彼らの新たな一歩か?
Title:僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ
Musician:モーモールルギャバン
前回の「赤い公園」に引き続き、こちらも話題の若手バンド。まあ、もう、これがメジャー3枚目となるのですが・・・。
もともと変態性の強い、強烈な歌詞と、そんな歌詞とは裏腹な(?)、クオリティーの高い音楽性が大きな話題となったバンド。前作「BeVeci Calopueno」では、歌詞の変態性は薄れたものの、音楽的には、強烈な個性を放ったアルバムでした。そして本作は、音楽的にもストレートなロックソングが増え、変態性が薄くなった印象を受けました。
ただ、一方、そんな中で、彼らのメロディーラインのセンスの良さを感じました。「MY SHELLY」や、タイトルチューンでもある「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」は、実にメロディアスな作風が印象的。ちょっとくるりっぽいかな?と思う部分もあるのですが(笑)、ソングライターとしての実力を感じさせる作品でした。
また、サウンドも、基本的にギターロック路線ながらも、シンセのラインなどは、ソウルミュージックぽさを強く感じさせますし、ソフトロック風の「それは悲しい唄のように」も秀逸(だけど、ちょっと空気公団っぽいような・・・)。雑食性な側面は相変わらずながら、バンドとしての足腰の強さを感じさせます。
歌詞も、若者の焦燥感を強く感じさせる内容が多く、例えば
「ワイルドな俺の運命(さだめ)いつも夜に震えて
叫ぶ唄声が響き渡る近所迷惑」
(「サノバ・ビッチェ」より 作詞 モーモールルギャバン)
「誰にも届かない今は 消えない自由を叫びたいよ」
(「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」より 作詞 モーモールルギャバン)
など、現実の中でもがちながらも前に進もうとする若者の姿を強く感じました。
そんな訳で、「変態性」という、いままでのモーモールルギャバンのイメージから離れて、ある意味、「裸」で勝負したともいえる作品。彼らの実力が、今まで以上発揮されたアルバムだったと思います。
ただ、私個人、いままで「クロなら結構です」以降の作品を聴いていたのですが、このアルバム、ちょっと物足りなかったかな、と感じた部分もありました。確かに、バンドとしてもメロディーセンスも、その実力を感じさせてくれましたが、一方では、メロにくるりっぽさだったり空気公団っぽさだったり感じた反面、いまひとつモーモールルギャバンだけが持っているような個性が薄かったような印象も受けてしまいました。
そんな中、唯一、歌詞も音楽的にも変態性が強かったのが「彼と彼女の日常」で、この曲は、モーモールルギャバンの個性を強く感じることが出来ました。それはやはり「変態性」という彼らの持ち味を超えるだけの違う何かが、まだ獲得しきれていないから、ではないでしょうか。
とはいえ、彼ら、高い実力の持ち主であることは間違いないと思いますし、このアルバムも、純粋にいいアルバムであることは間違いないと思います。これから、彼らがどのような路線を進んでいくのか・・・次のアルバムを楽しみに待ちたいところです。
評価:★★★★
モーモールルギャバン 過去の作品
クロなら結構です
BeVeci Calopueno
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