青春パンクの元祖??
Title:LOST&FOUND
Musician:JUN SKY WALKER(S)
80年代後半から90年代前半にかけて、バンドブームを代表するパンクロックバンドとして一世を風靡したJUN SKY WALKER(S)。1997年に解散をしたものの、2011年に再結成。1月には再録ベストを発売しましたが、続いて、16年ぶりとなるオリジナルアルバムがリリースされました。
今の若手パンクバンド、特に一時期ブームになった青春パンクといわれるバンドの、ルーツ的な存在としては、90年代、同じく一世を風靡したブルーハーツがよくあげられています(まあ、彼らとよくある「青春パンクバンド」とは、天と地の差だと思うのですが・・・)。ただ、青春パンクバンドとして、ストレートなルーツに感じられるのは、むしろ彼らの方に思います。前向きな歌詞やポップなメロディーラインは、2000年代の青春パンクバンドに通じるところを感じられます。
16年ぶりとなる新作も、16年前と変らないジュンスカ。タイトル曲でもある「LOST&FOUND」の前向きな歌詞は、いい意味でも悪い意味でも、青春パンクバンドや、あるいは最近のJ-POPの歌詞に通じるものを感じます。
ただ、最近のバンドと、彼らのこのアルバムでひとつ大きな違いを感じます。それは、今のバンドが前向き応援歌しか歌わないのに対して、彼らは、このアルバムの中でも権威に対して中指を突っ立てているような楽曲を歌っている点。例えば、最近のロックフェスブームを皮肉った「ロックフェス」や、アメリカに依存する日本を皮肉った「依存BABY」など。こういう「反権力」も、パンクとして手垢がついてしまっている、と言われればそうなのかもしれませんが、ここらへん、最近のバンドにはない気骨を感じました。
アルバム全体の出来としては決して悪くありません。楽曲はメロディアスでインパクトもあるし、勢いもあります。また、ベテランなだけに安定感もあります。ただ、正直、再録ベスト「B(S)T」でも感じた、同窓会的雰囲気というか、90年代の活動をそのまま再現したような内容は、これ1枚ならいいのですが、これを継続されるとちょっと辛いかも。
ジュンスカみたいなパンクって、やはり「若者の叫び」であり、年齢と大きくリンクする部分があります。例えばヒロト&マーシーのように、ずっとパンクを続けれこれば、年齢とともに味が出てきて、決して年齢に縛られない魅力を感じることが出来ると思います。ただ、彼らみたいに、途中の活動が中抜けして、再結成となると、どうしても彼らの年齢と楽曲の間のギャップが目だってしまうのが、辛い印象を受けてしまいました・・・。
これ1枚だったら、これはこれで「アリ」だと思うのですが、今後、継続して活動を続けていくのならば、ちょっと辛くなりそうだなぁ。やはり四捨五入して50歳のバンドにとっての「パンク」というのを聴かせてほしいなぁ、と思います。まあ、個人的に、最近の90年代再結成ブームには、素直にうれしく思う反面、微妙に感じる部分も多いのですが・・・。
評価:★★★★
JUN SKY WALKER(S) 過去の作品
B(S)T
ほかに聴いたアルバム
マンパワー/□□□
うーん、ここでも何度か紹介していて、感想も書いてきているのですが、やっぱり□□□(クチロロ)って、苦手かも(苦笑)。なんか狙いすぎ感が鼻をつくというのか・・・。また、今回のアルバムは、タイトル通り、「人の生の声」をテーマにしたようなアルバムになっているのですが、楽曲の中に登場する人物が、「東京に住む一般的な若者たち」ばかりがフォーカスされていて、その枠組みにあてはまらない、私みたいな身にとっては、どうも疎外感を抱いてしまいました。
評価:★★★
□□□ 過去の作品
TONIGHT
everyday is a symphony
CD
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