの楽しさはなかったかも。軽快な「PANIC☆アルバイター」なんかは、そのライブで感じた楽しさを反映したようなポップな曲だったのですが。10月にフルアルバムがリリースされるみたいなので、勝負は、そちらのアルバムか?
余談なのですが。
彼女、在日韓国人なのですが、デビュー当初のプロフィールでは、その点がかなり強調されていたのですが、公式サイトを見ると、そこらへんの記述が、今のプロフィールなどでは、完全に削除されていました。確かに、最近の政治状況を鑑みると、仕方ない部分もあるのかもしれませんが、彼女には関係ない話ですし、こういう「配慮」をせざる得ない状況ってのは、悲しいな・・・。
評価:★★★★
ChoiceII/NONA REEVES
アメリカのヒットチャート王手、Billboradが、日本で立ち上げたレーベル「Billborad Record」の企画として、Billboardチャートを賑わせたヒット曲をカバーする「Choice」企画。これは、NONA REEVESによる第2弾。相変わらずのマイケル・ジャクソンや、ある世代には懐かしいHUEY LEWIS & THE NEWS「THE POWER OF LOVE」(「バック・トゥー・ザ・フューチャー」の主題歌)、ちょっと意外なところでは、blurの「TENDER」などもカバー。相変わらずNONA REEVESの(西寺郷太の?)ポップソングに対する愛情あふれるカバーアルバムになっています。それだけに聴いていて楽しいのですが、愛情あふれすぎて、ある意味、新しい解釈みたいなのがあまりないのは残念?
評価:★★★★
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