いつも以上にaiko節炸裂
Title:時のシルエット
Musician:aiko
途中、ベスト盤の発売も挟んだため、オリジナルとしては、2年3ヶ月ぶり。ちょっと久しぶりとなったaikoの新作です。
そんな感じで、オリジナルアルバムの間隔がちょっと開いてしまったのですが、まず感じるのは、そんなスパンなど、彼女にとっては全く関係ないのでしょうね。いい意味で、相変わらずの安定感でした。
ただ、そんな中、今回のアルバムは、いつも以上に「aiko節」を強く感じたように思います。aiko節、要するに、ブルージーにすら感じられる、ブルーノートを多用した、独特の楽曲展開。先の見えない展開が、聴けば聴くほど癖になります。今回で言えば、「くちびる」の冒頭、いきなりaikoらしい独特のメロディーが展開していますし、メジャーコードとマイナーコードを言ったりきたりする「向かいあわせ」もおもしろいし、先の読めない展開といえば、「雨あがり」も、まさにaiko節といった感じ。他にも、彼女らしい、非常に癖があるメロディーラインの曲が多く、聴きどころたくさん。この独特のメロディーラインが好きな方には、まさにたまらない逸品です。
歌詞にしても、情熱的なラブソングが多いのは相変わらず。
「目の前に広がる今だけの世界 ここはあなたとあたしの幸せの中だろう
ぼやけた向こうに見える顔
泣いてしまうなんて勿体ない 泣いてしまうなんて勿体ない」
(「AKA」より 作詞 aiko)
だとか、
「生きてる限り何度も触れて知るの
あなたのあたたかい味 永遠に」
(「ずっと」より 作詞 aiko)
だとか。一歩間違えれば、相当重い歌詞。こういう歌詞といい、癖がありまくりのメロディーといい、ともすれば、軽快なポップスソングとして扱うと、破綻してしまいそうな素材を用いながらも、ちゃんとポップにまとめあげている。まさに彼女の実力というほかありません。
軽快なポップソングや、ストリングスなどを取り入れたバラードなどを上手く織り交ぜつつ、途中、「運命」のような、オルタナ系風のギターロックや、「恋のスーパーボール」みたいなスカポップを入れてきたりと、アルバムのバランスも実によく出来ています。
もう、まさに「安心の傑作」といった感じの極上のポップスアルバム。長らく待ったファンも、十分すぎるほど楽しめた作品だったのではないでしょうか。aikoの勢いは、まだまだ止まらなさそうです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
MASTERPIECE/エレファントカシマシ
おお、こういうタイトルつけちゃうのね、といった感じのエレカシの新作。ただ、正直言って、このアルバム、派手さはありません。むしろバラードナンバーが多く、比較的地味。インパクトがあるのは、1曲目「我が祈り」くらいかもしれません。それだけに、逆に、アルバム全体としては味があるメロディーというか、ついつい聴き返しちゃいたくなってしまう楽曲が並んでいます。ここ最近、バンドとしての方向性が明確になってきて、いい意味での安定感が出てきたエレカシですが、そのひとつの到達点といったアルバム。「傑作」というタイトルは伊達じゃありません。
評価:★★★★★
エレファントカシマシ 過去の作品
STARTING OVER
昇れる太陽
エレカシ自選作品集EPIC 創世記
エレカシ自選作品集PONY CANYON 浪漫記
エレカシ自選作品集EMI 胎動記
悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~
SOFT/ストレイテナー
ストレイテナーの過去の楽曲を、アコースティックアレンジで再録音した企画盤。メロディアスな楽曲をしんみり聴かせるアルバムなのですが、アレンジにいまひとつ特色がなく、1時間程度の内容ながらも、最後は正直飽きてしまった・・・。
評価:★★★
ストレイテナー過去の作品
Immortal
Nexus
CREATURES
STOUT
STRAIGHTENER
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