小室哲哉上級者向け
4月に久々のニューシングルが発売されたり、久々のライブを開催したり、なにげに騒がしくなってきているTM NETWORK周辺。うーん、やはり中学から高校のあたりにはまったミュージシャンなだけに、この歳になっても、その活動が気になってしまいます。というわけで、今回から3回連続で、TM NETWORKがらみの作品を紹介します。
Title:Far Eastern Wind-Complete
Musician:小室哲哉
その第1弾は、まず小室先生のソロ作!もともと、2008年にiTunes Storeのみで販売された、「Far Eastern Wind」シリーズに、書き下ろしの1曲を加えた全5枚組でリリースされた新作となります。
その「Far Eastern Wind」シリーズは、それぞれ「Spring」「Summer」「Autumn」そして「Winter」と四季をテーマとした4枚。タイトル通り、「Far Eastern」=「極東」=「日本」をテーマとしており、基本的に和風なアンビエント作品。それぞれ四季をイメージした通り、「Spring」はなにかがはじまるような、「Summer」は、夏らしい爽やかな、「Autumn」と「Winter」どこか温かみのあるようなサウンドが綴られています。
基本的には、音数を絞ったエレクトロ路線。一般的な小室系のイメージで聴くと、そのイメージから大きく異なる内容になっています。・・・とはいえ、「Summer」に収録されている「夏の終わり」など、メロディーが出てくると、いかにも小室らしさが表に出てきて、消そうとしても拭いきれない小室メロが、随所に見え隠れ。まあ、ここらへんで楽しめるのは、かなりコアな小室ファンくらいかもしれませんが(^ ^;;
そして、今回の新曲となる「五常」は、なんと1曲で70分以上の長さとなる作品。美しい雰囲気のサウンドが印象的で、「五常」というのは、儒教で説く、5つの徳目だそうですが、「四季」をテーマとした4枚のアルバムに続くと、どちらかというと、その「四季」を総括し、日本の美しい自然をテーマとしているのかなぁ、なんてことを考えてしまいました。
さて、そんな小室哲哉の今回のソロアルバム。正直、小室哲哉としてはちょっと物足りなかったかなぁ、と感じました。小室哲哉というと、イメージとしては、時代の半歩先を行く音を、誰でも楽しめるようなポップな音に落とし込んで、多くのヒット曲を生み出してきた、というものがあるのですが、今回のアルバム、時代の半歩先、という感じはしません。確かに、音数を絞ったエレクトロ路線は、今風ではあるものの、よくありふれた、という感は否めません。
また、やはりこのアルバム、決してポップではありませんし、小室系らしいわかりやすいフレーズも皆無。全5枚組というフルボリュームもあわせて、かなりの小室哲哉上級者向けアイテム。そういう意味でも、一般的にはお勧めできない作品かと。
そんな訳で、「よくありふれた」感で★マイナス1、一般的にお勧めしにくい、という意味で、★もうひとつマイナス。ただ、その一方、決して「売れる」ための音楽ではない、ということで、小室先生自体、とても自由に曲をつくっている感じも受けました。そういう意味では、「時代の半歩先を行っていない」という感想は、正直、ちょっと的外れなのかもしれません。
あまりお勧めできる作品ではないものの、小室哲哉のファンなら、とりあえず要チェックといった感じでしょうか。ここ最近、再び数多くのミュージシャンに楽曲を提供しはじめた彼。再び、小室先生の時代はやってくるのでしょうか??
評価:★★★
小室哲哉 過去の作品
Digitalian is eating breakfast 2
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