じわじわとはまっていきます。
Title:恋に似ている
Musician:THEラブ人間
これがメジャーデビューアルバムとなる5人組バンド、THEラブ人間。「恋愛至上主義」を掲げるバンドだそうで、名前は以前から知っていましたが、音源は、このアルバムではじめて聴きました。
楽曲は、フォーキーな印象も受けるギターロック。決して派手さはありませんし、メロディーもサビでグッと掴むような、そんなインパクトがあるものではありません。しかし、聴くうちに、アルバムから耳が離れなくなってしまい、はまってしまう、そんな魅力を感じさせるバンドでした。
なんといっても、その大きな理由が歌詞。日常のなにげない風景の描写が、ドラマ仕立てで描かれており、一度聴くと、ついつい最後まで聴きたくなる展開が楽しめます。そんな歌詞を描くのはボーカル金田康平。「恋愛至上主義」を標榜するように、彼の描く歌詞には、確かに恋愛模様の描写があります。
しかし、そこで描かれているのは、決して、今のヒット曲にありがちな、軽薄なラブソングではありません。例えば「悪党になれたら」では、描かれているシーンは、ホテルでの男女ながらも、描かれるテーマは、様々なしがらみという現実の中でもがく男の姿。
一方では「八月生まれのきみの結婚式」みたいな、男女の別れを描いた純粋なラブソングもあるものの、こちらも別れのシーンが、心理描写と共に描かれていて、リアリティーあり、切なくなるナンバーになっています。
もちろん、決して恋愛描写だけはなく、ふるさとへの帰省を歌った「西武鉄道999」、人とのつながりを歌った「砂男」など、身近な出来事をテーマに、リアリティーある歌詞がとても魅力的。聴いていくうちについついはまってしまいます。
そんな歌詞を支えるメロディーも、決して派手さはないものの、シンプルでメロディアスだからこそ、そんな歌詞を一層ひきたててくれています。音楽面で印象的なのが、バイオリン。メンバーにバイオリン担当の谷崎航大が参加していますが、効果的に挿入されるバイオリンの音色が、楽曲に幅や深みを与えているような、そんな印象を受けました。
いや、このバンドには結構はまっちゃったかも。一発でやられる、というよりも、何度か聴くうちにじわじわと来る魅力を感じます。これからに注目したい新人バンド。これから、どんな世界を私たちに見せてくれるのか、本当に楽しみです。
評価:★★★★★
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