伝説のバンドの解散ライブ
Title:I was THE STALIN~絶賛解散中~完全版
Musician:ザ・スターリン
昨年、ひとつとても印象に残ったニュースがありました。昨年、東日本大震災と、それに伴う原発事故により大きな被害を受けた福島の復興を手助けするイベントとして「8.15世界同時多発フェスティバルFUKUSHIMA!」というライブイベントがあったことはご存知の方も多いと思います。そのプロジェクト発足のニュースとして、NHKのニュースで、遠藤ミチロウが登場していました。いや、別に彼がNHKに登場するのは、これがはじめてではもちろんないんでしょうが、あの遠藤ミチロウがNHKのニュースに登場というのは、とても印象に残った出来事でした。
というのも、やはり彼が所属しているザ・スターリンというバンドは、そのあまりに過激な楽曲やパフォーマンスから、かつて、「良識的な大人」から、嫌われたバンドだったから。特に、ライブパフォーマンスの過激さは、ザ・スターリンが活動していた時代をリアルタイムで知らない私でも、その噂はよく耳にします。
ライブパフォーマンスの過激さは、ここのサイトで簡潔に書かれていますが、曰く
「観客席にイノシシを放つ、牛乳にウンコを混ぜて客に浴びせる、客に向かって放尿、ライブ中にオナニー、バクチクを投げ込んで大騒ぎ、全裸になった遠藤のチンコを最前列の女の子が突然咥えだす(でも遠藤は勃たなかった)、豚の内臓や頭(1個1000円らしい)を投げ込む、学園祭で全裸になって逮捕され女性週刊誌にスッパ抜かれる、ドラムが突然失踪するもその後泣きながら帰ってくる、テレビの生放送でノリの悪い客席に最期にダイブして番組終了、ライブ中に生きたニワトリを飛ばしたらライブ後にバラバラになっていた等」
など、こんなこと、今やったら大問題になりそうだなぁ・・・・・・。
で、このアルバムは、1985年2月21日、東京は調布の大映スタジオで行われた、ザ・スターリンの解散ライブの模様をそのまま収録したライブアルバム。いままで、その一部は、ライブアルバム「FOR NEVER」に収録されていたそうですが、このアルバムは、当日演奏した全ての曲を、曲順どおりに収録された完全版だそうです。
さすがに、CDでは前述の過激なパフォーマンスが行われたかどうかはわからないのですが、それでも、冒頭、爆竹が鳴らされるような音が響き、爆竹を鳴らさない旨の警告が発せられたアナウンスがそのまま収録されているなど、その過激さの一端が、CDにもしっかりとおさまっています。
肝心な楽曲の方なのですが、一番印象に残ったのは、30年近く前の楽曲ながらも、今聴いて、全く古さを感じさせない点でした。彼らの演奏するハードコアパンクは、いまでも十分通用する普遍的なポピュラリティーを感じさせましたし、それ以上に印象的だったのは、音の分厚さ。30年近く前のバンドサウンドは、今聴くと、音の分厚さという点で、今の耳では物足りなく感じる部分もあったりするのですが、全くそういう古さを感じさせません。そのバンドとしての音の迫力は、時代を超えて今でも伝わってきます。
2枚組でボリュームのあるアルバムですが、今なお、ザ・スターリンというバンドの魅力が伝わってくるようなライブアルバムでした。ってか、これだけ過激なことをやるバンド、もう出てこないだろうなぁ・・・。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
photogenic/Salyu
昨年、Corneliusと組み、salyu×salyu名義でアルバムをリリースした彼女ですが、今回は、2007年の「TERMINAL」以来、小林武史プロデュースとなる新作。salyu×salyuのイメージからすると、かなりかけはなれた感じのする作品(というか、本来は、こういう作風のミュージシャンだったのですが)で、印象としては、特に前半に関して、90年代のJ-POPそのまま、といった感じ。悪くはないのですが、あまり真新しさを感じなかったような・・・。
評価:★★★
Salyu 過去の作品
s(o)un(d)beams(salyu×salyu)
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