誠実さを感じるドリームポップ
Title:Bloom
Musician:Beach House
Beach Houseは、アメリカの2人組ポップ・デゥオ。アメリカの著名な音楽評論サイトピッチフォークで9.1点を獲得したことでも話題になりました。
で、そんな話題の最新作。聴いてみた訳ですが、私自体、Beach Houseのアルバムを聴くのはこれがはじめて。楽曲のタイプとして、一言で言うと、ドリームポップにカテゴライズされることになるのでしょうか。シンセなどで分厚くデコレートされた、幻想的なアレンジが、非常に耳を惹きます。まあ、ちょっとひねくれた言い方をしてしまうと、いかにもピッチフォークが好みそうな・・・とも思ってしまいましたが(^^;;
ただ、ドリーミーなサウンドにつつまれた曲といっても、彼らの曲は、「歌」があくまでも前に出ていることが大きな特徴に感じました。このタイプのミュージシャンによくありがちな、サウンドにうもれてボーカルも楽器のひとつになっている、ということもなければ、非常に高音のボーカルにより、その声も幻想的な雰囲気に一役かっている、ということもなく、あくまでもメロディーラインをなぞりながら、しっかりと「歌」を歌っているスタイル。そういう意味では、ドリーミーなサウンドが特徴的ながらも、本質的には、王道のポップス路線を歩んでいる、と言えるかもしれません。
とはいえ、優しいボーカルに、ミディアムテンポのメロディーは、ドリーミーなアレンジにもピッタリマッチ。決してインパクトがあったり、派手なメロディーではないものの、聴いていていい意味で安心できる良質なポップソングを形づくっています。その優しい歌声と、メロディーラインには、ついつい聴き入ってしまいました。
圧巻なノイズで、独特の音の世界観を聴かせるとか、究極の美メロで魅了するとか、そういう感じではないのですが、とても誠実さを感じる良質なポップソングがつまったアルバム、といった感じでしょうか。ポップス好きにはお勧めしたい1枚です。
評価:★★★★★
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