スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド その3
その2からの続き
そして14時半からは、ヘリオスステージでのライブがスタートします。
会場は2階席まであり、2階席は椅子席、1階席はオールスタンディング。最初は、2階席で椅子に座って、まったりしながら、ライブを見ていました。
OKI
最初に登場したのはOKI。バンドなどは全く率いず、ステージ上に、彼1人だけたっていました。そして奏でる楽器は、トンコリという、アイヌの民族音楽。この音色だけをバックに、歌を奏でます。
午前中のシンポジウムでは、「反原発」を訴え、熱く語っていたOKI。もともと、とても深い彫りのある顔立ちの方で、それだけに、熱いステージを・・・と思ったのですが、そこで歌われたのは、静かなトンコリの音色にあわせた、静かな優しい歌でした。
トンコリは、アンプにつながれていたのですが、ダブのように、エフェクトがかけられ、そこに彼の意外にも(失礼!)繊細な歌声で優しく歌われます。ダビーなトンコリの音色がなんとも、幻想的で、うっとりしてしまいました。このトンコリの音色自体、弦楽器なのですが、ギターとはまた一風異なった、ハープのような美しく、そして非常に澄んだ音色が印象的。しばし、会場は夢のような空間となり、みんなしんみりと聴きほれました。
最後は、タイトル通りのロックナンバー「サハリン・ロック」で締めくくり。この曲では、トンコリをかき鳴らし、いままでの曲とはまた異なった、ダイナミックな雰囲気に。それもまた、楽器本来の音の美しさと相成り、なんとも不思議な感覚に。最後の最後まで、OKIの歌の魅力と、そしてトンコリという楽器の魅力に惹かれていったステージでした。
スキヤキ電気ボックス
続いて登場してきたのが、スキヤキ電気ボックスというグループ。こちらは、このスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドのために結成されたグループで、メンバーは、前日のライブにも登場した、コロンビアのデジタル・クンビアのミュージシャン、ペルネットに、親指ピアノ奏者、サカキマンゴー、そしてアフリカ・パーカッション奏者の山北紀彦というメンバーでした。
なんでも、このライブの前に現地入りして、3人で合宿をして、作り上げた作品だとか。山北氏の演奏は、今日はじめて聴いたのですが、イメージ的には、その3人の音楽を融合させた感じなのでしょうか?基本的に、ラテン風の軽快なリズムをベースに、山北紀彦のテンポのよいパーカッションに、サカキマンゴーの心地よい親指ピアノの音色が印象的。また、「電気」という名前の通り、ペルネットの奏でる電子音が、かなり前面に出ていました。ペルネット本人のステージ上に、エレクトロ色の強いステージ。ただ、このエレクトロのビートが、なぜか生音のビートにもピッタリあっていて、決して無機質な感じがしなかったのが不思議な感じ。
OKIの時は、2階席でまったりと聴いていたのですが、やはり前の方で見たい!とばかりに1階へ。オールスタンディングで、楽しく踊りながら聴いていました。楽曲は、それぞれのオリジナルがベースだったのでしょうか?鹿児島で歌われている「茶わんむしの唄」をクンビアにアレンジした、サカキマンゴーの「茶わんむしのクンビア」も演奏していたりして。この曲、1度聴くと、メロディーが忘れられない・・・。約1時間のステージでしたが、3人の息もピッタリで、とても楽しいステージでした。
GNAWA DIFFUSION
そして、最後に登場したのは、グナワ・ディフュージョンというミュージシャン。グナワは、もともと、中世にマリやギニアから北アフリカに移住させられた黒人部族の末裔の名称で、その彼らが奏でていた音楽。「モロッコのレゲエ」とも呼ばれているらしく、非常にトランシーな音楽性が特徴だそうです。
グナワ・ディフュージョンは、そんなグナワに、レゲエ、ロック、HIP HOPなどの要素を加え、大人気を博したバンド。ここ最近、活動休止していたそうですが、このたび、活動を再開。その活動再開後、初となるライブが、ここ、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドだったそうです。
メンバーは、総勢8名となる大所帯。ちょっとアラブの音楽の要素も混じった、哀愁ただようメロも印象的なのですが、なによりロックの要素を加えたダイナミックな演奏がやはり、ロック好きとしては心地よく、身体に響きます。また、ギターの人が、頂上から、ボンボンがぶらさがったような帽子をかぶり、そのボンボンを振り回しながら、楽しそうに演奏していたのが、やけに印象に残りました(笑)。
楽曲は、レゲエの要素も加わった、横ノリのビートが、とても心地よい感じ。メンバーにはマンドリン奏者もいて、マンドリンの哀愁たっぷりの音色も、また、楽曲を、より哀愁漂うものとしていました。ただ、一方では、メンバーにはDJもいて、レコードのスクラッチ音を入れてきたり、サンプリングが入ったりと、そういう意味で、今風の音もしっかり鳴っていてました。
オオトリを飾るにふさわしい、とても魅力的なステージで、どこか異国情緒が漂いながらも、リズムとメロは、ストレートに心に打つ、彼らの曲に酔いしれます。後半では、なんとステージに、サカキマンゴーとOKIが登場!親指ピアノとトンコリの音色が加わり、ステージ上はかなりにぎやかな状況に。楽しいライブが続きます。
・・・・・・が、私は残念ながら、この日、名古屋まで帰る必要があったため、この途中で退席(T T)。とても後ろ髪を引かれる思いで、会場を去りました。すごく楽しいステージだっただけに、とても残念だったのですが・・・・・・。
3日間のうち、2日参加したスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド。今回初参戦だったのですが、感想としては、「最高!!」の一言です。心の底から楽しいステージの連続で、その後、しばらくは、この日のステージを思い出して、余韻に浸っていました。っていうか、いまだに時々思い出しては、余韻に浸っています(笑)。
なにより素晴らしかったのは、このフェスの客層の幅広さ。大人から子ども、外国人からおじさん、おばさんまで、ほとんどの年齢層が、等しく音楽を楽しんでいたイベントでした。これだけ幅広い層が参加する音楽イベントって、なかなかないんじゃないかなぁ。フジロックとかも、年齢層が幅広いけど、やはり子どもは、親の付き添いって感じになってしまうし・・・。
参加したミュージシャンは、どなたのステージも素晴らしく、甲乙つけがたい内容。なのですが、あえていえば、やはり2日目のOKIのステージが、特に素晴らしかったです。ただ、おそらくライブとしては、2日目のヘリオスステージの方が良かったのかもしれませんが、幸福度があふれて楽しかった、という意味では、1日目のフローラルステージが楽しかったですね。野外でビールを片手に、踊りまくれたというのはもちろん、なによりも、客層の広さが半端なく、子どももたくさん、大人と一緒に楽しそうに踊っていた姿が、とても心に残りました。
本当に、楽しめたフェスで、また来年も、機会があれば、是非足を運びたいです!場所は、富山と、東名阪いずれからもちょっと距離がある場所ですが、わざわざ足を運んで、文句なしに満足する内容だと思いますよ。心から満たされた気持ちになり、音楽の素晴らしさを再認識できた、素晴らしいフェスでした。
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